国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<ソロモンのツラギ島を中国は軍港化する野心

2019/10/18

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)10月18日(金曜日)弐
         通算第6241号  
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 ソロモンのツラギ島を中国は軍港化する野心
  台湾断交の代償=鉱山開発の裏に潜む中国の途方もない野望
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 英国系メディアが一斉に伝えている。したがってシンガポールと豪のメディアも大きく扱うニュースである。

 9月16日、台湾と断交し中国と国交をひらいたソロモン諸島だが、「いったい何と取引したのか」と外交筋は情報収集に躍起だった。外交の連鎖は、南太平洋の島嶼国家にドミノがおこり、三日後にキリバスが続いた。その次はツバルと言われたが、ツバルは台湾断交を思い留まった。

 英国はMI6で知られる情報大国。そのうえ「ファイブ・アイズ」(米・英、豪、加、NZ)が情報を共有する。この筋から漏れてきた情報は「中国がソロモン諸島のツラギ島に目を付け、軍港化への布石を打ち始めた」とするものだ。

 小誌で既報(下段に再録)のように、中国は8億2500万ドルの援助で、鉱山開発プロジェクトを持ちかけ、ソロモン政府は、その巨額を前に目が眩んだ。だが「見せかけの巨額にだまされ、実際にはプロジェクトは実現せず、のこる借金は返済できず、結局、港を担保に取られる」と豪のシンクタンク「ローリー研究所」は言う。
 
 事実、スリランカのハンバントタ港は99年リースで軍港化し、パキスタンのグアダール港は43年リース、ジブチは中国に一万人規模の軍事基地を提供した。
 
 フィリピンのクラーク空軍基地とスビック湾からアメリカ軍が撤退したあと、真空状態となった南シナ海に、中国は七つの島を造成し、そのうちの三つに滑走路、レーダー基地にミサイルも配備した。
 
南シナ海は「中国の海」と化したように、いま中国の野望は南太平洋の島々に向かっている。

 さてソロモンのツラギである。この島が戦略的要衝であることは、国際政治では常識であり、西隣のパプア・ニューギニアにかけて大東亜戦争では日本軍と連合軍との壮烈な戦いの現場だった。

 ソロモンの中心はガダルカナル島。その「首都」はホニアラ。このホニアラから40キロ北に浮かぶツラギ島は深海。この間に流れるのが「アイアンボトム海峡」である。
 この海域には日本海軍の艦船が二十隻近く沈んでいる。連合国側も二十数隻が沈んでいる。ガダルカナルを巡っての激戦があった。

 ツラギには日本軍が開いた軍港、水上飛行機の拠点でもあり、日本軍兵士およそ800名は、一部の捕虜を除き全滅した。
そのツラギに、中国は鉱山開発を持ちかけていた。台湾との断交前日に、中国とソロモン政府は、開発の覚え書きに署名を済ませていた。
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(再録)「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」令和元年(2019)10月10日(木曜日)
 裏切りの代償は8億2500万ドルの金鉱山開発だった
  ソロモン諸島、中国と国交、台湾と断交。米・豪は激怒
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 中国語のソロモン表記は「羅門群島」である。10月8日、ソロモンのソガバレ首相が32名の訪中団を率いて北京を訪問し、翌日に習近平主席と会見した。中国は「ソロモンは一帯一路の海のシルクロードの拠点」と持ち上げ、8億2500万ドルの金鉱山開発を発表した。ソロモンが世界史で名前を見かけるのはスペイン冒険家が初めて上陸し、砂金を発見したからだ。欧州でひろく信じられていた「ソロモンの秘宝」が、この群島にあるという裏付けのない噂が広がった。実際にソロモンには金鉱山がある。
 9月16日にソロモン諸島は台湾と断交した。国内では野党が猛反発した。トランプ政権は激怒し、訪米したソロモンの副首相に対して、ペンス副大統領は面会を拒否した。その直前の9月13日に、ソロモンの外務大臣は台湾を訪問して、蔡英文総統と会見し「両国関係は良好であり、外交関係は維持される」と発言していたのである。
 ソロモンの野党指導者は「これでソロモンは中国の植民地化していることがわかった」と批判を強めた。ソガバレ首相は、この四月の首相となったばかりで、ソロモンの国民は中国に嫌悪感を抱いており、逆に台湾には親しみをもっている。2006年にはガダルカナル島にある首都のホニアラのチャイナタウンで反中暴動が起こり、華僑系商店が襲撃されて九軒が破壊された。
 ソロモンでは中国人が土地を購入したり、パスポートを裏から手を回して取得したり、怪しい行為が展開されており、この現象はバヌアツ等も同じである。また西隣のパプア・ニューギニアが親中派に転び、ポート・モレスビーの港湾近代化工事を中国が行っている。
パプアには大々的に中国資本が投下されている。すでに六月頃から断交の噂が広がり、豪首相はソロモンへ飛んで、188億円の経済援助を約束した。これは「焼け石に水」だったのか。
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1972回】                
 ――「臺灣の事、思ひ來れば、感慨無量・・・」――田川(9)
田川大吉郎『臺灣訪問の記』(白揚社 大正14年)
 
