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AC通信 No.573

2015/12/24

[AC通信:No.573 Andy Chang (2015/12/24)
[AC論説] No.573 台湾新幹線の話

12月17日の頂門の一針(3871号)にMOMOTAROUさんが「日本諜報工
作部員:有本香さん」のことについて書いていて、この中に台湾新
幹線について2002年に金美麗さんが時の交通部長と掛け合った話
があった。以下:

「金美鈴(日本に帰化)さんが未だ台湾国策顧問だった頃。一緒に
台湾に遊 びに行っていた。お茶を飲んでいたら、新幹線事業で来て
いた日本人が、 フランスとの共同事業で技術的な問題以外に軋轢あ
ると話をした。
それを聞いた金さんが「私が掛けあってくる」と言われ、実際にそ
れは台 湾のためには良くないと翌日政府に行ったそうだ。台湾の新
幹線プロジェ クトはフランスが受注していました。それは可怪しい
と李登輝さんがひっ くり返す。その後、私(桃)の記憶によれば韓
国が線路造成を安値で参入してきた。更にその後、韓国が造成した
線路が沈んでいるのが判明した (蛇足)」

台湾新幹線についてはいろいろ調べたこともあったので懐かしい。
台湾新幹線はもともとフランスが受注したものである。フランスと
台湾のカク柏村(当時の参謀総長でその後行政院長に昇格)と国民
党幹部が仕組んだ壮大な汚職の一環である。フランスから購入した
一連の大きな計画は契約には18%のリベートが明記されたほか、多
額の用途不明の金が絡んでおり、李登輝でも変更できなかったもの
で、たとえ金美麗さんが交通部長に掛け合ったところでどうにもな
らないものだった。読者に知ってもらいたい内情がたくさんある。

●フランスからの購入計画

台湾の中華民国政府は中国から受ける圧力のため米国も武器販売を
渋っていた。70年代は台湾の経済が大幅な発展を遂げた時期だった。
1990年にはじまった大型武器購入は(1)6隻のラファイエット型
巡洋艦の購入(Operation Bravo)、(2)付属武器系統(名称不明)、
(3)ミラージュ戦闘機60機(Operation Tango)、(4)MICAミサイ
ル(Opeeration Magic)、そして最後に(5)フランス高速鉄道の導入
であった。

フランスは台湾と販売計画を結ぶ際に1+2,2+3、3+4と言う具合
に条件付き「サバ契約」を結んでいたので、後から変更することが
出来なかった。しかも一連の大型購買計画は本来の値段に二倍以上
に相当するリベートや汚職金含み、その汚職金を台湾、フランスと、
中国の三国が分け合ったのである。汚職の酷さはこの次の記事に詳
述するが、ラファイェット巡洋艦(Bravo計画)に携わった尹清楓
海軍大佐が汚職に呆れて実情を暴こうとしたため殺害されてから初
めて調査が進み、いろいろな事実が判明したのであった。

ラファイェット事件は台湾海軍と国民党幹部、フランスと中国の主
要政治家が関与した壮大な汚職事件である。2005年にAC通信で報
道し、2006年に台湾と日本でラファイェットの軍艦疑惑について講
演したことがあった。この次のAC通信で報道する。

●新幹線契約

国民党の大型計画は必ず契約を結んだあと間もなく増資がはじまり、
最終的に原計画の二倍三倍になる。新幹線計画の入札が始まった当
時、尹琪(玉偏に其)と呼ぶ女性は国民党に内通した業者が計画を
横取りするのを防ぐため、BOT(Build Operate and Transfer、建設、
運営、35年後に引き渡し)で約2800億元でを入札して国民党は入札
に負けた。2000年に結んだ最終契約は3233億元である。

入札で契約を取れなかった國民黨側は尹琪を恨み、国民党の嫌がら
せが始まった。鉄道路線の土地、予定駅付近の土地の買収、資金募
集に圧力などである。

もっと驚いたのは当時のフランスには高速鉄道の実績がなかった、
高速鉄道を建設したことがなかったのである。こうして計画が行き
詰まった時になって、李登輝が介入し、国民党資金の参加と日本の
T-700型新幹線の導入に変更決定したのだった。

だがフランス側も契約変更に抵抗し、電気系統と新幹線の運転だけ
は放棄せず、フランスがこの二つを維持することになったのである。
このため新幹線の電気系統は日本の新幹線と違い、2007年に運航開
始した時は新幹線の運転士はフランス人で、新しく雇った運転士の
訓練もフランスであった。

●台湾新幹線は赤字経営

このような紆余曲折のあと発足した「台湾高鉄」は国民党の妨害に
も拘らず好成績で、台湾の交通事情を大幅に改善したが、本来のBOT
(建設、運営と35年後に資産を移転)は今年6月の報道によると累
積赤字が470億元となっていて、借金返済は改善されていない。

本来の計画では台北、板橋、台中、高雄を90分で運行するはずだっ
たが、その後桃園、新竹、嘉義、台南など加え、建設費が膨らんだ。

しかも今年冬になると本来の計画から更に苗粟、彰化、雲林の三駅
を加え、本来の90分運航が遅くなっただけでなく、駅の建設費用も
増えた。三駅増加は駅付近の土地開発業者が絡んでいるのは明らか
である。三駅が乗客の増加と収入増加になる可能性は低い。

経営の累積赤字が470億元となって返済が滞っているため、今年6
月の立法院の審議のあと、政府がBOTを中止して政府経営にすると
メディアが報道した。誰でもわかることだが政府が経営すれば赤字
が増えるだけである。

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