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Fw: 第八章

2002/06/01

[AC通信:No
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From: andy chang
To: post-53999-mTqe7znhXPGYY@mailreg.melma.com
Cc: andy chang
Sent: Friday, May 31, 2002 12:19 PM
Subject: 第八章


[AC通信:No.55(2002/5/30)] Andy Chang (カリフォルニア在住)



◆[ガンバレ台湾丸] 第八章 外国人のアメリカ留学



ワシントン郊外から風光明媚なカリフォルニアに移住したため、半年近くもご無沙汰
してしまった。移住するに当って車でアメリカ大陸横断旅行をした。アメリカに住む
こと四十数年、車でやる横断旅行は二度目になるが、改めてアメリカの広大さ、民度
の複雑さを痛感した。インターネットでは時々アメリカに数年ほど滞在した人がアメ
リカと日本の比較や批判などをみかけるが、いずれも「群盲象を撫でる」の感が強
い。筆者は四十数年住んでいてもこれがアメリカだ、と断ずる事はできないのであ
る。



アメリカに留学、または滞在した人が自国に帰ってアメリカを熟知しているかのよう
に批判に廻るケースをよく見かける。ある人が日本のお米はアメリカのお米よりおい
しい、と書いたことがあった。当り前です、アメリカ人はお米を常食としていないの
である。ロス・アンジェルスでは日本食なら文字通り何でも手に入るが、ロスに滞在
して日本食ばっかり食べて、帰ってから日本のお米の方が美味しいというのは、アメ
リカに住んでアメリカを見なかった証拠である。日本料理とステーキとか、ルイジア
ナのケージョン料理を比べるべきである。



このような個人的な偏った見解は別として、アメリカに留学してアメリカから学んだ
人が本国に戻って自国のために尽すケースはかなり多い。世界各国の留学する人の半
数以上はアメリカに留学する。これが知識の交流になり、自国の発展に寄与すること
も多いが、あとでアメリカ批判や競争、意図してアメリカの機密や盗む技術を盗む
ケースもある。今回はアメリカに学ぶ外国エリートの問題をアメリカと外国の両側か
ら検討してみたい。



●外国人留学はアメリカ人のチャンスを奪うか?



ときどき新聞を賑わす懸念のひとつは外国人の留学が本国人の就学チャンスを奪い、
外国の学生がアメリカ人の就職のチャンスを奪う結果にならないかということであ
る。



外国から留学した人たちは自国のエリートであり、留学するなら一流大学を希望す
る。だからアメリカ人からMITやハーバードなどで学ぶ機会を奪うことになるかもし
れない。一流大学に留学した外国人が帰国してアメリカ批判に廻るのは心外だし、ア
メリカで就職すればアメリカ人の職場を脅かすこともあるだろう。



しかし、全体像からみてアメリカに学んだ外国人がアメリカの利益になるか、不利に
なるかという面から検討すべきだろう。アメリカの社会学者の研究によれば留学生は
長期的に見て両国間の知識交流が進み、共通の発展に繋がることの方が多いと言う。
またアメリカで就職した学者の多くはアメリカの発展に寄与することが多く、これが
アメリカ自国の技術や学術に貢献している。



留学生の数は台湾、インド、韓国などが多く、最近は中国からの留学生が年々増して
いる。日本からの留学生は毎年同じぐらい。また、留学した学生がアメリカに居残る
数は中国人が圧倒的に多く、これは政治的な原因で人権や自由のない中国に戻るのを
嫌うせいである。昔は台湾人留学生の多くがアメリカに永住したが、今では自国の戻
る人が増えている。インドや韓国も似たようなものである。つまり留学生は自国に貢
献するよりもアメリカに貢献するほうが大きいらしい。



日本の留学生は殆ど帰国する。帰国して学んだ知識を広めることができれば誰しも故
国に帰りたがる。しかし帰国してから失望するケースもある。大前研一氏のようにア
メリカから帰って盛大に日本の弁護やアメリカ批判をしているうちに、だんだんアメ
リカ側の弁護にまわり、やがてアメリカに移住した例もある。学者や技術者がアメリ
カに留まるのはどこに自己発展のチャンスがあるかによる。自国の政治が独裁的で研
究のチャンスが与えられないとか、学閥が強くて留学した者を受け入れない場合はア
メリカに留まるだろう。この点でアメリカは殆ど「よそ者」を差別しない国であり、
それがアメリカの強みになっている。



●外国人留学生は知識や技術の流出になるか?



