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AC通信 No.635

2017/03/21

AC通信:No.635 Andy Chang (2017/03/20)
AC論説 No.635 台湾の自衛力

中国の強い圧力にもめげず韓国はサード(THAAD、終末高高度防衛)
ミサイルを導入すると決定した。日本の自衛隊は二年前からサード
ミサイルの導入を検討していて、稲田防衛相は今月13日にグアムの
空軍基地でサードミサイルを視察した。ところが台湾では同じ日に
国会で議員から台湾にサードの導入を聞かれた馮世?国防部長は
Noと答えた。しかも馮世?部長は理由を聞かれて、台湾は米中間の
戦争に巻き込まれたくないと答えたのだ。

●サード導入に反対の理由

馮世?部長が導入に反対した理由の第一は、台湾は米中間の戦争に
介入せず中立を守る。台湾は自国の主権を守るために戦うべきで他
国を援助すべきではないと言ったのだ。これは誰でもおかしいと感
じる。アメリカは台湾の安全を守ることを法律で決めている。つま
り台湾の敵か味方かはすでに明らかだ。アメリカに頼っていながら
アメリカの味方にならないで中立を守ると言う理屈は通らない。

米中戦争に巻き込まれたくないと言っても戦争になれば中国は真っ
先に台湾と沖縄、グアムを攻撃する。馮世?が台湾は中立を守ると
言ったのは中国に忠誠心を示したのであろう。これが台湾の国防部
長なら一旦戦争になれば台湾軍はすぐに降参するか、それとも中国
に寝返るかもしれない。この男は早急に更迭すべきである。

次に馮世?部長は、台湾は中国に近いから高高度ミサイルで台湾を
攻撃する必要がないと言った。だが韓国と北朝鮮はもっと近いけれ
ど韓国はサードの設置に踏み切ったのだ。中国がサードを怖れる理
由はサードのレーダーが広い範囲にわたって敵陣の動きを探知でき
るからである。サードを台湾に設置すれば韓国に設置したサードレ
ーダーが探知できない中国の内部や、海南島や南シナ海まで監視で
きる。サードを拒否した馮世?は中国の味方である。

馮世?部長の第三の理由は高価なサードを買う金で他の武器を買う
方が良いと言うのだ。確かにサードは高いだろう。しかしサードは
中国の動きを監視できるから台湾の安全にも寄与するはずだ。

台湾がサードを買わなくてもアメリカにサード基地を貸せば金は要
らない。アメリカの基地があれば中国は台湾を攻撃できなくなる。
台湾を防衛するならこれが最良だ。アメリカと台湾は国交がない。
しかしアメリカは台湾から99年租借で土地を借りて大規模な領事
館を建設した。それならサード基地の租借など簡単である。

台湾の安全はアメリカに頼っているのに台湾の国防部長は中国を怖
れているか、中国に味方しているかのような態度である。台湾はこ
のような軍隊に頼れるだろうか。

●アメリカの軍備提供

アメリカがトランプ政権に変わって台湾に新しい武器を提供すると
言い出した。最近のニュースではアメリカが台湾に高移動性ロケッ
ト砲撃システム(HIMRS)を売ると言ったそうだ。HIMRSミサイルは
射程が200キロもあるので、ミサイル防御の外に中国沿岸のミサイ
ル基地を先制攻撃することもできる。

これについて蔡英文総統は、アメリカが最新武器を提供するなら
F35ステルス戦闘機や潜水艦も売って欲しいと述べた。台湾のニュ
ースによるとアメリカはブッシュ時代に潜水艦を台湾に売ると約束
したが今になってもまだ提供していないと言う。アメリカが最新武
器を提供しないのは台湾の軍部が信用できないからだろう。

三年ほど前にアメリカがアパッチヘリコプターを台湾に売ったとこ
ろ、パイロットの空軍中佐が芸人グループを軍事基地に招待してア
パッチヘリを見せびらかし、コックピットの計器類の写真を撮らせ
た事件があった。しかもこの操縦士は叱責されただけで今でもアパ
ッチのパイロットとして軍務に勤めている。こんな軍隊にF35ステ
ルス戦闘機を提供したらどうなるか。パイロットが離陸して台湾の
レーダーから消えたとたんに中国に飛んでいくかもしれない。潜水
艦も同様だ。馮世?部長の話を聞けば台湾軍の忠誠心に問題がある
ことは明らかである。

●最新武器よりも忠誠心が先決

問題の核心は台湾に中台統一したい人間がいて、おまけに彼らが政
治や軍事の決断をする上層部に居ることである。台湾にはすでに中
国から来た人が数十万も居る。戦争になったら台湾軍が最新武器を
持っていても上層部が降参するかもしれないし、内通する者が居る
かもしれない。国民の85%が台湾人で独立を望んでいても少数の中
国人が政治や軍事を操っていれば安心できない。

台湾人の蔡英文が総統になったが、彼女にとって大切な仕事は台湾
に忠誠を尽くし、台湾のために戦う軍隊を作ることである。それに
は中国系の将軍たちを引退させ、台湾人を上層部に任命して最新武
器を持つ部隊の忠誠心を厳しく監督しなければならない。

国会議員も国家の安全と将来を真剣に考えるべきである。先日の国
会ではある議員が馮世?部長を召喚し漫才の掛け合いのように二人
で軽口をたたいていた。時間の浪費だけでなく政治家失格である。

軍事機密を中国に渡した事件は数え切れないほどある。武器よりも
軍隊の士気と軍人の忠誠心が大切だ。アメリカが最新武器を提供し
ても台湾軍の自衛力は疑問だらけ、台湾人さえ信用しない軍隊をア
メリカが信用するわけがない。外省人の台湾に対する忠誠心が問題
なのだ。蔡英文は現状維持など寝言を言うときではない。台湾軍の
刷新は蔡英文にかかっている。

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  • 名無しさん2017/03/21

    輝かしい古代中国と未成熟半野蛮巨大現代中国。台湾と日本のみならず、世界の人々がどのように向き合うかに、困惑していると思います。国内国外の情勢に、予断を持たず、慎重な対応が必要です。ただ、民主主義陣営の盟主米国との友好深化だけは、絶対必要条件です。