ライフプランニング

TEN's magazine

ナチュラル志向の現代人に自然派プロデューサー天川 彩(てんかわあや)が贈るほっと一息マガジン。読者を魅了するコラムや連載、占いコーナーなどのほか本物志向の人の為の大自然体感ツアーやイベント情報なども満載。

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TEN's magazine 第401号

2009/12/26

こんにちは、天川 彩です。

今年もいよいよ残り1週間を切ってしまいましたね。
今年は皆さんにとって、どんな一年でしたか?

周囲の人たちからは、変化の年だったという声をよく聞きます。
私は変化というより、無我夢中で走り続けてきたような一年でした。
特に「日本の原点」と向き合うことが多い年でしたが、改めて見つめ
直してみると、この国の隅々には、魅力溢れる力強さがいっぱいある
ことを実感します。

世の中的には、日本国中、元気を失っているような状態ですが、私は
この国の底力を信じ、未来に希望を託していきたいと思っています。

来年は、出きることなら少し多めに時間を取って、国内外、各地の文
化や風習をゆっくり取材して、多くの皆さんにお伝えできる仕事に繋
がればいいなと思っています。

ただ、それはあくまでも自分の希望ですので、実際にはどんな出会い
や時間、そして仕事が待っているのかは、神のみぞ知る、ですね。

さて。毎週のようにお伝えしているアラスカのことですが、まずはメ
ールを送っていただきました皆様、本当にどうもありがとうございま
す。年内に、フィニッシュしてお伝えすることができませんでしたが、
ベストと思えるプランが決定しましたら、真っ先にメルマガ読者の皆
さんにお伝えしますね!

それから…
このメルマガは、本当に様々な皆様にお読みいただいているのだなぁ
と改めて嬉しくそして有りがたく思うのですが、なんとオーロラ写真
家の野村 武史さんからメールをいただき、丁寧なアドバイスを頂戴
しました。

野村さんのオーロラ写真を見ると、こんな素晴らしい風景を見たら
生涯忘れられないだろうなぁと思うものばかり。
http://picasaweb.google.co.jp/takeroad

オーロラ観測の場所選びは大事ということでしたし…TENの旅ら
しく、折角の機会なのでネイティブの世界に触れつつ…など、あれ
これ考えていると、なかなか決まりませんが、とにかく、魅力的な
ツアーにしたいと思っていますので、もう少しお待ちくださいね〜。

さてさて。毎年、売り切れになる人気の「TEN’s福袋」。
2010年も元旦からHPのTEN’sショップで発売しますよ〜!
料金は、嬉しい送料込みの3500円!今年は先着10袋限りです!

毎年、どの福袋にも共通してお入れする「福物」ですが、今回はキョ
ウコの『彩字アート(額入り)』が入ります。何と、今年は注文時に
文字を自分で選べるお楽しみつきですよ!
見ているだけで幸せな気分になってしまうような、綺麗な文字ばかり
ですよ!玄関やお部屋に飾ってくださいね。
勿論、福袋ですから、この他、それぞれに素敵なグッズが4点以上は
必ず入っていますヨ。新春一番の福を受け取ってくださいね〜。

メール返信は4日(月)になりますのでご了承下さい。

また、谷中七福神巡り&新年会『天々福々』」は2010年1月10日(日)。

なんだかめでたい10の日にTENでの初春企画。
笑う門には福来る。一緒に神様巡りをして、新たに幸せな年の始まり
を迎えましょう。

そんな、こんなで、今年のメルマガも今日で終了。

どうぞ、皆様よい年をお迎え下さいネ!

……………………………………………………………………………………
◇◇今日の目次◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇
……………………………………………………………………………………
1・コラム・風の文様============「日本の年末年始」
2・TEN占い==========今週は「タロットカード」占い
3・天々福々===恒例「谷中七福神巡り&TENの新年会」募集中
4・日本を堪能する旅=======「大人のお年玉ツアー」募集中
5・天と大地に感謝する旅===「熊野三山詣りツアー 2010」
6・連載小説==============「雨弓のとき」(最終回)
7・編集後記===================「ひとりごと」
……………………………………………………………………………………
【1】◆◇コラム 風の文様 ◆◇
……………………………………………………………………………………

