政治・経済

AC通信

国際ニュース解説と評論記事

全て表示する >

AC通信 No.688

2018/04/15

AC通信:No.688 Andy Chang (2018/4/12)
AC論説 No.688 腱鞘炎と中国の推拿術

早いものでシンガポールに来てから一週間たった。到着して時差の関係も
あり、何日かはあっという間に過ぎてしまった。旅行中なので別に書くこともな
いが今回は中国の漢方医療術の一つである推拿の経験を書いてみる。

左手の拳を握って四本の指を曲げると中指が曲がったまま真直ぐに伸びな
くなったのは去年の夏だった。曲がった指を真直ぐに伸ばすとクリックとか、
ポキンと言う音を立てる。初めのうちは散歩しながら指を曲げたり伸ばしたり
の屈伸運動を繰り返していたがよくならない。秋になって医者に見せたら、こ
れは英語でTrigger fingerと言う病気で、よくある病気だと言って外科医に回し
てくれた。トリッガーとは指が鉄砲の引き金のようにクリックしたまま固定し、引
き金を引けばポキンと元に戻るのである。

外科医はこれはよくある病気だと言って、掌の真ん中にコーチゾン注射をし
てくれた。それで暫くのあいだは少し良くなったけれど、また少しづつ悪化し
てきたので、もう一度コーチゾンを注射してもらおうと思ったら、コーチゾンは
何回も注射できないからもっと悪くなるようなら手術するべきだと言う。手術は
したくないのでもっと悪化するまで状況を見ることにした。

クリスマスの頃に鍼灸と手の平の按摩をしてもらったら少し良くなったので、
時々自分で按摩を続けていた。手の平の真ん中の中指の付け根のあたりが
オリーブぐらいの大きさの塊がある。指も「くの字」に曲がったままで真直ぐに
ならなくなった。でも按摩を続けているとクリックの回数が減ってきたので、こ
のままでもよいかと思うようになった。

今回の旅行では重いトランクを持ち運びしていたせいか、指が頻繁にクリッ
クするようになり、曲がった指を戻す時はかなりの痛みを感じるようになった。
娘がこれをみて推拿術の予約を取ってくれた。私はこの病気は一生ついて
回るものと諦めていたのであまり気乗りがしなかったが、せっかく予約をとっ
たので行ってみることした。ところが自分でもビックリするほど症状を軽減する
ことが出来たのである。

私はグーグルでTrigger fingerについて何度も調べたので病気の原因や外科
手術の詳細もわかっている。腱鞘炎とは指の屈伸を曲げたり伸ばしたりする
腱がチューブのような鞘に入っていて、鞘の中は腱の動きをスムースにする
潤滑剤がある。年を取ると潤滑剤がだんだん堅くなって動きを妨害するよう
になるのである。外科手術は掌の指の付け根付近を切開して鞘を切り開く
手術である。切開すると内部の固くなった潤滑剤がなくなり、腱の動きが妨
害されなくなる、しかし潤滑剤の効用もなくなるわけだ。

推拿師はこれは腱鞘炎と呼ぶ病気で、彼はもともと中国で外科医だったけ
れど、中国医術に興味を持つようになり、特に推拿術を勉強し、今ではシン
ガポールで推拿師を開業していると言う。そして前に書いたような腱鞘炎の
原因を説明しながら腕から指まで強い力で按摩を続けていた。殊に掌の真
ん中にある堅くなったオリーブのような塊を揉みながら、この塊は推拿で押し
たり揉んだりすれば柔らかくなって指の動きも回復すると言う。西洋医術では
外科医が鞘を切開して中身を取り除くが、推拿術では按摩で鞘の中身を押
し出す、これが西洋医術と東洋医術の違いだと説明してくれた。

推拿の按摩は腕の中頃から始まって、腕骨を振るようにするとグルグル音が
する。グルと言う音は指のが動きが妨害されている証拠だと言う。そのあとで
掌の中央のオリーブの塊、くの字に曲がった指を真直ぐに伸ばす按摩をす
る。かなり痛いので痛い痛いと言いながら30分ほど治療を受けた。

治療を受けて半時間ほど経って掌を触ってみたら、オリーブぐらいの塊がピ
ーナッツぐらいに小さくなっていたのですっかり驚いた。私は推拿の効果に
あんまり期待していなかったのだが、この結果を体験して本当に効き目があ
ることがわかった。もちろん一回の治療で腱鞘炎が完治するはずはないが、
かなり効き目はあることがわかった。

数日おいて二度目の施術をくけたあと、ピーナッツサイズの塊はそのままだ
が指のクリック回数が少なくなった。今後はアメリカにもどって自分で推拿師
の指示通り自分で按摩を続ける。本当に完全に治るかどうかはまだわからな
いが、外科手術をしないでよかったと思う次第である。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
AC通信バックナンバーはhttp://www.melma.com/backnumber_53999
メルマの左側上部の「登録する」欄をクリックして登録すれば以後は
自動的に配信されます。
ご意見はbunsho2@gmail.comまで
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-12-18  
最終発行日:  
発行周期:月刊、不定期  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • 名無しさん2018/04/15

    ご不自由な腱鞘炎が、推拿の実践で一日も早くかいふく軽減されることをお祈りいたします。記事とは無関係ですが、昭和20年、青年たちの運命と日台の永遠の別離を予感する歌をご紹介いたします。https://www.youtube.com/watch?v=23M_VGbzBcE(しづもり深き 台北帝国大学予科の送別歌を歌う緑咲香澄)