文学

本格派小説家のエッセー

「第三章へ」「コザが燃えた夜」「桐の小箱」を上梓した小説家が  出版前に送る珠玉のエッセー。

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小説家のエッセー

2004/10/16


       秋篠寺を詣でる。

 天が突き抜けるような好天だったので、朝の十時半過ぎに、思い立って、秋篠寺
に出かけた。
 近鉄生駒駅へ徒歩六分。電車で五分で大和西大寺駅。家々の庭から金木犀の香りが
漂い、柿の実が色付きはじめている初秋の田舎道を北北西に進路をとりながら歩くこ
と十分で秋篠寺の南門前に到着。入り口にある寺務所で500円の拝観料を支払い、ヒ
ヨドリの囀りが聞こえてくる木々の下、砂利道を、本堂へと歩く。
 平日の午前なので参拝客はまばらだ。
 秋篠寺は、奈良時代の末期、宝亀七年(776)に、光仁天皇の勅願によって建立
された。本堂に安置されている薬師如来が本尊で、僧正善珠大徳の開祖。当初の宗派
は法相宗〈南都六宗のひとつ)であったが、平安時代以後、真言宗に転じ、明治初年
に浄土宗に属している。
 現在、どの宗派にも属さず、仏教二千五百年の伝統に立脚して新時代に在るべき人
間の姿を築かんとするものであると、同寺沿革略記の末尾に書かれている。
 堂内には愛染明王、帝釈天(重文)、不動明王、中央部に薬師如来像(重文)があ
り、同じく重文の日光菩薩、月光菩薩がある。十二神将、重文の地蔵菩薩と伎芸天へ
と続く。 
 この、衆生の吉祥と芸能を主宰し、諸技諸芸の祈願を納受したまうと説かれている
伎芸天にお逢いするために出かけたのである。
「望郷のアンビバレンス」を書き上げた。この年末に、全国主要都市にある紀伊国屋書店、丸善、ジュンク堂等でも販売される予定である。
 二校の校正を終えたばかり。三校、念校と重ねねばならない。 
 限りなく人間味を湛え、古くより美術家、文芸家等の間にも広く讃仰者を集めてい
るとされる、慈悲に満ちておられると思える伎芸天のお顔を見上げ、静かに手を合わ
せて、「多くのよき読者に恵まれますように」と、願った次第であるが:::。

 

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創刊日:2001-09-20  
最終発行日:  
発行周期:随時。  
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