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 『臺灣訪問の記』には、これまで見てきた「臺灣訪問の記」(全204頁)の後に「附録 臺灣統治策」(全69頁)が付されている。田川によれば「これは、私の三十年前の作」であり、旧知の乃木將軍が台湾総督に任命された際、「不圖、臺灣統治に關する卑見を、將軍の參考に供してみたい」と考えて纏めたもの。
「將軍からは讀み終つた、注意して讀んだが大體同感だ」との返事をもらったと言う。

 乃木が第3師団長(中將)から第3代台湾総督に就任したのは明治29(1896)年10月。同年5月に田川は台湾に渡り、主筆として『臺灣新報』に職を得ている。「臺灣統治策」は翌6月に『大阪毎日新聞』主催懸賞論文の第2席となり(賞金100円)、翌年4月10日から15日の間に6回に分けて同紙に連載されている。

 ところで乃木の総督在任中に亡くなったご母堂の墓石が台北の都市再開発の際に見つかったことがある。
四囲を板で囲み家屋の柱として使われていたと記憶するが、いつ、誰の手でそうなったかは不明だが、墓石を板で囲い柱にするなどという発想は日本人にはない。

 乃木(任期は1年4カ月)の前任の桂太郎は第2師団長からの転出で任期は4カ月。乃木の後任は児玉源太郎で確か乃木と同じ第3師団長からだったはず。着任は明治31(1898)年2月で任期は8年2か月と長期だ。
台湾総統のまま陸軍大臣(第4次伊藤内閣)、内務大臣兼文部大臣(第1次桂内閣)、参謀本部次長、満洲軍総参謀長、参謀次長事務取扱などを歴任し、明治39(1906)年4月に台湾総督兼参謀次長事務取扱から参謀総長に異動。南満州鉄道創立委員長就任から10日後の同年7月23日に脳溢血のため急死。享年僅かに55歳。

 こう簡単に後半生を追っただけでも、児玉もまた明治と言う時代の骨格を造った重要人物であることが容易に想像できる。おそらく、その早すぎた死が彼を逸早く忘却の彼方に送ってしまったのだろう。かりに早い死がなかったら、児玉はその後の日本の柱となって黙々と歩いていたに違いない。
余りにも短いが、極限にまで凝縮された人生だったと思う。

 田川は、「將軍からは讀み終つた、注意して讀んだが大體同感だ」と伝えられたと田川は綴る。素直に読めば、総督としての台湾統治に関する乃木將軍の方針を示していると言えそうだが、新聞記者への社交辞令として「大體同感だ」と伝えたとも考えられる。

 田川は「私の主張する根本の方針は」、30年前に乃木將軍に献策した当時とは「何等の相違がありません」。30年前の主張――「臺灣の先住者を、早く官吏に採用せよ」、「臺灣の民兵を組織せよ」、「自治」と「臺灣議會」を認めよ――は、30年後も変わっていない。ということは30年間の日本統治を経ても、「私の主張する根本の方針」は実現していないことになる。ならば30年間の台湾統治は、いったい、なんであったのか。なにが原因となって「私の主張する根本の方針」は実現するに至っていないのか。

 30年前に田川が考え、総督着任を前にした乃木將軍が「大體同感だ」と口にした「私の主張する根本の方針」が、じつは台湾の現実を無視した単なる理想論でしかなかったのか。それとも「私の根本の方針」を実現させないような条件が、台湾側(在住日本官民、台湾社会など)にあったのか――こう考えると、あるいは田川が掲げる「臺灣統治策」の検討を通じて、日本の台湾統治の未知の部分、いわば現在に伝えられてはいない部分に光を当てることが出来るかも知れない。

 田川は「一、日本が臺灣を支那より得た原因」「二、近世殖民に關する外國の態度及び形成」「臺灣の人民は、將來に於ても尚ほ現在の臺灣人即ち支那人なるべきか、將た現在移住しつゝ日本人なるべきか」の3点から考察を始める。
 そこで最初の問題だが「日本が方今の世界的潮流に順應し」たからだと捉えた。
《QED》
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  読者の声  どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 
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(読者の声1)貴誌、このところ香港騒擾の分析が多いですが、この記事を集めた一冊をお考えなのでしょうか?
 もしそうでしたら類書がありませんので期待したいところです。
   (FD生、浦和)


(宮崎正弘のコメント)香港問題を半分くらいの中国シリーズ、11月下旬刊行予定ですが、くわしくは追って。
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  • 名無しさん2019/10/18

    トランプが「壁」を作ると息巻いていたメキシコでは、2018年7月1日、大統領選、上下両院の議会選の他、州や市町村3000以上の公職で一斉に選挙が行われた。その結果、政権与党が完敗し、大統領選では元メキシコ市長の左派候補だったアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールが勝利した。