優秀な留学生が帰国すればアメリカの知識や技術の流出になると言う人もいる。嘗て
80年代の日本は産業技術が目覚ましい発展をとげて世界一の産業国となり、アメリカ
は巨大な貿易赤字となり、日本に警戒心を抱くようになった。しかし貿易の不均衡は
日本の工業発展によるものもあるが、政府の輸入制限などによる自国産業の保護政策
によるものも多く、日本がWTOに参加して自由貿易の時代になると貿易の不均衡はな
くなり、自由競争になって日本は不景気になった。これまでの保護政策が日本の進歩
を妨げていたが、自由化するに至って問題が一度に噴出した感が強い。更に日本が不
景気になった原因は安い中国生産品の進出であり、これは以前のアメリカが日本の安
い生産品で赤字になったのと同じく、日本が中国の安い労働力に差をつけられたので
ある。



世界諸国からアメリカに留学した学者がアメリカに留まるケースは多い。またアメリ
カで創業して本国にも支店を作り両国の発展につながる事も多い。インドでは多くの
数学者やコンピューター関連のエンジニアを輩出してインドの発展のもととなってい
る。台湾はコンピューターの関連部品の生産では世界をリードしているが、日本やア
メリカとタイアップしている。



 アメリカの技術を学ぶことについては多くの比較研究がある。面白いことに「学び
方」には国民性が現れると言われている。かなり大雑把な比較しかないが、日本人は
アメリカの技術を「導入して大量生産」することに長けていると言う。十数年前に石
原慎太郎が「ノーと言える日本」で、日本は世界一のカーボンファイバーの生産国で
あるが、輸出をストップしたらアメリカの軍需企業は大恐慌を起す、と威張って書い
たことがあった。ところがカーボンファイバーはアメリカのパテントで、日本はライ
センス生産をしていたのだった。ノーと言うには程遠かったのである。



 現在の中国は日本の後を追って技術導入に励んでいるが、日本と同じく技術や設備
を導入して(大半は台湾の資金である)安い労働力で勝負をする。なにしろ賃金が安
いので他国は競争きない。これには落し穴があって、賃金が安いのは為替レートが自
由化されていないからで、WTOに加入したら中国貨幣の調整は必至のことである。中
国元が上がれば必然的にインフレとなり、都市と山村の生活差があまりにも大きい中
国はインフレを消化できなくて大恐慌を起す。



 台湾の工業生産は政府の行政指導に基づいている。半導体の部品生産がそのよい例
である。しかし日本と違って台湾の企業化は導入したあと自国の開発に励むとアメリ
カは考えている。たとえば台湾でDRAMをライセンス生産でしているが、最近では自己
開発の技術も見られるようになったそうである。しかし台湾の生産は中国の安い労働
力に抑えられて最近では中国に工場を移す企業が多い。台湾の企業家は中国の安価な
労働力に太刀打ちできないので、製造業の中国移転を考えている。こうなると企業が
儲かっても資金は中国に流れるばかりで、台湾は没落するだろう。



 インドはコンピューター関連事業ではかなり優秀なソフトの開発を行っており、こ
れは理数科の教育が優れているのが原因と言われている。しかしインドではインフラ
がまだ完備されていないのが問題である。



 こうしてみる限り、アメリカの技術が流出してもそれはアメリカと緊密な関係を
保って発展を遂げる例が多く、アメリカにマイナス面よりプラスの面が多いように見
受けられる。



●機密の流出をどう防ぐか



外国人の留学で最も問題になるのは企業または国家の機密が流出することであるが、
これに対してアメリカは有効な手段をもっていないし、対抗する計画も薄弱である。
企業体または国家は他人にないものを保有していることが大切だが自由に留学できる
国では機密の流出を阻むことが難しい。



機密防衛は国家または企業の使命である。ところがクリントンのようなお金で魂を売
るような人間が大統領になると大変である。ゴードン・プラザー博士の報告による
と、クリントンが核機密を自動的に開放したため世界諸国の核爆弾の製造が可能に
なったのである。まさにパンドラの箱を開けた報いは覿面で、インドとパキスタンで
核戦争の可能性が出てきた。これはクリントンが大半の責任を負わなくてはならな
い。



