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AC通信 No.684

2018/03/15

AC通信:No.684 Andy Chang (2018/3/14)
AC論説 No.684 教育改革は焦眉の急

教育改革の重要性が各国で討論されている。21世紀の大きな問題は若者
の教養が明らかに低下していることだ。生活水準が向上し、食べ物も服装も
よくなり、車も普及したが若者の教養が向上したとは思えない。教養とは知
識の蓄積と、その知識を使ってものごとを考える力である。

スマホでメールやゲームや音楽を聴くことは出来ても遊んでばかりいると人
間関係が希薄となり、社会的判断力が低下するる。最近では教養のない若
者が何か不満があるとすぐに集まって街頭でデモをやるようになった。だが
街頭デモで気勢を上げても政治行動としては非効率なものである。デモ集
会で国家が良くなるはずがない。

アメリカでは「読み書きそろばん」が出来ない大学卒も居るそうだ。台湾で最
近話題になったのは、大学入試の英語で100点満点をとった学生が17人居
たが、0点を取った学生がなんと14,500人も居たと言う。大学入試を受けた高
校卒業生の英語がこれほど貧弱とはオドロキだ。彼らは英語だけ出来ない
のではなく、他の科目もダメだと思う。

高校卒の品質低下は国民の品質低下につながる。頭のよい17人が憲法改
正を提唱しても、一万人以上の知識の低い人間が憲法を改正したら戦争に
なると言えば憲法改正は出来っこない。国民全体の知識水準を高める教育
改正は焦眉の急である。

●社会文化の低下

昔は電車や汽車に中で本を読む人が多かったが、最近では90%がスマホで
メールやゲームをやっている。メールやゲームで遊んでも知識を増やすこと
は出来ない。若者が本を読まないから出版社や書店の閉鎖が増えている。
本を読まないと知識を得ることが出来ない。教養のない人間が増えると社会
文化が低下する。科学の進歩が「一億総白痴」を生むとは皮肉なことだ。

物資が豊富になったから、生活に困らない程度の読み書きさえできれば個
人の生活に困ることはない。しかし個人の需要は社会に共通の知識道徳と
は違う。若者の教養が低下すれば社会文化の崩壊が起きる。

スマホが便利になって何でもスマホで検索すれば答えが出て来る。しかし検
索した知識は個人の知識にはならず、人の思索に役立たない。昔の言葉で
言えば軽薄な人間が増えるだけだ。

●文明とは国民全体の教養程度である

物資が豊富になって生活が楽になったけれど、人間として思考を満足させ
る生活、つまり社会に共通する宗教、道徳、学問、芸術など精神面の生活
が豊かになったとは言えない。だから教育改革、物事を考える力を豊富に
する教育が大切なのだ。

考える力を増すには本を読むことが第一である。スマホの普及で人が本を
読まなくなったら思考力が衰える。思考力とは知識を蓄積し、その知識を使
って日常生活で直面する事物を判断する能力である。

教養とは自分の知識を使って「なぜ(Why)」と考え、「どうして(How)」と理論
づける能力だ。それが満足にできるようにするのが知識の蓄積、つまり教育
である。本を読むことと実地に体験をすること、これが教育の本分である。読
書とは本に書いてある「他人の知識と経験」から学ぶこと、体験とは自分で
「なぜ、どうして、どうしたらよいか」を学ぶことだ。

●学費免除とゆとり教育は間違いだ

大学まで学費無料を主張する政治家も居るが、学費無料とゆとり教育は教
育の失敗のもとである。この半世紀のあいだに世界諸国では高校卒業まで
学費無料にした結果、学生の教育程度が下落した。大学も学費無料にした
らそれこそ税金の無駄遣いの上に大学の程度が低下する。

ゆとり教育が提唱されて以来、アメリカ、日本、台湾などで学生の質が下落し
た結果が出ている。大学でも学費無料にすれば大学卒業生の品質がさらに
低下するだけである。ゆとりとは甘やかすことにほかならない。ゆとり教育で
若者は勉強せず学習する気も無くなったと言える。

学費無料化より、高校生の学費を成績で決めるのが学習意欲を増進させる
道である。つまり成績に比例して学費を払う制度である。成績をABCDとF
で評価し、不合格Fなら次の学期は学費の100%を払う、Dの辛うじて合格な
ら50%払うとすべきである。落第(留年)なら全額自己負担にすればみんな真
面目に勉強するはずだ。

奨学金制度を導入すれば学生は勉強する。ゆとり教育で学費無料にすれ
ばたとえ勉強してもしなくても卒業するから真面目に勉強しない。私がアメリ
カに留学したときはまだ奨学金制度があったので、われわれ留学生は必死
に勉強して奨学金を貰ったものだ。この経験からして学費無料化は学生の
素質を低下させる最大の原因と断言できる。

●英語を普及させる

台湾で問題になった英語の学力低下である人が以下のような提言をした。
台湾人は日常生活にいろいろな日本語の単語を使っている。例えば「セビ
ロ」とか「ビール」、「ダンス」、「オートバイ」などである。だから彼はそれなら日
常会話に英単語を取り入れれば英語がうまくなるだろうと言う。

私はこの提言に反対である。日本語の単語が出来ても日本語ができるのと
は違う。それぞれの言語にはそれぞれの文法があって、文法が出来なけれ
ば出来ることにならない。例えば台湾人が日本に旅行して「運ちゃん」とか
「おじさん」などと言ったとしても日本語ができたのではなく、むしろ無知、無
教養をさらけ出しただけだ。言語の習得には「読む、書く、話す、聞く」を習う
必要があり、単語だけではダメだ。

勉学に近道はない、教育に近道はない。国民の教養水準を高めるには国
民教育の改革が焦眉の急である。

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