国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<豪総選挙、与党連合が勝利、事前予想を覆した

2019/05/20

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
令和元年(2019)5月20日(月曜日)弐
          通巻第6086号 
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(お知らせ)小誌は、明日(21日)から26日まで休刊です
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豪総選挙、保守の与党連合が勝利、「豪のトランプ」が事前予想を覆した
 やはり「奇跡」というより、偏向メディアの予測がまた間違えただけなのだ
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 オーストラリア総選挙。スコット・モリソン政権の存続に「YES」と出た。
 世界のメディアは、これを「奇跡」と伝え、トランプの当選を誰も予測できなかった事例に似るとした。

 豪総選挙は大接戦となり、与党連合(自由党+国民党)が74議席、勝利確実を言われた労働党が66議席(過半数は76)。緑の党ほか少数政党が6。未確定が5議席。
得票率で見ると、与党連合が51・06%、野党が48・94%、とどのつまりモリソン保守政権は単独過半に達しないため他の少数政党と連立を組むことになる。

さはさりながら事前のメディアはビル・ショーテン率いる野党「労働党」が圧勝と報じていた。とくに事前世論調査は都会で行われるため、若者は環境問題に積極的な労働党支持者が多く、シドニーなど大都会では中国系のパワーが目立つからだ。
そのうえ、モリソンはLGBTに否定的、難民の受け入れにも消極的なので、若い世代の支持が少ない。 

その保守的で頑固な一面も、モリソンは下積みがながく、おもに観光畑を歩いてきた。本格的な政治家デビューは2013年、アボット政権下からである。だから保守政権は、予測を覆す奇跡の勝利を収めたことになる。
勝因はツィッターによってモリソンが劣勢を挽回できたとされ、さすがにビジネスマン出身だけに票田を「市場」と捉え、マーケッティングに集中した。

このSNSを駆使した選挙戦は、ツィッターをフルに駆使したトランプが嚆矢だが、日本でも次の選挙あたりから、死活的な要素になるかも知れない。

ともかく「誰がトランプの逆転を、誰が英国のBREXITを予想したか?」(シドニー・ヘラルドのコラム)。
ましてブラジルで、オーストリアで、イタリアで保守政権が誕生した。フランスやドイツでも保守の大躍進があった。これらは左翼メディアの事前予測の範囲を超える。

 産経新聞はモリソン勝利を「親中路線」の労働党を嫌ったからで、選挙民は反中感情が強く、また中国が富裕著名人を駆使し、選挙に介入したことが嫌われたなどと勝因を分析したが、現地紙は「チャイナ・ファクター」をほとんど問題にしていない。


 ▲「番狂わせ」は個人攻撃が集中したアボット元首相の落選

 モリソン再選の勝因は「1580億・豪ドルの減税に選挙民の関心が高かったことと、かれのツィッター作戦が当たったと現地紙の多くは分析している。
なぜなら労働党は、宣伝広告費をふんだんに投じてPR作戦を展開するほど余力をしめしたが、主としてモリソンへの個人攻撃を仕掛けてきたからだった。野党が何をしたいのか、単に反対だけなのか、政策が具体的に見えなかった。

 個人攻撃に晒されたトニー・アボット元首相は落選した。
これは番狂わせである。アボットは親日派の政治家で安倍晋三首相画の訪豪のときに示した厚遇ぶりは語り草となった。しかし直後からアボットは豪国内で権威主義的で頑固な守旧派と批判され、党内からも不評でマルコム・ターンテーブルが党首になった。
 アボットはベテラン政治家で25年間、地盤をまもってきたが、労働党の個人攻撃作戦の犠牲となった格好だ。
 
 米国のトランプ大統領はいちはやくモリソンに電話をかけて、勝利に祝意を表した。イスラエルもすぐに祝電を打った。

 次の焦点は、19日から投票の始まったインドだ。
23日に勝敗が決まるが、モディ再選か、ガンディ国民会議はが捲土重来を果たすか、このインドの趨勢も重要である。
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(お知らせ)小誌は海外取材のため、明日(21日)から26日まで休刊です
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 三島由紀夫は自己の深部に蟠る衝動や欲動を胡麻化さないで直視した
   なぜこの文豪は三十歳をすぎてからスポーツに熱中したのか