□「日本の年末年始」

年の瀬になると、どうしても年内のうちに済ませておきたいことが多々
出てくる。それは一重に、新しい年を気持ちよく迎えたいという気持の
表れなのだろう。

年末になると、大抵どこの家庭でも大掃除をするが、これは日本の素晴
らしい伝統文化の一つであるといってもいい。

そもそも大掃除の始まりは、神社仏閣などの「すす払い」から来ている
もので、今でも年末になると、各地の神社仏閣でのすす払いがニュース
で流れているので、馴染みのある言葉でもある。

江戸時代になると、特に商家でのすす払いが盛んに行われ出し、その日
も12月13日と決まっていたらしい。理由は、奉公人を帰省させる前に、
というものだったらしいが、このすす払いが終わると、誰彼なく胴上げ
が行われたというので一年の締めくくりのイベントのような要素もあっ
たのかもしれない。

今、一般家庭ではすす払いとは言わず、大掃除というが、大昔から大掃
除は、単なる掃除とは異なり、一年過ごさせてもらった感謝と、新年の
年神様をお迎えするための準備も兼ねた、神聖な儀式でもあったのだ。

年神様というのは、一年間、各家々に幸せをもたらすために、舞い降り
来てくださる神様といわれている。
門松は、年神様の目印として立てられるもので、通常、28日までか、12
月30日には飾り終える。我が家でも30日には門松を立て、神棚に新たな
お札を入れ替えて、新たな神様を迎え入れる準備を整えている。

そして清まった台所で、おせち料理の準備に取り掛かる。おせち料理も、
もともとは、年神様へのおもてなし料理。
一品一品、作っている匂いで、家の隅々まで更に清められていくように
感じるから不思議だ。

おせち料理の準備が全て整った後は、いよいよ年越し行事が始まる。
我が家は東京の寺町、谷中にあるので、大晦日の年越しが終わった頃か
ら、除夜の鐘が各地で響く。

煩悩の数の百八。器がいくら清まっても、中身が汚れていてはいけない。
しかし、煩悩全てを払い除ける、仏の境地になどそうそう到達できるわ
けもなく、しかしながら、反省することはできるわけで…。
少しでも新年には煩悩の数を減らせる人間になりたいと願うわけである。

そして、元旦は、日本人共通のハレの日。

年神さまは、日の出と共に降りてこられ、門松を頼りに、そこに入り、
おせち料理や鏡餅のおもてなし料理を好んで食べられるということだ。

大晦日には除夜の鐘で、煩悩を消し去ってもらい、新年は神社で初詣。
年末年始の日本行事を書き連ねてみると、やはり日本は神仏習合の国
であることがよくわかる。

他の国の年末年始のことはよくわからないが、日本の年末年始の行事
は本当に素晴らしいものだ。

やはり、新たな年に新たな運気を呼び寄せたいと思ったなら、年末に
きちんと締めくくりをすることが大切なことではないかと、私は思う。


……………………………………………………………………………………
【2】◇◆TEN占い◆◇
……………………………………………………………………………………
所詮、天川 彩が占っているものですので、あまり深刻にとらえず、気
楽にお遊びとして楽しんでくださいね。
                          
