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AC通信 No.191

2006/12/26

[AC通信:No.191] (2006/12/26)
[AC論説]No. 191 ラファィエット事件(19)
ドビルパン首相、法廷召喚される

フランスのドビルパン首相は12月21日、クリアストリーム事件で
法廷から召喚され、17時間に及ぶ尋問を受けた。フランスの首相が
法廷喚問を受け、21日の朝9時から翌朝の午前3時まで17時間に
及ぶ長時間尋問を受けたのはフランスの史上初の事件である。

●クリアストリーム事件のあらまし

クリアストリーム事件(Clearstream Affair)は「清流事件」とも
呼ばれる。前にも書いたが、ラファイエット購買予算に絡んだ賄賂
を享受したフランス高官の調査を命じたドビルパン(Dominiquede 
de Villepin)が、実は収賄者名簿をデッチ上げた黒幕だった疑惑の
ことである。

ラファイエット事件では総額28億ドルの軍艦購買のうち、12億ド
ルの賄賂(リベート)を、フランス、台湾(実は中華民国)、中国の
三国の高官が分け合った。フランス側の収賄者は44人に登ると言わ
れる。これを証言したのが元外相デュマである。デュマ元外相は
1999年3月9日にフィガロ紙に対し、「ラファイエット事件には5
億ドルの裏金が存在していた」ことを確認した。その後デュマ元外
相は、再び2003年3月1日、フィガロ紙の取材に応じてラファイエ
ット軍艦の販売について、「トムソン社は台湾側へ5億ドルのリベー
トを支払った」と証言した。更にデュマ元首相は「5億ドルのうち4
億ドルは台湾の国民党秘書処に支払い、この中の1億ドルを中国共
産党中央委員会に支払った」と証言した。

フランス側の収賄者は44人に登るとも言われているが、正確な名簿
は発表されていない。翌2004年1月9日、当時の外相ドビルパンは
情報相ロンド将軍(Phillip Rondot)に命じてラファイエット事件
の賄賂がスイス・ルクセンブルグのClearstream Holding銀行を通
して資金洗浄された疑いの調査を命じた。

この収賄人名簿のなかにドビルパンの政敵、当時の財相だったサル
コジの名前が入っていたことから、ドビルパン外相とシラク大統領
と合作して政敵サルコジを潰すデッチ上げ事件だったといわれる。

これまでに判明した事実によると、2004年3月と6月の二度にわた
ってニセの密告書と収賄者名簿ディスクがロンド将軍の手元に送ら
れた。そこでロンド将軍から事件の調査を命じられたバンルイベー
ク裁判官は、翌2005年12月に密告書と名簿ディスクが完全なデッ
チ上げであることを証明した。この結果が明るみに出たので、汚名
を着せられたサルコジは2006年1月、ドビルパンとシラクを告訴し
た。事件に関わりのある、偽ディスクを作成したエアバス会社(EADS)
の副社長ゲルゴラン(Jean-Luois Gergorin)及び部下のプログラマ
ー、ラフード(Imad Lahoud)も同罪と見られている。これが今回のド
ビルパン喚問に至ったあらましである。

●ドビルパンのマラソン尋問

報道によると21日朝、法廷に出頭したドビルパン首相は二名の担当
法官(検察官)から交互尋問を受けたという。今年53歳になるドビル
パンはマラソン尋問を終えて翌日早朝3時に釈放された。法廷を出
たドビルパンは報道陣に対し、「私は本案について証言できたことを
喜んでいる。何故ならば私はこの数ヶ月以来無実の罪で、数多の汚
名と侮蔑を受けた被害者だから」と述べた。

マラソン尋問を受けたドビルパンは夜の10分間休憩では気力を維
持する為、誰もいない控え室で腕立て伏せをやっていたという。フ
ランスの歴史始まって以来、法廷に喚問された首相は彼が最初であ
る。嘗て2001年に首相ジョスパン(Lionel Jospin、社会党)も検
察官の尋問を受けたことがあったが、首相のオフイスで短時間行わ
れただけだった。つまり法廷に召喚されて17時間にわたるマラソン
尋問を受けたのは今回が初めてである。