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佐藤秀明編『三島由紀夫スポーツ論集』(岩波文庫)
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 本書はスポーツに絞りこんで、かの文豪が遺した名文を集めるという、文庫新装版である。
 しかし版元の岩波書店と三島由紀夫は、政治的に相容れず、これまでなら連想さえ出来ない組み合わせだった。この種の試みの文庫に三島の業績を編集し直して市場の出すのは、これが三冊目である。
岩波なら決して編集しないであろう政治論文集(例えば『文化防衛論』『反革命宣言』『革命の哲学としての陽明学』などを一冊に収める)もひょっとして考えられないことではない。
潜在的に岩波書店が狙うのは三島全集ではないか、と評者はかねてから邪推してきた。
 
さはさりながら、改めて三島のスポーツ論を通読してみると、戯曲や小説や、ほかの文化論にはなかった、三島文学の真髄、その人生への姿勢が浮かび上がってくるのである。
 三島が兵役検査で不合格となるほどの青年時代の虚弱さを、どこで変えたか。三十歳で、習い始めたボディビルからである。
その後は、ボクシング、剣道、空手、合間に乗馬も水泳もやったが、ゴルフには手を染めず、マラソンとも無縁ではあった。
 しかし三島は東京五輪を皮切りにスポーツ観戦が意外なほど好きで、報知新聞などに短文を無数に寄稿してきた。
 「私は病弱な少年時代から、自分が、生、活力、エネルギー、夏の日光、等々から決定的に、あるいは宿命的に隔てられていると思いこんできた。この隔絶感が私の文学的出発になった」 と三島は書き出した。

 しかしスポーツを始めてから「私の人生観も芸術感も変わってきた。(中略)幼少年時代に失ったものを奪回しよう」(昭和31年10月7日、毎日新聞)。
 作家の高橋源一郎は、スポーツ観戦記などを石原慎太郎や大江健三郎のものと比較してみて、「三島だけが『芸術』している」と比喩したが、単なる肉体の物語ではなく、三島はそこに文明論をちりばめたのである。
 編者の佐藤秀明(三島文学館館長)の長い、長い解説が巻末に付いているが、これは秀逸な三島由紀夫論である。
 佐藤教授は解説でこういう。
 「三島由紀夫のスポーツが身体の鍛練や健康を目指しながら、遂に死を希求するところに行ってしまったことである。いつからかスポーツすることが死の準備に変化したのである」
 そしてこうも分析する。
 「三島のスポーツ論には、構えない文明批評があり、希望や喜びもあり、何より小説や戯曲ではあまり見ないユーモアがある。書くときの眼の位置が、普通の人と同じか、やや低いところにあるからだ」(中略)「諧謔は自己の客観視から生まれるが、そこにはスポーツでの周回遅れの気安さも手伝った」
 つまり「三島由紀夫は自己の深部に蟠る衝動や欲動を紛らさずに直視する術に長けている」ゆえに「天与の芸術家」なのである、と佐藤はまとめた。

さて、本書を通読したなかで、評者がもっとも印象深い箇所は次の文章である。

「このまま行けば、男らしさは女性の社会的進出によってますます堕落させられ、ついにはペニスの大小及び機能的良否以外に、男らしさの基準がなくなるのではあるまいか? そして順応主義の時代は、男の精神をますます従順に、ますます古い意味で『女性化』して、こうなると、小説家なんぞは、臍曲がりで個性を固執するという点だけでも、相対的に男らしくなるのではないか?」

 この三島の予言は、いまのLGBT、女性優位、価値観の逆転を目撃すれば、あまりにも的中しすぎている。
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1897回】            
――「民國の衰亡、蓋し謂あるなり」――渡邊(9)
 渡邊巳之次郎『老大國の山河 (余と朝鮮及支那)』(金尾文淵堂 大正10年)

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 北京では、1人で人力車に乗ってみた。「余の宿舎に到るの地理を確かめ」たにもかかわらず、やはり渡邊は「支那俥夫慣用の手段」に引っ掛かってしまった。つまり車夫は「唯客を得るに急なるのみ、其地を知らざるも之を知るといひ、斷じて之を他に問ふが如きことを爲さゞるなり」。

  確か数千年に亘って「至聖」と崇め奉られ続けた孔子サマが垂れていた「知るを知るとなし、知らざるを知らざるとなす。これ知るなり」という訓えに従うなら、この車夫は渡邊の問い掛けに「知らない」と応ずるべきだった。だが「唯客を得るに急なるのみ」という商法から、孔子サマの訓えに背いてしまった。いや、孔子なんぞをモノサシに彼らの生き方を推し量ろうとする事それ自体が、所詮は無理な話なのだ。

  どうやら「支那俥夫慣用の手段」に則るならば、「知るを知るとなし、知らざるも知るとなす。これ『支那俥夫慣用の手段』なり」となろうか。だが、ここで誤解してはいけない。「支那俥夫慣用の手段」は客の渡邊が日本人だからではなく、同胞に対しても“巧妙”に駆使されるということを。

