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AC通信 No.498

2014/05/23

[AC通信:No.498 Andy Chang (2014/05/22)
[AC論説] No.498 ヒマワリ学運と台湾の将来

昨5月21日、ヒマワリ学運の代表は今後の行動を「島国前進」と命
名し25日から台湾南部の高雄より出発して北上し、5回から7回の、
「島嶼天光、人民行動」(島の夜明けだ、人民行動)と呼ぶ巡回講演
会を行うと発表した。

「島国前進」の主張は以下の4ヶ条である:
1.サービス貿易協定に反対、勝手な再度の批准を防ぐ。
2.政府の「自由貿易区条例」を厳しく審査し有害条文を省く。
3.「監督法」を法制化し、人権の保障、情報の公開、政府の義務、
国会の監督などの五大原則を厳守する。
4.公民憲政会議を開催し、経済貿易国是会議を拒絶する。

これにより島国前進(ヒマワリ学運)の目標がより明確になった。
学生たちの主張は、人民が政府を監督し、政府の勝手な政策実施、
特に対中貿易に於ける黒箱作業(秘密交渉)を禁止することである。

●島国前進の理想は人民の政府を作ること

学生運動が人民の支持を得て島国前進の目標が明確になった。学生
たちの理想は人民が政府を監督し、「人民の政府」を達成することと
言ってもよい。人民行動は簡単に言って「ノンポリの理想」である。
つまり:
(1)国民党でも民進党でもない、政党を作らない
(2)台湾人、中国人の種族・血縁問題もない人民が主体
(3)台湾住民の国を作り、人民が政府を監督する
(4)台湾は中国ではない。台湾人の国を創る。

この理想は従来の台湾独立、政党対立、種族問題などとは違う、
人民の要求に沿った政府を作ることにある。台湾人民はこれまで中
華民国の暴政に苦しめられ、国民党政権の勝手な政策で従来の反共
抗俄、反攻大陸からいつの間にか勝手に統一を進めるようになり、
台湾独立は禁止された。

新しい独立運動は、中国の台湾併呑に反対、中国人主体の台湾統治
に反対、権力主義に反対など、従来の独立主張ではなく、種族問題、
政党闘争、政治家の利権分配などを排除した運動となった。つまり、
台湾に住む、台湾人民の台湾政府を作ること、つまりリンカーンの
「Government of the people, by the people, for the people」を理想
とする政府を創ると主張しているのである。

●島国前進の最大の成果

ヒマワリ学運(島国前進)が成功して、人民が政府を監督する運動
は中国人も台湾人も含めた多くの人民の賛同を得て大きな人民運動
になった。台湾人も、在台中国人も運動に参加して独裁政府に反対、
中国の併呑反対の運動となり、学生が呼びかけたら50万人の大規模
なデモが起こり、平和なデモで世界を驚かせた。

学生運動の最大の成果は中国が推進してきた台湾併呑計画を挫折さ
せたことである。

江沢民時代は4000基のミサイルを台湾の向けた「武力恫喝」政策を
取ったがアメリカの台湾関係法があり、成功しなかった。次に胡錦
濤時代は武力よりも金で台湾を買う方が安上がりだから「台湾を買
う」経済侵略を始めた。そして習近平時代になると、台湾の「政治
家買収」政策をとって国民党の中国化、民進党の国民党化を推進し
た。この政策で馬英九は陰に陽に中国の押し付けた政策を推進し、
民進党は「独立放棄、親中政策」を取るようになった。

馬英九は人民の意志を無視して不意打ち(つまり密室作業)で
ECFA(経済合作枠組み)、サービス貿易協定、物資貿易協定など、中
国の台湾侵略を加速させたが、今回の学生運動で人民の大反対が起
きた。つまり台湾人の反中国、反統一が明らかになったので中国の
台湾併呑計画は頓挫したのである。

●アメリカ及び諸外国の反応

アメリカは一貫して現状維持を主張し、「平和な解決」を要求し続け
てきたが、この曖昧政策は「米国覇権の衰弱死」である。アメリカ
はこれまでの世界各地で起きた人民運動が流血となり、動乱が起き
るとアメリカの救援を呼びかけるため困惑してきた経緯がある。

だがヒマワリ学運が平和な民主自由運動だったとわかり、アメリカ
は傍観するだけである。諸国も同様である。平和な運動で流血事件
さえなければアメリカは人権と民主と自由を支持する。問題は中国
の態度である。中国はこれまでの併呑計画が頓挫したため、次の手
段を考慮している最中と思われる。

●ノンポリと台湾の将来

数年前まで私は、革命は必ずしも流血とは限らない、人民が蜂起す
ればよい、警察と対決するのでなく、警察を避ける各地転戦で平和
なデモをすればよいと講演してきた。今回の学生運動はそれを実現
させたと言えるが、これで政府が人民の主張を聞くようになるかと
いうと中国人はそんなに甘くはない。

ヒマワリ学運は多くの台湾人の希望に火をつけたので、人々は学生
たちに期待をかけている。私が悲観し過ぎるかもしれないが、世直
し大明神とか、水戸黄門、中国の包青天のような人物が出てきても
政治が改善した事はないと歴史は教えてくれる。ヒマワリ学運は中
華民国政府を倒すのではなく、政府を監督して人民の意見に沿った
政府に作り変える理想である。果たしてそれが可能だろうか。

従来の独裁政府や汚職にまみれた官僚たちを誠実で汚職のない理想
的な政府に改造することが出来るか。新政府を創っても新政府の運
行は困難である。エジプトやリビアの現状を見ればわかる。

2000年に陳水扁が当選した時は多くの人が清潔な台湾人政府が出来
ると話し合って大いに期待したが、中華民国政府は中国人の統治が
長く、8年の陳水扁政権は反対勢力に苦しめられた。2008年に馬英
九が当選すると陳水扁は直ちに無実の罪で牢獄に繋がれた。

このような独裁汚職政権を島国前進、学生たちの努力と人民の支持
で改革できるだろうか。今はただ学生運動が新しい希望を台湾に齎
したことを慶賀し、汚職のない理想的な民主国家が誕生することを
祈るばかりである。

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