政治・経済

AC通信

国際ニュース解説と評論記事

全て表示する >

AC通信 No.548

2015/07/05

[AC通信:No.548 Andy Chang (2015/07/03)
[AC論説] No.548 台湾の政治に新風

7月1日、台湾の有名な評論家金恒煒(火へんに韋)や高名な政治
家彭明敏や長老教會牧師高俊明、前總統府秘書長陳師孟などが
集まって「台湾独立行動党」の結成を発表した。結党に賛成した人
物は十名以上の有名評論家、政治家などが名を連ね、台湾に新風を
巻き起こした。

金恒煒は新党結成の主旨について、「台湾における民進党、国民党、
台聯党、社民党、時代力量などの代表的政党には台湾独立を政党の
主旨とした政党が一つもない。だから我々が台湾独立を明確に主張
する。我々は民進党と競争するのではなく、民進黨の不足を補充す
るのだ。総統候補者は民進党の蔡英文を支持し、議員の選挙では民
進党の困難な選挙区で有力候補者を出す」と述べた。

この発表は台湾の政情に大きな旋風を巻き起こし、多くの民間人が
賛同を表明している。台湾独立行動党は民進党に不満を持つ民衆の
票を獲得し、選挙で当選した国会議員は民進党議員と共に台湾独立
を推進する。野党でありながら国民党独裁を倒し台湾独立を果たす
のである。すでに負け気味な国民党は新党結成に動揺を隠せない。

●新政党の持つ意味

新政党の結成はいろいろな意味で台湾の政治に大変化が起きたこと
を示している。金恒煒、陳師孟は外省人だが独立に賛成で統一に
反対である。これまで外省人の老人世代は統一願望、故国回帰
願望を持つものが多かったが、いまでは外省人でも台湾独立を
表明するようになった。国民党政権の圧力や同郷人の圧力がな
くなった。

台湾の世情に大きな変化がおきたと言える。これまで台湾人は
独立願望を表明することがなかった。38年にわたる白色恐怖政
治のおかげで台湾独立を掲げて政党を結成することがなかっ
た。報道によると台湾人の75%は独立に賛成である。

●民進党に不満

台湾人は民進党に不満だから新党結成に賛成するという。民進
党は台湾人の政党といえども派閥闘争が絶えず特に新潮流派
が民間で最も嫌われていた。新潮流派が長年主張してきた中間
路線は民衆が最も唾棄した路線だが彼らは中間路線は民間が
賛成すると固持してきた。新潮流派の連中は中国に投資してい
る幹部が多いから親中派だと言われている。

民進党は成立した際に党綱領で台湾独立を明記したが、1999年の綱
領では独立を明記しなかったので中国寄りになったと言われた。
2012年の総統選挙の際に蔡英文・総統候補が「台湾は中華民国、中
華民国は台湾」と言ったので民衆は失望した。独立を主張しない民
進党は国民党とあまり違わない。民進党が政権をとっても中華民国
体制は変わらないといわれた。

今回の選挙に出馬する蔡英文は「現状維持」を主張しているが、現
状とは中華民国体制だから一部の民衆は不満である。不満だから民
進党に投票しない可能性がある。つまり、新しくできた台湾独立行
動党は独立を明確にするから国会議員の候補者は民間の支持が高く、
当選すると思われる。こうすれば民進党の不足を補って議員の数を
増やすことができると言う。

●独立は台湾人の夢である

民進黨が独立を言わなくなったのは李登輝が「台湾はすでに独立し
た国だから、再度独立する必要はない」と言い出したからである。
民進黨は李登輝の主張を踏襲しているだけだが民衆は独立願望が強
いから納得しない。民進黨に不満なのは独立を明確にしなくなった
からである。

1978年にジミーカーターが中国と国交を回復した時にアメリカは台
湾の中華民国と断交した。だが台湾はどうする、台湾人民を無視す
ることはできない。このため、アメリカ国会は台湾関係法の第15
条で中華民国は認めないと明記し、現今の政治体制は「台湾当局」
であるとした。

これはアメリカの曖昧政策だが、この方式で行けば台湾人は「台湾
は中華民国である」という必要はなく、「台湾当局」と言えばよいの
である。選挙は中華民国の選挙ではなく台湾当局の選挙である。

一部の人たちは今でも蔡英文が2012年の選挙の時に台湾は中華民
国だと言ったから、選挙は中華民国の選挙、総統は中華民国の総統
という。アメリカは台湾当局の選挙を認めている。一部の体制外派
が勝手に選挙に反対しているだけだ。だが問題はこのような人たち
は選挙に反対と言いながら行動方針がない。何もできないのに選挙
に反対なのである。

これまで台湾独立は選挙のタブーだった。独立は中台間の緊張を招
くから得票できないと言われてきた。だから民進党は選挙で台湾独
立を主張しない。多くに民間人は民進党が言明しなくても、いった
ん政権を取れば独立を主張すると期待していたが疑問を持つ者も多
かった。

去年のヒマワリ学生運動と市町村選挙で国民党が大敗してから台湾
独立はタブーではなくなった。独立主張は選挙に有利になるかもし
れない。これが民進党を援助し監督する政党ができた主因である。

●米中は今も現状維持を主張

だけども蔡英文が選挙で独立を主張するわけにはいかない。アメリ
カも中国も独立に反対、現状維持に賛成である。たとえ独立を主張
して政権を取ってもすぐに独立できるわけではない。政権を取って
国会多数となってから数年あるいはもっと時間をかけなければなら
ない。急進的な独立はアメリカも賛成しないし、台湾の現状では独
立する政治力も軍事力もない。

急進派にとって民進党が現状維持を主張するのは不満かもしれない
が、現状を急激に変えることはできない。但し野党の主張は構わな
い。新しい独立行動党が主張するのは構わないし、選挙に有利とな
るだろう。

●選挙は止められない

選挙に反対、投票するなと主張する人も居る。勝っても中華民国体
制は変えられないという。これは愚論である。台湾人が投票しなけ
らば外省人の国民党が勝つかもしれない。敵に有利な選挙反対は止
めるべきだ。

蔡英文を批判するのは国民党に加担するようなものだ。投票しなけ
れば国民党に有利、つまり投票反対と主張するのは国民党を応援す
るのと同じである。

選挙も一法、革命も一法だが、選挙に賛成が多数である。体制内派
も体制外派も賛成している。革命はアメリカも反対だし人民がつい
てこない。だから選挙は止められない。独立行動党は選挙に賛成で
政権を取ってから国会で独立を進める方針を取っている。これなら
アメリカも援助するだろう。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
AC通信バックナンバーは:http://www.melma.com/backnumber_53999 
メルマに入ったあと、左側上部の「登録する」をクリックして登録
すれば記事は自動的に配信されます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-12-18  
最終発行日:  
発行周期:月刊、不定期  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。