建築

建築所感

世界のあちこちで見てきた建築を勝手に書きつづります。第一回はビルバオグッゲンハイム。ネタのある限り続けます。

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建築所感004<光の教会>

2002/02/19

建築所感004<光の教会>

場所は大阪の茨木。
まわりは住宅街といったところ。
そこの角地の小さな丘にコンクリートの箱が乗っかってる。
外からでも十字にガラスが切れてることがわかる。
そこをまわりこむとステンレスの十字架。
コンクリートの確かな存在を確かめると
”おお、来たな”って自分で言ってるような
誰かに言われてるような気になる。
開館前に行ってしまったので、そこの神父さんに
入場していいか訪ねる。
静かな方だ、表情をあらわさず、こちらはドギマギしてしまった。
新しく出来た日曜学校との間のスペースを見てまわる。
囲まれた静かなたたずまいだ。
待つ事が苦ではない。
飛び回る蚊のことをのぞけばだが。

教会へは斜にささった壁がアプローチとなる。
いちど後ろに向かって、それから光の十字に向かう仕組みだ。
しごく単純な仕組みだが、効果は十分にある。
誰もがその大きな光の十字架に向かうのだ。
床は杉の足場板だという。
それをしゃくって留めている。
荒れてはいるが返って神々しい力強い雰囲気をかもし出している。
家具はラワンと見た。
木目はないが、力強く素っ気無い。
オイルステインを施して黒とするが、このコンクリートと
足場板の空間に強すぎず弱すぎず存在する。
前に向かうにつれて段差がある。
段の先にはステンレスの板が埋込まれて
さりげなく足先を注意できるようになっている。
神父の机もラワン。
十字架に近付き後ろを振り返るとその空間の大きさを
実感できる。
天井は高いはずだ、しかし、そこに集まる空気をどう表現したら良いのだろう。
私が見たのは誰もいない静かな空間であったが、祈るひとびとがそこに集まったとき
明らかに何かか変わるはずである。
たぶん、人の意識をまとめるのにはある程度の高さが必要なのではないだろうか。
天井が低くては神父さんの声も後ろまでは届くまい。
開口部は十字架を除けば2つだけ。
照明は壁にさりげなくある。
水まわり関係はここにはない。
最低限、祈りのための空間をここにこしらえたといった
感じだった。
最低限、しかしそこには最大の思いが込められている。
予算はかなり厳しかったと聞く。
外の雨水パイプは塩ビだったりする。
出来るまでの様子が一冊の本になっているが
わかるような気がする。
完成されたかたちだけではわからないドラマがあちこちにあるのだろう。
賛美歌が聞きたくなった。
ここを知るにはミサの時が一番であると安藤さん本人も言ってらっしゃる。
人が祈りを通して一つになった空気は空間をはるかに超えるものなのだろう。
その場をつつむようにしてこのコンクリートの箱は存在する。
あまりに圧巻である。

隣接する日曜学校は同じコンクリートの箱だが中身がちと違う。
教会の方が黒を基調にしているのに対してこちらは木のそのままの色を
基調にしている。
床も杉ではあるが実(さね)のつけかたが違うし、こちらはウレタン塗装がかけてある。
明るい光の箱といった感じがする。
トイレや台所の設備のあって、
こちらはもしかしたら予算があったのかなあ、なんて思う。
外の雨水配管も塩ビから鋼管に変わっているし。
家具や壁はしなベニヤでできている。
白い木肌がなめらかで美しい。
こちらは部屋の中で光が拡散していることがよくわかる。
迫力は教会の方にかなわないが、
こちらは人を包み込むやさしさでできた箱だ。
日曜学校という名の通り、たぶんたくさんの子供達が集まるのだろう。

私はこの光の教会をおとずれた後に関西空港に向かった。
関西空港も実は初めて見るものであったが、この教会の余韻が強くて
あまり浸って見ることができなかった程だ。
あらためて安藤忠雄さんの建築に対する敬虔なまなざしを
学びとれたような気がした。

                 02.02.18  竹中アシュ

次回はル・トロネの修道院について勝手に書いてみたいと思います。



■読者の皆様へ
・この光の教会の正式な名前は茨木春日丘教会です。
住所:大阪府茨木市北春日丘4-3-50
電話:0726-27-0071
見学は事前に要連絡となっています。
HPは下のアドレスです。
http://www.asahi-net.or.jp/~NV3N-KRKM/index1.html

・このメルマガについて、御意見、御感想、御指導、御鞭撻等ありましたら
下のアドレスまでよろしくお願いします。
hidehiko@ruby.ocn.ne.jp
といっても、すんごく自分勝手に書いてるのは明らかなので、
寛大なお心で見ていただければ、なんて思ってますです。

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創刊日:2002-01-27  
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発行周期:ときどき  
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