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AC通信 No. 379

2011/12/31

[AC通信:No.379]Andy Chang (2011/12/31)
[AC論説] No.379 独裁に対する恐怖心

今年もいよいよ終わりとなった。読者の皆様、来年はよき年であり
ますよう。

シンガポールでクリスマスを迎えて、年を越すと台湾へ行き、総統
と立法委員の選挙を見てからアメリカに戻る。

●金正日の死と葬儀

年末に金正日が死んで、葬儀の状況が世界中を駆け回ったので読者
はみな知っていると思うが、ある人間が死んで国中の何千万と言う
国民がぎゅう詰めになって泣き叫んでいる映像が流された。国民の
全部が指導者の死を悼むのはわかるが、みんな大声で泣き喚き、こ
の世の終わりになったようにも見えても新しい指導者の出現を喜び
歓迎する映像は見られず、指導者が死んでしまったらこの国は滅ん
でしまうのではないかとさえ思わせる演出はどうにもいただけない。
年を越したあと、偉大なる後継者を歓迎する盛大な儀式で何千万と
言う国民が再び国旗を振りかざして偉大なる指導者を褒めるように
なっても空々しいだけである。

このような儀式が国民全体の演出であるのは確かだが、全国民が泣
き叫ぶ様子を演じなければいけない、演出が悪かったらどこかで特
務スパイが見ていて、演出が悪い人間に害を及ぼす恐れがあるから、
嘘とわかっていても一人ひとりがとんでもない演出をしなければな
らない。滑稽と同時に恐ろしいことだ。

国民一人ひとりが、ぎゅう詰めになった民衆の中に居ても、誰かの
監視を恐れると言うことは大変なことだ。監視されているという恐
怖心がいつでもある、家族や兄弟親戚に対しても警戒心を解いては
ならない、この世で老若男女、父母兄弟、誰も信じてはならない独
裁国の恐ろしさを世界に見せ付けてくれたのである。

北朝鮮だけではなく、アメリカに移住した北朝鮮の人民も同じよう
に自由の国アメリカにおいてもなお恐怖心から真実を喋ることが出
来ない人が居る。

ロスアンジェルス・タイムスの報道によると北朝鮮から移民した人
たちの中でも金正日の死に対して、心から独裁国家に対する批判や
金正日の死に喜びを表わすことをしない人が居ることを書いていた。
韓国人の多く住むロスのある地区で取材した記者に対し、「金正日が
独裁者だったとしても、指導者の死を喜ぶのはいけないことだ」と
言うものがいたし、ある人は「金正日の悪口を言うのは、故国の批
判をすることだ。どんなに悪くても故国を批判してはならない」と
息巻いた人も居たという。この人たちはたとえ発言の自由があるア
メリカに住むようになっても未だに北朝鮮に残った親戚友人が彼ら
の発言でひどい目にあうかもしれないと言う恐れから心にもないこ
とを言わざるを得ないとしたら実に恐ろしいことである。

●独裁国家の恐ろしさと台湾の真実

このことから考えられるのは北朝鮮のほかにも独裁国家があり、こ
んな国では公民の真の声を聞くことは非常に難しいと思う。中国人
の話から彼らの真実の声を聞くことは出来ないだろうし、真の台湾
人の声も聞くことは出来ないだろう。

私は台湾でいろいろな人に会うが、本当に心を許して真実を喋って
くれる人は多くはない。同じ台湾人で独立建国を叫んでいる人たち
でも中華民国を支持して体制内改革を主張する人も居るし、中華民
国体制をつぶすには革命しかないと主張する人の中でも現政権に抗
議して改革を主張する人もいるし、現政権を倒す革命と言えば流血
と暴動を示唆する人間だとレッテルを貼れてしまうから要注意であ
る。

チュニジアの人民蜂起で政権を倒した無血革命が台湾では通用しな
いのは仲間の中に流血に反対、革命反対を主張する人間がいて、国
民党のスパイが仲間内の離反を画策している疑いもあって、体制外
派の人間でもなかなか信用できない。

一般民衆に至っては現状維持という不満足な状態から抜け出す決心
がつかない人が大多数である。ある商売人は中国と仲良くしなけれ
ばならないと言う。中国の悪口を言えば中国に密告されて中国にあ
る会社に悪い影響を与えるかもしれないからだろうか。

ある人は中華民国政府も国民党も台湾人が大多数だから、中華民国
が悪いのは台湾人が悪いのだとひねくれた発言をした。悪いのは中
国人のせいではなく台湾人のせいだと言う捻じ曲げた理由を堂々と
述べる人は、友人のなかに国民党のスパイがいる、またはどこかで
盗聴されている恐れから本当のことを喋れば密告されるのを恐れる
のかもしれない。或いはこの男は国民党の利権に預かって台湾が中
国に併呑されることを許容する人でもある。

これが台湾の実情であるとわかれば台湾に自由があるとは到底考え
られない。日本やアメリカの記者が台湾に来て取材してもどこまで
真実を知ることが出来るのか甚だ疑問に思う。

●選挙と賭博

台湾の選挙投票日が近くなるにつれて、新聞では選挙賭博の消息が
おおっぴらに出るようになった。誰が勝つか,何万票の差で勝つか、
などが博打の方法らしい。台湾の博打は競馬みたいなものであると
いえばそうだが、台湾の選挙博打には政府が絡んでいて、馬英九が
勝つような情報を流せば馬英九が勝つほうに賭けるものが多数出て
くる。もちろん自分が賭けたほうに投票するのは当然だから、選挙
に博打が絡むのは政府の資金が暗黒社会に渡って馬英九が有利な情
報をどんどん流す。これが毎回の選挙のことだが、台湾人は博打が
お好きだから博打の情報が選挙に大きな影響を及ぼすことになる。
政府系の新聞も毎日のように馬英九有利とか、馬英九が何パーセン
ト有利と言った情報を報道する。このような不正選挙が台湾の民主
の実情だが、多くの人はイカサマ選挙でも政権をとればすべてよく
なると思い込んでいる。たとえ台湾人候補の蔡英文が総統に当選し
ても立法院で過半数を取れなかったらレームダック総統である。

前の台湾人総統、陳水扁は無実の罪で無期徒刑で起訴され、最終的
に公金横領の証拠が得られず、ロビー献金を受けたことと違法国外
送金で18年の刑期に服しているこのロビー活動献金は証人がみん
な国民党の圧力を受けて嘘の証言をしたと述べたが、最高裁判所で
係争中だが、最高裁は正義の裁判をするとは限らない。

陳水扁の監禁は国民党の復讐であるのが明白であるにも拘らず、民
進党や多くの台湾人は陳水扁が汚職を信じ、民進党はまるで陳水扁
が疫病神であるかのように忌み嫌って無実を晴らそうとしない。

それだけでなく、国民党は民進党に対し、陳水扁がまるで民進党の
「原罪」のように宣伝し、民進党が汚職の集団だと言いふらしてい
るが、民進党も情けないことに汚辱に反論できない。国民党政権の
司法がどれほど違法、無法な裁判をしても民進党は司法の横暴に対
抗する手段を講じない。

独裁とは権力の無法行為のことで、権力のどんなに横暴でもまかり
通ることだ。つまり、独裁とは人民無視の無法である。独裁を倒す
には人民が権力に逆らって権力を倒し、法と秩序(Law and Order)
を徹底させることである。これは北朝鮮だけでなく、台湾、中国、
リビア、シリア、どこでも同じである。

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皆様、よき新年をお迎えになりますよう。
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