政治・経済

AC通信

国際ニュース解説と評論記事

全て表示する >

AC通信 No.661

2017/09/30

AC通信:No.661 Andy Chang (2017/09/29)
AC論説 No.661 「非国民」になる自由

「非国民」。懐かしい言葉だ。私がまだ小学生だった戦争中は非国民と言え
ば何でもまかり通った。非国民と言われたら誰も反対できなかった。今のアメ
リカでは「ファシスト(極右翼)」、「レイシスト(人種差別)」と言えば子供も黙る
ようだ。左翼は善で右翼は悪と言う構図がある。言論の自由、デモンストレー
ションの自由がある。国歌斉唱に反対する自由もある。

アメリカではいろんなデモが毎日起きている。人種差別に抗議するデモ、何
でもトランプに反対するデモ、違法移民の取り締まりに反対するデモ。国境
の塀を作ることに反対するデモ。警察の暴力に反対デモ。裁判の結果に反
対するデモ。ブラックライフマターと言うデモ。リー将軍の銅像の撤去要求デ
モと反対デモ。言論の自由に反対するデモ。他人のデモに反対するデモ。

サンフランシスコのカリフォルニア大学で、ある保守に近いグループが言論
の自由集会を開催すると発表したら、彼らをファシストと極めつけて大規模な
反対デモが起きた。これは自らアンチファ(Antifa)と呼ぶグループで、このため
言論自由集会は中止になった。左翼リベラルは言論自由だけれど保守の
言論自由には反対である。

●国歌斉唱に反対する自由

フットボールの試合前に国歌斉唱がある。国歌斉唱の時は選手も観衆もみ
んな起立して胸に手を当てて国に忠誠を誓う態度を示す。しかし国歌斉唱
に起立せず跪いて抗議を表明する黒人選手が何人かいる。彼らは人種差
別と警察の暴力に対する抗議だと言う。しかし国歌斉唱に起立するのは国
に対する敬意の表現で人種差別とは関係がない。選手には人種差別に抗
議する自由があるけれど国歌に抗議するのはお門違いである。

トランプ大統領は9月22日、フットボール開催前の国歌斉唱に起立しないで
跪いて抗議するのは国歌、国に対する不敬である。こんな野郎(SOB)は辞
めさせるべきだと述べた。すると翌日土曜日の各地の試合で国歌斉唱に跪
いて抗議する選手が余計に出てきた。またあるチームのコーチは、選手の
反応が不一致になることを心配して、国歌斉唱の際はロッカールームで待
機して運動場に出ないように指示した。また報道によると20以上のチームの
オーナーがトランプの発言に反対意見を発表した。民主党の国会議員もトラ
ンプの発言が選手の自由を妨害するとして反対を表明した。

そのことがあったので翌日の日曜日にトランプは再び、国歌斉唱は国に対
する敬意の表現であって、個人の自由表現や人種差別、または民主党と共
和党の違いではない。言論の自由と国に対する敬意とは別だと発表した。
日曜日の試合前の国歌斉唱では観衆がみんな起立した。つまり国民はトラ
ンプの意見に賛成で、黒人選手が国歌斉唱に跪いて抗議することに不快
感を示したのである。

●スポーツを悪用した左翼

Robert Kraftと言うニューイングランド・パトリオットのチームオーナーはトランプ
の発言がスポーツの自由に干与したと非難した。彼は各種スポーツの開催
は国民の団結を呼ぶものである。スポーツイベントは国民が喜んで見るもの
であるから政治が関与するのは良くない。スポーツと政治と関係はないからト
ランプが干渉するのは良くないと述べた。

だがKraft氏の非難は明らかに間違いである。スポーツイベントに黒人選手
が人種差別や警察の暴行を理由に挙げて抗議した。スポーツと人種差別
や警察の暴力に何の関係もない。つまり黒人選手がスポーツに政治問題を
持ち込んだのである。

観衆は試合を見るために来たのであって選手の抗議を見るために来たので
はない。しかも抗議の理由もハッキリしない。トランプ発言に賛成したから観
衆が国歌斉唱で全員起立したのである。黒人選手の抗議はマイナスの効果
しかなかった。抗議をみた観衆が同情したかと問えば明らかにノーである。

●自由の乱用が国を亡ぼす

国歌斉唱で起立して胸に手を当てる行為は国を愛すること、忠誠を示すこと
である。国に忠誠を示さないで国歌に抗議するのは非国民である。民主国
家だから言論の自由、表現の自由は保障されている。トランプに反対する自
由もあるし、他人の意見に反対する自由も保証されている。だが国に忠誠を
尽くさない非国民になる自由も民主主義で保障されているのだろうか。

今のアメリカは自由がどんどん暴力化して国は制御を失ってしまった。毎日
のようにいろいろ違った理由の抗議が起き、大勢で抗議すれば人民(暴民)
の要求が通るようになった、或は通ると思う愚民が増えた。

二大政党政治は政党闘争となり、二極化したアメリカは外敵よりも内部の敵
が国を亡ぼすだろう。国民は独裁は断固反対だが、制御を失った民主も反
対だ。だが二極化した民主国家で自由を制御するリーダーに反対する民衆
を防ぐことが出来るだろうか。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
AC通信バックナンバーはメルマ:http://www.melma.com/backnumber_53999 
メルマの左側上部の「登録する」欄をクリックして登録すれば以後は
自動的に配信されます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-12-18  
最終発行日:  
発行周期:月刊、不定期  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。