国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<台湾独立色を鮮明に、新党「喜楽島連盟」が誕生

2019/07/21

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)7月22日(月曜日)
        通巻第6151号  <前日発行>
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 台湾独立色を鮮明に、新党「喜楽島連盟」が誕生
  羅仁貴(長老会牧師)を議長に立法委員選挙に大勢の候補者擁立を宣言
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 7月20日、台湾でまた新党が誕生した。台南を拠点に長老会(プレスビテリアン)がバネとなって「喜楽島連盟」が結成されたのだ。
 初代党主席は台湾長老会派議長の羅仁貴が、二百名の代議員の投票によって選ばれた。
「来年の立法委員選挙に候補者を多数擁立する」と気勢を挙げた。ただし蔡英文に挑戦する総統候補は立てない、とした。

 台南はもともと台湾独立を鮮明にする本省人の根城のような地区で、台南市長を務めた頼清徳は首相を辞任して総統候補をきめる党内選挙に臨んだ。同地のキリスト教会は長老派が圧倒的につよく、蒋介石独裁時代には教会にあつまって独立派の秘密会合が開催されたという歴史がある。
 
 長老会はカルビンの宗教改革を端緒にスイスで発祥し、フランスから英国へ伝わりスコットランドで拡大定着した。米国にも伝播したのはピューリタンが持ち込んだからで、このカルビン派系プロテスタントは、ちなみにニュージーランドの主流キリスト教だ。

台湾へは1865年頃に淡水に上陸し、急速に拡大した。現在、台湾のキリスト教最大の勢力である。

さて新党「喜樂島連盟」は「反中国併呑」「正名台湾国」「制定新憲法」「加盟連合国(国連加盟)」をスローガンとしているが、前回選挙で躍進した「時代力量」や、かつての李登輝主導の「台湾団結連盟」に迫る政治パワーとなるか、中華思想まるだしだった「新党」や宋楚諭率いる「親民党」と同様な線香花火で終わるかは、現時点で不明である。
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 日本は縄文時代の一万年、徳川時代の三百年、泰平だった
  幕末まで国家論も国防論も、日本人は考えなくても生きてこられた

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渡部悦和 vs 江崎道朗『言ってはいけない!?国家論』(扶桑社)
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 本書のカバーデザインをながめて、まことに地味。題名も小さい。著者ふたり渡部悦和・
江崎道朗の名前はもっと小さい。「これでは書店で目立たないのでは?」と老婆心ながらの第一印象だったが、いや待てよ。これこそ著者と編集者とデザイナーが意図したものではないのか、と考え直した。
 つまりプラトン流の「国家論」などと大上段に振りかぶった政治議論など、日本人がもっとも不得手とするからであり、このため、安全保障論議は論壇の隅っこ、地味なのである。
 重要な議論を日本人が避けようとしてきたのではない。関心が薄いのだ。
 選挙で「あなたは何を基準に投票しましたか?」と世論調査をすれば「社会保障」「年金」「保険」「福祉」「教育」、そして「消費税」であり、防衛とか改憲とかを判定基準とする人たちのあまりの少なさに呆然となる。
まるで中国とは正反対である。
CCTVも人民日報も環球時報も、朝から晩まで国家、愛国、国防、党の団結であり、生活保護、保険、社会保障、環境などの議論は何ほども目立たないではないか。
米国とて、ミンシュシュギとは言ってもWINNER TAKES ALLの世界、反対意見は切り捨てる。この点で、中国と似ている。
トランプは国防費を増やそうと言うだけで、国防予算は8兆円も増える(日本の防衛費は5兆円)、「おれは国務省が嫌いだ」と言うだけで、国務省予算はばっさりと削減された。もっとも国務省をヒラリー商会にしたのはオバマ政権の責任だが。。。
 日本は? WINNER TAKES SMALLである。
与党は野党の意見を多く取り入れる。これが日本型の和を以て尊しとなす、まつりごとの基本である。
考えてみれば、日本は縄文時代の一万年、徳川時代の三百年、泰平だった。幕末まで国家論も国防論も、日本人は考えなくても生きてこられた。突如嵐に遭遇すると、日本人は大和魂を思い出し、国学の復興をみるが、緊張緩和の時代がくると忽ち重要な課題を忘れるという特性がある。
だからトランプは日本の核武装を容認し、安保条約の廃棄を言い出したことはペリー来航に匹敵する衝撃になる。だが、目の前の現象しか日本のメディアは見ていない。危機と平和が表裏一体であることにまだ気がつかない。おそらくこのような民族の特質は未来永劫変わらないのではないか。

