文学

ほうれん草の記

ほうれん草、ゆであがりましたよ!みんなで楽しく食べましょう。世界の平和を守って。これは、私の小説です。

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どちゃらか夫婦日記

2004/05/01

     ほうれん草の記   どちゃらか夫婦日記
   
 第11回  花ちゃん

 花ちゃん、元気にしてますか?
 幸せですか?
 新しいお父さんいますか? かわいがってもらっていますか?
 あなたのためにおじいちゃんが買ってきた大きな雛人形、今もうちの押入の中に眠っています。
 おばあちゃんは、それを見るたびに悲しくて泣いています。
 ほんとよ、花ちゃん。
 花ちゃんは、私たちの大事な孫です。
 あなたのお父さんとお母さんが離婚してから、ここにいるおじいちゃんとおばあちゃん、とても悲しい思いをしています。
 世間の人たちは、かわいい孫の自慢ばかりして、私たちのような祖父母がいるなんて、考えたこともないのです。
 うちの隣に住む一家、ご主人も奥さんもまだ20代と思われます。
 幼稚園に通っている女の子、そして産まれたばかりの男の赤ちゃん。
 幸せを絵に描いたよぷな一家です。
 近所なので、私たちもこの一家とときどき出会います。
 ほのぼのとした思いにかられます。
 でも、悲しいな。
 うちの新太郎(花ちゃんの父親)も、もっと人の心のわかる子だったら、香ちゃん(母親)と離婚することもなく、きっと幸せな一家でいられたのにと思うと、悲しくてたまりません。
 花ちゃん、私があなたを見たのは、あなたがまだ赤ちゃんだったとき、ただ一度だけ。
 抱くことも、ありませんでした。


 私たちの一人息子新太郎は、勉強ができないだけでなく、心に悲しみを持ち、女性を信じない子だった。
 産まれてまもなく、両親が離婚した。
 彼は、産みの母を、まったく知らない。
 そして育ててくれる人が、次々と代わった。
 母方の祖母、父方の祖母、伯母、義理の母(父の二度目の妻)、面倒をみてくれた近所の小母、そして父の三度目の妻である私。
 短い間に、次々と代わった。私が彼の三人目の母になったとき、彼は四歳だった。
 大事な幼年期に、不幸だった。
 そして、青年になった。
 愛していたはずの嫁なのに、彼はちゃんと夫としての愛情表現ができなかったようだ。
 実家に帰ってしまった嫁を、彼は迎えに行けなかった。
 そして、嫁の父親から離婚を通告されてしまう。
 今どきの若者たちは、簡単に離婚してしまう。親離れしないまま。
 孫娘は、嫁がつれて行った。
 私たちは、大事な孫娘の消息も知らない。
 いつか花は私の書いたものを読んでくれるだろうか?
 花は大きくなったら、私たちに会いに来てくれるだろうか?
 

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創刊日:2002-01-27  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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