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AC通信 No.723

2019/01/12

AC通信:No.723 Andy Chang (2019/01/12)
AC論説 No.723 台湾の将来に危険信号

正月二日、中国の習近平が台湾に向けた談話を発表して「習五条」を
強調した上で、彼の主張する「92共識」とは「一国二制度」つまり香
港方式に外ならないことを明らかにした。台湾の蔡英文総統は直ちに
習近平の発言に反撥し、台湾は絶対に92共識を受け入れない、中国が
民主化し、台湾の主権と2300万人の自由民主を受け入れることが必要
であると発表した。蔡英文が習近平の圧力に反応を示したのは就任し
て以来、初めてである。

習近平の発言のあと正月8日にアメリカ、カナダ及びオーストラリア
の学者、John Tkacik、Joseph Bosco、Gordon Chang、Jerome Cohen、Bruce 
Jacobsや、William StantonとStephen Young の元駐台湾AIT大使を含め
た台湾問題に詳しい学者44名が台湾の蔡英文総統及び台湾人民に公
開状を発表し、蔡英文総統への激励と共に、台湾人民が中国の脅威を
正しく認識し、輿論論争による政治主張の分裂を戒めた。

今まで国際学者が連名で台湾人民に警告したことは一度もなかった。
去年11月の中間選挙で惨敗した蔡英文政権に対し、中国の台湾併呑に
危機感を覚える民衆が増えたのは当然だが、国際問題の権威である学
者たちが連名で台湾政府や人民に公開状を発表したことは、諸国が台
湾の将来に危機を覚えて台湾人民に警告を発したのである。

同時に国際学者の公開状は米国その他の国々が(20年前に私が名付け
た)「台湾丸の沈没」を憂慮し、台湾問題に介入する決心をした証拠で
ある。

台湾を失えば太平洋を失う。地球の三分の一が中国に制圧される。中
国の南シナ海における覇権進出よりはるかに厳重な問題である。

●台湾の危機は台湾人民の責任

去年の中間選挙で地方政権の八割を失ったのは蔡英文の責任だけでな
く、「蔡英文に失望した」から国民党に投票した愚かな民衆の責任であ
る。蔡英文は馬英九の親中国路線を踏襲し、中国が台湾の国際的地位
を圧縮し続け、外交と内政ですべて無策無為だった。これに対し民衆
が統一を主張する国民党に投票した。責任は蔡英文と民衆の両方にあ
るが、台湾に多数いる台湾独立派も民衆を動かすことが出来なかった。

蔡英文の現状維持と呼ぶ無為無策に失望した民衆が中国の台湾統一の
脅威を軽視して国民党に投票したのは人民の危機感の欠如と国際政治
に無知である証拠、八割の政治地盤を失った民進黨の責任である。こ
の選挙の結果は人民が蔡英文に徹底失望した証拠である。

●「四大元老」の蔡英文公開状

正月年頭に台湾の元老と呼ばれる李遠哲、高俊明、彭明敏、呉澧培の
四名が新聞に蔡英文に対する公開状を発表し、(1)蔡英文は来年の選
挙で総統再選を考慮せず、(2)政治の第一線から第二線に退き、(3)
行政院長に政治を任せることなどを要求した。

この四名のうち二名は蔡英文の総統府顧問である。総統の顧問が蔡英
文に対し政治から引退し再選を考えるなという厳しい勧告をしたので
ある。現職の総統に政治から引退せよと勧告するのは前代未聞だが、
この公開状は民衆から歓迎されたと同時に蔡英文の支持者や民進黨幹
部は彼らを「老いぼれは黙れ」と批判した。

蔡英文個人も「再選に出馬するかどうかは個人問題だ」と反発した。
但しこのことからわかるように、蔡英文が再選に出ても落選するのは
殆ど確実である。蔡英文が勧告を拒絶したことも彼女には顧問の勧告
を受け入れず反省の気配がないことで人民はさらに失望した。民衆は
蔡英文再選を歓迎せず国民党候補に投票するだろう。国民党が再び政
権を取ったら中国の台湾併呑は実現する。まさに台湾丸の沈没である。

台湾には民進黨と国民党の二大政党の外に第三政党の時代力量党もあ
る。しかし時代力量党は泡沫政党に近く人材が少ないし民衆の支持も
ない。台湾独立は人民の精神的支持だけで投票に立候補する主張も明
確でなく、独立理論が分裂しリーダーがいない。外国の学者が指摘し
たように今の台湾は運命の岐路に立っているのに、人民は中国の威嚇
を恐れても対応策がないし覚醒と覚悟が見られない。

●台湾の将来は人民の覚醒にかかっている

外国の学者が発表したように台湾の将来は危険信号で出ている。台湾
は独立しなければ何時までも中国の脅威に怯えるだけである。しかし
台湾独立はかなり困難で、諸外国の支持と台湾人民の一致団結と努力
が必要だ。米国は「レーガンの六か条保証」があるので台湾独立を支
持する表明をだせないが、中国の台湾併呑は世界諸国の危機だから米
国は絶対に台湾を放棄することはない。それではどうなるかと言うと
米国は台湾が中国の一部であることを拒否しても独立を援助して中国
と戦争になることは避けたい。米国は中国の覇権進出を抑えて台湾を
保護する曖昧政策だけだ。

今回外国学者が発表した公開状は米国やカナダが台湾問題に介入し、
台湾の国際的地位の発展を支持することだと思われる。それは来年の
総統選挙の候補者を育てること、民間人の国際政治意識を推進し、国
民党を打倒することなどだ。米国はもはや蔡英文に期待していないが
民衆の覚醒と団結に期待している。

トランプの対中国政策は中国が敵であると明確にし、諸国と連合して
中国を孤立させ中国の軍事、外交、経済の発展をストップさせること
である。米国は中国の武力行使に反対し、台湾の国際的地位を高めて
台湾が国際的に独立国である政策を推進するだろう。台湾の将来は既
に危険区域に入っている。人民の覚醒と団結が必要である。

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