今週は[タロットカード]で運勢を占ってみました。

2009年12月26日(土)〜12月31日(木)あなたの運勢

〈1月生まれ〉 
臨機応変に様々なことに対処できそうです。また、集中力もありそうな
ので、今年中にやろうと思っていたことができそうですよ。 

〈2月生まれ〉 
あれこれ深く考えすぎてはいませんか。自分の想像だけで不安にならず、
目の前にいる人と、きちんと話をしてみましょう。 

〈3月生まれ〉 
言いたいことをはっきり言わないため、他の人から誤解されているかも
しれません。今週は自ら主張することを心がけてね。 

〈4月生まれ〉 
あなたに今欠けていることは、積極性かもしれません。今週は人の後ろ
からついていくことより、頑張って前に出てみましょう。 

〈5月生まれ〉 
目の前のことに無頓着になっているかもしれません。今週はいつも以上
に意識をむける努力を。 

〈6月生まれ〉 
結論を急ごうと焦りすぎてはいませんか。まだ時期が早いかもしれませ
ん。今は道の途中であることを忘れないでね。 

〈7月生まれ〉 
誰かの為にしているつもりでも、実は自己満足の為、ということはあり
ませんか。今週は本当に人の為になっているかを検証しながら動いてみ
てね。 

〈8月生まれ〉 
余裕がないのに頑張ろうと無理をしてはいませんか。今週あなたに必要
なことは余裕を取り戻すことです。肩の力を抜いてみてね。 

〈9月生まれ〉 
見栄を張ってはいませんか。無理をして背伸びをしているとつらくなっ
てくることもありますよ。今週は等身大のあなたの魅力を思い出してね。
 
〈10月生まれ〉 
周囲の流れに飲み込まれて自分を見失ってはいませんか。今週は客観的
に自分を見つめ直してみて下さい。表面上の孤独は真の孤独ではありま
せんよ。 

〈11月生まれ〉 
つい人より前に出ようとしてしまうかもしれません。でも今はその時期
ではないようです。焦らず時を待ちましょう。 

〈12月生まれ〉 
今までの努力が報われる一週間となりそうです。結果をみせたなら、次
へと進めそうですよ。 


……………………………………………………………………………………
【3】◆◇天々福々 募集中開始!◆◇  
……………………………………………………………………………………
      
       ■毎年恒例のTENの福企画!■

       谷中七福神巡り&TENの新年会
    例年大好評「天々福々の集い」只今、募集中です!!


「みんなみんなよっといで〜!福を呼ぶオフィスTEN恒例の新春企画
募集開始だよ〜!!」

正月に七福神を参拝すると7つの災難が除かれ,7つの幸福を授かると
いわれています。

江戸で一番古い七福神、谷中七福神は、東京下町の今や大人気スポット
となった「谷中・根津・千駄木」を中心に練り歩く、七福神巡り。
この通称「谷根千(やねせん)エリアは、私たちオフィスTENの地元。
ですから、一般的な、七福神ルートガイドなどには載っていない、
秘密の路地裏や、下町おやつを食べながらの寄り道なども、ご案内。

七福神巡りをした後は、谷中銀座でおばんざいを皆で買い、下町の和室
で新年会に突入します!
おなじみさんも、はじめましてさんも、みんな一緒がオフィスTEN!
みんなで福を迎えた後は、ワイワイ楽しく盛り上がりましょう〜!
       
 
           『天々福々の集い』

◇日 時:1月10日(日) 集合13時00分 (新年会17:30頃〜)
◇集 合:上野駅 公園改札出口(「天々福々」の看板が目印) 
◇参加費:2000円(下町おやつ付き)
     新年会のおばんざい・ドリンクは割り勘でお願いします
◇申込み:http://www.office-ten.net/tentenfukufuku/top.htm
◇定 員:20名(先着)


子どもの頃のワクワク楽しい感覚を胸に抱きながら、一つ一つの七福神
さまに、しっかりご挨拶して、新年のご利益を授かりましょう。

*七福神の詳しい御利益は、HPをご覧ください。

http://www.office-ten.net/tentenfukufuku/top.htm


……………………………………………………………………………………
【4】◆◇日本を堪能する旅◆◇  
……………………………………………………………………………………
                     
             ●大人のお年玉●
      【 新春の富士山と極旨のお料理を楽しむ旅 】

   〜朝焼けに映る紅富士と夕暮れに輝くダイヤモンド富士〜
               そして
          割烹の宿で過ごす2日間
       
    
      2010年 1月23日(土)〜1月24日(日)

             23、800円 
             (東京・発着)
       定員12名 最低施行人員 8名

 詳細・お申し込みは http://www.office-ten.net/j/fuku2010.htm

           日本一の富士の山。
      できることなら年の初めに手を合わせ
   新しい年が良い年になるよう願掛けをしたいもの。
         それも、せっかくならば
          冬の日の朝焼けが
     雪積もる富士に染まり、紅富士が現れる時…
        富士山頂に夕日が重なり
   眩いばかりに光り輝く、ダイヤモンド富士になった時…
        行ってみたいと思いませんか?
    
        年の初めにご案内する旅は、
     そんなありがたいほどに美しい富士山を愛で
        TEN一押しの割烹の宿で
    心ゆくまで美味しい食事を味わってもらう旅です。
      勿論、富士山を真正面に見ながらの温泉も
         存分に堪能してください

    あなた自身へ幸運を運んでくれそうなお年玉の旅、
          ご一緒にいかがですか?


