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猫のおきて

猫は人の足を踏みながら通る。猫が膝に来るとトイレに行きたくなる。など、なぜだか猫が行う「猫のおきて」の数々をつぶさに検証。筆者の周りの猫たちの様子ものぞいていただけます。

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猫のおきてVol.104「人を操る」

2004/09/12

  猫は人の足を踏みながら通る。猫が膝に来るとトイレに行きたくなる。などなど、どう
いうわけでだか猫たちが決まってする行動の数々。このメールマガジンでは、そんな愛ら
しくも不可解な行動、習性を「猫のおきて」と呼び、それにまつわるあれやこれやについ
て大まぢめかつ勝手気ままに考察してまいります。筆者の飼い猫、黒猫の「ち」の、思わ
ず失笑しそうに油断しきった日常も、覗いていただけます。

 今回は、このところの号を見渡していて、再認識したテーマです。

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  猫のおきて 第104号
                                    人を操る 

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  猫は、人を操る。
「そんな自明なこと、何を今更述べているのやら」とおっしゃる読者諸賢もおいでかもし
れないが、そうは言っても、この「猫の基本属性」とも考えられるような「おきて」を、
無考察のままに放置しては置けないであろう。
  ここらでこのおきてを取り上げておこうと考えたのは、先日、「猫は戸を開ける問題」
で実施したアンケートがきっかけだった。そこでのコメントから、猫が多くの人々を操っ
ている状況を、まざまざと見せつけられたからである。
「我が家の女王さまは、ドアの開閉はしもべの仕事と心得ていらっしゃるので、ご自分で
は決してお開けになりません」(ペンギンママさん)
「自分では開けられないのですが、『開けてくれ』と命令されます。 開けないで知らん振
りしていると、『ニャニャニャ』と 怒ったようにさらに要求されます」(donkoさん)
「当家にはいわゆる猫ドアというものを取り付けていますが、ミーチャはこのドアがある
にもかかわらず、家人に人間ドアの開閉を要請します」(サーシャさん)
  と、猫たちは自由自在に人を呼び寄せてドアの開閉をさせているのであった。

  このように「人間を操る」ことも、猫が人間と暮らすようになってからの進化で身につ
いた能力なのだろうか。動物行動学者のフォックス先生はこんな風に語っている。
「家庭で飼われているネコが人間を操作して何かをさせる能力は、何世紀もの間に身につ
いたものである。たいてい、ネコが抱き上げてなでてもらいたいと思うと、実際にそうす
ることになるのだ!」(「フォックス博士のスーパーキャットの育て方」より)

  そして、人間を操って行わせることは、ドアの開閉や愛情を込めたひと撫でにとどまら
ない。もっと大局的な「猫の支配ぶり」について、日本の文学者が秀逸に描き出している。
  かの、手放しの猫たわけ作品「ノラや」を、涙と洟を垂れ流しながら書いた内田百間(※)
は、「贋作吾輩は猫である」の中で、鰹節問屋「杓子坂の小判堂」の飼い猫にこう述べさ
せた。
「我我の都合で、我々の自存の為に人間を働かしてあるのです。僕の所で云えば、僕の利
益の為に主人は引き続き鰹節問屋をやっているのです」
「解り易いのは勤め人の家庭でしょうね。(中略)猫が主人を役所へ行かせる。時間に遅
れない様に急がせる。夕方になれば一日の勤めを終えて、電車で揉まれて、猫のいる吾が
家へ帰って来る」
  そして、さらにマクロな視点を提示したのが、ショートショートSFの巨匠、星新一の
「ネコ」という作品。
  郊外の一軒家に猫と暮らすエス氏のところに、数々の星を調査に訪れている異星人がや
ってくる。エス氏は、その想像を絶した姿を見て卒倒し、代って相手をするのが猫なのだ。
猫が落ち着いていることへの感服を、異星人がテレパシーで伝えると、猫はこう答える。
「いちいち驚くようでは、支配者の地位は保てないわよ」
  そして、人間を、自分たち猫のために働く生物だと言い、その役割を説明する。
「たとえばこの家よ。人間が作ってくれたわ。それから牛という動物を飼い、ミルクをし
ぼって、あたしたちに毎日、はこんでくれるわ」
  異星人は、調査を正確にするためにウソ発見器を使い、猫の説明が本当であると知る。
「いつまでも支配しつづけるよう、お祈りいたします」と言う異星人に猫は「もちろん、
そのつもりよ」と答えるのだった。

  これらの作品が秀逸なのは、「猫による人間の操作」「猫の人間支配」は、人間側に殆
どそれと気づかれず、何の圧政も敷かずにも持続できていることを、正確に描いているこ
とである。これが「支配」の理想的なあり方で、多くの王や皇帝がここのところで失敗し
て民衆の怒りを買い、権力の座から駆逐されているのだから。
  歴史上、アレクサンダー大王、ナポレオン、ヒトラー等々、猫嫌いで知られる独裁者は
多いが、それは権力の取り扱いの技術について、自分のほうが猫に劣っていると無意識に
気付いており、そのコンプレックスの反動として、だったのかもしれない。

(※本文中「内田百間」と表記しましたが、正しくは「間」ではなく、「門構えの中に月」
の文字です。文字化けするので、便宜的に「間」としました)

*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*−*

●というわけで、「独裁者は猫を憎む」という言い方があるんですが、上記本文中で挙げ
た以外に、猫嫌いな独裁者をご存知でしたらどうかご教示ください。でも、「うちの妻」
とかそういうの駄目ですよ。あくまで「歴史上」ということで。
 素材が集まりましたら、そのあたりも詳しく調べてみたいと思いますので。

●今回もアンケートをします。ご意見やエピソードはコメントボードにお書きください。

問:猫は、人を操る

◆その通り
┗ http://clickenquete.com/a/a.php?M0000072Q0000455A1c5e3
◆そうでもない
┗ http://clickenquete.com/a/a.php?M0000072Q0000455A22a95
◆どちらともいえない
┗ http://clickenquete.com/a/a.php?M0000072Q0000455A3549b

○結果を見る
┗ http://clickenquete.com/a/r.php?Q0000455C24f3
○コメントボード
┗ http://clickenquete.com/a/cb.php?Q0000455P00Cbc0f

締切:2004年09月18日23時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/

●ご感想やリクエストなど、どうぞメールにてお寄せ下さい。

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「猫のおきて」(通巻第104号)2004年9月12日発行(ほぼ2の日発行)
【著者・発行者】    馨歩
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