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AC通信 No.531

2015/02/25

[AC通信:No.531 Andy Chang (2015/02/23)
[AC論説] No.531 弱虫オバマとアジア問題

この数週間ほどアメリカではオバマの中東出兵拒否と弱虫発言で大
いにもめている。ISIS(イスラム国)が21人のコプト派クリスチャン
を一列に並べて斬首したビデオを見て誰もが「キリスト教徒を虐殺
した」と認めているのに、オバマはクリスチャンと言わず、「21人
のエジプト人が斬首された」と述べた。ISISはイスラム国を名乗っ
ているのにオバマはイスラム教徒と呼ばずテロ組織としか言わない。

捕虜になったヨルダンの飛行兵を檻の中にガソリンをかけて焼き殺
した事件では、ヨルダン国王とホワイトハウスでオバマと会談して
いたが、報道によるとオバマはヨルダン国王との会談を終えた30
分後にはゴルフをやっていたと言う。誠意のかけらもない。

オバマは中東に兵力を投入することを拒否し、テロ分子はイスラム
教徒でないと強弁し、ISISの恫喝を受けてもアメリカは安全だと言
い張る。ヨルダン国王が武器弾薬の提供と米軍の援護要求に答えて
いない。イスラエルとアメリカの関係は最悪で、イェメンではテロ
グループに追い出されて大使館を閉鎖した。

オバマが中東問題に弱腰な理由はイランの核開発交渉にあると言わ
れている。イランは3000基の遠心分離機を使ってウラン精錬を行い、
現在では50トン以上の精錬ウランを保有している。原爆を作るのに
後一歩まで来ている。イランは核爆弾開発はしないと言うが、50ト
ン以上の原料と設備があるのに核開発をしないとは誰も信じない。

アメリカは数年来イランの核開発禁止を交渉してきたが合意はなか
った。オバマは三月末までにイランと核開発禁止条約を結びたい。
だからケリー国務長官がスイスでイラン側と交渉中である。

オバマがISISに弱腰な理由はISISの本拠地がシリア国内にあり、
イランがシリアを後押ししているからだ。シリア国内のISISを攻撃
すればイランとの関係がこじれる。だからオバマは出兵を渋り、た
とえ出兵してもイラク国内に止めると言う。シリア国内のISISを攻
撃しなければISISは消滅しない。

●実績のないノーベル賞

なぜオバマはこんなにもイランに対し弱腰で、ISISのキリスト教徒
の虐殺や日本人記者の首切りに無関心なのか。アメリカ国民だけで
なく世界中が不思議がっていたが、あるときハタと気がついた。オ
バマは実績のないノーベル賞を貰ったため懸命に実績を作ろうとし
ているのである。

2009年10月9日、ノルウェーのノーベル賞委員会はオバマの「核な
き世界」に向けた国際社会への働きかけを評価して2009年度のノー
ベル平和賞を与えた。口先だけの「核なき世界」の大法螺で賞を貰
っても今日に至るまで実績がない。オバマは任期の残る二年内にな
んとしてでも実績を作りたいのである。それだからケリー国務長官
は三月末までにイランと核禁止条約交渉を続けている。だからオバ
マは三月の合意達成まではイラク出兵、ISISのキリスト教徒虐殺な
どをすべて無視し、イラン側の要求を鵜呑みにしてでも条約を結び
たいのであろう。でもイランの言いなりになって条約を結んでも国
会が認可しなければ条約は発効しない。

世界平和のためではなく、オバマ個人のエゴを満足させるためイラ
ンやISISに弱腰になったと言ってもよい。個人のエゴを達成するた
めISISの非人道な斬首虐殺や焼殺も無視するのだ。

先週ニューヨークの元市長ジュリアーニ氏が、最近のオバマの弱腰
と無責任な発言について「オバマはアメリカを愛していないのだ」
と発言して話題にになったが、国民の大半は彼に同意している。

●アジア問題はどうなる

オバマの弱虫でアジア問題はどうなるだろうか。少なくともオバマ
の在任中は中国の覇権拡張に手が出ないだろう。アジア諸国が心配
すべきことは、オバマ政権が中東問題だけでなくアジア問題でも弱
腰だから、中国の覇権行動を抑えることが出来ず、そのうちに中国
がもっと強大になればアメリカのアジア撤退が始まるかもしれない。

中国はこの一年間に南シナ海のいくつかの島を埋め立てて滑走路を
作っている。アメリカは中国に抗議したことはない。もともとパラ
セルとスプラトリー群島は中国の領土ではないが、中国が勝手に領
土主権を主張して島々の要塞化を作り近隣諸国が迷惑してもアメリ
カは沈黙している。言うまでもなく要塞が出来上がってから中国に
抗議しても無駄である。

東アジアでは数ヶ月以来尖閣諸島付近で中国の漁船や監視船が勝手
に横行しているがアメリカは無関心である。第7艦隊のイージス艦
を尖閣諸島海域を監視していれば中国も勝手な行動は出来ないはず
だがアメリカの軍艦は黙視しているだけだ。

中国の目的は尖閣諸島を占領するのではなく、海域での勝手な行動
を常態化し、中国海軍の軍艦が太平洋に進出するための航行自由を
獲得することだ。中国海軍が自由に太平洋に進出するようになり、
尖閣周辺で勝手な行動を取れるようになったら日本と台湾にとって
は一大脅威だが、アメリカも防衛区域をハワイまで後退させなけれ
ばならない。

アメリカは頼りにならない。オバマの任期があと二年近くある状態
では、この期間にアメリカが中国に口先で抗議したところで中国は
返事さえしないだろう。

●いまこそPASEAを推進すべき

中国は勝手な行動を取りながら勝手に領土主権を主張し、「領土問題
は二国間で解決すべき」という。二国間解決とは横暴な国が弱小国
を無視して勝手に行動することである。

アジア諸国で中国と武力で戦うことが出来る国は日本しかない。と
ころが日本は憲法に縛られて自衛力を発揮できない。アメリカは口
先ばかりで中国の横暴な進出を傍観している。アジアの危機である。

二年前に私が提唱した東南ア平和聯盟(PASEA)を改めて推進すべき
時である。安倍首相もダイアモンド構想を発表している。日本国会
が自衛権法案を通すかもしれないが、通す前にフィリッピン、ベト
ナム、オーストラリアなどとアジア同盟を作るべきだ。

日本とアジア数カ国が先にアジア平和同盟を創れば近隣諸国の加盟
は簡単になる。アメリカをアジア平和連盟に入れれば、日本の出動
がなくてもアメリカに対しアジア諸国を中国の覇権拡張から守る
義務を要求できる。アメリカの発動を待つべきではない。アジア
平和同盟を推進するには日本がリーダーシップを発揮すべきである。

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