  <ツアー代金に含まれるもの>
  東京発着長距離交通費 宿泊代 割烹料理夕朝食代
  紅富士温泉入湯料 ツアーガイド代

  <ツアー代金に含まれないもの>
  昼食代 近距離移動バス(タクシー)代
 

……………………………………………………………………………………
【5】◇◆天と大地に感謝する旅◆◇
……………………………………………………………………………………

       天と大地に感謝する旅 Walk 30


       【新春 熊野三山詣りツアー 2010】


     2010年 2月5日(金)〜2月7日(日)
    
   (2月6日(土)は、熊野の火祭り お灯祭りです)

      2泊3日 朝夕食つき 48、800円

           (関西空港集合解散)

          募集人員 限定 15名
           最低催行人員  6名

   http://www.office-ten.net/kumano/2010/top.htm
 
世界遺産にも登録されている太古からの聖域、熊野。

熊野本宮大社、速玉大社、那智大社として、
古くから三山信仰が続けられてきたこの地に、
私たちTENも深いご縁をいただいてきました。

2010年、新春。
久しぶりに、日本人の源郷である「熊野」をじっくりと
ご案内させていただこうと思います。

特に、今回は、古代からの磐座祭祀の原始信仰を伝える社の祭りとして
千年以上に渡り続けられている、神倉社での「お灯祭り」の日を中心に、
熊野の魅力を十二分に味わっていただけるような熊野詣での行程を組み
ました。

熊野三山それぞれの歴史に触れ、ご神域にお参りしながら
日本最古の湯、湯の峯温泉でゆったり過ごし
熊野の割烹料理の宿で舌鼓を打ってください。
壮大な男の火祭り、お灯祭りに酔いしれた翌日は
熊野が生んだ世界に誇る粘菌学者、南方熊楠のミュージアムにも
ご案内いたします。

熊野が、太古からの日本人の聖地である由縁が、この旅を通して、
きっと感じていただけるのではないかと思います。

ぜひ、ご一緒いたしましょう!

……………………………………………………………………………………
【6】◆◇連載小説◆◇
……………………………………………………………………………………


<今までのあらすじ>

両親の不仲が原因で、幼い頃から自分は不幸だと思い続けてきた祥子。
しかし大学2年の秋。アルバイト先で知り合ったアパレルメーカー勤務
の良一と出会ったことで、祥子の考え方に変化が起る。
大学卒業後は、マスコミで働くことを夢見ていた祥子だったが、妊娠を
機に大学を中退し結婚する。夫・良一と娘・真由子との三人暮らしの中
で、幸せを見つけようと頑張るのだが、少しずつ日々の中で心の中に不
平不満や疑心暗鬼が渦巻き…遂に、我が子に手にかけようとしてしまう。
祥子は、そんな自分が許せなくなり自らの命を絶とうと、憧れていたア
イルランドへ渡る。目的地は、ケルトの民が今も多く残るアラン諸島の
イニシュモア島。そこでアランセーターにまつわる家族の命を思う話を
聞いた祥子は…。


『雨弓のとき』 (最終回)
                天川 彩

祥子の目から大粒の涙がぽろぽろこぼれ落ちた。

「何かよほど辛いことがあったんじゃね。人生には色々なことがあ
るから。悲しいことから逃げることも出来ないんじゃよ。そんな時
には、思い切り泣くしかない。わしらは息子を海の事故で亡くした
ことがあってな。子どもに先立たれるっていうのは、本当に辛いも
のなんじゃよ。その時は、自分たちが死ぬより辛くてな…」

お爺さんが遠い目をしながらそういうと、お婆さんの手をしっかり
と握り締めた。お婆さんは、大きく頷くだけだった。

祥子は、二人の姿を見ながら、自分が死を選んだとしたら、母は。
そして良一や真由子は、生涯どれほど大きな悲しみを背負いながら
生きていくことになるのだろうかと思った。

祥子が俯いていると、お婆さんは「でもね…」と続けた。

「でもね…。涙が全部出た後は、いつまでも悲しんでばかりいたら
いけないって、お爺さんも私も思ったのよ。息子は自分の運命を受
け入れ、神様のもとに旅立ったのに、私たちが受け入れられなけれ
ば、息子が天国で悲しんでいる気がしたの。そして、自分たちが生
きていることも全て受け入れなきゃって思ったらね。息子が天国で
凄く喜んでくれたように感じたの」

