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AC通信 No.527

2015/01/27

[AC通信:No.527 Andy Chang (2015/01/26)
[AC論説] No.527 キューバと台湾の重要性

オバマがキューバと国交を回復すると発表したあと、国会に於ける
一般教書演説で50年も国交断絶していたキューバと国交を回復し
たと見得を切った。オバマは歴史的業績を残すためキューバ国交回
復を急いだとメディアは書いた。

ケネディ大統領は、1962年の対キューバ禁輸を発表する数時間前に
秘書に命じて1200本のキューバ葉巻を買った。オバマもキューバ葉
巻が欲しいから国交回復を急いだのかと皮肉を言う人もいる。今の
ところ国民の関心は薄いがそろそろ批判や反対論も出ている。

1月24日、Josh Gelernterという評論家がNational Review Online に
「キューバと台湾」と言う論文を寄せて、オバマがキューバに友好
的態度を示すなら台湾と国交回復したほうが価値があると書いた。
この論文は台湾人の間で大いに歓迎されている。だが国交を樹立す
るには台湾が国として認められるのが先決である。

●国交回復の価値、台湾

米国が中華民国と国交断絶したのは1978年である。国交を断絶した
カーターに対し、翌年4月に国会が台湾関係法(Taiwan Relations Act、
TRA)を作って1月1日発効とした。そのときから米国は中華民国を
認めないが「台湾統治当局」をタイワンと呼んで政経関係を維持す
る曖昧な関係となった。大使館ではなく美国在台協会(AIT、American 
Institute in Taiwan)と呼ぶオフィスを作った。アメリカは現状を
維持する政治団体が中華民国でも(中華民国を倒した)新政権でも
「統治当局」であれば構わない。

米国に対する政治、軍事、経済的価値は、キューバと台湾では比べ
物ならない、台湾のほうがはるかに重要である。しかしアメリカは
中国を国交を始め、中国の主張した「三つのノー」(台湾独立反対、
二つの中国もしくは一中一台に反対、台湾の国際組織への加入に反
対)に「承認しないが反対もしない」立場を維持している。つまり
米国は中国と対立することを避けている。

アメリカは「三つのノー」を認めないと言う立場を取ることが出来
るが、中国に対し強い立場を主張することを避けている。アメリカ
が対立を避ける原因は三つある。第一は中国が一つは中国が世界最
大の米国の国債保有国であること。中国が米国国債を放出すれば世
界的な経済戦争となり、被害を受けるのはアメリカだけではないし
どんな弊害が起きるかもわからない。第二にオバマは口先でアジア
回帰を唱えても実際には世界各地から兵力を撤退している事実。第
三にアメリカ国民の厭戦気分である。

つまり台湾はアメリカにとって経済的、政治的、軍事的に最重要で
あるにも拘らず、現状維持を続けることがオバマの政策だから、政
権交代が起きない限り「三つのノー」に反対してタイワンを国とし
て認めることはない。

台湾人はアメリカが独立を援助してくれることを願っているが、中
華民国の代わりになる台湾国がなければ米国が台湾国を認めること
はない。台湾国の樹立が先決である。

●国交回復の価値、キューバ

キューバと国交回復でアメリカが得る利益とは第一に米国国内のラ
テン系移民が民主党に好感をもち、2016年の大統領選挙で民主党に
投票する可能性が増えること、第二にオバマ就任以来冷え切ってい
る中南米諸国の反米感情を緩和すること、この二つである。

国交回復で得をするのはキューバの方で、アメリカの資本投入が自
由化されれば農業はもちろん、自動車産業やエレクトロニクス産業、
製衣業などが投資してキューバ経済は短期間に改善するだろう。但
し政治的にキューバは共産主義でロシアと中国の影響が強いから、
アメリカと政治政策上の衝突もありうるし、ロシアや中国がアメリ
カの資本主義的影響を黙視することもない。

●キューバと台湾の将来

アメリカに住むキューバ移民の大半はキューバから脱出した反カス
トロである。オバマがキューバと国交回復して彼らは困惑している。
キューバ移民が自由に故郷に帰ることが出来るのはよいが彼らは共
産キューバには絶対反対だ。長期的にみてキューバ政権がどのよう
に変わるかが彼らの態度を決めることになる。キューバ政権が共産
主義から資本主義に変身するには時間がかかる。

キューバが共産主義になったのはアメリカ資本がキューバ経済を左
右しアメリカ資本の覇権に反対したからであった。国交を回復して
もアメリカ覇権侵略を忘れたわけではない。しかし共産主義は失敗
であったのも事実だからキューバがどのように変わるかは賢明なリ
ーダーが必要だ。

中国は共産主義国家だったが、トウ小平が資本主義経済を導入しな
がら共産主義のレッテルを維持してきた。そして中国が金持ちにな
ると国内では汚職と恐ろしい環境汚染が起き、対外的に覇権拡張を
続け、世界各国が嫌悪する国になった。キューバは中国を「前車の
鑑」とするか、中国のように腐敗した国になるか。

台湾の将来はどうなるか。二ヶ月前の選挙で中国人を含めた台湾住
民は腐敗した国民党と中国の侵略に反対を表明した。台湾住民は中
国の覇権に反対し、統一主張は殆どなくなった。台湾は中国の領土
ではない、台湾と中国は違うという主張が明らかになったが、台湾
が独立国になるには中国の圧力と中華民国が邪魔である。

アメリカにとってはキューバよりも台湾問題が大切である。アメリ
カはキューバと国交回復したが台湾問題は放置したままである。第
二次世界大戦が終わってから70年経つ。アメリカは台湾問題を直視
すべきであったし、今からでも直視すべきである。

アメリカが今すぐに出来ること、それは中国の「三つのノー」に同
意しないと発表することである。中国の主張は台湾人の主張ではな
い、米国は同意しないと発表すれば台湾人独自の政権樹立を援助で
きるのである。

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