 前置きが長くなった。さて本書である。
 アメリカは一枚岩ではないという現実をふたりはまず俎上にあげる。パンダハガーが進歩的でリベラルな学風を誇るハーバード大学に残存しており、そればかりか彼らがアメリカの一部の世論をリードしている。
 渡部氏の二年の留学経験からハーバード大学の現実が具体的に描写されていて、そこまで酷いのかという感想とともにアメリカ人の中国観の根底に流れる考え方がわかる。
 世界のエリートがいかなる議論をしているか、国際関係論では親中路線を突っ走るエズラ・ボーゲル教授らパンダハガー一派が議論をリードし、学内政治も牛耳っているという実態。中国人留学生らは共産党統一戦線部の指令にもとづいて、その周りを囲んでいるという怖ろしい現実がある。
ミアシャイマーは、いたたまれなくなったシカゴ大学へ移った。
パンダハガーと見られていたディビッド・シャンボーは親中路線を修正し、パンダ批判組に合流した。
シャンボーが全体主義体制の続く限り、中国は後退し、萎縮、崩壊するとしたことは嘗て小覧でも紹介した。
 以下、アメリカ通のふたりは米国政治の内部分析を克明に続けるのだが、日本のメディアが伝えていない情報が夥しく、参考意見として傍線を引き始めたら、本書は朱だらけになってしまった。
 外交というのは、軍事力と情報力の両輪で成立する。核の傘に守護された日本は、アメリカが中国を敵といえば、自動的にその国は日本の敵になる。
 国際政治ではパワーというのは軍事力ではなく核兵器を意味する。残置諜者をスリーピングエージェントなどというのは国際政治の常識だし、日本の忍者には「草」がいた。じつに戦国時代のほうが、日本のインテリジャンス感覚は鋭敏だった。
 そして二人は合意するのだ。岸信介政権まで戦前の岩畔、藤原機関の生き残り、中野学校の生き残りがいたのでアジア情勢は彼らのアンテナから精度のよい情報がもたらされた。
 渡部 「日本にもインテリジェンスのノウハウがありましたが、現在と終戦以前との間に断絶があります。国防に関しては終戦以前のあらゆるものがタブー視されていますから」。
 江崎 「戦前との断絶が本当に決定的になったのは後藤田正晴官房長官の時代、つまり昭和五十年代から」。

 評者(宮崎)はいまから四十年前に、日本でも国防論議を本格化させる必要があるとする加瀬英明、三好修氏らの呼びかけに応じ、「日本安全保障研究センター」のボランティア事務局長をつとめ、財団化に奔走した経験がある。米国のシンクタンクとの交流が深まり、何回か、日米セミナーを開催したが、十年ほどで活動停止状態に追い込まれた。
 第一に米国との税制が異なり、寄付が集まらないこと。ひとくち一万円ていどの会費では、セミナーも開催できない状態だった。
第二に自民党の政治家で真剣に安保論議に呼応できる国際感覚の持ち主が数名しかいないこと。この寂しき現実はいまもかわらず、「アメリカ通」を自認する若手の議員でも、じつはアメリカ政治を理解していない。かれらは「エズラ・ボーゲルはこう言っていた」という口癖がある。
第三に日本の官僚制度では当時、防衛庁は二流官庁とみられており、協力体制にないこと。とりわけ外務省の非協力的な態度には、エリート特有の「上から目線」があり、ましてチャイナスクール全盛時代だったから、中国の軍事的脅威を説くと、私たちの議論をはなから莫迦にしていた。
第四が財界の理解がほぼゼロ、金儲け、目先の決算しか思考範囲にないこと。かれらは天皇訪中を歓迎したし、工場の進出ばかりを考えて、国益とか戦略とかを語ることはタブーに近かった。
 第五にメディアの理解が、ほぼゼロだったことである。

