国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<危険なのは「プーチン・リスク」

2019/11/27

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)11月27日(水曜日)弐
  通巻6289号    
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(休刊のお知らせ) 明日(11月28日)は地方講演のため小誌は休刊です
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 ロシアが抱える諸問題のなかでも、とりわけ危険なのは「プーチン・リスク」
  出生率1・16は世界主要国で最低、毎年70万人の人口が減っている
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 中国に拡がる絶望感。めぼしい雇用機会は遠くなり、繁栄はどこかへ去り、国家がやっていることは何かと言えば、通商摩擦、とりわけ危険な対米衝突、少数民族の弾圧を繰り返し、習近平の無能に対しての不満が堆積している。
 外国メディアに伝わっていないが各地の暴動は香港並みの暴動化している。

 対照的にロシアは中東で劇的に影響力を急回復し、意気軒昂に見えた。幻視か、あるいは蜃気楼だったのか。
 ロシア帝国の復活、プーチン大帝の輝かしき指導力は地に落ちつつある。

第一に「大国」としての恢復が相当の無理をしてきたため、経済負担を超えたばかりか、ドル箱の石油が値下がりして、軍事予算も減退し、西側の技術移転がとまってしまったため経済の活性化が停滞した。

第二に威勢の良いクリミア半島併合は確かにロシア・ナショナリズムを高揚させたが、西側の経済制裁、とりわけ財閥の海外資産差し押さえで、経済が減退傾向。理由は俄成金たちが「愛国」を鼓吹しつつも、祖国への投資を忌避し、海外へ外貨を持ち出すからだ。

第三に国勢恢復を軍の拡張に偏重させているため、中東における影響力回復は短命、雇用機会の喪失、失業の増大はプーチンへの不満を急拡大させている。反プーチンのデモが主要都市で組織化されている。くわえて西側の影響により「#Me、too」運動、LGBT活動などロシア正教を脅かす価値紊乱の動きが顕著になった。

第四にプーチンの専制政治はメディアの統制にも動いているが、政敵が海外から混乱を工作したり、また国内では外国人労働者、とくに中国人が溢れてきたため、民族的危機感が日増しに強くなった。


 ▲過半の若者がロシアを捨てて外国に移住を希望している
 
 ロシアの社会学者がつどう「レバタ・センター」が、2019年10月14日に発表した世論調査統計は、衝撃的だった。
 この調査は露西亜全土50地区、1600人を対象に行われた。

 それに拠れば、ロシアの若者(18歳から24歳)の53%がロシアをでて外国への移住を望んでいることが判明した。あの「大祖国戦争」を戦ったロシア愛国主義はどこへ行ったのか?
ちなみに25歳から39歳の青年像も、30%が海外移住を望んでいる。ロシアは1989年から2013年までにおよそ540万人が海外へ移住した(このうち百万近いユダヤ人のイスラエル移住も含む)。

 出生率は1・16%と世界主要国のなかで最低。また長寿を誇る日本とは対照的にロシア人の平均寿命が短命化しており、男性は59歳、女性は73歳。主因は自殺急増、アルコール依存、そして殺人の増加などだ。
 同調査に拠れば、死刑復活を望む声も50%を超えたという。

 ロシアは人口1億5000万人弱。毎年70万人の人口減があり、GDPは世界12位、ひとりあたりのGDPは8900ドルと統計的には見られるが、富の分配が不公平であり、プーチンの眷属、友人らが利益を独占し、せっせと海外へ資産を移している。

 このような社会基盤の腐食現象、融解がなし崩しにロシア社会を蝕み始めた。
にもかかわらずプーチン大統領は「核戦争を辞さず」「西側がカリニングラードを抑えたら、ロシア軍は48時間以内に反撃できる」「中東の安定のため地域への支援を続ける」などと獅子吼する。
 そんな強気の、金のかかる外交をやっている閑があったら、失業率を減らし、企業効率化合理化を推進し、海外からの投資を呼び込み、生活をゆたかにするべき政治をやって欲しいというのがロシア庶民の望みである。
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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日本株は、いまからが大勝負期となって日経平均は30倍に
 「アホとちゃうか」と無視する投資家が殆どだろう。ところが!!!!

