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AC通信 No.694

2018/05/27

AC通信:No694 Andy Chang (2018/5/26)
AC論説 No.694 スパイゲート

トランプのロシア疑惑のことをロシアゲートと呼ぶ。マラー検察官の調査が一
年過ぎても証拠が挙がらず、逆にFBI の高級幹部がヒラリーの選挙を助けて
いたことがわかり、これをヒラリーゲートと呼ぶようになった。三週間ほど前に
FBIがトランプ陣営にスパイを潜入させていたことがわかったのでこれをスパ
イゲートと呼ぶ。ヒラリーゲートはホロウイッツ監察官の報告(AC通信No.692)
が公開されれば調査が始まると思われるが、スパイゲートは別件調査になる
可能性もある。

FBIやCIAは調査機関だからスパイを使うことは日常茶飯事だが、アメリカ国
民の調査にスパイを使うなら裁判官の許可が必要である。例えばトランプの
ロシア癒着を調査した時はFBIが理由書を法廷に提出してFISAの許可を取
得した。

法廷の許可なしでトランプ陣営にモグラ(Mole、スパイのこと)を入れたら大事
だ。ヒラリーゲートはFBIと司法部(DOJ)がヒラリーの選挙応援をしたことで、
すでに重大事件だがトランプ陣営にスパイを入れたことが事実なら一段と厳
重さを増す。メディアは何度も報道していたし、スパイの名もわかっていたそ
うだがFBI/DOJが認めないからトランプもスパイの名を言わなかった。先日の
米韓首脳の記者会見でスパイの存在について質問されたとき、トランプはス
パイが居ることを認めて批判したがスパイの名は言わなかった。しかし新聞
社は争ってスパイの名前を発表した

ウオーターゲート事件はニクソンの選挙部員が民主党選挙本部に侵入して
捕まり、ニクソンが真相を隠蔽(Cover-up)した事件だが、今回はFBI/DOJの
幹部が国家の調査機関を使って選挙に介入した事件だ。FBIがトランプ陣
営にスパイを潜入させたことはアメリカ有史以来の大事件だ。

●トランプがDOJに通告

21日月曜日、トランプ大統領は司法部(DOJ)に書面で、「FBI/DOJがトラン
プ陣営にスパイを潜入させたのは(トランプを貶める)政治目的か。この命令
はオバマ政府によってなされたのか」の調査を要求した。

司法部はトランプの要求に対し、本件の調査はホロウイッツ監察官がいま行
っている調査に加えると返答した。報道によるとトランプはこの後すぐにロー
ゼンシュタイン副部長とクリス・レイ(Christopher Wray)FBI長官をホワイトハウス
に召喚し、この問題について討論したと言う。

これが報道されたあと、コーメィ元FBI長官、John Brenan元CIA長官、James 
Clapper元DNI長官などがテレビに出演し、あるいは記者の質問に答えてス
パイの存在を否定、またはスパイの目的を正当化する発言をした。

この報道のあと、AxiosとDaily Callerがスパイの名前をStefan Halperと発表し、
続けてWall Street Journal、Washington Postなどの新聞社がスパイの名前を公
表した。ただし一説では複数のスパイが存在するとも言う。

●スパイではない、工作員だ

Stefan Halper 氏はイギリスの大学教授でアメリカの政治にかなりの関わりがあ
るという。報道によるとHalper 氏はトランプ陣営のロシアに関係のある数人の
人物と接触したとも報道されている。しかしこれだけではスパイ説は証拠が
薄弱である。興味があるのはオバマ時代のFBI、CIA、DNIなどの元長官たち
が口をそろえてスパイ説を否定したことである。

コーメイ元長官は「FBIのスパイは厳密なコントロールによって任命される」と
述べたが、Halper氏がスパイとは言わなかった。トランプ陣営にスパイがいた
のはほぼ確かだが、もしもコーメイ元長官が言うように「厳密のコントロールが
ある」のならスパイの任命について法廷の認可や長官の命令書が存在する
はずだ。正式な書類がなければ問題はもっとこじれる。

またコーメイ元長官は「スパイではない、秘密な人脈(Confidential Human 
Source)」だと述べた。つまりスパイではなく秘密工作員だ。スパイと呼んだ
ら犯罪気味だが工作員と呼べば正当な感じを与える。結局、スパイは居
たのだと思われるが調査しなければ真相はわからない。

CIAのブレナン元長官は、「スパイの名を公開するのは調査機関の人員や
家族の安全に関わることだから公開するべきではない」と述べた。似たような
もので、ホールダー元司法部長も「スパイの名前を公開するのは厳重な規
範(Norm)違反となる」と警告した。二人ともスパイの名を発表するのはスパイ
機関が絶対にやるべきことではないというのである。

問題は国家のスパイ機関FBIが憲法に違反してスパイを潜入させ、アメリカ
国民であるトランプ大統領候補のスパイ行為をしたのである。この詳細を公
開しなかったら犯罪調査はできない。

スパイを潜入させたことはほぼ確実だし、メディアはすでに名前も報道してい
る。それでもFBIやCIA、NDIなどが揃って公開を拒否するのはなぜかという
と、スパイ疑惑の調査が進むと政府の公的調査機関がそろってヒラリーを援
助していたことがわかる。つまり、ヒラリーゲートはアメリカの情報機関の存亡
に関わる大事件で、これほど大掛かりなヒラリー応援が出来たことはオバマ
が総指揮を執っていたからこそ可能だったのだ。

ヒラリーゲートは三つの事件である。第一にヒラリーの数ある犯罪を庇って彼
女を選挙に参加させたこと。第二にヒラリーが当選するように政府機関が介
入し、トランプのあら捜しをしたこと。第三はヒラリーが落選した後も第一、第
二の犯罪を隠すため総動員でトランプ罷免運動を続けていることである。ホ
ロウイッツ監察官の調査報告が公開されたあと司法部が正式に特別検察官
を任命して調査が始まると言われている。

●James Clapper氏の弁解

クラッパー元NDI長官は、MSNBCのテレビに出演してスパイの存在を聞か
れ、「スパイではない。彼がスパイした、スパイとは嫌な言い方だが、(彼は)ト
ランプ陣営の内部にロシア関連があるかを調査していたのである」と答えた。
つまり(工作員)は居たが国防調査だからトランプのあら捜しでない、スパイ
ではないというのだ。これは嘘である。

もしもトランプ陣営にロシアのスパイ、またはロシア関連の疑惑があったのな
らFBIは直ちにこれをトランプに通知、警告すべきだった。これが国家の調
査機関FBIの責務であるのにFBIはそれをしなかった。

ヒラリーが違法な個人サーバーを使用していたことが発覚した時、FBIはすぐ
ヒラリーにロシアのハッカーがサーバに侵入していたと警告した。ところがトラ
ンプ陣営のロシア関連では通知せずにスパイを送り込んだ。二人の候補者
に対する待遇がこんなに違うのは明らかにスパイの目的がトランプのあら捜
しだったのだ。

オバマ時代の官僚が躍起になってスパイゲートの調査を止めようとしている
理由は明らかに事件の追求がオバマに及ぶことを恐れているからである。

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