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AC通信 No.742

2019/06/15

AC通信:No.742 Andy Chang (2019/06/14)
AC論説 No.742 台湾は「分断国家」ではない

産経新聞の台北、上海支局長を務めた川崎真澄外信部編集委員兼論説
委員が、台湾と日本との関わりについて講演し、台湾と中国は「分断
国家」であり、家族や友人、恋人も約40年も断絶されていたと述べた。
https://www.sankei.com/life/news/190612/lif1906120044-n1.html。これは
間違いである。分断されたのは中国人であって台湾人ではない。

台湾と中国が一つの国だったなら現状は分断された状態だが、台湾は
中国の領土ではないし中華人民共和国が台湾を統治したこともない。
河崎氏は日清戦争で清国が台湾を日本に割譲したことで「台湾が中国
から分断された」と言うが清国は中華人民共和国とは違う国である。
日本はサンフランシスコ和平条約で台湾の主権を放棄したが、台湾を
中華民国、または中華人民共和国(中共)に「返還」したのではない。
勝手に「中国」と自称する中共が台湾の主権を主張する根拠はなく、
世界諸国も認めていない。

河崎氏は「家族や友人、恋人が40年にわたって断絶されていた」と述
べたが、彼らは蒋介石が毛沢東との内戦に敗れた際に台湾に流亡した
中国人たちであって台湾人ではない。彼らも「外省人」と名乗って台
湾人とは違うと主張している。つまり中国大陸の家族と断絶された生
活を40年も送っていたことは台湾人のことではない。しかも外省人は
台湾住民の15%だけだから彼らが台湾に流亡したからとて台湾を分
断国家と言うのは間違いである。

台湾はサンフランシスコ条約によって日本にも中国にも属しない国と
なったのである。つまり台湾の主権は台湾人にあり中国でも日本でも
アメリカでもない。河崎氏は台湾、上海に10年も赴任していた経験を
持ちながらこんな基本的問題に間違った認識を持っているのか。

中国大陸では過去三千年の間にいろいろな国が出来ては滅んだが、こ
れらの国々は歴史上まとめて中国と呼ばれていても決して一つの「万
世一系」の国ではなく、いろいろな民族が作ったもので繋がりもない。
春秋戦国時代、三国時代、五胡十六国、南北朝、南宋北遼、蒙古人の
元、満州族の清など、違った国が出来ては滅んだ歴史を持っている。
中国大陸とはいろいろな民族が争奪を繰り返した土地なのであるが、
清国の領土を中共が継承する権利はない。清朝が割譲した台湾を中共
が主権を主張することは出来ない。しかも台湾を割譲した際に西太后
が「台湾は化外(けがい)の地」つまり統治の及ばない土地だと述べ
たことも歴史に載っている。中共の主張を認めて中国と台湾は分断国
家と言うのは間違いである。

台湾の主権が中国にあると主張する人の一部は、台湾は漢民族の国で、
中国も漢民族の国だから統一すべきと言う。民族国家であるという主
張だがそれなら中国は真っ先にチベット、東トルキスタン、内蒙古、
満州から撤退すべきである。

河崎氏はなぜ急に台湾と中国は「分断国家」と言い出したのだろう。
あくまでも憶測だが河崎氏は魏鳳和中国国防相のお先棒を担いでいる
のではないか。

6月2日にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャング
リラ・ダイアローグ)で魏鳳和国防相は、アメリカは南北戦争の際に
リンカーン大統領のおかげで「分断されなかった」、中国は台湾が独立
するなら「一戦を交えることも辞さない」と述べた。シャングリラ・
ダイアログの十日後に河崎氏が台湾は分断国家と述べたことは魏鳳和
の演説と関係があるのではないか。時間的にみれば河崎氏は魏鳳和の
演説に追従して台湾は分断国家と言ったように思える。

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  • 名無しさん2019/06/15

    毎回楽しみに読んでいます。今回は台湾の立ち位置が自分の頭の中にきちんと整理できました。非常に良い解説でした。