プラザー博士によると、クリントンは中国に全面核禁止条約にサインさせようとし
て、機密の開放に踏み切ったと言う。クリントンは「中国が核禁止にサインすれば核
爆弾の製造はできなくなる」、「機密を開放すればそれは機密でなくなる」、といっ
た阿呆みたいな屁理屈を主張したのである。そして核機密の開放を当時のエネルギー
部長、ヘーゼル・オリーリーに推進させたのであった。



アメリカ政府は機密文書を開放して、誰でも文書を取得できるように「クラウン・
ジュール」と言うプログラムを作った。しかも中国人のロス・アラモス訪問を許可し
て文書にアクセスする方法を伝授したのである。その後、核機密とミサイル弾頭の製
造が中国に流出したことで国会の調査が進むとウェンホ・リーに責任転嫁したのであ
る。クリントンこそが現在の印・パの核戦争危機、ビン・ラディンやサダム・フセイ
ンの核爆弾の製造を容易にした大罪人であることは明らかである。



もともと機密の防衛はそれに携わる人々の責任である。機密があればそれを盗むスパ
イがでてくる。「スパイを防ぐよりも機密を公開する」といったクリントンはどこか
狂っているか、お金で魂を売ったのではないかと取り沙汰されるのも無理はない。魂
を悪魔に売り渡すとは正にこのことだ。



歴史的に見て「中華思想」と言う自大的エゴを持つ中国では、平和共存などあるはず
がなく、機密を盗むため、自国に有利にするため学者を派遣するのだからスパイ防衛
に励むのが道理であろう。友好国といってもイギリスやイスラエルのスパイが摘発さ
れることはよくある。9.11テロのあと、アメリカでは機密防衛とスパイ摘発に励むよ
うになったし、FBIの内部改革も進んでいる。



●アメリカの不景気は自国に戻る機会となるか?



アメリカでは不景気が進んでいるが、雇用が少なくなれば外国人技術者が自国に帰る
機会となり、これが各国の発展になるといわれる。でもアメリカで失業して自国に
戻っても職があるとも限らない。アメリカの不景気が各国の不景気を誘うこともある
し、本国で技術者を受け入れるインフラが整っているのかも検討するべきである。



アメリカで創業して自国とのタイアップを計れば両国にとって最もよい結果を齎すだ
ろうという考えもある。また自国の政府が外国に流出した技術者をリクルートするか
どうかによって帰国者のチャンスもずいぶんと違うものとなる。小泉政権のように失
業者対策がうまく行かない状態では技術者の移住のほうが多いのではないか。



台湾でも不景気が進んでいて、業者の一部は中国に企業を移すことを宣伝している。
経験のある技術者50万人が中国に移住したといわれている。しかし中高年の技術者が
中国に移住して国内企業が空洞化すれば、若い世代の雇用もできなくなり、人材もい
なくなってしてしまう。台湾では為政者も、立法院も企業者も、国の機動力となるべ
き人物の殆どが台湾の利益を思索せず、もっぱら自己利益の追求におわれていて崩壊
は時間の問題となっているみたいだ。



インドや韓国では国益を追求する姿勢が強く、多くの問題点を抱えていながら長期的
な見通しは悪くない。ただ、国が人材をリクルートしてもインフラの不備がエリート
の帰国を渋らせる原因となっているところもあり、さらなる努力が必要である。



●アメリカとのタイアップ



外国人技術者がアメリカで創業するとか、またはアメリカの会社に就職して故国の企
業に技術援助や流通網のセットアップなどに役立つこともある。しかしこれにはいく
つかの問題点があることも指摘しておきたい。



問題の第一は自国とアメリカとの政治関係である。一番よい例が中国で、アメリカの
技術導入を望んでいながらアメリカを「潜在的な敵」と見ている。五千年の歴史が示
すように中国とは雑多な民族から構成されている中国では「大中華思想」から逃れる
ことが出来ない人種で、アメリカから利益を求めても機会があればアメリカを征服し
ようといった意識がある。このような国と技術その他の交流をすれば一方的な利益の
追求や技術の流出の終ってしまい、アメリカや他国の利益にならない。



アメリカの外交政策とは簡単に言って、友好国となって合作するか、敵と見なして包
囲網を造りシャットアウトするか、二者択一である。中国はアメリカと敵対してはな
らぬと知っているので、ニセの友好を装って利益を追求する。クリントンのような外
交に無知で、お金で買収できるような人間が大統領になって中国に接近した苦い教訓
は、ブッシュに受け継がれて中国に警戒心を抱くようになった。



