国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<BRIでエネルギー投じた金額は980億ドル

2019/10/05

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)10月5日(土曜日)弐
         通算第6219号  
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 BRI(一帯一路)でエネルギー確保に投じた金額は980億ドル
  建設ブームが緩慢となり、外貨枯渇状態を誰にも分かる状況となった
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 米国ワシントンの保守系シンクタンクAEIとヘリティジ財団が協同で立ち上げたデータベースがある。「チャイナ・グローバル・インベストメント・トラック」(CGIT)だ。
AEI(アメリカン・エンタープライズ・インスティチュート)は、保守思想が基本とはいえ、どちらかといえばリバタリアン色が強く経済政策はリベラルである。したがってトランプの米中貿易戦争には距離を置く。

ヘリティジ財団は「保守革命」と騒がれたレーガン時代の寵児だった。多くの研究員が政権入りした。やはりトランプ政権になってからはさっぱり、切り札だったジョン・ボルトンも解任された。

 つまり二つのシンクタンク、保守系とは言え、トランプ政権からは独立しているポイントに、客観性を見出すべきであろう。

 このCGITレポートは、中国がこれまで「シルクロード」に投じてきた天文学的金額を詳細に分類し、分析して独自の統計を取った貴重な数字の羅列なのだ。
筆者のように欧米の金融系シンクタンクの数字をあちこち渉猟して、数字を積み上げ、推量作業をしてきた側からみれば、じつに有益なデータが並んでいる。

 2013年10月1日に習近平がBRI(一帯一路)構想をぶち上げ、その直後にプロジェクトをファイナンスするためのAIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立を高らかに宣言したとき、英国までが飛び乗った。日本のオッチョコチョイ政治家やエコノミストが「バスに乗り遅れるな」と吠えていた。しかし麻生副総理の強い反対。持論である「サラ金のようなAIIB」、そして「借金の罠」論が、いまでは世界の常識となった。

 そして別のシンクタンクである「ジョージタウン財団」の中国研究レポートが、これらの数字を元に、中国BRIの最近の特性を分析した(同財団「チャイナ・ブリーフ」、2019年9月26日号)。ついでだからワシントンのシンクタンク状況を書いておくと、民主党系リベラルのカーネギー財団、ブルッキングス研究所はトランプ政権批判組。超党派のCSISを別としてトランプ政権に近いのがハドソン研究所とウィルソン研究センターだ。

 ともかくBRIの当初の目的は輸送インフラ(ハイウェイ、鉄道、空港、港湾の整備)開発プロジェクトに重点が置かれた。
そのためにシーレーン中継地であるシアヌークビル(カンボジア)、チャゥピュー(ミャンマー)チッタゴン(バングラデシュ)、ハンバントタ(スリランカ)、モルディブ、グアダール(パキスタン)、UAE、ジブチが戦略的に狙われた。

 付随した目的はエネルギーの確保のために鉱区、ならびに鉱山開発の整備事業にあった。これらの目的が明確であり、レアメタル鉱区も中国資本が買収し、エチオピア ー ジブチ間には鉄道も繋がった。


 ▲近年のBRIの目標はデジタル・シルクロードに移管している

 近年の目標は輸送インフラ、エネルギーのルートもさりながら「デジタル・シルクロード」に移行していると当該レポートは指摘する。「まだ全体の2%しか投じられてはいないが、中国の戦略目標は明確にデジタル・シルクロードにある」

 ところが直近になって、中国は外貨が払底しはじめ、そのうえ国際的な批判に晒され、プロジェクトの中断、頓挫、延期が顕著となったことは小誌でも屡々指摘した。
 2014年から2019年上半期までに中国は(1)建設に4150億ドル(2)投資に2473ドルを投下してきた。
 
 国別でみると(1)パキスタン、343億ドル。(2)ナイジェリア、213億ドル。(3)インドネシア、196億ドル。(4)バングラデシュ、174億ドル。(5)ロシア、164億ドル。(5)マレーシア、161億ドル。(6)UAE、160億ドル。(6)エジプト同。(8)サウジアラビア、150億ドル(9)イラン、113億ドルとなっている。

