たびそら

RSS

旅写真家・三井昌志が送るビジュアル・メルマガ。等身大のアジアの表情を、美しい写真と旅情溢れる文章で綴ります。このメルマガから生まれた本は「アジアの瞳」「スマイルプラネット」をはじめとして6冊を数えます。 

メルマ!ガ オブ・ザ・イヤー 2005 受賞メルマガ


メルマガの登録・解除

登録した方には、メルマ!からオフィシャルメルマガ(無料)をお届けします。


このメルマガは最新記事のみ公開されています。

[ たびそら ] 悠久の人

発行日: 02/21

body topmargin="0" leftmargin="0" marginheight="0" marginwidth="0"


3月9日からのバラナシ撮影ツアーですが、キャンセルが相次いで、参加予定者が少なくなりました。なので、今参加されると、個人レッスンに近い状態で写真の撮り方を学べます。これから写真を本格的に撮ろうという方はぜひ。初心者も大歓迎です。まだ間に合いますよ。







ナショジオ写真賞

 昨年インドで撮った写真「輝く汗と汚れた手」が、「日経ナショナルジオグラフィック写真賞2016」のピープル部門最優秀賞を受賞しました。

 現在、インドの撮影旅の真っ最中なので、2月6日に行われた授賞式は残念ながら欠席しましたが、ナショナルジオグラフィック誌にドキュメンタリー写真家としての実力を評価していただいたことは大変嬉しく、光栄に思っています。

 僕が初めてアジアを旅したのは2001年のこと。サラリーマンを2年で辞め、これから何をするべきなのか迷っていた時期に、旅と写真に出会い、人生が一変しました。それから16年にわたって、ほぼ毎年、旅と撮影を繰り返してきました。

 この10年ほどは、バイクを使って旅をしています。現地でバイクを調達し、気の向くままに走らせて、人々のありのままの暮らしの中に入っていくのです。情報は何も持っていません。もともと外国人が立ち寄るような場所ではないので、情報そのものがありませんし、僕も下調べはほとんど行いません。偶然と成り行きに身を任せ、好奇心のアンテナに引っかかった場面に対してシャッターを切るのです。

 受賞作品「輝く汗と汚れた手」を撮った染色工場も、そのようにして偶然に見つけた場所でした。ここに一歩足を踏み入れた瞬間、働く男たちの力強さに圧倒されたことをよく覚えています。この工場では、インド女性が身に着けている華やかなサリーの原料を作っているのですが、現場はとにかく蒸し風呂のように暑くて、華やかさの対極にあるような過酷な職場でした。しかし過酷なだけに、彼らが流す汗はよりいっそう輝いて見えたのです。

 染色工場の仕事は、「特別な技術を必要とする伝統工芸」といったものではありません。機械化が進むにしたがって消えていく、単純労働のひとつだと言えるでしょう。
 実は今から1ヶ月ほど前に、僕はこの工場をもう一度訪ねました。しかし男たちの姿はもうどこにもありませんでした。数ヶ月前に工場が閉鎖されてしまったからです。詳しい事情はよくわかりません。オーナーの経営方針が変わったのかもしれませんし、より大規模で機械化が進んだ工場との競争に負けてしまったのかもしれません。

 インドは、日本に比べれば物事が変化するスピードがとても遅い国ですが、それでも経済成長に伴って多くの仕事が消え、そして新しい仕事が次々と生まれています。このような流れ、産業構造の変化というものは、誰にも止められません。かつての日本や先進諸国がたどってきたのと同じ道を、おそらくインドもたどることになるでしょう。

 しかしだからこそ僕は、いまここで働いている人々の姿を、写真に記録し、後世に伝えたいのです。ここに間違いなく汗を流す人々がいて、希有な美しさがあったのだ。それが簡単に忘れ去られてしまうのは、あまりにも残念だと思うからです。

 僕はこれまで「好きなように旅をし、好きなように写真を撮る」というやり方を続けてきました。偶然任せの旅の面白さを愛していました。そのような即興的な写真はとても楽しいですし、そこから得るものも多かったのですが、これからはもっとスケールの大きなテーマにも取り組んでいきたいと考えるようになりました。より長期的で、メッセージの射程範囲が広い写真を撮りたいのです。そして、今回の受賞作品に代表される「働く人々の姿」は、僕が生涯をかけて撮り続けていくテーマのひとつになると確信しています。