     メキシコの既存体制が崩壊へと向かう最大の原因は、国内に蔓延する汚職や犯罪、格差などに対する一般メキシコ人の怒りだった。国民が不満を募らせている事象の典型的な例は「水道事業の民営化及び外資企業への売り渡し」であり、「水道料金の高騰とサービスの低下」である。 



     これは日本でも他人ごとではない。国内すべての水道を外資に手放そうとしている麻生太郎並びに既存体制の売国奴たちがいる以上、メキシコを見習ってもらいたい。



     オブラドール新大統領は、古い体制を見直すとともに「麻薬合法化の可能性も排除しない」と公言している。つまり、彼はメキシコ市長時代に「麻薬組織の撲滅」を大々的に試みたことがあった。その時に取った措置は、軍による取り締まりや、全ての学生を対象に学校で尿検査を実施するなど、強制的で非常に厳しいものだった。しかし結果は、失敗に終わっている。その経験を踏まえて、彼は180度方針を変えようとしている。その狙いは、違法な麻薬カルテルを合法企業にして、メキシコ国内の凶悪化かつ広域化する暴力犯罪を止めることだった。メキシコでは「政治家や警察」と「麻薬組織犯罪」の癒着がひどく、近年は特に無法な混乱状態である。今回の選挙戦でも130人以上の候補者や選挙関係者が殺害されている。また、オブラドールは「麻薬の品質を管理して、違法ドラッグによる極めて高い死亡率を引き下げる必要がある」とも述べている。



     すでにカナダでは娯楽用大麻を合法化している。その目的も、厳格な規制に基づいて大麻を合法化することにより、若者を大麻から遠ざけたり、違法薬物を犯罪組織の資金源にできなくすることだ。勿論、政府には「合法化に伴う税収の増大」という思惑もある。



     日本では、「ドラッグ犯罪」は、まるで人殺しの如く報道され、人でなしのように批判を受ける。しかしドラッグの最大の犯罪は、それを扱う犯罪組織の資金源になることにある。法で禁止するから、犯罪組織の資金源になる以上、いっそ法的に認めて政府や公的機関の管理下に置き、安全に使用すればいいだけの話である。それをせず、あくまでも犯罪としてきたのは、まさにドラッグシンジケート=犯罪組織の利益になるからである。



     ドラッグシンジケートを運営するハザールマフィアは、麻薬密輸で儲け、その代金として武器を提供してきた。これに対処すべくメキシコ新大統領は画期的な麻薬対策を打ち出したのだ。「麻薬の合法化」および「真実和解委員会の設置」と「証言による麻薬カルテル患部の免罪もしくは減刑」を提案、麻薬戦争を終結しようと動き出した。麻薬戦争絡みで2018年だけでも20万人以上がメキシコ国内で殺害されている。以下にメキシコがハザールマフィアの食い物にされていたかが理解できる。



     新大統領の政策が実現すれば、ハザールマフィア=ブッシュ一派の南米麻薬資金および権力が大打撃を受けるのは間違いない。日本と北朝鮮の覚せい剤ネットワークもいずれ明るみに出る日が来るだろう。



     トランプ政権は「ドイツ、フランス、ベネズエラ、イランに政変劇を起こしたい」と考えている。2018年10月28日、ブラジル大統領選挙の決選投票で極右とされるジャイル・ボルソナロ下院議員が大差をつけて勝利したのもその一つだろう。結果、2019年1月1日からはブラジルにも実質軍事政権が誕生することになった。それに際し、ボルソナロは「反キューバ・反ベネズエラ・反中」を公言し、「親米・親台湾」のスタンスであることに大きな意味がある。



     ボルソナロ政権の発足はアメリカ、正確には軍事政権による対中政策の一環だろう。2019年3月21日、ブラジル警察は前大統領のミシェル・テメルを「犯罪組織」の指導者として横領やマネーロンダリングに関与したとして逮捕している。親中で反米だったテメル前大統領を排除したわけである。



     ブラジル政変中、「ホンジュラスから北上する難民集団がアメリカに近づいている」と、アメリカメディアが大騒ぎする事件があった。事実、アメリカ軍は、メキシコと米国南部の国境に向けて大砲や戦車を送り込んでいる。明らかに何かが起きている事が窺える。その証拠に、アメリカの国土安全保障省が米軍に難民対策に乗り出すよう要請したところ、米軍は「我々の仕事ではない」と拒否している。この時期、アメリカの中間選挙の最中だった。その意味でハザールマフィア=旧勢力によるトランプ政権に打撃を与えるか、脅し、示威行為という可能性もあり、アメリカ軍の矛盾した動きへとつながっている。



     キリスト教圏である中南米を、西洋の枠組みとして重要なエリアにするため、アメリカはキリスト教をベースとした西洋文明の中心になろうと考えてきた。それだけに中南米への影響力を高めておく必要があり、手を伸ばすようになっていることを踏まえると、色々見えてくるものがある。