 総攬してエネルギー(石油、ガス)に合計920億ドル、鉄鉱石、石炭、レアメタル鉱区開発などに380億ドルを投資していることが判明した。

 ピークは2016年だった。以後ペースは緩慢となり、年明けからは資金の続かない案件が続出し始めた。明らかに外貨払底である。

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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 GHQが葬り去った日本の正史、現代日本に再登場!
  戦後の左翼史観が敗れ去ろうとしている今、国民再読の書

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復刻版『初等科 国史』(ハート出版。 解説・三浦小太郎)
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 戦前の初等科の歴史教科書の復刻だが、改めて通読すると、なんと我が国の歴史は浪漫的であり、英雄達は人間くさいことだろう。『初等科 国史』は古事記、日本書紀を土台にしての正史を鼓吹しており、同時に教養に溢れる物語として歴史を教えていたことがわかる。文章も格調高く、深い文化の香りが漂う。
 神話から説き起こし天皇を基軸としてきた我が国の政治の在り方、文化の奥行きの深さが、そこはかと感じられる。そのような工夫もさりげなくなされているのだ。
この教科書を貫くのは、武士道精神と日本人の美意識、ゆえに楠正成親子の桜井の別れの名場面は浪曲的に描かれる。北畠親房、顕家親子の尊皇家としての義挙と敗北も美的に書かれている。
 近世に入ると、やはり皇国史観の色調が前面に出てくるのは致し方ないにしても、信長が尊皇家で明智光秀が逆賊という評価は短絡的すぎて、納得し難い。だがおそらくこれがあの時代の歴史感覚であり、雰囲気であったのだろう。なぜなら同様な基調が大川周明や徳富蘇峰にみられるからである
近世への評価は明治政府の解釈が伏線にあって、秀吉が過大評価され、相対的に家康への評価が低い。薩長史観が混入してきたことが明瞭である。
これらは戦後の左翼史観とは別の次元で、科学的に反証されているが、南朝史観に貫かれて、足利尊氏が悪党と決めつけられているあたりは戦前教科書の限界だったのだろう。近年の歴史学は尊氏も立派な尊皇家だったことが立証されているが、これらの歴史論争は、本稿では置く。
鳥羽伏見の役の評価となると俄然、薩長史観が露呈し、松平容保への評価は低すぎる。吉田松陰の過大評価は現代もそうだから、これも措くとしても、西南の役はたったの一行である。
さて問題は、GHQがなぜ、この教科書に墨を塗らせ、あげくに回収し、世の中から抹殺したのか。戦後、まったく逆の史観を強要したのか。
この教科書が放った爆発的な精神のパワー、パトスの固まりが当時の日本人を突き動かし、一億玉砕を謳い、国民全員が火の玉のような武士道精神に燃えたぎっていたからだ。
GHQは怖れ戦き震えた。
日本人のこの精神を根底的に消滅させ、アメリカに従わせるためには、歴史の否定しかない。日本人の洗脳工作の一環として、間違った歴史、改竄された日本史が強要され、大東亜戦争は太平洋戦争となり、国民の英雄たちは、貶められた。日本精神は深く傷つけられた。
こうした戦後の経過を踏まえて、本書を読み返すことはたいそう意議深い。

