文学

ほうれん草の記

ほうれん草、ゆであがりましたよ!みんなで楽しく食べましょう。世界の平和を守って。これは、私の小説です。

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どちゃらか夫婦日記

2004/01/13

     ほうれん草の記   どちゃらか夫婦日記 (2)

  男の自立

 おれが定年退職したら、女房が小説を書き出した。
 だいたい女どもは、家事はそれなりに難しい、男にはなかなかできない、と言うが、そんなことはない。
 おれも、昨年女房が病気で入院していたとき、2ヵ月も一人で主夫をやっていたのだ。
 だが、女どもは、なかなか居心地の良い主婦の座から降りようとしない。
 男のやることをバカにするのを生きがいみたいにしている。ざまあみろ。
  
 私は自分の上着を洗濯しようとしたら、なんと肝心の毛糸洗い洗剤がない。
 袋に入った詰替用は2個もあるのだが、ボトルに入ったのがない。
 いつものドラッグストアで一割引セールをやっていたとき、詰替用も買ったので、2個もあるのだ。
 しかし、ボトルがなければどうにもしようがないではないか。
 これは夫の仕業にちがいない。
 夫はいつもベランダを掃除してくれるので、ベランダにある少ししか中身の残っていないボトルなど捨ててしまったのだろう。
 私が言わなければ、夫はわからないのだ。
 男の自立は、難しい。

 雪子に電話した。いつも彼女に長電話して、ストレス解消をしている私。
「それはご主人に言わない方がいいよ。
 でも、詰め替え用があるからボトルを捨ててもいいと思って捨ててしまうのは、私もそうだけれど。
 ほんと、言わない方がいいよ。私も以前、お姑さんに家事のやりかたをいろいろ注意されて、嫌だったもの。
 そのお姑さんが亡くなって、今は、ああ、あのときお姑さんはこれを言ってたんだな、って思うけれどね」
「そう、私たちだって、いろいろ言われるの、嫌だもんね。
 任せた以上は、しようがない。
 下手に言って、『もうおれはやらねえぞ!』と怒って、やってくれなくなると、困るしね」
「女はどうしても家事をやらなきゃならないわね。特殊な場合を除いて。
 でも、男はね……。男の自立は難しいわね」
「やはり洗剤のこと、言わないほうがいい?」
「そうよ。男を怒らしちゃダメ」
 言わない方がいい、と言われても、私はお腹の虫がおさまらないので、ゴルフ練習場から帰ってきた夫に聞いてみた。
「パパ、毛糸洗い洗剤知らない?」
「あぁ、あれならお風呂場にあるよ。
 おれが自分のセーターを洗おうとしたとき、お母さんが持ってきてくれたじゃないか」
 そうでした。この前、毛糸洗い洗剤を渡したのです。
 それは、すっごくきれいになって、お風呂場の隅にありました。
 きっと夫がボトルをきれいにしてくれたのでしょう。

 ところで、ホチキスで書類を閉じたいのに、ホチキスにタマが入っていない。
 私は、昔は自分でできたのに、今はなぜかタマを入れることができない。
 夫にやってもらうしかないのだが、またまた小言が来そう。
「それ見ろ、お母さんはホチキスの玉も入れられなくて、何でもおれに頼む。
 おれが先に逝ってしまったら、お母さんなんかトイレ掃除もできなくて、生きていけないだろう?」などと言われそう。
 しかたがない、頼むとするか、と意を決して
「あのね、パパ、これが私、できなくて……」
 おそるおそる頼むと、夫は何も言わず、黙ってやってくれた。

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創刊日:2002-01-27  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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