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AC通信 No. 646

2017/06/15

AC通信:No.646 Andy Chang (2017/06/14)
AC論説 No.646 台湾の「中国政策」

昨6月12日、パナマが突然中国と国交を樹立し同時に台湾と断交す
ると発表した。台湾では大騒ぎになった。これで台湾と国交のある
国は21カ国となった。

蔡英文総統は国民に談話を発表したが、要点は以下の通り:
(1)台湾は常に中国に対し善意を表現してきたが中国は92共識を
強要して両岸の関係が悪化した。(2)台湾の国家の利益と経済に影
響はない。(3)台湾は長期的に国際関係で困難だった。今後も民主
と自由を追求し国家の運命を把握していくことに変わりはない。

蔡英文政権が発足して以来、中国の「一つの中国」に対し蔡英文は
現状維持を続けてきた。現状維持はアメリカの要求である。台湾独
立を推進せず、中国と経済関係を維持することが中国と台湾はウイ
ンウインの関係だと言う。米中の武力衝突を避けて台湾の戦略的地
位の重要性を維持するのが目的である。

一方、中国もアメリカとの武力衝突を避けたいが、台湾を併呑すれ
ば太平洋に進出できる。だから台湾と諸国の外交関係を断ち切って
台湾を窮地に立たせる政策を取る。つまり中国とパナマの国交樹立
は台湾への圧力だけでなく、アメリカに圧力を加えたのである。

台湾は米中暗闘の中間で宙ぶらりん状態を維持する外はないのか。
台湾が国として国際関係を増進させるにはどうすればよいのか。

台湾民進党はパナマ断交について中国に対し強い抗議の声明を準備
したが国民党は声明書に署名することを拒否した。実は国民党の洪
主席が数日後に中国を訪問し、海峡論壇にも参加するからと言う。
台湾国内では中国に対する意見が纏まっていない。

●米国と中国の「中国政策」

中国とアメリカにはそれぞれ台湾問題に対する「チャイナポリシー」
がある。中国側の主張はいわゆる台湾三つのノー(台湾独立の不支
持、二つの中国もしくは一中一台の不支持、台湾の国際組織への加
入の不支持)である。そして台湾が独立すれば武力攻撃をすると恫
喝している。

これに対し米国の台湾政策は二つ、「台湾関係法に拠る台湾の安全保
障」と「台湾への6か条確約」(Six Assurances)である。
1.台湾への武器提供に停止日限を付けない。
2.台湾と中華人民共和国間の仲裁をしない。
3.台湾に対し中台交渉に圧力を加えない。
4.米国の長期にわたる台湾の主権問題に変わりはない。
5.米国は「台湾関係法」の改訂をしない。
6.台湾への武器提供について北京と事前協商しない。

つまり中国と米国は違ったチャイナポリシーがあり、トランプは習
近平との電話会談で「米国はチャイナポリシーを守る」と答えたが、
両国のポリシーは違ったものである。

●台湾の「中国政策」はない

アメリカは台湾の安全を守ると言うが台湾は自己防衛が出来るかど
うかもわからない。台湾は米中双方の間にいても自国の立場を明ら
かにしない。国内でも台湾の中国政策が曖昧でいろいろ違った主張
があり意見が統一していない。台湾人は独立願望が強いがアメリカ
は支持しない、そして中国は武力で阻止すると言う。台湾は中華民
国の国名を変更しない。公民投票に拠る正名制憲は公民投票法案を
通さなくてはならないが、法案はまだ提出さえしていない。

台湾と中国の関係も曖昧で、「親中」、「和中」、「友中」のどれかもわ
からない。台湾は中国に善意を示し中国は台湾に敵意しか示さない。
中国は敵国であり友好国でもあるとは明らかな矛盾である。

このような矛盾は(1)国民党の勢力が今でもかなり強いことと、
(2)蔡英文・民進黨が台湾独立を捨てて中華民国の体制を維持し
二大政党政治を進めるからだ。だから国民党を潰して台湾人の台湾
国を建立することは出来なくなる。これも現状維持の一つであり、
現状維持は阿片のように台湾を廃人同様にしてしまう。

●アメリカは最新武器を提供できない

アメリカは台湾への6か条確約があるから武器を提供すべきと言う。
トランプ政権が発足したあと台湾はアメリカに対し最新武器の購買
を何度も申し入れたと言う。台湾が欲しいのは潜水艦とF-35戦闘機
だがアメリカは潜水艦を売らないので自己開発をすると決定した。
F-35の購買については許可を出していない。

アメリカが最新武器の提供を躊躇う理由は台湾の立場が明確でない
からである。中国は敵か友かわからないのに武器を売ってそれが中
国の手に渡れば大変である。米中戦争になったら台湾は米国と共に
戦うか、洞ヶ峠を決め込むか、中国側につくか、中国に寝返るか、
内通するか。態度がハッキリしなければ武器提供は出来ない。

台湾は中国の一部ではない、「92共識」は認めない。台湾は台湾と
呼ぶ国で中華民国ではない。たとえ諸国と外交関係がなくなっても
台湾の立場をハッキリと世界に発表すべきだ。

台湾が中国を敵国と見なすなら米国は友國と見なして最新武器を売
る。台湾は早急に「台湾の中国政策」を発表すべきである。台湾が
自立するには「修身」「斉家」「治国」の前に「誠意」「正心」を明
らかにすべきである。

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