政治・経済

AC通信

国際ニュース解説と評論記事

全て表示する >

AC通信 No.542

2015/05/23

[AC通信:No.542 Andy Chang (2015/05/22)
[AC論説] No.542 SFPTの徹底考証

「嘘も100回言えば本当になる」というのはナチス・ドイツの宣伝
相だったヨーゼフ・ゲッベルスの言葉だといわれているが、本当か
どうかわからない。つまりこれも百回繰り返されたからゲッペルス
博士の言葉と言われるようになったのかもしれない。

中国が尖閣諸島は中国の領土、南沙群島も西沙群島も俺たちの領土
と繰り返し、あまつさえ南シナ海で勝手な建設を始めているが、い
くら繰り返しても信じるより胸糞が悪くなる。

私はAC通信No.240でサンフランシスコ講和條約を悪用するグルー
プのことを書いたが、米国台湾政府(USTG、別称台湾自治政府TAG)
と呼ぶグループは相変わらず同じ宣伝をしているし、グループの宣
伝を信じる人が私の記事に幾つかコメントを書いてきたので、長く
なるがサンフランシスコ条約の本文を引用して徹底考証し、彼らの
主張がウソであることを証明する。

台湾自治政府(TAG)はこう主張している。

1952年4月28日のサンフランシスコ平和条約で:
第2条:日本は台湾澎湖を放棄し、台湾と日本は無関係となった。
第4条:米国軍事政府USMGは台湾の分配権、処分権を有する。
第23条:米国は台湾の主要占領国である。

つまり、米国は台湾の主要占領国で処分権を有するが、米国台湾政
府は米国の有する権利のもとで「政府」を創立したと言うのだ。こ
の三つのうち第2条だけが真実で、第4条、第23条はウソである。

講和条約にはこんなこと書いていない。サンフランシスコ講和条約
は英語、日本語、スペイン語とフランス語で書かれている。ここで
は日本外務省条約局の「条約集第二十九集、第八十五巻」から引用
する。

●SFPT第4条で米国は台湾の処分権を有するか?

第4条には「米国軍事政府USMGは台湾の分配権、処分権を有する」
とは書いていない。しかも米国軍事政府(USMG)は台湾に駐屯した
こともない。第4条は財産と人民の処分の条文であり、領土の処分
ではない。無いのに有ると解釈、宣伝しているのである。

【引用はじめ】第4条:
第4条(a):この条の(b)の規定を保留して、日本国及びその国民
の財産で第2条に掲げる地域にあるもの並びに日本国及びその国民
の請求権(債権を含む)で現にこれらの地域の施政を行っている当
局及びそこの住民(法人を含む)に対するものの処理並びに日本国
におけるこれらの当局及び住民の財産並びに日本国及びその国民に
対するこれらの当局及び住民の請求権(債権を含む)の処理は、日
本国とこれらの当局との間の特別取極の主題とする。第2条に掲げ
る地域にある連合国またはその国民の財産は、また変換されていな
い限り、施政を行っている当局が現状で返還しなければならない。
(国民という語は、この条約で用いるときはいつでも、法人を含む)
第4条(b):日本国は、第2条及び第3条に掲げる地域のいずれか
にある合衆国軍政府により、またはその指令に従って行われた日本
国及びその国民の財産の処理の効力を承認する。
第4条(c):日本国とこの条約に従って日本国の支配から除かれる
領域とを結ぶ日本所有の海底電線は、二等分され、日本国は、日本
の終点施設及びこれに連なる電線の半分を保有し、分離される領域
は、残りの電線及びその終点施設を保有する。【引用終わり】

間違った条文の解釈:
米国台湾政府は、第4条bで「合衆国軍政府により、またはその指
令に従って行われた日本国及びその国民の財産の処理の効力を承認
する」と書いてあり、台湾は(第2条が発効するまで)日本の領土
だったから米国は「現在も台湾の処分権を持つ」と主張する。

この主張の間違いは、第4条bが「米国軍政府によって行われた」
財産処分の効力を承認する、つまり終戦からSFPTが発効するまでの
1945年から1952年の間に米国軍政府GHQ)とGHQの指令に従って「行
われた」財産の効力を承認するのであり、SFPT発効後もGHQが存在
し台湾の処分権を有するのではない。条文を読めば明らかである。