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エミン・ユルマズ『米中新冷戦のはざまで日本経済は必ず浮上する』(かや書房))
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 日本の株式市場に大相場がやってきて、株価は向こう40年で30万円になると世紀の大予言。いったい、このような大法螺もしくは世間を驚かせる珍説を吐く「眉唾エコノミスト」って、何もの?
 なにしろ令和時代に日経平均は30万円にまで跳ね上がるなどと啖呵を切る予言を誰が信用するのだろう?
 というわけで、消費税増税が強行され、景気後退予測が主流の論壇状況を前にすれば、誰もがするように、眉にべっとりと唾をつけて読み出した。
 いやはや面白いのだ。
 景気判断を企業の盛衰の求め、経営者の質を重視するのはエコノミストの基盤だが、著者がカバーするのはカジノ、ポケモン、日本の浮世絵というジャンルに埋もれたビジネスチャンスであり、投資家があまり関心を抱かない世界である。
日本のエコノミスト、とくに悲観論者が支配的な経済論壇のなかでも、政策的誤謬を指摘する一群の人々にまざって政府への建言に生きがいを見出すエコノミストや学者、最近はMMT理論が流行。なんでもかんでもアメリカの亜流という経済評論家が多い。
他方、少数派の楽観論者も存在しているが、まともな楽観論は、評者(宮?)の見渡すところ、一部から「法螺吹き武者」と呼ばれるドイツ証券出身の武者陵司氏くらいだろう。
 そこで著者であるエミン・ユルマズ氏の来歴をあらためると、なんとこの人、トルコからの帰化人。しかも東大に学び生命工学の博士号。日本に帰化して、ながらく野村證券にいて日本株を売ってきたそうな。
 惹句に「トルコ出身の天才エコノミスト」と謳われているが、出発が金融工学ではなく生命工学という立脚点に、評者は注目した。それなら相場を長期的スパンで解析してくれるに違いないと思ったのだ。
 第一の着眼点はジャポニズムが飛躍株の潮流になるという。
 第二にカジノはラスベガスとか、マカオとか治安の良い都市で発達し、マカオが香港の二の舞になるとするなら極東のカジノ・ビジネスは日本に移るだろうとみていること。
 第三が香港の國際金融都市機能が失われるのは時間の問題だが、アジアの金融ハブはシンガポールへ移行するかと言えば,NOで、東京であるという。理由は「シンガポールの実質支配層が華僑。要は中華圏」。したがってグローバル・マネーは中国圏を忌避するからだと予測する。とくにこのポイントは評者の認識に通底する。
 第四に「ここ三十年、日本は長期の停滞期にあり、若い投資家たちは香港株や中国株に特化していた」。
日本株プロパーはおじいちゃんが主力で引退期にはいり、つぎの若い世代は日本株にもどるというのが新潮流になること。ポケモン、世界一流のウィスキー、欧米で人気がでて日本酒。ゲーム機などでもジャポニズム、そして大きな市場がインドとその先の中東、アフリカにひらけているではないかと注意を喚起する。
 
 しかし、これらは本書の肯綮の一部でしかなく、下記こそが著者の言いたいポイントである。
 1878年(明治11年)日本に株式市場が生まれ初値が130円だった。1920年に日本株はピークを打って549円(ただし明治の一株は73・6株に増えているので実際は40406円、42年間に、じつに297倍となった!
 戦後の1949年(昭和24年)、日本株は再スタートを切った。初値が172円86銭だった。ピークの平成元年(1989年12月)、バブル絶頂期で、38915円と、40年間で、じつに225倍となっていた。
 こうした市場の長期的展望に基づいた歴史データから未来を見渡せば、いまから40年後、日本株は、どう抑制的に見ても30倍になる。それさえ極力控えめの数字である、とするのである。
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 だからCHINAはNAZIだ! CHINA + NAZI=CHINAZI 
――血なまぐさい弾圧を繰り返す中国は「紅色のナチス」
 ――侵略と弾圧を加速させ、逆に中国は崩れて行く 
 ――香港から拡がる中国憎悪、習近平は窮地に立たされた
 ――中国人も香港人も続々と逃げ出している
 ――巻き返しは「通貨戦争4・0」のリブロ vs デジタル人民元
 ――香港大乱、武闘派の黒幕は誰だ?
 ――「反中」の輪が台湾から世界への拡散している
 ――中国の混乱はこれからが本番だ
――アメリカが発動する新たな対中包囲網の威力
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 読者の声 どくしゃのこえ READESRS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)主演女優の麻薬疑惑とかで、来年のNHK大河ドラマが2週間遅れてはじまるとか。
その報道に付随して「麒麟が来る」の内容紹介があったので、見ると、明智光秀が主人公として描かれるという前宣伝がありましたが、どうやら総花的な、戦国武将の絵巻のように、斎藤道三vs信長から始まるようですね。様々な武将像の物語で明智はどうやらワンノブゼムとして扱われる気配です。
 せっかく宮?さんの『明智光秀 五百年の孤独』(徳間書店)を読み終え、このような明智評価がNHKでどこまで深追いされるのか大河ドラマを愉しみにしていたので、がっかりです。
  (HF生、京都)


(宮崎正弘のコメント)近年の大河ドラマは女性が主人公に移行しており、雄々しさよりフェミスズムの世界。史実など二の次で、したがって歴史的事実は軽視されがちのものが量産されてきました。
 明智光秀も時代的にはまだ復権するチャンスはすくないものの、こういう機会をとらえて読書界では明智本がすでに十数冊、書店に並び始めています。そういう効果があったことは事実でしょう。
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2019 ◎転送自由。転載の場合、出典明示
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  • 名無しさん2019/11/27