「自分が生きていることを受け入れる…ですか?」
「そう。自分に起ること、全てを受け入れるってことかしら」

祥子は、愕然とした。
思えば幼い頃から、自分に起ること全てを否定し続けてきたような
ものだと思った。

その時、「人生、悲しいことばかりじゃないんじゃよ。ほら」とお
爺さんが窓の外を指差した。

窓越しに、海岸の上に虹がかかっているのがぼんやりと見えた。

「さぁ。外に出ましょう。今ならはっきり見えるわよ」
お婆さんは、そういうと祥子の手を取って立ち上がった。
「そうじゃな。外で見よう」

三人で海岸に出ると、さっきまでの、どしゃ降りの空が嘘のように
晴れあがり、海岸上に大きな大きな虹がかかっていた。
思えば祥子は、今までほとんど虹を見た記憶がなかった。多分、雨
上がりの日には、どこかで虹がかかっていたのだろうが、空を見上
げることすら忘れていたのかもしれない。

「わしらの所じゃ、虹は天の曲線とか天の架け橋って言われておっ
て、神様がいい知らせを届ける為にかけてくれるものだと言われと
るんじゃ。それに、レインボーはレインとボー。つまり雨の弓。
雨が降った後じゃないと、天の架け橋となる弓は引かれないってこ
とかもしれんな。辛いことを乗り越えた後には、神様は喜びを贈っ
てくれるんじゃから」

祥子が深く頷くと、さっきまであった虹がすーっと青空の中に消
えていった。祥子は言葉に出来ない何かを確信した。
それは、以前、地元の根津神社でお参りしていた時に、いつも感じ
ていたものと同じだった。本当は、忘れていただけだったのかもし
れない。

「私…私、本当は色々なことが重なって、生きていく自信がなくな
って、そしてこの島にやって来たんです」
「あなたの国からじゃ、この島まで遠かったでしょ。どうしてここ
に来ようと思ったの?」
お婆さんが祥子に聞いた。

「それは。実は夫はこの島の名前がついた洋服の仕事をしていて…」
「え?イニシュモアっていうの?」
祥子は頷いた。
「それで、夫は何度か来た事もあって、何年か前、私も連れて来て
もらう予定だったんですが、事情が出来てこれなくなって。それで
死ぬ前に、一度は行ってみたいと思って」
祥子は、さすがにこの島で死のうと思ったとは言えなかった。

「でも、私…。私も自分が生きていることを受け入れていなかった
んじゃなかったのかって。私の家族を。私の運命を。私自身を肯定
していなかったんじゃなかったのかって…今、やっと気がついて」

お婆さんが不意に祥子を抱きしめ、その上からお爺さんが二人を包
み込むように抱きしめた。祥子は、二人の温もりに包まれながら、
自分の家族たちの温もりをしっかりと思い出していた。
静寂の中で、遠いさざ波が静かに耳に響いた。

「私、明日家族のもとに帰ります!」
「そうか。事情はよくわからんが、それが一番じゃ」
「まずは、家の中に入って。おうちに電話かけなさい。きっとあな
たの大切な家族が、ずっと心配しているはずよ」
「はい!ありがとうございます!」
祥子は、力強く返事をすると、自分の全てを肯定するように深呼吸
をした。

砂混じりの風の匂いがした。

                     
                        ー完ー

……………………………………………………………………………………
【7】◆◇編集後記◆◇
……………………………………………………………………………………
ようやく今年最後のメルマガで「雨弓のとき」を書き終えることが出来
た。長〜い間、飛んでしまうこともよくあったが、ようやく一つの物語
が終わってほっとしている。
「雨弓のとき」のラストシーンは第一話に繋がっていので、約3年かか
って(かかり過ぎ(笑))一周戻ってきた感じ。
今年中に書き上げようと思っていたので、なんとかギリギリ宿題が提出
できたような解放感がある。これで気持ちよくお正月を迎えられそうだ。
                       aya

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創刊日:2002-01-07  
最終発行日:  
発行周期:毎週金曜日 夜  
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