早朝3時を過ぎてから釈放されたドビルパン首相は官邸に戻って2
時間の休息をとったあと、20数名の閣僚と朝食会で政情報告を受け
た。被害者で原告でもあるサルコジ副首相兼内相もこの閣僚朝食会
に出席した。

●サルコジ人気の上昇

ドビルパンがマラソン尋問を受けていた21日、51歳のサルコジは
ボルドーで既に執政党側の大統領選挙の候補者になったような大歓
迎を受けていた。今年の春執政党側の「国民運動連盟」の党首に選
ばれたサルコジは、来年4月に行われる大統領選挙に立候補すると
いわれ、人気調査では党内第一を誇っている。だが彼はシラク大統
領がドビルパンの立候補を援助したことから人気に翳りがあった。

ところがシラク大統領は彼の永年の盟友で、二人とも首相経験者の
ジャンピエール・ラファラン(jean-Pierre Raffarin)とリォネル・
ジョスパン(Lionel Jospin)が、ドビルパンでなくサルコジを支持し
たことから、シラクもやむを得ずサルコジ支持を声明するに至り、
このためドビルパンの立候補は難しくなったのである。この上にマ
ラソン尋問を受けたとなれば、ドビルパンとサルコジ両人の政治生
命についていろいろ憶測記事が飛び交うようになったのである。

●デッチ上げはドビルパンの陰謀?

尋問が長引いたとは言え法廷はドビルパンに対して罪状起訴を行っ
たわけではない。クリアストリーム案はラファイエット事件から派
生した事件だが、内情は左翼と右翼の政治闘争と関与があり、複雑
怪奇な内情を孕んでいる。

一般の噂ではフランスの左右政党は「どちらもリベートを受けた疑
い」があり、91年当時の左翼政権ではミッテラン大統領(フランス
社会党)と多数がラファイエット事件の収賄に関与しているとされ、
次にミラージュ戦闘機売却の時は保守シラク一派が利益を得たとい
われている。つまりフランスの左翼と右翼、どちらも台湾人を食い
物にした事実があるわけで、台湾人の悲哀史そのものである。

それはともかく、2004年に内相、外相を歴任したドビルパンは、ひ
そかに情報相ロンド将軍にサルコジの調査を命じたといわれ、この
命令で「シラク大統領の権限で命令」したといわれる。これが明る
みに出るとシラクとドビルパン、二人とも否認したので、実情はわ
かっていない。ラファイエット事件の密告の手紙と秘密名簿ディス
クがロンド将軍に郵送されてきたので検察が調査に入り、やがてデ
ィスクがガセネタと判明したのである。

サルコジの調査を命じたドビルパンに嫌疑がかかったのは当然のこ
とだが、ドビルパンはサルコジに対し、彼が嫌疑をかけられた事を
知らせず、さらに当時の首相ラファランや閣僚にも調査を命じたこ
とを隠していたことが暴露されて更に不利になったのである。これ
ではドビルパンがデッチ上げの黒幕といわれても仕方がない。

●関連容疑者の調査

2005年12月にバンルイベーク検察官がディスクを贋物と発表した
あと、サルコジは当然ドビルパンへの不満を公開し、続いて2006
年1月、ドビルパンを誹謗、政治陰謀などで告訴するに至った。し
かしドビルパンはサルコジの非難を否認し、調査に悪意はなく、内
相として責任を遂行したに過ぎないと弁解した。

事件の調査に当たった両名の検察官はドビルパンの喚問のほかにも
大がかりな証人喚問を行うと見られ、中でもメディアの槍玉に上っ
ているのがミシェール・アリョーマリー(Michele Alliot-Marie)現
国防相、ほか多数と報道されている。

報道によると、事件に関連したもののうち既に4人が起訴されてい
る。ドビルパンの親友でエアバス社(EADS)の副社長ゲルゴラン
(Jean-Luis Gergorin)、部下のプログラマーのラフード(Imad 
Lahoud)とあと二人である。ことにゲルゴランはメディアからフラ
ンス語で密告者を意味する「大烏(le corbeau)」と綽名で呼ばれ、
彼の指示のもとにラフードが偽ディスクを製造したといわれている。

