国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<沿ドニエステルとウクライナ東部にマフィアとFSBのハッカー部隊

2019/11/17

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)11月17日(日曜日)参
        通巻第6280号 
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嘗てロシアマフィアが資金洗浄に利用したのはキプロスだった
いまは沿ドニエステルとウクライナ東部にマフィアとFSBのハッカー部隊
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 ロシアの諜報機関FSB(ロシア連邦保安局)と言えば、米国のFBIのような防諜専門ではなく、謀略を展開する秘密組織、前身はなく子も黙るKGB。あのプーチン大統領の出身母体である。
 中国軍のハッカー部隊ほどの規模ではないが、ハッカー専門部隊も持っている。

 ビットコイン搾取で、ロシアのFSBが関与している疑惑が浮上した。
被害総額4億5000万ドル相当、発覚が遅れたのは「外国」扱いを受ける危険地域からハッカー部隊がビットコインの取引所を攻撃したからだ。

 小誌の2016年8月13日付けで、筆者は次の情勢報告をしている。
(引用開始)「ウクライナばかりか、旧ソ連圏の東欧諸国がプーチンに揺さぶられている。
 まずモルドバである。ルーマニアへの合邦復帰を望むモルドバは国内にロシア系の未承認国家「沿ドニエステル共和国」を抱えており、ロシア軍が駐屯しているため、どうしてもロシアの顔色を窺う。2015年からわずか一年でモルドバは、行政トップの首相が五人も交代したほどの政局不安を抱えている(ちなみにロシアはトルコ制裁で農作物の輸入を制限したため、この沿ドニエステルからトマトを緊急に輸入していた)。
 モルドバの経済沈下の発端は銀行のスキャンダルだった。モルドバの三つの銀行が中央銀行によって免許停止処分となった。原因はロシア財閥のマネーロンダリングに手を貸していたという疑惑である。過去五年の間にロシア新興財閥はモルドバの銀行を通じて200億ドルを資金洗浄していた」(引用止め)。


 ▲モルドバがまた暗転していた。
 
 そのモルドバのロシア人居住区は「沿ドニエステル」、事実上の独立国家である。
 ここにロシアのマフィアが蝟集し、ビットコイン取引で合計4億5000万ドルが、「蒸発」していた。モルドバ領内に、未承認国家ゆえに国際機関の監視も行き届かず、沿ドニエステルは無法地帯とも言える。
ここが彼らの活動拠点となる。

馬淵睦夫氏は元ウクライナ兼モルドバ大使である。数年前に、「モルドバからウクライナへバスで入ろうと計画しているが、どの道を行ったら良いか?」と尋ねたことがある。すると「沿ドニエステルを避けるバスルートがありますよ」と助言を受けた。
モルドバの首都キシニューはこじんまりとまとまって意外に美しい街で公園が多い。此処へはイスタンブール経由で入国し、三泊した。長距離バスターミナルからのオデッサ行きはミニバス、後の座席にはロマ(ジプシー)の母子が座り、騒がしかった。地図で見ると短い距離だが、国境の検問に時間を取られ、六時間ほどかかったような記憶がある。

 2016年に大統領選挙へのロシアのネット集団の介入は主にヒラリー陣営を狙ったが、この作戦の主犯と見なされる「ファンシー・ベア」集団は、東ウクライナが拠点である。

 ウクライナの東部は、ウクライナ中央政府(キエフ)の統治が及んでいない。
 そしてベルギーからの冷凍コンテナが英国に陸揚げされ、トラックのなかで、「中国人」が39名死亡していた事件があった。偽の中国パスポートを保有していたためだった。その後の調査で、遺体は全てベトナム人だった。


 ▲ベトナム ー 中国 ― ウクライナを結ぶマフィアルートが存在している

 なぜこんなことが起きるのか。
 ベトナムのマフィアと中国のマフィアが連携し、この闇ルートにウクライナのマフィアが絡んでいるからである。かれらのドル箱となった密航ルートもまた、東ウクライナ経由だった。EUへの密入国ルートを利用する犯罪者集団が、バックにあることが判明している。

嘗てロシアマフィアが資金洗浄に利用したのはキプロスだった。
その一部がマルタへ移動し、そのマルタは中国のマフィアが進出し、魑魅魍魎の地域となった。そしてドニエステルとウクライナ東部に蝟集したマフィアとFSBのハッカー部隊が組んでいたという闇が浮かんだのである。
世界の闇は果てしなく深い。

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  読者の声   どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS  
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(読者の声1)貴誌前号「読者の声」の投稿は印象的でした。即位式、大嘗祭における雅な音楽は雅楽。そして投書子は、三島由紀夫の『蘭稜王』を連想するという、当意即妙。そういえば、三島由紀夫追悼会『憂国忌』は来週ですね。
   (DF子、千葉)



  ♪
(読者の声2)このところの貴誌の香港情勢分析ですが、ほかの大手メディアがカバーしない詳細にふれていてとても参考になります。
大学が軍事要塞となって、学生が戦闘訓練をしており、「大学は武器庫になった」との口実で警官隊が導入され、激しい武力衝突が繰り返され、まったくカルチェラタンンていどの騒ぎではなくなりましたね。
 バルセロナで、チリで、フランスで、デモが大荒れですが、これらは香港の影響でしょうか。
 それはともかく中国大陸からの留学生は深センへ逃げ去り、台湾、日本からの留学生は帰国、そのうえ台湾は香港学生の編入を認める由です。
 こうなると香港の大学は向こう数ヶ月、授業がないことになり、卒業は延びるのでしょうか。
昭和四十四年でしたか、東大入試が中止され、あのときの受験生らは、京都大学、東北大学や早慶に流れました。香港大学、中文大学という老舗名門校も、そういう宿命になるのでしょうか。
 縁戚の子が香港に留学しているので心配です。
    (TY生、茨城)


(宮崎正弘のコメント)小生のまわりにも、あの年、東大を受けられなかった後輩たちがいます。それぞれ京都、東北そして早稲田、慶応へと散りましたが、ひとり京都大学へ行ったT君は、翌年また東大を受け直して合格しましたっけ。
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