    2018年6月に開かれた複数の国際会議や交渉の場では「朝鮮半島和平」や「中近東和平」、「アジアと欧米の関係」、「ドイツを中心としたEUの今後」など世界規模の大きなテーマが議論されてきた。その最大の議題が「アジアと欧米の覇権争い」の行方であった。この東西枠組み、要するに「縄張り争い」と言い換えてもいいが、どうのような枠組みにするのか、どこまでが陣地になるのか、何をもって仲間するのか、東西融合の前段階として、この争いは活発化している。



     その陣地争いのホットスポットがインドである。東西によるインド争奪の動きが強まっている。まず、動いたのがアメリカ軍である。2018年6月1日、アメリカは「太平洋軍」という名称を「インド太平洋軍」に改めた。いわばインドを中国包囲網の中心に据えようと動いたのである。司令官も日系のハリー・ハリスからフィリップ・デーヴィドソン海軍大将に交代して、日本の自衛隊、インドネシア軍、インド軍、オーストラリア軍との連携を強化すべく急いでいる。そのハリスは韓国大使へと左遷された。



     対する中国は、同盟国パキスタンと、その歴史的ライバルであるインドとの関係修復に尽力し、又ロシアもインドとの友好関係を生かして、上海協力機構(SCO)を中心としたユーラシア同盟を新たな世界権力の中心に育てようとしている。



     こうした綱引きが引き金となり、2019年2月26日、インドとパキスタンが軍事衝突を起こした。インド空軍が「パキスタン側テロ組織の最大の訓練施設を攻撃した」と発表。その翌日には、パキスタン軍がインド戦闘機3機を撃墜、インド軍もパキスタン戦闘機1機を撃墜した。両国は軍事的な緊張を即座に緩和する方向で動いた。



     これらはクリミナル・ディープ・ステイトの仕掛けであったことが判明している。クリミナル・ディープ・ステイトは、東西の枠組み争いの隙をついて蠢いている。これ以外にも「オーストラリア・日本・インド・アメリカ」と「中国・ロシア」の対立も煽ってきたが、こちらのシナリオも空中分解した。それで今度は核保有国同士であるインドとパキスタンを嗾けて来たわけである。



     しかしインドは、2017年に中国やロシアを筆頭とする上海協力機構(SCO)の加盟手続きを完了しており、ライバルであるパキスタンも同時に加盟手続きを完了した。つまり、上海協力機構を通じて同盟国となっているのだ。要するに、「旧体制勢力が描いていた世界の対立構図」と「現実」が乖離し、いくら対立を煽ろうとしても全く効果が無くなったのである。



     インドのナレンドラ・モディ首相は、中国の習近平と首脳会談後、「勝者と敗者のどちらかしか生まれないような戦いに中国とインドは参加しない」と声明を出している。核戦争になりかねないパキスタンと本格的な軍事衝突など起こり得るはずはなかったのだ。



     インドの動向が、東西枠組み争いのカギを握っているのは間違いない。



     ハノイで行われた2度目の米朝会談について、もう一つ重要なポイントがある。トランプがレームダック化したことを全世界に知らしめたという点である。



     アンドリュー・キムが2019年3月20日、韓国で開かれたAPARC関連の会合に出席、2月末の米朝首脳会談の決裂について興味深い発言をしている。彼によると、北朝鮮は首脳会談の際に「グアムやハワイなどにあるアメリカの戦略兵器の撤去」及び「米軍インド太平洋司令部の無力化」を要請した。経済制裁を受けている北朝鮮が、超大国アメリカに対して最重要方面軍を無力化しろと要求したとすれば狂気の沙汰であり、決裂どころか、下手をすれば戦争になるような暴挙である。



     だからこそ、このニュースを読み解くには、米朝会談そのものが「大国アメリカ」と「北朝鮮と言う小国」の間の交渉ではなかったという視点が必要である。裏では革命を主導してきた結社や米軍当局が極秘交渉を行っていたというのが正しい。だから、この「インド太平洋軍」の問題が議題に上がっているのだ。つまり、東西の枠組みをどうするのか、と言うのが米朝会談の真の目的なのである。



     表舞台となった米朝交渉の続きは、中国を通じて、今現在、トランプの司令塔の一つとなっているイタリアP2フリーメーソンの下で進行中だ。イギリス連邦は、すでにアジア側の結社と連携し、新国際機関である未来経済企画庁の設立などに向け、大筋合意に達している。真の議題はトランプ抜きで行われているのだ。



     その証拠に2019年3月21日、中国の習近平がイタリア・ローマを訪れた時、バチカン上部組織のP2フリーメーソンと会い、その結果P2フリーメーソンはアジア側の結社と和解し、世界政府誕生に向けて交渉を進めている。



     当初、東西の枠組みを決める秘密交渉は、トランプとの間で行われる予定であったが、トランプが愛国派軍部連合体に見放されたため、習近平は会談をキャンセルした。もはや「欧米権力においてトランプに力はない」と判断して、習近平はアメリカではなく欧米権力の中核の一つ、イタリアを先に訪問したのだというのである。