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AC通信 No. 222

2008/01/08

[AC通信:No.222] (2008/01/06)
[AC論説]No. 222 プラセボ民主国家

プラセボとは「偽薬」のこと、つまり薬名があって薬効の成分を含んで
いないニセモノである。台湾は民主国家としての人民、領土、国家制度
がありながらその効力が認められない。

台湾がプラセボ民主国家である「理由」は何処にあるか?理由は中国人
にある。毛系中国人と蒋系中国人の妨害で台湾は今でも独立国家として
認められない。中国の台湾領土占有宣言で台湾が独立できないからであ
る。次にアメリカや日本などの諸外国が中国に反対を表明しないからで
ある。中でもアメリカが62年も台湾の国際的地位を故意にアイマイに
して、台湾政府の独立に向けた努力を妨害するからである。

それでは台湾が独立国家として存在できない「責任」はどこにあるのか?
民進党政権にある。その次に台湾人民にある。反対や妨害は別として、
政府と人民の努力が足りないのである。台湾人は責任を他人になすりつ
ける、解放してくれるのを期待する奴隷根性がある。人民は政府に頼る、
そして政府は外国に頼る。自分の努力が足りないことを言わず、他人の
所為にするのは卑怯、怠惰である。自分で努力しなければ他人は助けて
くれない。しかも奴隷根性を持つものは自覚がないから決起しない。

●台湾は中国の領土ではない

「台湾は中国の領土ではない、中華民国も台湾国も存在しない、台湾の
国際的地位は未解決である」とはアメリカの国家安全会議(NSC)の東南
アジア局長、デニス・ワイルダーが言った言葉である。ニクソン時代にア
メリカは「中国の三つのノーを理解する」と声明したが、これを受けて
日本も「三つのノーを理解し、尊重する」と言う声明を出し、世界各国
もこれに類似した声明を出している。これはどういうことかというと、
中国が台湾の領土権を主張し、各国はこれに賛成も反対もしないという
態度をとっていること、つまりアメリカの曖昧政策に諸国が追従して中
国に反対も賛成もしないのである。

しかし、外国がどういう立場をとろうと、台湾には領土があり、人民が
あり、政府、民主選挙の制度がある。つまり国家としての形態は備えて
いるが外国が承認していないだけのことである。それなら台湾政府と人
民は「三つのノー」に反対する「台湾側の声明」を出すべきである。ア
メリカは台湾政府に対し、台湾海峡の平和を乱すような行動を取らない
よう厳重に監視しているが、これは甚だしい国家干渉である。少なくと
も台湾が国家として機能しているのなら、国交のあるなしに拘らず、世
界に向けて「台湾人の人権声明」を出すべきである。これまで台湾政府
がこれに類似した声明を出さなかったことは民進党政府の怠慢である。

以下は私個人が書いた声明の草稿だが、これには中国、アメリカなど国
の名前を挙げず、諸国や国際組織が頭越しに台湾問題を云々することに
反対する声明である:

「われわれ、二千三百万の台湾人民は、世界の如何なる国または国際組
織が、台湾の将来についての国際間討議において、台湾人民の意思を無
視または尊重せざる決断を下せないことを宣言する。台湾人民の意思を
考慮せざる台湾の将来に対する討議は、二千三百万人の台湾人民の人権
を無視する非人道なる行為であり、民主主義の原則に対する許せざる違
反である。」

We, twenty-three million Taiwanese people, declare that no country or 
international organization shall make any decision in the discussion of the 
future of Taiwan without consulting and respecting the Taiwanese 
people’s will.  Any international discussion about Taiwan’s future without 
the Taiwanese people’s opinion is a grave violation of human rights; such 
an act is an inexcusable violation of the democratic principle.