両国を股にかける企業では経済的な問題も残る。たとえばアメリカのシリコンバレー
では人材の確保が難しく、生活費や家屋など恐ろしく高価で、両国間の人材にサラ
リーその他の差異が大きくなれば両国との交流は困難である。



●対立闘争でなく共存共栄を



歴史的に見ると人類の関係とは異民族を征服することであった。村と村の戦争から地
方を平定して国をつくり、国と国が戦争を起して世界制覇を試みることはアレクサン
ダー大王や、ローマ帝国、ジンギスカン、秦の始皇帝や中国歴代の覇権願望、大中華
思想などに見られる。



しかし現代は違う。人類が戦争から学んだことは相互殺戮よりも共存共栄である。お
互いに助け合うことで関係を結べば、戦争をしないでも相互の繁栄は期待できる。こ
れが進んでEUROすなわちヨーロッパ連合が成立し、国際間の貿易ではWTOといった相
互補助、公平な競争などが可能となった。このほかにもASEAN、APECなどがみられ
る。



でも、まだ新しい共栄思想を受け入れない国や民族がいて、テロや国際紛争、軍備増
大に走る。たとえば中国は台湾を征服しなくても相互の利益になる関係を結べるが、
それが実現しないのは「大中華思想」という非近代的な征服思想のせいである。イス
ラエルとパレスチナ、印度とパキスタンの紛争をみてもそうである。



アメリカは知識や技術を諸国に開放して留学生を歓迎している。知識や技術の交流が
世界の相互繁栄に繋がるとアメリカは信じている。だがアメリカに敵意をもち、アメ
リカが世界制覇を意図しているといった、嫌米思想や危機意識を煽る知識分子もかな
り多い。公平に見て諸国がアメリカから得た利益や恩恵の方が尊大さよりはるかに大
きいのではなかろうか。■



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アンディ・チャンの本:

「フライディ・ランチクラブ」ISBN 4-88306-955-9 新風舎

《Tel:(03)-5775-5040》



「不孝のカルテ」ISBN4-434-00589-8 東京図書出版会

《Tel:(03)5815-6280》



著者と本の名前、ISBNを使えば書店、または出版社でお取り寄せ出来ます。

読者のご感想をお待ちしています。 bunsho@erols.com まで

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[AC通信:No.55(2002/5/30)] Andy Chang (カリフォルニア在住)



◆[ガンバレ台湾丸] 第八章 外国人のアメリカ留学



ワシントン郊外から風光明媚なカリフォルニアに移住したため、半年近くもご無沙汰
してしまった。移住するに当って車でアメリカ大陸横断旅行をした。アメリカに住む
こと四十数年、車でやる横断旅行は二度目になるが、改めてアメリカの広大さ、民度
の複雑さを痛感した。インターネットでは時々アメリカに数年ほど滞在した人がアメ
リカと日本の比較や批判などをみかけるが、いずれも「群盲象を撫でる」の感が強
い。筆者は四十数年住んでいてもこれがアメリカだ、と断ずる事はできないのであ
る。



アメリカに留学、または滞在した人が自国に帰ってアメリカを熟知しているかのよう
に批判に廻るケースをよく見かける。ある人が日本のお米はアメリカのお米よりおい
しい、と書いたことがあった。当り前です、アメリカ人はお米を常食としていないの
である。ロス・アンジェルスでは日本食なら文字通り何でも手に入るが、ロスに滞在
して日本食ばっかり食べて、帰ってから日本のお米の方が美味しいというのは、アメ
リカに住んでアメリカを見なかった証拠である。日本料理とステーキとか、ルイジア
ナのケージョン料理を比べるべきである。



このような個人的な偏った見解は別として、アメリカに留学してアメリカから学んだ
人が本国に戻って自国のために尽すケースはかなり多い。世界各国の留学する人の半
数以上はアメリカに留学する。これが知識の交流になり、自国の発展に寄与すること
も多いが、あとでアメリカ批判や競争、意図してアメリカの機密や盗む技術を盗む
ケースもある。今回はアメリカに学ぶ外国エリートの問題をアメリカと外国の両側か
ら検討してみたい。



●外国人留学はアメリカ人のチャンスを奪うか?



