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AC通信 No.519

2014/11/23

[AC通信:No.519 Andy Chang (2014/11/22)
[AC論説] No.519 台湾関係法の呪縛

今年は台湾関係法の成立から35周年目である。1978年にジミー・
カーターが国会を通さず一方的に(Unilaterally)中国と国交を開始
すると発表し、台湾は存在しなくなった(There is no more Taiwan)
と言ったため、国会は慌てて台湾関係法(Taiwan Relations Act: TRA)
を制定(1979年4月)し、1979年1月1日発効とした。この法律に
より米台関係が持続し、台湾の安全保障をするに至ったのである。

台湾関係法(TRA)の要点は三つある。(1)米国は中華民国と断交し
たが、台湾統治当局をタイワンと呼び、経済、外交関係を続ける。
(2)タイワンの主権、領土などの関係について現状維持を保障し、
台湾に危害が及ぶ時は米国が阻止する。安全保障のため台湾に武器
を提供する。(3)台湾問題は平和解決すべきである。

この三つの条件で現状維持を35年続けてきたのは、A:中国の台湾併
呑阻止、B:台湾独立に反対、C:台湾防衛に武器提供、ということで
あった。しかし35年が経過して中国が強大になり、台湾人民の独立
意識が高まって国民党政権が「統治当局」を維持していくことにも疑
問が出てきた。

TRAを変更することは難しい。クリントンは中国訪問のあと中台関
係を変える言動があったが国会が阻止した。また、中国は馬英九と
共に経済侵略で平和統一をする意図がある。台湾人は反統一、反中
国で、台湾意識が高まっている。

TRAの修正は不可避である。中国の尖閣や南シナ海における覇権進
出を防止するには第一防衛線の中央にある台湾が最重要である。中
国の進出を止める拠点は台湾である。台湾が中国に統一されればア
ジアの平和は総崩れとなる。

米国は「TRAの呪縛」にあって現状を変えることが出来ない。台湾
人は独立願望が強いが米国はTRAで反対している。中国の覇権進出
を抑えるには台湾が必要だが米国は台湾に軍事基地を設置できない。

●曖昧な台湾統治当局と正名制憲

アメリカが中華民国と断交したあと、台湾と経済外交などの関係を
維持するため、中華民国を「台湾統治当局(The Governing Authority 
in Taiwann )」と呼んで外交関係を続けた。2000年の総統選挙で陳
水扁が当選して台湾人の総統が選出されると、アメリカは「四不一
没有」の条件を陳総統に押し付けた。つまり、台湾統治当局は中華
民国で、国名変更をさせない、公民投票もやらない、などである。
陳総統は第二回目の当選のあと、公民投票をやると言い出してアメ
リカは陳総統をトラブルメーカーと呼ぶまでになった。アメリカは
台湾独立や国名変更をすれば中国が武力行使をするかも知れないと
心配したのである。

だが最近のヒマワリ革命や今回の市町村選挙で台湾意識が高揚し、
台湾と中国は二つの違う国という観念がアジア人の共通意識である
ことを無視するわけにいかない。

今回の九合一選挙では国民党の敗退が顕著となり、台湾人民は中国
と違うと主張しているので、2016年には台湾人が総統になる可能性
もある。2012年の選挙ではアメリカのダグラス・パールが非公式に
台湾を訪問して馬英九を支持した。台湾人はアメリカの選挙介入に
強い怒りを発した。2016年の選挙でアメリカが再び介入するのは難
しいが、可能性はある。

台湾人は選挙で政権を取り、国名変更と憲法改正、つまり正名制憲
を行うつもりである。中国は強硬に反対するだろうが、アメリカは
これまでのような介入は出来ないだろう。アメリカはアジア回帰を
唱えて中国を抑えているが、台湾人の独立意識を抑えるのは矛盾で
逆効果である。

●現状維持は継続できない

アメリカはTRAで現状維持をしてきたが、35年のあいだに中国は強
大になり、馬英九は統一路線を推進し、台湾人民は独立意識が高ま
っている。台湾のほかにも中国の覇権進出は明らかで、尖閣諸島を
防空識別圏に設定し、南シナ海の島々に建設を行っている。このよ
うな変化を無視して現状維持を続けるのはアメリカに不利である。

アメリカが台湾に現状維持を要求するより台湾当局と協定を結び、
台湾に海軍基地と空軍基地を設置するほうが中国を牽制する良策で
ある。もちろん中国はこれに大反対するが、台湾を戦略的防衛圏に
組み込むことが最良の選択である。このような変化を可能にするに
はTRA改定で呪縛を解くべきである。

●武器提供と安全確保

台湾人はTRAとはアメリカの国内法で、台湾の安全を守り、武器の
提供を明記していると思っているが、リチャード・ブッシュ元AIT
長官によるとそうでもない。武器の選択はアメリカが決める。安全
保障にしてもどこまでやるかはアメリカが決める。

アメリカは提供した武器がすぐに中国側に渡ることに大きな懸念を
抱いている。例えばアメリカの提供したF15戦闘機が3機も中国側
に逃亡したこともあった。ラファイエット事件ではフランスから買
った軍艦の武器一切を中国側に渡したため、フランスのTAVITACと
呼ぶ監視システムが中国のものとなった。台湾側がTAVITACを使え
ば情報はすべて中国側に知れるのでシステムが使えなくなった。中
国人は信用できない。

これらの事件のあと、米国はイージス・システムを台湾に売却する
ことを拒み、台湾の4隻のイージス艦は租借と言う形で米国が操作
し、イージス艦のマストには米国の旗を掲げている。

台湾側は潜水艦の売却を要求しているがアメリカは潜水艦の機密が
中国側に漏洩することを恐れて許可しない。

●TRAの改定と中華民国

TRAは中華民国を温存して現状を維持し、台湾独立に反対する法律
であった。このため中華民国が経済合作で中国に接近してもアメリ
カは反対できない。腐敗した中華民国を温存して台湾独立を抑えれ
ば台湾という戦略的基地を使用できない。

35年前の中国は脅威ではなかった。35年前の台湾は戦力があった。
しかし35年後の現在では中国が強大となり、台湾の戦力は形骸化し
て防衛力は殆どなく、米国がTRAに従って台湾を防衛するのは難し
くなった。

これを改善するには米国が台湾人の政権を支持し、台湾を東亜防衛
権の一環とし、台湾の防衛力を増強すべきである。在台中国人が中
国側に寝返ることを防ぐべきである。アメリカは台湾に台湾人政権
が出来てこそ東亜の平和が達成できると知るべきである

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