政治・経済

AC通信

国際ニュース解説と評論記事

全て表示する >

AC通信 No.627

2017/01/23

AC通信:No.627 Andy Chang (2017/01/22)
AC論説 No.627 ジョーカーの時代

1月20日の大統領就任式でトランプの時代となった。お祭り騒ぎが
済んだらアメリカは落ち着きを取り戻すかと思ったらそうでもなく
て各地で大規模な反トランプのデモが起きた。民主党の国会議員60
人がトランプの就任式をボイコットし、就任式には70万人の参加者
があったけれど、ワシントン市内では反トランプのデモが起き、小
さな暴動も起きた。

21日にはワシントンで推定50万人の女性行進(ウーマン・マーチ)
が起きた。ロスでも10万人のウーマン・マーチがあり、サンディエ
ゴ、サンフランシスコ、シカゴなどでも起きた。驚いたことにベル
リンでも反トランプを掲げたウーマン・マーチが起きたのである。
トランプ時代は不安と動乱で始まった模様である。世界各国のメデ
ィアがトランプ時代の予想を発表しているが殆どあてにならない。

トランプが当選したのは国民がオバマに失望し、ヒラリーの違法行
為に反発したからである。ヒラリーは絶対ダメだがトランプにも反
対と言う人が多い。就任式と同時に反対デモが起きるのは国が二分
した状態であることだが、トランプが辞職することはあり得ないし、
反対派が簡単に引き下がることもない。将来4年間は波乱万丈とな
りそうだ。

●抗議について

すでに就任式を済ませたのだから反対派が抗議してもトランプが辞
任することはないはずだ。それでも全国各地でデモが起きるのは異
常事態と言える。この分裂状態はかなり長続きするだろう。大まか
に言って強い反対の原因は四つある:

第一にオバマの陰謀、トランプが当選したのはロシアの選挙干渉の
おかげと決め付け、民主党員や国会議員がトランプを大統領と認め
ないと主張した。民間でもトランプを認めない人が多く、殊に黒人
層はトランプを大統領と認めないとしている。

第二にオバマの黒人優先政策のため人種の反目が明らかになった。
黒人の大半がトランプは人種差別で独裁者だと主張して反対。彼ら
はトランプは白人至上主義者だと言い張っている。

第三に過去にあったトランプの女性蔑視発言のビデオと、堕胎反対
派の女性がトランプを女性蔑視、人権無視として反対。

第四にオバマケアを廃止すると言うトランプに対するオバマ派の反
対。オバマケア廃止は既にトランプの就任第一日目の命令で動き出
した。

前の記事、『「オバマのロシア疑惑」の疑惑』で書いたように、オバ
マは懸命にロシアのハッキングを取り上げてトランプの大統領当選
が無効であるとケチをつけてきたが、CIAの調査発表でもハッキン
グの証拠は上げることが出来てもプーチンが直接命令してヒラリー
に不利な情報を流した証拠はなく、ロシアとウィキリークスの関係
も否定された。それでも国民の半分はトランプの当選無効を信じて
いる。トランプの大統領就任式がすんでもまだ主張している。

●新政権の直面する課題

オバマは退任に際して懸命にレガシー作りをしていたが、アメリカ
はこれからオバマ8年間の失政を取り返すために大きな努力をしな
ければならない。私は決してトランプを評価しないがオバマよりは
マシだ。それでも今後4年間は幼稚で傲慢なトランプ・ジョーカー
時代が来ると思えばウンザリする。

トランプの選挙公約は実行困難なものが多く、公約通りにやったら
国際関係の悪化と孤立、経済の停頓はアメリカだけでなく世界に広
がるに違いない。トランプはアメリカ優先を至上命令にしているが、
国際間の交渉は常に相互有益でなければならない。

ジョージ・ソロスはこれからトランプ時代の世界は貿易戦争と人権
闘争、独裁者との戦いとなると言った。確かに国際貿易はゼロサム
ゲームである。一方が得をすればもう一方が損をする。アメリカが
45%の課税をすれば相手国もそれに対応する課税をする。アメリカだ
けが得をするわけにいかない。

オバマ時代は、貿易戦争で負け、テロ対策で失敗し、国の威信を失
い、ISISやアルカイーダなどのテロが世界に広がった。国内でもテ
ロ攻撃が起きた。黒白の人種問題が悪化し、黒人の増長慢と暴動、
黒人と警察の摩擦が絶えなかった。不法移民、国境侵入、麻薬やマ
リファナ問題、同性愛問題など、トランプが解決すべき問題は山ほ
どある。

トランプの選挙公約は、オバマケアの廃止、不法滞在者の国外追放、
国境に塀を作ってメキシコが金を払う、輸入品に課税するなど実行
困難なものが多い。これらはトランプの主張通りでなくても早急に
改善すべき問題なのである。トランプは就任式の後すぐにホワイト
ハウスでTPPとオバマケアの廃止に署名した。

経済をよくして雇用を増やすのが目的でも国際間の交渉はゼロサム
ゲームだから簡単にアメリカに有利とはならない。トランプの切り
札は強く富めるアメリカを盾にした強引な交渉である。アメリカで
いくらか暴君に従っても世界で我利我利亡者の言い分がすんなり通
るとは思えない。

●期待せず見守る

政治家の公約は理想と嘘である。オバマは就任式講演で「私は最も
透明で解放された政権となる」と喝破した。しかしオバマ政治はこ
れと正反対で、陰謀と守秘、過失隠蔽の連続だった。オバマ政治の
8年は史上最も不透明で、政党分裂と人種問題の悪化、国際政治の
失敗と国威の衰退だった。いずれも新政権が調査に入るはずだ。

トランプは就任式講演で「今日から国の権利は国民のものとなる」
と喝破した。実際にどうなるかは未定だがトランプの言動はかなり
独裁的だから権力を国民に渡すつもりは全くない。トランプは思い
つきをツイッターで乱発する、傲慢で過失を認めず決して謝罪しな
い、勧告を受け入れない。トランプは批判に直ちに反撃する。反撃
は素早く無礼で威嚇的、つまりトランプは「下品な真紀子」である。

トランプは就任式講演の原稿を「自分で書いた」と自慢した。だが
講演を聞いた人々は選挙演説と変わりがない、偉大なアメリカとか
雇用を増やすなど、権利を人民の手に戻すなど空疎な約束である。

トランプはどんな政治を行うだろうか。私に見えるのは彼が傲慢で
幼稚なエゴイストで少しも変わっていないということだ。トランプ
時代とはジョーカーの時代だ。

但しトランプはダメだが、彼の任命した閣僚はオバマ時代よりも格
段に堅実である。これは私見ではなく大方の批評である。だから将
来4年のアメリカは、トランプに期待せず、共和党国会と新閣僚の
業績に期待すべきである。将来4年、どのような展開があるかはわ
からないが、「反対せず、期待せず、見守る」である。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
AC通信のバックナンバーはメルマ:http://www.melma.com/backnumber_53999 
メルマの左側上部の「登録する」欄をクリックして登録すれば以後は
自動的に配信されます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-12-18  
最終発行日:  
発行周期:月刊、不定期  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。