ときどき新聞を賑わす懸念のひとつは外国人の留学が本国人の就学チャンスを奪い、
外国の学生がアメリカ人の就職のチャンスを奪う結果にならないかということであ
る。



外国から留学した人たちは自国のエリートであり、留学するなら一流大学を希望す
る。だからアメリカ人からMITやハーバードなどで学ぶ機会を奪うことになるかもし
れない。一流大学に留学した外国人が帰国してアメリカ批判に廻るのは心外だし、ア
メリカで就職すればアメリカ人の職場を脅かすこともあるだろう。



しかし、全体像からみてアメリカに学んだ外国人がアメリカの利益になるか、不利に
なるかという面から検討すべきだろう。アメリカの社会学者の研究によれば留学生は
長期的に見て両国間の知識交流が進み、共通の発展に繋がることの方が多いと言う。
またアメリカで就職した学者の多くはアメリカの発展に寄与することが多く、これが
アメリカ自国の技術や学術に貢献している。



留学生の数は台湾、インド、韓国などが多く、最近は中国からの留学生が年々増して
いる。日本からの留学生は毎年同じぐらい。また、留学した学生がアメリカに居残る
数は中国人が圧倒的に多く、これは政治的な原因で人権や自由のない中国に戻るのを
嫌うせいである。昔は台湾人留学生の多くがアメリカに永住したが、今では自国の戻
る人が増えている。インドや韓国も似たようなものである。つまり留学生は自国に貢
献するよりもアメリカに貢献するほうが大きいらしい。



日本の留学生は殆ど帰国する。帰国して学んだ知識を広めることができれば誰しも故
国に帰りたがる。しかし帰国してから失望するケースもある。大前研一氏のようにア
メリカから帰って盛大に日本の弁護やアメリカ批判をしているうちに、だんだんアメ
リカ側の弁護にまわり、やがてアメリカに移住した例もある。学者や技術者がアメリ
カに留まるのはどこに自己発展のチャンスがあるかによる。自国の政治が独裁的で研
究のチャンスが与えられないとか、学閥が強くて留学した者を受け入れない場合はア
メリカに留まるだろう。この点でアメリカは殆ど「よそ者」を差別しない国であり、
それがアメリカの強みになっている。



●外国人留学生は知識や技術の流出になるか?



優秀な留学生が帰国すればアメリカの知識や技術の流出になると言う人もいる。嘗て
80年代の日本は産業技術が目覚ましい発展をとげて世界一の産業国となり、アメリカ
は巨大な貿易赤字となり、日本に警戒心を抱くようになった。しかし貿易の不均衡は
日本の工業発展によるものもあるが、政府の輸入制限などによる自国産業の保護政策
によるものも多く、日本がWTOに参加して自由貿易の時代になると貿易の不均衡はな
くなり、自由競争になって日本は不景気になった。これまでの保護政策が日本の進歩
を妨げていたが、自由化するに至って問題が一度に噴出した感が強い。更に日本が不
景気になった原因は安い中国生産品の進出であり、これは以前のアメリカが日本の安
い生産品で赤字になったのと同じく、日本が中国の安い労働力に差をつけられたので
ある。



世界諸国からアメリカに留学した学者がアメリカに留まるケースは多い。またアメリ
カで創業して本国にも支店を作り両国の発展につながる事も多い。インドでは多くの
数学者やコンピューター関連のエンジニアを輩出してインドの発展のもととなってい
る。台湾はコンピューターの関連部品の生産では世界をリードしているが、日本やア
メリカとタイアップしている。



 アメリカの技術を学ぶことについては多くの比較研究がある。面白いことに「学び
方」には国民性が現れると言われている。かなり大雑把な比較しかないが、日本人は
アメリカの技術を「導入して大量生産」することに長けていると言う。十数年前に石
原慎太郎が「ノーと言える日本」で、日本は世界一のカーボンファイバーの生産国で
あるが、輸出をストップしたらアメリカの軍需企業は大恐慌を起す、と威張って書い
たことがあった。ところがカーボンファイバーはアメリカのパテントで、日本はライ
センス生産をしていたのだった。ノーと言うには程遠かったのである。



 現在の中国は日本の後を追って技術導入に励んでいるが、日本と同じく技術や設備
を導入して(大半は台湾の資金である)安い労働力で勝負をする。なにしろ賃金が安
いので他国は競争きない。これには落し穴があって、賃金が安いのは為替レートが自
由化されていないからで、WTOに加入したら中国貨幣の調整は必至のことである。中
国元が上がれば必然的にインフレとなり、都市と山村の生活差があまりにも大きい中
国はインフレを消化できなくて大恐慌を起す。



