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AC通信 No.719

2018/12/03

AC通信:No.719 Andy Chang (2018/12/02)
AC論説 No.719 台湾の民主主義とは何か

エドワード・ルトワックは民主化とは権力の分散であると言った。だ
が台湾は特別状況である。民進黨政権が台湾の敵である中国の手先機
関である国民党を温存した結果が今回の選挙の惨敗の原因である。

国民党は台湾の政党ではなく中国の台湾併呑の手先である。国民党を
残して現政権が現状維持を固持して政治が停頓したまま選挙に臨み、
民衆がダメな民進黨を捨てて国民党の復活に投票した結果、台湾併呑
の危機を迎えたのである。

民主主義、デモクラシーほど曖昧なものはない。人民に権力や言論自
由を与えても人民が民主を理性的に活用しなければ混乱を増すだけで
ある。民主とは何かを考えれば考えるほど定義ができない。投票の自
由は民衆主義の一環だが独裁国でも形式的な投票が出来るし、台湾人
民には投票権があっても今回の投票で四千件もの買票事件が発生し、
人民は民進黨政権に失望したから国民党に投票した結果、台湾滅亡の
危機を招いたのだ。国民党が台湾を滅亡させるという認識がないから
敵である国民党に投票する。台湾民主が未熟である証拠である。

アメリカの国会議員が台湾を訪問するとタイワン・デモクラシーを謳
歌して台湾人を喜ばす。これはお世辞だけでアメリカが台湾を守るの
とは違う。台湾人は台湾が民主国家で中国は独裁国だから統一は出来
ないという。ではもし中国が民主化すれば台湾は統一されるか。「台湾
は民主国家」と言うだけでは危険である。

最大の危険は人民も政治家も国民党が敵だとわかっていないことだ。
台湾と中国は人種、歴史的に古い関係があり、商売関係もあるし、外
省人と言う台湾に同化するのを拒んで中国を祖国とする人が15%も
いる。台湾は民主国家であると言えば外省人の自由言論も保証しなけ
ればならないという。敵に民主を与えてはならない。事情が複雑だか
ら統一意識が根強く、独立意識がなかなか普及しない、そして多くの
人民はどっちでもいい、戦争にならなければいいと思っている。

●台湾の国情分析

台湾の国情を政党政治、政治家の素質、人民の政治意識の三つの方面
から見てみよう。政治、政治家、人民である。

台湾は70年も国民党独裁だった。二年前に台湾人総統が台湾総統とな
り、民進黨が国会過半数を制して「完全執政」と凱歌を上げた。とこ
ろが蔡英文総統は現状維持を主張して政治は停頓し、中国の外交は活
発で台湾と国交のあった国が23国から18国まで減少したのに蔡英文
は「台湾は民主国家である」と言うのみである。中国の軍用機が台湾
沿岸を回って示威飛行し、漁船が境界線を犯しても政府は何もせず、
あまつさえ国民党の政治家を閣僚に起用するなど、完全執政とは程遠
い状態を二年も続けてきた。国民が最も期待していた司法正義と国民
党の違法財産処理も有耶無耶で進まない。国民党を温存したため改革
が進まない。蔡英文の現状維持は独立反対なのだ。

民進黨の完全執政なのに国会、司法部、軍部など改革が進まず、政治
家は自己の栄達と党派闘争に明け暮れ、民進黨議員の8割は中国に投
資している、賄賂政治は相変わらず、こんな政権で政治が停頓し正義
が通るはずがない。

政府が軍備革新計画を立てても軍備購買で汚職が数件起きただけだっ
た。軍の訓練をなおざりにして士気は低迷し、国防意識は存在せず、
新式装備を買っても兵士の訓練を怠っているのが現状である。軍の上
級幹部が外省人で中国に機密を携えて亡命する事件も起きるし、海軍
は今でも中国の青幇が上層部全体を占めている。機密漏洩など日常茶
飯事だし、機密をもって中国に逃亡する事件が絶えない。台湾の軍隊
は台湾軍ではなく中国人の軍隊である。

台湾人の政治意識は長年の国民党の中国教育から抜け出していない。
これは蔡英文政権の怠慢である。外省人及び最近入国した百万人の中
国人は国内に巣食っている「第五列」である。台湾人の中国投資(民
進黨の政治家を含む)が一般だから危機意識がない。

民進黨に失望したから二年だけで国民党に政権を渡すような台湾人は
亡国の危機意識が希薄である。アメリカが守ってくれるから中国の侵
略はないと思って現状に甘んじ、国防は政府と米国に任せ、独立運動
に無関心な人が大多数である。つまり人民と政治の乖離が明らかで、
人民は政府に頼り政府に不満だが政治家になったら自己の栄達と選挙
しか考えない。

●海外台湾人の努力と援助

国外に住む台湾人が台湾に帰って政治活動をすべきという人もいる。
これまでたくさんの海外台湾人が台湾に戻って政治に参加したが在台
政治家は海外から戻った人物が彼らの勢力と利権を犯すのを恐れて海
外人士の参加を歓迎しない。

台湾は既に民主国家であるとする李登輝、蔡英文など中華民国体制を
維持する体制内派と、中華民国を認めない体制外派、革命ではなく国
民投票で現政権を台湾国とする運動、台湾名義で国連加盟など、いろ
いろな主張があるが、台湾人民の賛同は少ないのが現状である。

●どうすべきか今後の台湾

中間選挙の結果8割の地方政治は国民党の手中に陥り台湾の民主化は
大きく後退し中国の併呑脅威が増した。これから二年間の間は中国と
地方政権の有形無形の侵略が進み、統一の危機が進むと同時に独立運
動を抑止する地方政権とそれを放置する中央政権が台湾人の独立願望
を妨げるようになるかもしれない。

海外台湾人に頼らず国民全体が亡国の危機を実感し対策を講じなけれ
ばならない。海外からの応援、アメリカの保護や援助に期待してはな
らない。中国の台湾併呑は台湾が第二の香港になるのではなく、台湾
は第二の新疆(東トルキスタン)のように百万人が逮捕され教育と称
する監獄入りとなる。

中国の台湾併呑は軍事攻撃だけではない。中国の経済発展は既に台湾
の経済を破綻させる能力を持っているし、すでに発動したかも知れな
い。商業と農業においても台湾を凌いでいる。台湾は全面的に中国依
存経済をストップし、アジア諸国との合作を発展すべきである。

国民党の地方政権と中国が合作して経済侵略を推進し、気が付いた時
には中国の一部となってしまう恐れがある。台湾人の危機意識、国民
党の政治介入を阻止する国民教育が現政権の急務である。

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