 旅をしていると「この世界が驚きに満ちている」ということを強く感じます。当たり前の日常生活の中にも、美しい光があり、濃い影があるのです。これからも子供のような好奇心と強い情熱を持って旅を続け、この驚きに満ちた世界のありようを記録していきたいと思います。


悠久の人
 

2年ぶりに訪れた町で、2年前とまったく同じ格好で新聞を読む老人がいた。微動だにしない日常のルーティーン。何も変わらなくたっていいんだよ。悠然とした風貌の老人が、そう語りかけているように思えた。

india17-32251

india15-50612

 

india17-40784
朝の日課として鳥にエサをやりに来た老人。さっそくカモメの大群が集まってきて大騒ぎ。まさに烏合の衆って感じ。日本にも鳩にエサをやる人がいますが、なぜかみんな楽しそうじゃなく、淡々と、「ま、仕方ねぇからやってんだ」という表情をしているのが面白いですね。

 

india17-30409
イスラム教の聖廟を訪ねた。いい写真を撮るためには、運を味方にしなければいけない。運が良ければ、素晴らしい場面に出会える。幸運でも不運でもない僕にできるのは、ダイスを振り続けること。だから毎日移動する。「その先」に決定的な瞬間が待ち受けていると信じて。

 

india17-44996
インド一周の旅は、いつも南部から始めるので、「やっぱ南インドって人が良いなぁ」と思う。そして北インドに入ると、「なんだ、北インドの方が人が親切じゃないか」と感じる。毎回、これを繰り返している。結局、「インドはいい人が多い。南でも北でも関係なく」という結論になるのだった。

 

india17-33775
こんな笑顔に出会った朝は、一日が楽しくなる。スクールバスならぬスクールオートで学校に向かう子供がきらきらの目を向けてくれた。

 

india17-31027
グジャラート州はインドでも女性が撮りやすい場所。カメラを向けても自然な笑顔を向けてくれる。

 

india17-35929
白いターバンに白い服。グジャラート州の農村に住む男たちの「制服」だ。インドの伝統衣装はファンキーでカッコいいと思う。祝い事とかハレの日じゃなくて、これが普段着なんだからすごい。

 

india17-41973
日本人に比べるとはるかに保守的なインド人ですが、若者のファッションはずいぶん変化しています。逆立った髪型とデカいサングラス。日本のかつてのヤンキーファッションを彷彿とさせますね。

 

india17-42555

india17-42541最近、インドでもバレンタインデーを祝う習慣が広まっているようです。男性から女性にバラの花を贈るのが一般的。自由恋愛が御法度の国なので、さほど盛り上がっているわけではありませんが、こんなイケメンから赤いバラをもらったら、悪い気はしないですね。

 



















最新の旅日記はツイッターブログで更新中です









渋イケメンの国  アジア各地で撮影した渋くてカッコいい男たちがテーマの写真集です。
 目力があり、異性にモテることを意識せず、加齢を怖れない。それが渋イケメンたちの生き方です。 汗くさく、たくましく、全身生きる力をみなぎらせた男たちのパワーを存分に感じてください。













写真家。1974年、京都市生まれ。東京都在住。
機械メーカーでエンジニアとして2年間働いた後退社し、2001年にユーラシア大陸一周の旅に出る。帰国後ホームページ「たびそら」を立ち上げ、写真集「アジアの瞳」を出版。以後、写真家と してアジアを中心に旅と撮影を続けながら、執筆や講演などを行う。これまでに出版した著作は8冊。 (→更に詳しく)










・「たびそら」ホームページは → http://tabisora.com/
・ 購読の解除・メールアドレスの変更は → http://www.tabisora.com/travel/mailmag-kaijo.html
・ このマガジンに対するご意見ご感想は → masa@tabisora.com

・ 当メルマガに掲載されている文章、写真等の無断転載・転用を禁止します。
  Copyright (C) Masashi Mitsui. All Rights Reserved.