 台湾の工業生産は政府の行政指導に基づいている。半導体の部品生産がそのよい例
である。しかし日本と違って台湾の企業化は導入したあと自国の開発に励むとアメリ
カは考えている。たとえば台湾でDRAMをライセンス生産でしているが、最近では自己
開発の技術も見られるようになったそうである。しかし台湾の生産は中国の安い労働
力に抑えられて最近では中国に工場を移す企業が多い。台湾の企業家は中国の安価な
労働力に太刀打ちできないので、製造業の中国移転を考えている。こうなると企業が
儲かっても資金は中国に流れるばかりで、台湾は没落するだろう。



 インドはコンピューター関連事業ではかなり優秀なソフトの開発を行っており、こ
れは理数科の教育が優れているのが原因と言われている。しかしインドではインフラ
がまだ完備されていないのが問題である。



 こうしてみる限り、アメリカの技術が流出してもそれはアメリカと緊密な関係を
保って発展を遂げる例が多く、アメリカにマイナス面よりプラスの面が多いように見
受けられる。



●機密の流出をどう防ぐか



外国人の留学で最も問題になるのは企業または国家の機密が流出することであるが、
これに対してアメリカは有効な手段をもっていないし、対抗する計画も薄弱である。
企業体または国家は他人にないものを保有していることが大切だが自由に留学できる
国では機密の流出を阻むことが難しい。



機密防衛は国家または企業の使命である。ところがクリントンのようなお金で魂を売
るような人間が大統領になると大変である。ゴードン・プラザー博士の報告による
と、クリントンが核機密を自動的に開放したため世界諸国の核爆弾の製造が可能に
なったのである。まさにパンドラの箱を開けた報いは覿面で、インドとパキスタンで
核戦争の可能性が出てきた。これはクリントンが大半の責任を負わなくてはならな
い。



プラザー博士によると、クリントンは中国に全面核禁止条約にサインさせようとし
て、機密の開放に踏み切ったと言う。クリントンは「中国が核禁止にサインすれば核
爆弾の製造はできなくなる」、「機密を開放すればそれは機密でなくなる」、といっ
た阿呆みたいな屁理屈を主張したのである。そして核機密の開放を当時のエネルギー
部長、ヘーゼル・オリーリーに推進させたのであった。



アメリカ政府は機密文書を開放して、誰でも文書を取得できるように「クラウン・
ジュール」と言うプログラムを作った。しかも中国人のロス・アラモス訪問を許可し
て文書にアクセスする方法を伝授したのである。その後、核機密とミサイル弾頭の製
造が中国に流出したことで国会の調査が進むとウェンホ・リーに責任転嫁したのであ
る。クリントンこそが現在の印・パの核戦争危機、ビン・ラディンやサダム・フセイ
ンの核爆弾の製造を容易にした大罪人であることは明らかである。



もともと機密の防衛はそれに携わる人々の責任である。機密があればそれを盗むスパ
イがでてくる。「スパイを防ぐよりも機密を公開する」といったクリントンはどこか
狂っているか、お金で魂を売ったのではないかと取り沙汰されるのも無理はない。魂
を悪魔に売り渡すとは正にこのことだ。



歴史的に見て「中華思想」と言う自大的エゴを持つ中国では、平和共存などあるはず
がなく、機密を盗むため、自国に有利にするため学者を派遣するのだからスパイ防衛
に励むのが道理であろう。友好国といってもイギリスやイスラエルのスパイが摘発さ
れることはよくある。9.11テロのあと、アメリカでは機密防衛とスパイ摘発に励むよ
うになったし、FBIの内部改革も進んでいる。



●アメリカの不景気は自国に戻る機会となるか?