 したがって二人の議論のなかでも下記の箇所が妙に突き刺さるのだ。
 渡部 「安全保障に関する唯一の官のシンクタンクは防衛研究所です。(中略)所員には優秀な人もいるのですが、結果を対外的に発表するのはかなりハードルが高い。いちいち許可を得ないといけないのです。そうすると本当にタイムリーな情報の発信はむずかしくなる」
 江崎 「公表するまでに時間がかかってしまう。それと政府はある程度、確実なことしか言えませんしね。(中略)これが民間だと政府ほどの制約はありません。『こういう可能性がある』『こう予想される』という段階でも発表できる」
 したがって二人は早めの情報分析と予測を立てる民間シンクタンクの必要性があると力説される。評者も経験上、大いに賛成である。

 レーガン政権時代、ヘリティジ財団の作成したペーパーが政策に反映されるか、あるいは採用された。AEIの経済政策も有効だったし、当時、評者はこれらのペーパーを集め、研究員と議論するために何回もワシントンへ行ったものだ(いまではネットで読める)。
 もう一つ、官ができない見解を民間シンクタンクがさきに警告的に発信できる利点がある。
 CIAの金融予測は、公表するとまずいことがあるので、GFIなどの民間にシンクタンクがさらりと発表している。だから中国の外貨準備や不正資金の流失というリアルが、われわれでも掴めるのである。
国防方針はランド研究所をウォッチしていれば概要が掴めるし、アメリカのホットな議論が奈辺にあるかはCSISの報告などを注視していれば良い。
 ともかく本書は全編これ最新情報の固まりであり、紙幅があればもっと紹介したいところである。
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  読者の声  どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 
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(読者の声1)私は1980年代の前半、マレーシア、インドネシア、韓国、台湾を含む東アジアの生産に関する責任者でしたが、マレーシアへは業界内の暗闘があり、何度も出かけ、マハティール首相ともその官邸でお目にかかったことがあります。握手した時の手の柔らかさが印象に残っています。
マレーシアとインドネシアは、ともにマレー語を話し、主にマレー系現地人と華僑からなり、経済的には華僑が握っている(他にインド系も結構いますが)のは似ていますが、華人の人口比率が異なり、マレーシアの華僑は華人の名前を名乗り、堂々と酒を飲み、一方インドネシアでは、公式にはインドネシア風の名前にして、あまり派手に中国風の宴会などを控えているようでした。
日本企業の現地パートナーはほとんどが華僑でした。華人問題を原因にした暴動は、両国とも起こりましたが、インドネシアの方が起きた時代が新しいはずです。それにしても、高齢のマハティール氏が首相にカンバックしたのには驚きました。
(関野通夫)



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(読者の声2) 中国南部の洪水がすごいことになっています。
https://www.epochtimes.jp/p/2019/07/45034.html
習近平主席にとっては弱り目に祟り目、共産党王朝も寿命ですかね。
  (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)複数のメディアが懸念を伝えていますが、世界一の三峡ダム、すでに重みに堪えかねて変形しており、また亀裂が数千箇所。決壊は時間の問題ではないかと懸念されています。
 三峡ダムの決壊はすでに十年も前から指摘されていますが、下流域の被害は甚大、花園堤防を蒋介石が爆破して逃げたときに60万から百万人が溺死し、進軍をやめて日本軍が救援にあたりました。国民党は、爆破を日本軍がやったと宣伝していました。
 ゾッとするような悲劇がおこる可能性が高まっています。
拙著でも紹介したことがありますが、中国人学者がシミュレーションをした『上海沈没』という本を思い出しました。
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