規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

登録/解除

このメルマガは最新記事のみ公開されています。

[ たびそら ] 悠久の人

発行日: 02/21

body topmargin="0" leftmargin="0" marginheight="0" marginwidth="0"


3月9日からのバラナシ撮影ツアーですが、キャンセルが相次いで、参加予定者が少なくなりました。なので、今参加されると、個人レッスンに近い状態で写真の撮り方を学べます。これから写真を本格的に撮ろうという方はぜひ。初心者も大歓迎です。まだ間に合いますよ。







ナショジオ写真賞

 昨年インドで撮った写真「輝く汗と汚れた手」が、「日経ナショナルジオグラフィック写真賞2016」のピープル部門最優秀賞を受賞しました。

 現在、インドの撮影旅の真っ最中なので、2月6日に行われた授賞式は残念ながら欠席しましたが、ナショナルジオグラフィック誌にドキュメンタリー写真家としての実力を評価していただいたことは大変嬉しく、光栄に思っています。

 僕が初めてアジアを旅したのは2001年のこと。サラリーマンを2年で辞め、これから何をするべきなのか迷っていた時期に、旅と写真に出会い、人生が一変しました。それから16年にわたって、ほぼ毎年、旅と撮影を繰り返してきました。

 この10年ほどは、バイクを使って旅をしています。現地でバイクを調達し、気の向くままに走らせて、人々のありのままの暮らしの中に入っていくのです。情報は何も持っていません。もともと外国人が立ち寄るような場所ではないので、情報そのものがありませんし、僕も下調べはほとんど行いません。偶然と成り行きに身を任せ、好奇心のアンテナに引っかかった場面に対してシャッターを切るのです。

 受賞作品「輝く汗と汚れた手」を撮った染色工場も、そのようにして偶然に見つけた場所でした。ここに一歩足を踏み入れた瞬間、働く男たちの力強さに圧倒されたことをよく覚えています。この工場では、インド女性が身に着けている華やかなサリーの原料を作っているのですが、現場はとにかく蒸し風呂のように暑くて、華やかさの対極にあるような過酷な職場でした。しかし過酷なだけに、彼らが流す汗はよりいっそう輝いて見えたのです。

 染色工場の仕事は、「特別な技術を必要とする伝統工芸」といったものではありません。機械化が進むにしたがって消えていく、単純労働のひとつだと言えるでしょう。
 実は今から1ヶ月ほど前に、僕はこの工場をもう一度訪ねました。しかし男たちの姿はもうどこにもありませんでした。数ヶ月前に工場が閉鎖されてしまったからです。詳しい事情はよくわかりません。オーナーの経営方針が変わったのかもしれませんし、より大規模で機械化が進んだ工場との競争に負けてしまったのかもしれません。

 インドは、日本に比べれば物事が変化するスピードがとても遅い国ですが、それでも経済成長に伴って多くの仕事が消え、そして新しい仕事が次々と生まれています。このような流れ、産業構造の変化というものは、誰にも止められません。かつての日本や先進諸国がたどってきたのと同じ道を、おそらくインドもたどることになるでしょう。

 しかしだからこそ僕は、いまここで働いている人々の姿を、写真に記録し、後世に伝えたいのです。ここに間違いなく汗を流す人々がいて、希有な美しさがあったのだ。それが簡単に忘れ去られてしまうのは、あまりにも残念だと思うからです。

 僕はこれまで「好きなように旅をし、好きなように写真を撮る」というやり方を続けてきました。偶然任せの旅の面白さを愛していました。そのような即興的な写真はとても楽しいですし、そこから得るものも多かったのですが、これからはもっとスケールの大きなテーマにも取り組んでいきたいと考えるようになりました。より長期的で、メッセージの射程範囲が広い写真を撮りたいのです。そして、今回の受賞作品に代表される「働く人々の姿」は、僕が生涯をかけて撮り続けていくテーマのひとつになると確信しています。

 旅をしていると「この世界が驚きに満ちている」ということを強く感じます。当たり前の日常生活の中にも、美しい光があり、濃い影があるのです。これからも子供のような好奇心と強い情熱を持って旅を続け、この驚きに満ちた世界のありようを記録していきたいと思います。


悠久の人
 

2年ぶりに訪れた町で、2年前とまったく同じ格好で新聞を読む老人がいた。微動だにしない日常のルーティーン。何も変わらなくたっていいんだよ。悠然とした風貌の老人が、そう語りかけているように思えた。

india17-32251

india15-50612

 

india17-40784
朝の日課として鳥にエサをやりに来た老人。さっそくカモメの大群が集まってきて大騒ぎ。まさに烏合の衆って感じ。日本にも鳩にエサをやる人がいますが、なぜかみんな楽しそうじゃなく、淡々と、「ま、仕方ねぇからやってんだ」という表情をしているのが面白いですね。

