文学

ほうれん草の記

ほうれん草、ゆであがりましたよ!みんなで楽しく食べましょう。世界の平和を守って。これは、私の小説です。

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どちゃらか夫婦日記

2004/04/28

      ほうれん草の記    どちゃらか夫婦日記
                第10回 

   カギ、カギ、ああカギ!

 とうとうやってしまった。
 私としたことが。
 家にカギをかけて、外出し、そのカギをどこかでなくしてしまった。
 玄関の前で、必死にバッグの中を探す。
 ない!
 しかも、夫も外出中。
 私は、家に入ることもできず、玄関の前で、とほうにくれた。
 そうだ、もう一つ方法がある。
 夫が台所からベランダに出る出入り口にカギをかけていなければ、そこから家に入れるのだ。
 私は庭へまわり、ベランダに登る。
 うちが団地の一階だからできるのだが、昔、一回やっただけで、後はやっていないので、昔より体も鈍くなったし、できないかもしれない、と恐れながら必死でベランダの手すりをよじ登る。
 できた!
 そして、台所へのカギも、かかっていなかった。
 私は、今や、家の中。
 このカギについては、夫と意見があっていない。
 外出するときは玄関だけでなく、ここのカギも閉めろ、と要求する夫。
 従わない妻。
 今日のようにカギをどこかでなくしても、ベランダから入れるよう、私は気を付けているのだ。

 夫が定年退職して、しばらくの間、カギのことで、私たちは、けんかばかりしていた。
 だいたい、夫は外出するときにカギを持って行かない人だった。
 会社に出勤するとき、朝だから妻の私は家にいる。
 夜帰ってくるときも、もう遅い時間だから、私は家にいる。
 したがって、夫はカギを持って行く必要がない。
 これはこれで、うまくいっていた。
 しかし、今や、夫は無職である。
 朝、出かける時間も、帰って来る時間も、毎日、さまざまである。
 日曜日は、ゴルフ競技会、あと、週に1,2回、病気の義姉の介護に行き、その他は、午前中はゴルフ練習場に行き、午後は、水泳に行く。
 これが夫の毎日であるが、しかし、時間は一定していない。
 それぞれ、時間がまちまちなので、私はどうしたらいいのか、迷うことが多い。
 いったい、私は、いつ夫が帰ってきてもいいように、いつも家にいなければならないのだろうか。
「カギを持って行って! お願い、カギを持って行って!」
 と私がうるさく言うので、夫は怒っていた。
 しかし、これは夫だけのことではない。
 私が夫より遅く出かけるとき、夫が家にいるからいいや、と思ってカギを持たずに外出し、帰って来たら夫は、留守。
 家にはカギがかかっていて、私は家に入れない!
 そんなことになったら、困る、といつも気を付けているはずの私だった。
 それでも、もし家に入れないで困ったら、ベランダから台所へ泥棒入りすればいい、と考えてもいた。
 それが現実となった。

 ベランダからやっと入った私は、さて、いつも持っているカギは、どこへ行ったか、落としたか、心配になった。
 当然のことであるが。
 もしや、と思って、いつものカギ置き場、電話台の引き出しの中を見て、びっくり!
 なんとカギは、その中ですまして鎮座ましましていた。
 私は、カギをかけ忘れて出かけたのだった。
(うちのカギは、開いているのにさらに開けようとすると、逆にしまってしまうのだ)
 
 しかし、帰って来た夫が、なおも台所とベランダの境のカギも閉めるように言う。
 私が、道でカギを落としたら困る、と言うと、
「あのな、ここに秘密の隠し場所があるんだよ」
 夫が教えてくれた。
 それはどこ?
 秘密の場所なので、ここには書けない。

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創刊日:2002-01-27  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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