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AC通信 No.261

2008/12/29

[AC通信:No.261]Andy Chang (2008/12/28)
[AC論説] No. 261 独立は各々の心から始まる

台湾人は中国人に対して卑屈である。卑屈だから独立を達成できない。
このことを考えていたら、この言葉には汎用性があることに気が付いた。
日本は米国に対して卑屈である。
国民は「お上」に対して卑屈である。
総じて言えば、人間は権力に対して卑屈である。
原因はどこにあるのかと考えた。
人々の依頼心が強く、独立心がないからである。

●敗北の後遺症

人間は敗北に弱い。敗北の後遺症が長引き、なかなか抜け出せない。台湾人
は228事件で多くの精英、指導者を失った。その後の白色恐怖、特務の監視
で人々は思考力を失い、卑屈になり、蒋系中国人に逆らえなくなった。

民主国家といいながら独裁権力に刃向かう気持ちが薄い。大多数の台湾人が
住む台湾で多くの台湾人が国民党に投票し、独裁に反対しない。民間でいく
ら苦情を述べてもみんなガス抜きに終わっている。

日本人も戦争に負けた後遺症から抜け出しているとはいえない。憲法9条を改
正すると言えばすぐに反対者が出てくる。自衛隊がありながら自国の防衛、例
えば中国の艦船が尖閣諸島に侵入しても防衛できない。世界でアメリカに次ぐ
経済力を持ちながらアメリカや諸国に影響力を発揮出来ない。日本は国連に
大きな貢献をしながら影響力は小国なみである。

● 負け犬症候群

このような国民全体に存在する「負け犬症候群」とはつまり各々の独立精神の
欠如と依存症にある。自分で物事を考え、決定することをせず、他人に頼りた
がる、責任感の欠如である。役人は上司の言いなりになり、サラリーマンはマ
ネジャーに反対できない。

政治家は政党に依存するだけだから指導者は生まれない。各国で指導者の
不在が言われているが、政治家は政党に頼らなければ昇進しないから、どうし
ても政党に寄りかかってしまう。今の台湾や日本の政治家は政党に加入し、派
閥に参加し、年功序列で昇進する。独自の政見を持つことさえ出来ない政治
家は指導者になれない。

●学問は自己のためである

教育にも問題がある。教育の失敗はどの国でも指摘されるが、国民教育がよく
なった話は聞かない。愛国心の欠如は教育の失敗である。国を愛する心がな
く、社会を愛する教育がないのは世界的な風潮である。

現今の教育は知識を教え、金を儲けて自分の生活をよくすることだけである。
自分自身のために知識を獲得し、金儲けに精出す。このような社会人が増え
ても社会はよくならない。学識が高く専門知識が深いが、専門以外のことに無
知な人が増えている。つまり知識があっても教養のない人間が多いのである。
若者たちの学力低下、行儀の悪さが問題視されて久しいが、一向に改善され
ないのは、為政者の責任でもあるが、教師の素質が悪いことにも起因するとこ
ろが多いと思う。

学問とは自己の知識を増すだけでなく、個人の教養を養うことである。今の教
育制度は知識の詰め込みが出来ても自発的な思想、それも社会、国家、世界
に及ぶ思想が生まれるような教育がされていない。従って若者は、学問とは成
人した後、学校を卒業した後の就職の助けになる知識と技術の育成だけと思
い、自分本位でしか物事を考えなくなる。

●野草苺学連運動にスパイ

こうした独自思考力のない群衆をメディアや噂話、宣伝などで思想コントロ
ールするのはたやすいこと、しかもそれを糾すことは困難である。

よい例が民進党の本質を転換させた国民党の陰謀である。民進党は成立当
時の党是として、台湾独立を優先していた。ところが数年前に元国民党系の人
間が民進党に入り込んで新潮流派を形成し、多数派となっていつの間にか独
立をしないことを党是とする180度の転換を遂げてしまった。その後の民進党
は何度かの選挙で中間路線を主張して敗北を喫していながら、中間路線を捨
てない。中間路線とは国民党に対する降参路線である。民進党員が洗脳され
て変質してしまったのだ。

