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AC通信 No.523

2014/12/26

[AC通信:No.523 Andy Chang (2014/12/25)
[AC論説] No.523 台湾関係法とキューバ関係法

オバマが国会に通報せずキューバと国交を回復すると発表したので
国会は大反発した。この状況は36年前の1978年にジミー・カータ
ーが国会に通報せず中国と国交回復した歴史と同じである。

アメリカのアジア政策は決して賢明ではなかったし、台湾政策では
中国の台湾侵略を抑える事ができなかった。キューバ政策で米国が
賢明な政策を取れるだろうか。

三権分立のアメリカでは行政の長官である大統領が国交回復を発表
しても、国際関係における米国の立場、外交官の行動規範、経済活
動の可否などは国会が法律を作って詳しく決めなければならない。
オバマが行政権を駆使して国交回復をしても国会がその後の処理を
しなければならない。行政と立法の関係悪化はオバマの責任だ。つ
まりオバマはキューバと国交回復の前に国会と相談すべきだったが、
オバマはカーターと同じく国会に相談しなかったから国会議員が憤
慨するのは当然である。

オバマは09年の大統領就任演説で「私はアメリカの歴史上最も透明
(Transparent)なホワイトハウスを目指す」と大見得を切ったが、
実際には米国の史上最悪の秘密とウソで塗り固めたオバマ・ホワイ
トハウスである。透明なオバマでなく不透明なオバマ、Opaque Obama
である。

カーターの場合は、彼が突然中国と国交を始めた際に記者会見で「台
湾はもう無くなった(There is no more Taiwan)」と言ったため、米
国と台湾の国際関係が宙に浮いてしまい、米台関係を維持するため
アメリカ国会は台湾関係法(Taiwan Relations Act:TRA)を創立し
たのであった。

オバマの突然なキューバ国交回復も同じように国会がキューバ関係
法(Cuba Relations Act:CRA)を創立しなければならない。新しい国
際関係が出来上がる前に、アメリカ、台湾とキューバと台湾の三方
面から歴史と将来の予想で見てみよう。

●中南米関係の改善を目指すアメリカ

アメリカとキューバの国交回復はアメリカの長年の課題だが、キュ
ーバは共産主義国家で反米の立場を続けてきたし、アメリカに亡命
したキューバ人もかなり多い。ベネズエラのウゴ・チャベスはブッ
シュ政権の頃から反米路線を主張し続け、その影響もあって中米諸
国ではアメリカに反感を持つ国も少なくない。特にキューバ、ニカ
ラグア、エクアドル、ボリビアとベネズエラは中国やロシア、イラ
ンとの関係を強化し、米国との関係は冷え切っている。

アメリカは1992年にカナダ、アメリカとメキシコとの間で北米自由
貿易協定(North American Free Trade Agreement :NAFTA)を結んだ
が、オバマ政権は中南米でこれと似たような貿易協定を結ぶ動きが
あったが、中米諸国は反米的で進展はなかった。キューバと国交回
復を始めた目的の一つはオバマの中南米諸国の反米的立場を改善す
る意図と見られる。

しかしオバマの国会無視はホワイトハウスと国会との関係が悪化し、
フロリダのキューバ亡命者の強い反対がある。国会に隠して国際関
係改善を進めれば国内の反発は当然の成り行きである。だから不透
明なオバマのキューバ建交は国内で難航するかもしれない。

●台湾関係と台米関係

米国がTRAを創立した理由の一つは台湾と米国の関係維持のため、
台湾が中国に併呑されないため、つまり政治と経済の両方面で台湾
を守ることにあった。つまりTRAの目的は三つある;
第一、中国と国交を回復した後は中華民国を承認せず、台湾との関
係を放棄しないで「統治当局:タイワン」とする曖昧な国交を続け
る。タイワン自衛のために必要な武器を提供する。
第二、台湾人民(外省人と台湾人を含む台湾に住む人民)の安全に
関心を持つが、人民自決、台湾独立には反対する。
第三、台湾の国際地位は現状を維持し、将来は平和的に解決すべき
である。米国は現状維持で出来るだけ介入を避ける。

多くの台湾人はアメリカが台湾人民の独立願望を援助すると思って
いるが、実際には中華民国の名前をタイワンと変えただけで経済政
治活動は変わっていない。台湾は米国の属領でもないが、米国は台
湾独立を支持せず、現状維持と平和的解決を強要する。つまり台湾
の未決地位の解決を極力避けているだけである。

2000年に陳水扁が中華民国の総統に当選したとき、アメリカは陳水
扁に「四不一没有:(独立宣言をせず、国名変更をせず、台中両国論
を憲法に加えず、統一独立の国民投票歯行わない、国家統一綱領と
国家統一委員会の廃止問題もない)」を押し付けた。

つまりアメリカの台湾関係法の目的は台湾が独立して中国の武力行
使とアジアの動乱を避けるのみで、台湾独立を支持しているのでは
ない。

米国の中国宥和政策は間違いであった。2012年の総統選挙ではダグ
ラス・パールを台湾に派遣して国民党の馬英九支持を表明し、明ら
かな干渉を行った。このため中国の経済侵略と馬英九政権の統一政
策で台湾の政治と経済状況は悪化した。

アメリカは台湾の国際的地位を未解決にし、現状維持を強要してい
るが、11月29日の九合一選挙で国民党が大敗し、国民党の敗退に
より台湾の現状は大きく変わった。アメリカはカーター、クリント
ン、オバマと、民主党政権は台湾および日本という中国に対抗する
上で重要なパートナーを軽視し中国や北朝鮮に卑屈な態度をとり続
けている。

独立願望の台湾人も多くの人が米国に甘い期待を持ち、米国は台湾
の占領権を持つ、台湾を米国の第51州にする、台湾名義で国連加
盟する、などの愚かな運動を続けるグループがある。米国はこんな
運動を支持しない。

●米国のキューバ建交で何が変わるか

キューバは50年も米国の経済封鎖で諸国に比べ経済発展が大幅に
遅れている。米国と国交回復すれば経済的に大きく発展するだろう。
しかしラウル・カストロが米国と国交を回復しても共産主義を棄て
ないと発表したとおり、キューバと近隣国は反米態度を改善するの
は難しい。

つまり国交回復で得をするのはキューバだが米国との政治関係改善
には長い時間がかかる。キューバと国交を始めるに当って、米国は
真っ先にキューバ関係法を創立しなければならない。この関係法の
内容によって双方の関係の発展ぶりが明らかになる。

キューバ関係法の制定はキューバだけでなく、中国やロシアも多大
の興味を持って研究し将来の中南米政策を決めるだろう。この半世
紀のあいだ、キューバはロシアに依存するところが大きかったし、
中国の参与もかなりあった。この状況を維持して米国と政治経済の
方面で合作を始めれば大きな政治闘争のドラマが繰り広げられるし、
日本や欧米諸国も十分に注意して見守る必要があるだろう。

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