もう一つの証拠は第4条aにある。要約すると、「第4条bの1945-1952
年間の処分は有効で、条約の発効後の財産の処理は日本国と現地の
施政当局により解決する」。つまりSFPT発効後はGHQではなく、当
地施政当局と日本が財産の処分を取極めるのでありGHQ(米国)は
関係しない。

第4条aでは条約の発効後の財産の処分は日本と当地の施政当局が
取極める。第4条bでは日本国は終戦から条約発効(1944-1952)まで
にGHQが処分した財産と住民の処置の効力を認める。将来も「米国
は台湾の処分権を有する」とは書いてない。

●第23条:米国は台湾の主要占領国である?

【引用はじめ】第23条:
第23条(a):この条約は、日本国を含めて、これに署名する国によ
って批准されなければならない。この条約は、批准書が日本国によ
り、且つ、主たる占領国としてのアメリカ合衆国を含めて、次の諸
国、すなわちオーストラリア、カナダ、セイロン、フランス、イン
ドネシア、オランダ、ニュージーランド、パキスタン、フィリッピ
ン、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国及びアメリ
カ合衆国の過半数により寄託されたときに、その時に批准している
すべての国に関して効力を生ずる。この条約は、その後これを批准
する各国に関しては、その批准書の寄託の日に効力を生ずる。
第23条(b):この条約が日本国の批准書の寄託の後九個月以内に効
力を生じなかったときは、これを批准した国は、日本国の批准書の
寄託の日の後三年以内に日本国政府及びアメリカ合衆国政府にその
旨を通告して、自国と日本国との間にこの条約の効力を生じさせる
ことが出来る。【引用終わり】

この条文をどのように解釈しても主要占領国であるアメリカが台湾
の主要占領国であると主張することはできない。米軍は主要占領軍
「であった」のは事実だか、領土処分は第2条で日本国が台湾澎湖
の主権を放棄している。その上にSFPT第6条(a)では「すべての占
領軍は条約の発効後90日以内に日本国から撤退しなければならな
い」と規定してある。

たとえ強引に台湾は日本の領土であったと言っても、第6条により
米軍は条約発効後90日以内に撤退しなければならない、しかも米軍
が台湾に駐屯した事実はない。台湾を占領したのは中華民国である。
米国は中華民国軍に顧問団を派遣したが、これは米軍(USMG)では
なく、米国顧問団(Military Army Advisory Group)別称MAAGである。

●いかさま主張の正体と矛盾

米国は終戦以来一度も台湾澎湖の主要占領国であると主張したこと
はない。米国にそのような権利があるなら、米国が中華民国と断交
した時、米国が中華人民共和国を承認した時、台湾関係法を米国国
会で通したときなど、いくらでも明確に主張する機会があったが、
米国がそのような声明を発表した事実はない。

もう一度米国台湾政府(USTG)の主張を検証してみると、いかさま
のからくりがわかる。つまり(1)日本は台湾の主権を放棄した、
(2)だが米国は台湾の処分権を持つ、(3)その理由は米国が主要
占領国だったからというのだ。この三段論法のあと、(4)だから我々
の米国台湾政府(USTG)は米国の支持があるというのである。米国
がUSTGと呼ぶ政府を許可したように見せかけている。

この4段論法のウソには決定的な矛盾がある。もしもアメリカが台
湾の主要占領国であるなら、米国台湾政府(USTG)は米国から正式
な「台湾政府の設立を許可する証書」がなければならない。勝手に
米国の国旗をあしらった徽章や旗を作り、または「Taiwan Autonomy」
の団体登録をしていかにも米国の許可があったように見せかけても
証文がない。米国が許可したのではない。明らかにインチキである。

つまり、米国は台湾の主要占領国という「ウソの矛」を作って、米
国の許可証文を持たない米国台湾政府(USTG)と呼ぶ「ウソの盾」
を自分が作ったウソの矛で破る、滑稽な話だ。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
AC通信バックナンバーは:http://www.melma.com/backnumber_53999 
メルマに入ったあと、左側上部の「登録する」をクリックして登録
すれば記事は自動的に配信されます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-12-18  
最終発行日:  
発行周期:月刊、不定期  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。