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  読者の声  どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS 
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(読者の声1)貴誌10月3日付け、6215号に「ルーマニア」についての記事がありましたので、関連して。
 ブカレスト滞在は、現地の友人宅に泊まり、ドラキュラ伝説のブラン城近くにある山の別荘にも滞在しました。ブカレストの中心にある、観光用に整備された旧市街にも連れて行ってもらい、カフェでお茶しました。古い教会がブカレストだけでなく田舎にもいたるところにあり、友人の夫が教会の前を車で通る度に十字を切るのが印象的でした(70歳くらいです)。
 チャウシェスクはものすごい反ソ連だったので、最初は人々が歓迎したのだそうです。その頃、学校のロシア語授業もなくなったそうです。「あんなひどい独裁者だとは思わなかったのよ」ということでした。
 私の親友は67歳で、1970年代に6年間ウランバートルに留学していたのだけど、モンゴル国立大学にロシア語でロシア史を教える授業があって必修で、ロシア語を習ってこなかったと言ったらモンゴル人があきれたと言っていました。
 彼女はそのあとパリに留学し、人類学で博士号を取りました。仏・英・モンゴル語に堪能で、ルーマニア人にモンゴル滞在ビザを出すモンゴル名誉総領事(無給のボランティア)です。今年からEUがウランバートルに大使館のようなものを置き、彼女の後輩でモンゴル留学経験のあるルーマニア人が大使になりました。Ambassador, Head of Delegation of the European Union to Mongoliaと名刺にはあります。ルーマニアは国は小さくて貧乏だけど、存在感はあるのですね。
ただし今の大統領夫妻については非常に辛口でした。
 ワルシャワで10時間もトランジット時間があったので、タクシーで市内に行き、日曜日の歩行者天国になっている改築された旧市内と「歴史博物館」なるものを見てきましたが、展示は貧弱でした。
    (宮脇淳子)



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(読者の声2)香港民主革命に思う
 香港の若者の大デモは、ソ連末期に起きた東欧の民主化運動を思わせる。中共は議会制民主主義に移行すべきだ。巨大な人口を持つインドも民主主義制度を行っている。支那でも可能だろう。
 建国七十年というが、共産主義ソ連は七十年で崩壊した。
今回中共がヒナ檀の飾りに老幹部まで動員したのは、政権の崩壊を恐れているからだろう。中共の最大の問題は共産党政権に正統性がないことだ。国民の選挙の洗礼を受けていない。中共政権は1920年代に発生したただの暴力による軍閥の延長なのだ。
 ソ連崩壊で分かったことは共産党支配の本質は独裁のための偽善と暴力であり、理想主義の片鱗もなかったことだ。もともとマルクス主義も出鱈目であった。
当のマルクス、その後のレーニン、スターリン、毛沢東もマルクス主義の観念論の虚構性を知っていた。資本論などスターリンも毛沢東も誰も読んでいないだろう。このためマルクス主義は共産国で「裸の王様」化し、ソ連国民は二重思考を強いられた。
ソ連では小学校2,3年ですでに外で言ってはならないことがあると知らされたという。虚構の国家だったのだ。
中共も同じだろう。みな自由が欲しいのだ。それは警備する警官も、兵士も同じだ。経済の自由化で情報化が進み民族の深層が動いている。
これは誰も止められない。このため中共は民族主義にすり寄って必死に生き延びようとしているが、その動機は独裁支配の維持だけだ。国家の非常時には一定期間独裁も必要だがこれは私利私欲のための永久個人独裁である。
到底続かないだろう。弁証法原理の祖古代ギリシャのヘラクレイトスは「万物は流転する」と述べている。中共もその例外ではない。 
  (落合道夫)
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<< 内容の一部 >>
香港問題が習近平の運命を変える
「逃亡犯条例」の撤廃は時間稼ぎ、中国の戦術的後退
香港は「第二の天安門事件」となるか、或いは体制転覆の可能性も。
台湾の次期総統選挙に甚大な影響がすでに露呈した
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縄文土偶の芸術性と、その高い文明に着目し、集落の長が付近をまとめて、豪族の前身となり、地域の王となり、やがて国家を形成する国の王、すなわちスメラミコトへの原型が生まれたのは縄文中期だった。
神武天皇はもちろん実在した、むしろ外国の文献にしかない伝聞形の邪馬台国と卑弥呼は怪しい。そして、『古事記』とて「近代の書物」である。本書は日本文明の曙を世界文明のなかに位置づけ、日本人の精神構造と道徳は縄文時代に確立されていたと説く。
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(休刊のお知らせ)小誌、次の休刊は10月13日―18日の予定です
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