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AC通信 No.639

2017/05/01

AC通信:No.639 Andy Chang (2017/04/30)
AC論説 No.639 トランプの百日天下

ナポレオンがエルバ島を脱出して再び政権を取り、もう一度負けて
セントヘレナ島に流されるまでちょうど百日だったので、アメリカ
では政権を取った大統領の就任後の百日目を採点する風習が出来た
と言う。百日天下の採点の始まりは大恐慌時代にフランクリン・ル
ーズベルトが就任したときだ。

昨29日はトランプ大統領の百日目だったので、ペンシルバニアの集
会でトランプは自分で歴代大統領の最高だと自画自賛した。だが実
情は大いに違う。メディアのトランプ評は歴代最低に近く、国民の
評判も44%とかなり低い。トランプは集会でこれをメディアの嘘だ
と攻撃した。でも実際はトランプの方が嘘をついている。

民主党のボイコットや民間の反対運動も続いているし、メディアも
トランプに好意的ではないのは確かだが、この百日でトランプは大
統領命令を29回署名したし、口頭も含めれば38回もあった。大統
領命令は国会を通さない命令で独裁的だし国会で通した議案は一つ
もない。主要閣僚の任命は済んだけれど、556人に上る次官クラス
の官僚任命は数百人が空席のままだから国政はうまくいっていない。
この百日の間にどれだけの仕事をしたか書いてみる。

●通商貿易

トランプが就任して、1月から3月までの経済景気は0.7%で、殆ど
停頓状態である。トランプは中国を最大の為替操作国だと攻撃して
いたが、北朝鮮を攻撃するのに中国の同意を得るため中国は為替操
作国でないと言い替えた。

選挙の時はメキシコがアメリカの雇用を奪った、アメリカは通商で
損をしている、メキシコや日本、中国からの輸入品に関税をかける
と言ったが、これは協定違反である。最近になってからメキシコと
カナダの北米通商協定(NAFTA)の再交渉に同意すると折れた。太平
洋パートナシップ(TPP)を破棄したけれど、今ではアメリカ抜き
11か国のTPPが進んでいる。TPPの破棄は失敗だった。

●国民健康保険問題

トランプは選挙公約で就任後第一日にオバマの国民健康保険(オバ
マケア)を廃止すると言ったが代替案がないから廃止できなかった。
三月になってトランプは国会議長ポール・ライアンの国民健康保険
案を国会に提出すると決めたが、民主党は全員反対で、共和党内に
も反対する者がいたので法案が通らないのが明らかになり提案を止
めた。これはトランプに大打撃だったと言える。ライアン議長は数
週内に修正案を出すと言うが提案しても年末までかかるだろう。

●移民問題

トランプは国内の1100万人の違法移民を国外に追放すると公約し
たが、逮捕追放されたのは少数である。犯罪者は別として国内に住
む違法移民はすでに家庭があるのが多く追放までにいろいろな法的
手段を取るので簡単ではない。1100万人もの国外追放を大統領の任
期4年で達成できるはずがない。

トランプはテロ防止を理由として中東7カ国のイスラム教国人民の
入国を禁止する命令にサインしたが裁判官が宗教を理由として入国
を拒否するのは違法であるとストップした。

トランプはメキシコとの国境に大きな塀を作る、メキシコが代金を
払う、と選挙公約で何回も繰り返したがメキシコは拒否した。それ
で塀の製作費用を国家予算に計入したが国会はこれを拒否している。

●気候問題と地球温暖化

トランプは地球温暖化を承認せずパリ協定から離脱すると発表した
が多くの科学者が反対している。すでに国内各地で反対運動のデモ
が起きている。

オバマはカナダから石油を国内に導入する計画のKeystoneパイプラ
インを許可しなかったが、先日トランプはKeystoneパイプラインを
許可した。トランプは地球温暖化に反対して国内と東部南部沿岸の
石油採掘も許可を出したと言う。

●税制改革

選挙公約で最も期待されているのは税制改革、つまり減税である。
民主党は基本的に大きな政府とばら撒きで社会主義政策をとるので
国民の人気は高い。社会主義とは金持ちから税金を取って政府が社
会補償として給与する、いわゆる富の再分配だが社会主義は教育と
道徳程度の高い国で通用しても教育程度の低い国民は国の補償を当
てにして働かなくなると言う欠点がある。共和党は基本的に小さな
政府を目指し、企業税を減らして工商業を繁栄させる政策を取る。

トランプは企業税を大幅に減らし、税制を簡単化すると公約してき
た。オバマは執政8年で財政赤字を9兆ドルも増やしてきたので、
赤字削減は国民最大の関心事である。税制改革は民主党に反対され
るから国会で揉めるだろうが国民はトランプ減税に期待している。

先週の週末にトランプは税制法案の要旨を発表した。(1)企業税を
35%から15%に引き下げる。(2)一般国民の所得税を従来の7階段か
ら10%、25%、35%の三階段にする。(3)関税を改訂して輸入税を増
やし輸出税を減らす。詳細はまだわからないが、この改革案は国民
一般に歓迎されている。

以上がトランプの百日天下の結果である。要約すると移民問題と国
境の塀、国民健保改訂と減税法案の三つのうち国民が最も期待して
いるのは減税案で、次に健保法案、移民と国境の塀は最後である。

私は去年の選挙ではヒラリーは絶対にダメだが自大狂的なトランプ
にも賛成できなかった。しかしトランプが当選してからは批判や反
対はやらない。トランプが嫌いでも大統領になったのだから批判や
反対は無益である。4年間トランプにやらせるほかはない。

トランプにしても大統領になっていろいろ挫折も経験したはずだ。
「オレーはこの世のオーサマさ、イカしたスタイル、かっこ好い」
と坂本九が歌ったように、王様になったと思って百日天下のうちに
29回も大統領命令を出したが独裁には限度がある。

トランプは国会で法案を通すのはかなり困難だと知るべきである。
トランプは国会との折り合いがうまく行っていないし、国会も協力
的と言えない。トランプの百日は成功は少なく失敗が多い。しかし
次の百日、次の次の百日に期待する国民はまだかなり居る。調査に
よるとトランプに投票した者のうち、今でもトランプの支持者は
94%もあると言う。トランプの百日天下は成功が少ないが、彼には今
後の15,6回の百日が待っている。彼が良い大統領になるか、自大
狂を通し敵を作りすぎて失敗するか予想できない。

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創刊日:2001-12-18  
最終発行日:  
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  • 名無しさん2017/05/01

    共産主義隠れ蓑の民主党や メディアの策略にのっているようなトランプ批判だと思う。TPPは無国籍というか国際企業が各国の主権を奪うもので危険だ。台湾のためにアメリカが強くならなければいけない。 トランプを叩くメディアをどうしたらよいのか、そこを分析 提言してほしい。