  だから渡邊は、「必ずしも車夫に欺かれたりといふべからず」と記すことを忘れてはいない。

  北京では名勝旧跡を見物し、何人かの著名人を訪ねている。ある政治家の豪壮な別荘に遊んで「支那政治家の蓄財保身に巧みなる皆此の如きかなど、種々の感想湧起して幾分の不快を感ぜざるを得ざりき」と綴り、日本公使館の招待宴に列しては「公使の支那人の弱點を知るの餘りに深くして、往々之を輕侮するの失あるも、此弱點の爲に却て意の如くならざる結果を得ることあるによるか、在支公使の任務も亦難しといふべし」と記している。

  渡邊の北京滞在で最も興味深いのは、五・四運動の一方の柱である反伝統(孔子打倒・反儒教)を掲げた文化運動の中心たる北京大学で、一連の運動を指導した「胡適、陳獨秀の二?授に面するの機會を得」なかったが、運動の「中心人物の一人たる?授李大釗氏を氏の管理せる圖書館に訪ひ、氏の談を聞き、又意見を交換し」たことだろう。

  毛沢東が李大釗図書館長の下で司書補として働いていたのは余りにも有名だが、渡邊が訪ねたのは毛沢東が故郷の湖南省に去った翌(1920)年のこと。渡邊の訪問が1年早く、あるいは毛沢東の帰郷が1年遅れていたら、あるいは渡邊は李大釗館長の下で働く毛沢東に出会っていたかもしれない。
李大釗の案内で館内を見学した後、「其整理の行屆けるに驚けり」と記しているが、はたして「其整理」の一端は毛沢東が担ったのだろうか。

  さて肝心の李大釗だが、渡邊の筆に従って少しく詳しく綴ってみるのも一興だろう。
 李大釗は「頭髪を短く刈り、圓き血色よき顔に天神髯を蓄ひ、?き職業的外衣を纏ひ、一見日本人の如」くに振る舞う。
「殊に巧みに日本語を操り、語る所率直にして感情を掩はず、道理を枉げず」、熱く語る。その姿に渡邊は「最も好印象と興快を受け」たとか。

 李が「日本の武斷主義を排?し、日本人の對支行動を非難し、『日本人は隨意に支那人を殺す』」と口を開くや、同行の「楢崎氏の之を咎めて隨意の失言なるべきを責むる」。
だが「李氏屈せず、熱心切實に日本人の對支態度を排斥する」。これに楢崎が食って掛かり議論はヒートアップするが、渡邊は楢崎を押さえる一方で、文化運動に関する李の主張を聞き質した後に、李の「唱ふる所の結局極端なる社會主義、共産主義、無政府主義に陷り、露國の革命に共鳴するが如くなるを確」めた。
かくして「日本も亦漸く支那を解し、支那人に對する侮蔑の態度を去り、平等の主義において自由に公正に親和するの期あるべく、決して侵略と壓迫」とに終始するわけではない、と説いたのだが・・・。
《QED》
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  ★読者の声 ★READERS‘ OPINIONS ★どくしゃのこえ 
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(読者の声1)貴誌、通巻第6076号に藤井聡さんの『インフラ・イノベーション』(育鵬社)に関する宮崎先生の書評が載っていました。
「公共投資削減が日本の大不況をもたらした。インフラ投資拡大あってこそ国土強靱化が可能で、経済成長を飛躍させられる。日本再生プロジェクトによって日本は再び豊かな国家になれる」
「GDP構成要素のひとつは公共投資、つまり政府支出である。日本は過去二十年間でこの分野の予算は半分にした。そうなるとGDPは成長するはずがない。金融政策の誤謬が重なって「失われた二十年」は間もなく「失われた二十五年」となる」との趣旨ですが、私はこの説に大賛成です。
 更に先生は藤井教授の「無駄な投資だと反対、酷評が多かった静岡空港と茨城空港」は黒字に転化。滋賀県は新幹線新駅に反対したが、掛川は市民が浄財をだしあって運動し新幹線を停車させ、その結果、経済繁栄が継続できた、と数々の成功例を紹介していますが、全くそのとおりだと思います。 
 そして藤井教授は「下水道イノベーション、河川のイノベーション、水力発電の強化、砂防事業の充実などをインフラ・イノベーションの好例にあげますが、もっとも力点を置くのは食糧の自給自足である。裏返して言えば『農水産業を軽視してきた』 日本人の意識の劣化をあげる。まさに日本に国家戦略が不在だった証拠でありはやく農業活性化、自給自足の政策強化に打って出るべきだと説かれるのである」と述べられていますが、私も大賛成です。
 私は、農業の活性化、自給自足の政策を強化するには日本人が農業をもっともっと好きになる必要があると思います。そのための方法を書きましたので、『厠 その4(尊農社会の実現)』(https://sns.orahonet.jp/blog/blog.php?key=6206
 をお読みください。
  (とちのき)