「我們兩千三百萬的台灣人民宣佈:任何國家、或國際組識都不能忽略與
不尊重台灣人民的意志下做出任何有關台灣將來的決定。忽視台灣人民的
意志下做出的任何有關台灣將來的討論、就是忽視兩千三百萬台灣人民的
人權的不可!)恕的行為。這種非人道的行為、就是違反民主主義原則」

この声明書は国家の声明としても、民間団体の声明書として発表しても
構わない。国交のない国々でも台湾人民の声明として各国の新聞に掲載
することが出来る。

●「台湾住民自決に不支持」と言う権利はない

民進党が早くから以上のような声明を出していればアメリカは言うに及
ばず、どの国も台湾問題に干渉することが出来なかったはずである。こ
れまで中国の一方的な「三つのノー」声明を各国が理解するとか、尊重
するといっていながら、台湾側の声明は一切なかった、そして台湾人の
意思を理解し、台湾人民の人権を尊重する、と声明した国はなかったの
である。

この声明を発表すればアメリカは「台湾の住民自決は不支持」などとい
う中国に対するオベッカ声明が恥ずかしくなるだろう。アメリカが本当
に正義の国、民主を尊重する国であるなら、中国が1300基のミサイルの
照準を台湾に向けていることを譴責すべきなのである。アメリカがやっ
ていることは「強い者にオベッカを使い、弱い者を苛める」態度に他な
らない。

しかしアメリカの態度は台湾政府が弱腰で、唯々諾々とアメリカの無理
強いに反対しないからでもある。いくらアメリカでも非人道と言われれ
ば、民主主義に違反する無理強いは出来なくなるはずだ。

●「台湾は民主国家」は自己欺瞞

台湾は民主国家であると言う人が居る。民主国家だから選挙ができる、
政権交替ができるというのである。しかし過去八年の民進党政権は一方
的に国民党の横暴な反対に圧迫され押さえつけられ、国政は疲弊してし
まった。しかも民進党は国民党を二大政党政治を推進するため小選挙区
制度を導入し、そのお陰で自分の首を絞めるような選挙となった。

小選挙区制度では国民党系の里長村長などが大多数を占める台湾で村民
の投票を買収し監督するのが容易になったため、民進党は苦戦を強いら
れる。国民党を敵とみなさず、民進党と国民党の二大政党で台湾の政治
をコントロールする政治をやろうとしたため、台聯党やその他の小政党
を潰してしまう結果を招いたのである。

国民党は過去62年も人民を監視してきた情報系統や里長村長などが住
民を監督し密告する制度ができていた。今回の立法委員選挙で国民党が
過半数を制することになれば、小選挙区制度を廃止することは不可能と
なるだけでなく、人民の監視が更にひどくなり、従来よりもはるかにひ
どい独裁政治が「民主選挙」の名で確立するのである。立法委員の過半
数を制する事になれば、たとえ総統選挙で謝長廷が当選してもあらゆる
改革や改善は不可能となり、もしも国民党が立法委員の3分の2を占め
ることになれば簡単に総統罷免に持ち込める。プラセボ民主国家、表面
だけは民主制度でも内容は国民党の独裁国家である。

●「尊皇攘夷」と「独立統一」

この事態を招いたのは民進党の責任だが、更に悪いことに国民党独裁と
なれば中国と統一を推進して、やがて台湾は自然と滅亡する。民主的な
手法で独裁政権を作り、台湾の独裁政権が「自主的に統一」を決めれば
アメリカが慌てて救助に出て、アイマイな台湾の国際的地位を変更しよ
うとしてもどうすることも出来ない。

日本ではアメリカの黒船渡来で大騒動となり、尊皇攘夷で政権革命がお
きたが、当時の日本はアメリカの黒船の威力を見せ付けられて攘夷は不
可能だから、尊皇を選んで日本国は生き延びた。今の台湾では独立統一
の論争があるが、台湾独立とは「台湾人の中国攘夷」のことで、統一と
は「中国人の祖国回帰」である。民進党の自業自得のせいで選挙を前に
して台湾人の形勢不利である。

