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AC通信 No.655

2017/08/18

AC通信:No.655 Andy Chang (2017/08/17)
AC論説 No.655 蔡政権の現状萎縮

私が東南アジア平和連盟(PASEA)を提唱した(AC通信No.357)のは2011
年7月だった。それから一年後に安倍首相がダイアモンド構想(Asia’s 
Democratic Security Diamond)を発表したので心強く思ったものだが、これと言
った発展はない。

平和構想もダイアモンド構想も日本が主体となるべきだが、私の提案は台湾
が主体となって南アジア諸国と外交を展開すべきだとしていた。当時の台湾
は馬英九政権で中国一辺倒だったから、民間の台湾人が主体となることを
期待したが何も起こらなかった。去年の選挙で蔡英文が総統に当選し、国
会も民進黨が過半数を占めて完全執政と言われた。蔡英文は南進政策を
提唱したが、この一年半は現状維持どころか外交、内政みんな停頓したまま
だ。現状維持ではなく現状萎縮である。

蔡英文は中国の要求する「92共識」を無視して現状維持を続けているが、
中国の爆撃機の編隊や空母群が台湾の周囲を航行するようになったのに
台湾側は抗議せず沈黙している。現状維持ではなく萎縮が顕著になっただ
けである。

●アメリカの曖昧政策は間違い

アメリカは台湾がアジアの平和に最も重要であることを理解している。しかし
アメリカの歴代大統領は誰一人として台湾の領土問題を解決せず、曖昧な
態度を取り続けてきた。台湾は中国の領土ではないからアメリカが台湾国を
承認すれば解決する問題を糊塗し続けてきた。中国の恫喝に反対する態
度を取れないからである。

一部の台湾人はアメリカが台湾の主権問題に決定権があるように思ってい
るがそうではない。台湾は米国の領土でも中国の領土でもない。台湾の現
政権が「中華民国」を維持すれば二つの中国となり、アメリカは曖昧にならざ
るを得ない。

米国の国会が通した台湾関係法は中華民国を認めないが「台湾の現政権」
と関係を維持するだけの曖昧さを守ってきた。現政権は中華民国で、これは
台湾政府が主張する名称である。アメリカは台湾独立を支持しない、とレー
ガン6か条に書いてある。中国は台湾が独立すれば攻撃すると威嚇してい
るが台湾の主権に干渉する権利はない。

このジレンマを解決するにはアメリカが台湾の現政権を台湾と呼べばよい。
しかしアメリカにとっては台湾が中華民国ではなくて台湾であると声明しなけ
れば台湾と呼べない。蔡英文は委縮している時ではないのだ。民間には公
民投票法案を通してから国民投票で正名運動を始める計画がある。

●国民党こそ諸悪の根源

二大政党は民主政治の理想的形態だと言うが台湾では通用しない。台湾
には民進黨と國民黨の二大政党があり、国民党は中国との統一を主張して
いるにも拘らず、民進黨は独立を主張しない。これこそ民進黨政権が萎縮し
ている原因である。出来ないのではない、やらないのだ。

民進黨政権は発足してから転型正義を唱え、司法改革、年金改革、国民党
の違法取得財産調査など、重要案件は山ほどあるのに進展しない。国会で
投票に持ち込む度に国民党と乱闘になる。今でも退役将軍が中国で講演
し、軍の機密漏洩、銀行の違法送金、造船汚職などが起きている。行政院
長、外交部長、三軍総司令などはみな外省人である。

台湾が中華民国を脱却しなければいつまでも中国の圧力を受けて現状維
持と呼ぶ萎縮を続けることになる。諸悪の根源は国民党の統一派だが、蔡
英文政権が無力で国民党の勢力に押されているのが現状である。

●蔡英文は陳水扁の冤罪を晴らせ

民進黨が台湾人民の支持を失った原因の一つは陳水扁の冤罪を解決しな
いことである。馬英九がでっち上げの罪で陳水扁を監獄に入れて虐待した
結果、陳水扁はひどく健康を害して今では車椅子に乗って行動するように
なった。陳水扁が起訴された三つの罪は全て国民党のでっち上げで、当時
の証人がみな国民党に脅迫されて偽証したと述べた。それなのに彼はまだ
無罪判決を得ていない。

民進黨が政権を取ったあと人民は蔡英文に陳水扁の冤罪を晴らせと何度も
要求したが、民進黨は陳水扁の冤罪を晴らすことに反対し、蔡英文総統の
特赦もない。これでは台湾の転型正義は絵に描いた餅である。民進黨が嘗
ての党首陳水扁を敵視する理由がどうであれ、これは正義と人道に反する
行為であり、人民が民進黨を唾棄する原因である。

民進黨がどのような政治的利害関係で陳水扁無罪に反対するのかは知ら
ないが、蔡英文は全台湾人の総統である。民進黨の内情よりも台湾の正義
のためにも早急に陳水扁の無罪を晴らすべきだ。

●現状維持は自己束縛ではない

現状維持はアメリカが台湾に「勝手な行動で中国を刺激するな」と要求した
ことは一般の知るところである。でもアメリカは台湾を束縛する権利はない。
台湾が自己束縛する必要はない。アメリカも自己束縛を要求していない。

中国を無視して日本と東南アジア諸国との外交を活発にする、これこそ
PASEA外交である。中国の戦闘機や軍艦が台湾の周囲を航行するなら
アメリカの空海軍に台湾の軍事基地の使用を許可すればよい。

現状とは「台湾は台湾人のものだ」と言うことだ。蔡英文は現在の無為無策
から脱却すべきである。外交と同じように大切なのは内政である。二党政治
よりも国民党を排除して台湾人の政党を援助し、閣僚、軍部上層部、財政
部の改革、汚職追放、官商癒着など、外省人が台湾を食い物にしている現
状を一掃することである。

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創刊日:2001-12-18  
最終発行日:  
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