サルコジ陣営の政治アドバイザー、フィロン(Francois Fillon)はラ
ジオ放送で次のように述べた:「政治に卑劣な手段を使って対抗者を
貶めるような事は厳禁しなければならない。このデッチ上げ事件は
確かに誰かがやったのだが、確証はまだ掴めていない」

●大統領選挙の予測

来年の大統領選挙に候補者として名乗りを上げた人に対立政党の極
右政党、国民戦線党首のジャンマリー・ルペン(男性)がいる。

ルモンドは11月24日、大統領選の出馬候補の支持率調査を掲載、
極右政党、国民戦線(FN)のジャンマリー・ルペン党首(78)が今
年1月から支持層を増やし、17%を獲得したと報じた。同氏が得た支
持率としては過去最高としている。

同党首は前回の2002年大統領選の初回投票で社会党のジョスパン
候補を破る「番狂わせ」を演じている。ルモンド紙はそれ以降、極
右のイメージを一部修正、新たな支持層を開拓する戦術が功を奏し
ていると分析している。

ただ、各種世論調査では、次期大統領選は初の女性大統領を目指す
社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル氏と与党の民衆運動連合(UMP)か
ら出馬する党首のニコラ・サルコジ氏内相の一騎打ちとの見方が支
配的で、ルペン氏の食い込む余地は少ないともみられる。

ルペン氏が17%を獲得した背景として、フランスで昨秋吹き荒れた
暴動や、若者の失業者対策が効果を挙げていないことが指摘されて
いる。ルペン氏の高支持率は、法順守、治安維持などで右派寄りの
政策を強調するサルコジ氏に不安材料になるとの見方もある。

サルコジ氏陣営はルモンド紙の調査結果について、一番変わったの
は、ルペン氏の支持者がもう自らの政治選択を隠さなくなったこと
だと指摘。低所得者層中心に、現体制への不満が充満していること
の結果としている。同紙によると、ルペン氏が出馬を決めた場合、
第1回の投票ではロワイヤル氏が32%を獲得、サルコジ氏は29%と予
測。ルペン氏が立候補しなかった場合、ライバル2人の得票率は共
に37%と分析している。

●骨までしゃぶる

中華民国が台湾を占拠したため、台湾人は酷い目になっているが、
ラファイエット事件は中華民国の軍人が台湾を食い物にして、フラ
ンス、中国と一緒に「骨までしゃぶる」ような掠奪を行った事件で
ある。

このラファイエット事件がフランスの大統領選挙に大きな影響を与
えている事実は、台湾人にとって嬉しいことか、または悲しいこと
か。台湾人の金を汚職して分け合った政党人物が更なるデッチ上げ
事件を演じ、これが選挙に影響を及ぼしているのだ。

しかも台湾島内ですらラファイエット事件の真相を知る人は一部分
に過ぎない。国民党は事件の追及を怖れて事実隠蔽や圧力を加え、
メディアは真相を報道しない。台湾人の政党であるはずの民進党も
事件を真剣に追及していないのである。陳水扁総統は「たとえ国の
根元を揺るがしてもラファイエット事件を追及する」と大見得を切
ったが、単なるリップサービスに終った感で、その後の進展は微々
たるものである。

私がこの事件を追及する理由はこれが国際間の大汚職事件であり、
中華民国軍人の売国(台湾)事件だから、汚職リベートの返還はもと
より、中国に武器を譲渡した犯人グループを公開し、裁判にかけな
ければならない。この事件の重大さ、中国人の悪辣さを諸国の人々
に知ってもらわなければならない。

李登輝の会の黄崑虎会長はよく宴会で「骨まで愛して」を歌う。台
湾を愛し、台湾を支持するたくさんの日本人の方々がいる。それと
同時に中国人、台湾に住む中華民国人、フランス人などが共謀して
世界の孤児である台湾を「骨までしゃぶる」ように食い荒らし、掠奪
している惨状を世界の人々に知ってもらいたい。

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