馬英九政府が急速に中国接近を始めると、民間で中国に併呑される危機感
が高まり、若者が野草苺学連運動を始めた。彼らは民進党の堕落に反感を持
ち、政治家をシャットアウトするような言動も見られた。しかし若者たちが
求めるものは「馬英九に抗議」する、無益な運動である。若者たちも国民党
に洗脳されているのだ。

グループの意見が纏まらないだけでなく、国民党のスパイが入り込んで、判断
力の欠如した若者たちに国民党との妥協を教える動きがある。つまり、若者た
ちが民進党の政治家に失望して「政治を敬遠」している間に国民党がスパイを
入れて「若者たちの代わりに政治をやっている」のである。

野草苺学連運動の若者に対し、革命の恐怖を植えつける言論が出てきた。中
華民国に反対させない、中国の圧力を過大視する、流血の恐ろしさを過大宣
伝し革命に反対する言論が出てきたのである。

馬英九政権には多くの問題があり、国民党政権を倒さなければ台湾は中国化
していく傾向にあり、台湾の危機となる。しかしいまでも民進党政治家は独立
を主張せず、中華民国の制度で選挙に勝つことを夢想している。国民党を倒
すことが台湾人の使命だが、これは革命にほかならない。革命を拒否する言
論は国民党の洗脳、スパイの宣伝である。

●民主主義とは政府に頼ることではない

民主主義とは政府の方針に頼ることではない。人民が国家の政策に関与でき
ることである。民衆の意見が通らなければ政府は民衆から見放され、改革を主
張する指導者の出現が政府を変える。国民党が存在する限り台湾人は奴隷
扱いされる。国民が中華民国に頼るのを止めて台湾建国に総力を集中しなけ
れば台湾は救われない。

国民が政府や政党に頼らず、政治改革に参与するには国民の独立した思考
力が大切である。日本の政治は小選挙区制度が施行されてから地方の小粒
政治家が当選し、国家全体の視野で政治をやる人物がいなくなった。しかも政
党に頼らなければ当選できない制度で「世界の中の日本」を優先して考える政
党家はいないから、日本の政治は国際性を失い、地方化してしまった。

オバマがチェンジを主張して民衆の支持を得たのは民衆が政府の方針に不
満だからである。しかし、当選後のオバマは黒人やヒスパニック、ユダヤ人な
どを起用することにあまりにも大きな比重をかけ、閣僚の能力を軽く見すぎ
ている嫌いがある。オバマは人種を平等に扱っているとは思えないが、これが
どのような批判を受けるかは長期的な目でみるべきだろう。

●独自の思考力

卑屈にならないためには国民の独立心、または独自の思考力を養う社会教育
が必要である。これは孔子が大学で教えたように、「正心修身斉家治国平天
下」で真っ先にやるべきことは己の心を正す事で、国民の各々が独立思考の
能力を身につけることである。

国民がメディアに洗脳されるのは国民全体の独立思考力がないためである。
国民党メデイアが陳水扁を罪に落すため毎日毎日ありとあらゆるウソの報道を
して、それを信じてしまう国民は独自の思考力がないからである。

しかも陳水扁の断罪がほぼ完成したと見れば国民党はすぐに李登輝の断罪
陰謀をたくらんでいる。陳水扁の断罪のために幾多の元閣僚が拘留され、陳
水扁に不利は証言を強要されているが、この後で李登輝の断罪が始まれば更
に多くの台湾人が拘留され断罪される。そして台湾は滅びる。

国民全体に孔子の教えが普及すれば国は栄えるが、中華民国を倒すのが目
的であるのに中華民国の選挙に頼るのはバカな話である。国に頼るのではな
く、各々の独立心を育成し、皆で台湾建国に努力すべきである。

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創刊日:2001-12-18  
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  • 名無しさん2008/12/29

    まともな意見です。もっと国民に周知徹底させたいものです。

    今後の活躍を期待します。