●民進党政府の責任は大きい

民進党政権が犯した最大の過失は蒋系中国人と「和解共生」が出来ると
思ったことである。民進党が政権を取ったのは2000年の選挙で、国民
党の内部闘争で分裂が起きて民進党が漁夫の利を得たに過ぎなかった。
ところが民進党の指導者層はこれで政権を取ったと思い込み、国民党の
反撃を軽く見すぎて彼らを宥めて共生できると思ったのである。

しかしこの思い込みはあまりにも幼稚だった。選挙で台湾人の総統が選
出されても、行政、立法、司法、警察、軍部などのうち行政だけが辛う
じて総統の命令系統に入っただけである。その行政系統も上級幹部を民
進党の指名で入れ替えても中級下級の官僚は相変わらず国民党員が大多
数で、行政は麻痺するばかりだったのである。

中国人は征服者として台湾に乗り込み、残虐な手段で人民を制圧し屈服
させた。その過去を忘れ、残忍な中国人の本質を見極めることが出来な
かった民進党が寛大な和解共生を持ちかけたため、現在の危機を迎えて
いるのである。台湾人は未だに中国人の残忍な本質を理解していないし、
謝長廷を始め、民進党の連中が中国人と和解を言うのは「奴隷の妥協」、
征服者に対する降参である。

あと数日で立法委員選挙の投票日がやってくるのに、国民党は市町村の
制圧が明白で70票を目指すとウハウハ気味なのに反し、民進党の陣営
では選挙民の投票意識、台湾意識を持ち上げることが出来ず、40票が取
れるかどうかで苦労している。このような事態に陥った原因はやはり和
解路線という得体の知れない戦略を選んだためである。このことは筆者
を含む多数の有識者が民進党政権に建議してきたが、聞き入れられなか
った。立法委員の選挙で敗退すれば台湾人民の闘志は更に薄れて総統選
挙でも馬英九に負ける可能性もある。

●台湾人民にも責任がある

このような事態を招いた根底には台湾人の幼稚さと、間違った中国人の
祖国思想を吹き込まれたためである。これに拍車をかけたのが台湾人の
奴隷根性である。金で買収される、僅かな利権で簡単に国民党を支持す
る、長期的な見通しがない、国際観がない、政治に冷淡、金銭万能など、
欠点は数え切れないほどあるが、中でも蒋系中国人の横暴さに団結反対
する意思がないこと、民進党と国民党は同じように悪い、と信じている
無気力などである。

前の記事で台湾の奴隷解放を書いたら、台湾人を奴隷と呼ぶのは賛成で
きないとコメントした人が何人かいた。劉天良氏は台湾が奴隷化された
事実を挙げ、私は人民が奴隷である事実を認め、覚醒するのが先決条件
であると書いたが、奴隷と呼ばれることを拒否する人、つまり奴隷扱い
された現状でも覚醒を拒否する人がたくさん居るのだ。

選挙を前にして最近では陳水扁とその家族、謝長廷などに送った恫喝メ
ールが連発している。これに対し馬英九を始め、国民党要員を暗殺する
という恐喝は一つもない。このことだけでも中国人が台湾で行っている
恐怖政治の一端が理解できるであろう。恐喝は中国人がやっているのに
馬英九は「自己保身のため」と称して護衛の数を増やすという、盗人猛々
しいとはこのことだ。台湾人は蒋系中国人が暗殺を示唆している明白な
事実を摘発すべきである。

しかし悲観的なことばかり言ってはならない。たとえ選挙に負けても大
多数の人民が決起すれば中国に併呑されるはずがない。国内で民進党政
治家が過ちを犯しても、国外の有志が取って代わり、人民の独立精神を
鼓舞するため一層の努力を惜しんではならない。

選挙で敗退すれば台湾の民主政治が大きく後退するのは明らかだが、そ
ういう事態になれば海外有志は団結して台湾の救援に向うべき、国内政
治が危機に瀕すれば外国諸国の援助を求めるべく努力していくほかはな
い。国外有志の責任は更に増大するのである。

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