 

india17-30409
イスラム教の聖廟を訪ねた。いい写真を撮るためには、運を味方にしなければいけない。運が良ければ、素晴らしい場面に出会える。幸運でも不運でもない僕にできるのは、ダイスを振り続けること。だから毎日移動する。「その先」に決定的な瞬間が待ち受けていると信じて。

 

india17-44996
インド一周の旅は、いつも南部から始めるので、「やっぱ南インドって人が良いなぁ」と思う。そして北インドに入ると、「なんだ、北インドの方が人が親切じゃないか」と感じる。毎回、これを繰り返している。結局、「インドはいい人が多い。南でも北でも関係なく」という結論になるのだった。

 

india17-33775
こんな笑顔に出会った朝は、一日が楽しくなる。スクールバスならぬスクールオートで学校に向かう子供がきらきらの目を向けてくれた。

 

india17-31027
グジャラート州はインドでも女性が撮りやすい場所。カメラを向けても自然な笑顔を向けてくれる。

 

india17-35929
白いターバンに白い服。グジャラート州の農村に住む男たちの「制服」だ。インドの伝統衣装はファンキーでカッコいいと思う。祝い事とかハレの日じゃなくて、これが普段着なんだからすごい。

 

india17-41973
日本人に比べるとはるかに保守的なインド人ですが、若者のファッションはずいぶん変化しています。逆立った髪型とデカいサングラス。日本のかつてのヤンキーファッションを彷彿とさせますね。

 

india17-42555

india17-42541最近、インドでもバレンタインデーを祝う習慣が広まっているようです。男性から女性にバラの花を贈るのが一般的。自由恋愛が御法度の国なので、さほど盛り上がっているわけではありませんが、こんなイケメンから赤いバラをもらったら、悪い気はしないですね。

 



















最新の旅日記はツイッターブログで更新中です









渋イケメンの国  アジア各地で撮影した渋くてカッコいい男たちがテーマの写真集です。
 目力があり、異性にモテることを意識せず、加齢を怖れない。それが渋イケメンたちの生き方です。 汗くさく、たくましく、全身生きる力をみなぎらせた男たちのパワーを存分に感じてください。













写真家。1974年、京都市生まれ。東京都在住。
機械メーカーでエンジニアとして2年間働いた後退社し、2001年にユーラシア大陸一周の旅に出る。帰国後ホームページ「たびそら」を立ち上げ、写真集「アジアの瞳」を出版。以後、写真家と してアジアを中心に旅と撮影を続けながら、執筆や講演などを行う。これまでに出版した著作は8冊。 (→更に詳しく)










・「たびそら」ホームページは → http://tabisora.com/
・ 購読の解除・メールアドレスの変更は → http://www.tabisora.com/travel/mailmag-kaijo.html
・ このマガジンに対するご意見ご感想は → masa@tabisora.com

・ 当メルマガに掲載されている文章、写真等の無断転載・転用を禁止します。
  Copyright (C) Masashi Mitsui. All Rights Reserved.




規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

登録/解除

メルマ!のおすすめメルマガ

  1. 月刊アカシックレコード

    最終発行日:
    2017/02/01
    読者数:
    17059人

    02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家が、政官財界の分析にも進出し、宣伝費ゼロで読者19,000人を獲得。2009年9月から月刊化。

  2. 宮崎正弘の国際ニュース・早読み

    最終発行日:
    2017/02/26
    読者数:
    23943人

     評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

  3. e-doctor ドクタースマートの医学なんでも相談室

    最終発行日:
    2017/02/02
    読者数:
    3291人

    読者の質問に内科医であるドクタースマートがお答えするメルマガです。病気に関するどんなことでも、なんでも質問してください。すべての質問に、ドクタースマートが本気・本音でお答えいたします。

  4. SHIZA旅 3年4ヶ月世界一周ひとり旅

    最終発行日:
    2017/02/20
    読者数:
    468人

    「日本から飛行機を使わずにケープタウンまで行ってみよう」それが当初の旅の目的だった・・・3年4ヶ月世界一周半。累積訪問国110ヶ国以上。アジア、中東、アフリカ、中南米、中央アジア、ロシア。「辺境」を好んで旅した著者による記録。是非ご登録下さい。(無料)【相互紹介歓迎】

  5. 頂門の一針

    最終発行日:
    2017/02/26
    読者数:
    5529人

    急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

発行者プロフィール