アメリカでは不景気が進んでいるが、雇用が少なくなれば外国人技術者が自国に帰る
機会となり、これが各国の発展になるといわれる。でもアメリカで失業して自国に
戻っても職があるとも限らない。アメリカの不景気が各国の不景気を誘うこともある
し、本国で技術者を受け入れるインフラが整っているのかも検討するべきである。



アメリカで創業して自国とのタイアップを計れば両国にとって最もよい結果を齎すだ
ろうという考えもある。また自国の政府が外国に流出した技術者をリクルートするか
どうかによって帰国者のチャンスもずいぶんと違うものとなる。小泉政権のように失
業者対策がうまく行かない状態では技術者の移住のほうが多いのではないか。



台湾でも不景気が進んでいて、業者の一部は中国に企業を移すことを宣伝している。
経験のある技術者50万人が中国に移住したといわれている。しかし中高年の技術者が
中国に移住して国内企業が空洞化すれば、若い世代の雇用もできなくなり、人材もい
なくなってしてしまう。台湾では為政者も、立法院も企業者も、国の機動力となるべ
き人物の殆どが台湾の利益を思索せず、もっぱら自己利益の追求におわれていて崩壊
は時間の問題となっているみたいだ。



インドや韓国では国益を追求する姿勢が強く、多くの問題点を抱えていながら長期的
な見通しは悪くない。ただ、国が人材をリクルートしてもインフラの不備がエリート
の帰国を渋らせる原因となっているところもあり、さらなる努力が必要である。



●アメリカとのタイアップ



外国人技術者がアメリカで創業するとか、またはアメリカの会社に就職して故国の企
業に技術援助や流通網のセットアップなどに役立つこともある。しかしこれにはいく
つかの問題点があることも指摘しておきたい。



問題の第一は自国とアメリカとの政治関係である。一番よい例が中国で、アメリカの
技術導入を望んでいながらアメリカを「潜在的な敵」と見ている。五千年の歴史が示
すように中国とは雑多な民族から構成されている中国では「大中華思想」から逃れる
ことが出来ない人種で、アメリカから利益を求めても機会があればアメリカを征服し
ようといった意識がある。このような国と技術その他の交流をすれば一方的な利益の
追求や技術の流出の終ってしまい、アメリカや他国の利益にならない。



アメリカの外交政策とは簡単に言って、友好国となって合作するか、敵と見なして包
囲網を造りシャットアウトするか、二者択一である。中国はアメリカと敵対してはな
らぬと知っているので、ニセの友好を装って利益を追求する。クリントンのような外
交に無知で、お金で買収できるような人間が大統領になって中国に接近した苦い教訓
は、ブッシュに受け継がれて中国に警戒心を抱くようになった。



両国を股にかける企業では経済的な問題も残る。たとえばアメリカのシリコンバレー
では人材の確保が難しく、生活費や家屋など恐ろしく高価で、両国間の人材にサラ
リーその他の差異が大きくなれば両国との交流は困難である。



●対立闘争でなく共存共栄を



歴史的に見ると人類の関係とは異民族を征服することであった。村と村の戦争から地
方を平定して国をつくり、国と国が戦争を起して世界制覇を試みることはアレクサン
ダー大王や、ローマ帝国、ジンギスカン、秦の始皇帝や中国歴代の覇権願望、大中華
思想などに見られる。



しかし現代は違う。人類が戦争から学んだことは相互殺戮よりも共存共栄である。お
互いに助け合うことで関係を結べば、戦争をしないでも相互の繁栄は期待できる。こ
れが進んでEUROすなわちヨーロッパ連合が成立し、国際間の貿易ではWTOといった相
互補助、公平な競争などが可能となった。このほかにもASEAN、APECなどがみられ
る。



でも、まだ新しい共栄思想を受け入れない国や民族がいて、テロや国際紛争、軍備増
大に走る。たとえば中国は台湾を征服しなくても相互の利益になる関係を結べるが、
それが実現しないのは「大中華思想」という非近代的な征服思想のせいである。イス
ラエルとパレスチナ、印度とパキスタンの紛争をみてもそうである。



アメリカは知識や技術を諸国に開放して留学生を歓迎している。知識や技術の交流が
世界の相互繁栄に繋がるとアメリカは信じている。だがアメリカに敵意をもち、アメ
リカが世界制覇を意図しているといった、嫌米思想や危機意識を煽る知識分子もかな
り多い。公平に見て諸国がアメリカから得た利益や恩恵の方が尊大さよりはるかに大
きいのではなかろうか。■



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アンディ・チャンの本:

「フライディ・ランチクラブ」ISBN 4-88306-955-9 新風舎

《Tel:(03)-5775-5040》



「不孝のカルテ」ISBN4-434-00589-8 東京図書出版会

《Tel:(03)5815-6280》



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創刊日:2001-12-18  
最終発行日:  
発行周期:月刊、不定期  
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