文学

本格派小説家のエッセー

「第三章へ」「コザが燃えた夜」「桐の小箱」を上梓した小説家が  出版前に送る珠玉のエッセー。

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小説家のエッセー

2004/01/13

         四半世紀振りの同窓会

 今年の若草山の山焼きの日は、久しぶりに好天に恵まれたためもあって、
 多くの見物客が古都を訪れた。
 そんななか、一月十一日、奈良市内の某保養所で奈良高校昭和37年度
 3年2組卒業生の同窓会が催された。参加者17名。恩師も来られた。
 参集直後は名前が咄嗟に浮かばく、首をかしげながら見詰め合う者もい
 たが、しばらくして、姓名を思い出し、肩を叩いて再会を祝した。
 寄せ鍋の膳に付き、先ず、一人一人、近況報告。
 席順の関係で、私がトップバッターだ。
 サントリーに勤務したこと、自己都合退職した後もサントリーの協力会社
 の一社に加盟し、建設資材を間接的ではあるが納入してきたこと、得意先
 の倒産で会社の一部門を畳まざるを得なくなったことなどなどを、笑顔で
 話した。
 「で、今は?」
 「売れないもの書きやねん」
 上梓3作の題名を告げる。
 持ってきたらよかったのに。買うからとの声が、あちらこちらでする。
 「インターネット通販されてるんやで、3作とも」
 「分かつた。そうするわ」
 頭を下げて応えた後、一同を見回す。
 還暦を迎えた者たちなので、They are not how they ware.
  それぞれ、たくさんの水が橋の下を流れていったのである。
 物故者も三名。名簿に記載してある。
 しぜんと、しんみりしてしまう。
 気を取り直し、大いに語り合い、次回を2年後に決めて、散会した。
 清清しくて懐かしい記憶に浸ることができる同窓会だった。

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創刊日:2001-09-20  
最終発行日:  
発行周期:随時。  
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