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AC通信 No.497

2014/05/16

[AC通信:No.497 Andy Chang (2014/05/15)
[AC論説] No.497 オバマのアジア訪問の評価

シンガポールの新聞The Straits Timesが5月3日のOpinion欄にオ
バマのアジア訪問に関する評論を二つ掲載した。

第一の論文は新聞社の要請により書かれたオーストラリア国立大学
の戦略政策研究所のHugh White教授の“Bold Move on US pivot 
promise”と題する論文、第二はシンガポールのSoutheast Asian 
Studies研究所のフェロー、Malcom Cook氏の“US needs stronger 
economic rebalance towards Asia”と題する論文である。

●White教授:オバマのアジア訪問に懐疑的

オバマのアジア訪問は、2011年に発表したアジア・ピボットが単な
る口約束に過ぎないと疑問視されていたので、アジア訪問はアジア
におけるアメリカのリーダーシップを見せつけるためであったと
White教授は説く。アメリカの力を示すため尖閣問題は日米安保の
範囲内であると述べ、TPPの早期締結を要請した。

オバマはシリアやウクライナ問題などでも口先ばかりで何も出来な
かったが、アジア・ピボットを宣言しても実際には何もしなかった
と見られている。アメリカは後退を続けている。ピボットとは政治
力(Power)と経済(TPP)の両方だが、TPPはトラブル続きでアメリ
カ国会でも疑問視されている。オバマはアジア訪問でアメリカの政
治力を強調しTPPの早期締結を要請した。

問題は中国がオバマのアジア訪問でどう反応するかである。アメリ
カのアジア回帰の表明で中国が簡単に引き下がるはずはないが、そ
うなるとオバマのブラフ(はったり)は逆効果となってアメリカの
威信が傷つくだけではないか、とWhite教授は懐疑的である。

中国が動けばアメリカはどうするか、経済的にも余裕はないし、軍
事対決もできないならオバマのアジア訪問はかえって事態の悪化を
招いただけではないのか。

結論としてアメリカがアジアに居残るなら中国と対決するか、中国
と威力(パワー)を分け合うかの二者択一であるとWhite教授は従
来の持論を主張している。アメリカが中国とパワーを分け合うこと
は彼の持論である。

●Cook:経済リバランスが最も重要である

マルコム・クック氏はシンガポールの東南アジア政策研究所のフェ
ロー(特別研究員)である。彼はオバマがアジア4国を訪問したこ
とはパワー、つまり軍事力と経済力のの再調整(Rebalance)であっ
たと主張する。オバマは日本、韓国と訪問したあとアメリカ大統領
として初めてのマレーシアとフィリッピンを訪問し、特に重要なの
は最近の中国と北朝鮮の圧力に対しアメリカがアジアの重要パート
ナーであることを明確にした。日本にとって最重要な尖閣諸島が日
米安保の範囲内であると確言したが、尖閣の帰属については発言を
避けた。フ

フィリッピン訪問では最近の西フィリッピン海域に於ける中国の進
出につき、フィリッピンとの共同防衛強化協定(Enhanced Defense 
Cooperation Agreement)を結び、1992年に撤退したアメリカ軍事施
設の再開に同意した。これは2011年にオーストラリアに2500名の
海兵隊駐屯させ、2012年のシンガポールに軍艦の駐留を約束したこ
とに続くアジア進出を示すものである。

しかしTPPの締結については訪問した4カ国間で進展はなかった。
その結果、三つの問題が未解決となった。(1)アメリカは一般にア
ジアの防衛者と思われているがまだ不完全である。(2)もしもアメ
リカとEUの経済パートナーシップが進展すればアメリカはアジア
よりEUを重要視するかもしれない。(3)TPPの締結が難渋すれば
アジア諸国はアメリカよりもアジアベースの経済パートナーシップ
(Asean-based Regional Comprehensive Economic Partnership、RCEP)、
つまりアメリカ抜きで中国を含むアジア諸国の経済協定が進展する
かもしれない。アメリカが欧州重視に傾けばアジア諸国はアメリカ
の巨大マーケットを捨ててアジア内(中国マーケット?)の経済に
傾くかもしれないと彼は予測する。

●覇権の共有はありえない

White教授はアメリカが中国と政治力を分け合うことを主張し、既
に"China Choice: Why We Should Share Power"と言う本を出版してい
る。覇権国が覇権を分け合うなどおかしな話で、「友愛の海」と同じ
くルーピーな考えで、こんな人が政策研究所の教授と言うのもおか
しな話だ。中国の覇権とはアメリカがアジアから撤退するまで続き、
太平洋に進出することである。

オバマのアジア訪問のあと中国はパラセル諸島のベトナム中部沖
221キロの地点で石油掘削を始め、ベトナムが60隻の軍艦を派遣し
て抗議したところ中国も80隻を派遣して対抗した。また、中国はス
ラトリー諸島のジョンソン南礁でも滑走路を構築していると発表さ
れている。いずれも中国がオバマ訪問のアジア・ピボットに対抗し
て覇権侵略を増長させたと思える。だが中国がアジア諸国と敵対行
為を高めたので、Cook氏の書いたRCEPつまりアジア諸国との経済合
作は不可能となった。

●アメリカの取る道は限られている

ケリー国務長官は中国の王毅外相をの電話会談で南シナ海における
中国の行為を「挑発的だ」と批判し、国際法に基づいて解決するよ
う求めた。中国は意図的にアメリカの恫喝に対抗したのだから電話
で抗議しても収まるはずがない。中国はアメリカが軍事行動を取れ
ないと見ている。アメリカに残る道は経済封鎖しかないが、諸国の
合作が必要であるうえ、輸入国アメリカも大きな損害をうける。

●今こそPASEAを推進すべき

アメリカが中国と争って軍事行動を取る事はありえないが、中国の
侵略を無視するわけにもいかない。中国とベトナム、フィリッピン
の関係が決定的に悪化したので、Cook氏の論文にある、中国に有利
なASEANベースのアジア経済圏(RCEP)は不可能となった。

アメリカが単独行動を取れず、中国と諸国の関係が極度に悪化した
今こそ私が三年来の持論、東南アジア平和聯盟(PASEA)を結んでア
メリカと共に中国の侵略を封じ込めるチャンスである。PASEAでア
メリカはアジアの重要パートナーとなり、中国の侵略をストップす
ることが出来る。

しかし最も大切なことはPASEAを作ることでこれまで未解決だった
台湾澎湖、南シナ海、尖閣諸島、北方領土などの領土問題を一挙に
解決する絶好のチャンスである。PASEAを推進することはアメリカ
を助けるだけでなく東亜の永久平和を推進することである。そして
これを推進できるのは日本を置いて他はない。

誰でもよいから安倍首相にPASEA構想を伝えて欲しい。半時間でも
よいから私に安倍首相と会談する機会、または日本でPASEAの講演
をする機会を与えてくれるなら喜んで飛んで行くつもりである。

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