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(読者の声2)藤原正彦『国家と国民』(新潮新書)は、「教養なき国民が国を亡ぼす」、「教養こそが「大局観」を磨く」、「大衆文学・文化も教養である」などと主張し、大ベストセラーとなっています。
 しかし、古代ギリシャもローマも、例外なく衆愚政治に陥没しました。
 近代でも愚か極まりなきフランス革命、ヒットラー、スターリン、毛沢東、そして金親子三代の北朝鮮とひどいものです。
 上杉鷹山公のような哲人が出現したら、政治を任かせる、それが最善の政治だが、現実には賢人を選ぶ制度がない等と書かれています。是非、貴誌でも書評に取り上げてほしいものです。
  (TO生、葛飾区)


(宮崎正弘のコメント)民主主義より賢人政治が理想ですが、賢人が世界に不在です。次善ということで、とりあえず民主主義が、ほかの政治システムに比べたら比較良好ということでしょう。藤原さんは新田次郎の子息、タカ派ですね。ただ、「南京大虐殺はあった」派なので、小生はデビュー作をのぞいて読んでおりません。



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(読者の声3)大阪都構想の是非を問う住民投票への対応を協議するため、大阪維新の会と公明党大阪府本部の幹部が19日夕、大阪市内のホテルで会談した、などという報道を見ると、大阪市を「市長不在の都市」にするという「大阪市解体構想」は、実現に向かっているように思える。
いったい、理性的な議論が行われているのだろうか?
自らの独善的、偏狭的考えを実現するために、既に住民投票で結論が出た問題を、強引に仕切り直そうとする手法には、かつて郵政民営化の際に、参議院における否決から衆議院を解散した小泉政権の手口と当時の状況を想起させるものがある。こういった乱暴な手法を「強力なリーダーシップ」だなどと持ち上げるような議論が、今回もまかり通っているのではないか?
郵政民営化も、「経済的な観点からすれば、『ナンセンス』としかいいようのないものであった。しかし、それがナンセンスであるとの指摘は、ジャーナリズムではほとんど見られなかった」(野口悠紀雄『日本経済は本当に復活したのか』ダイヤモンド社、2006年8月刊)と思う。
このときの政府広報は、いわゆる「B層国民」(当時の広告受注会社の定義では、IQが比較的低くかつ構造改革に中立ないし肯定的な層。 B層には、主婦と子供を中心とした層、シルバー層を含み、具体的なことはわからないが小泉総理のキャラクターを支持する層、内閣閣僚を何となく支持する層を指すとされた)を相手に想定したものであったと言われている。
しかるに、郵政選挙の結果が出た後に、野田宣雄氏が「このたびの選挙結果は、日本の一般有権者がかなりレベルの高い判断力を身につけていることをしめしたと思う。今日のような歴史の大転換期にあっては、一人の多少ともカリスマ性をおびた政治家が、広汎な大衆の信任を獲得し、その上で強力なリーダーシップを発揮することが求められる。今回の選挙結果は、有権者大衆がこのことを自覚し、小泉自民党への投票を通じて日本の政治を『指導者民主主義』に近づけたという意味で、大いに評価すべきであろう。」(『諸君』2005年11月号)などという、私には相当に「レベルの低い判断力」に拠るとしか考えられない主張をされていたことには呆れるほかなかった。
これほどひどいものではなかったが、「郵政民営化がここでつまずいたならば、数年来の、また郵政以後も続く構造改革路線のすべてが竜頭蛇尾に終わってしまう。構造改革の火が消えるようなことがあれば、21世紀の日本に明るい未来はなくなる。郵政民営化反対という古い視野狭窄派との間にはっきり一線を画した小泉自民党に期待するのが、現時点における唯一の現実的選択肢である。」という神谷不二氏の主張(『諸君』2005年11月号)にもうんざりさせられたものである。
今回の大阪都案なる愚論、妄論についても、神谷氏と同様に、その反対派を視野狭窄派と断じてしまう軽薄、無知、理性的判断力欠如が見られるように私には思われ、憂鬱にならざるを得ない。
(椿本祐弘)
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