国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<ドゥテルテの対中国外交は何処へ行く

2019/04/29

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成31年(2019)4月29日(月曜日)
        通巻第6059号 
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 断崖のロープを綱渡り、ドゥテルテの対中国外交は何処へ行く
  中国訪問に反対の絶叫、マニラで反ドゥテルテ派、連日の抗議集会
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 「わがフィリピン領土を掠め取り、領海に侵入した中国は出て行け」。
 マニラの金融街にある中国領事館の前で、フィリピンの若者を中心とした抗議集会が開催された。だがシュプレヒコールの音響は、北京へ出発前のドゥテルテ大統領には奇妙に聞こえたらしい。

 「あの莫迦ども(抗議集会参加者のこと)は戦争でもやらかすつもりか。中国の戦闘機は十四分で、マニラに到達するゾ。そこで展開されるのは大虐殺だ」
 就任以来、三年間に四回もドゥテルテ大統領は北京に足を運び、反対の多かったBRI国際フォーラムにもいそいそと出席した。しかし2017年に訪比した習近平が約束した巨額投資案件は、まだ一件も実行されていない。

 ハーグの国際司法裁判所は、中国の主張する南沙諸島の領有には何ら根拠がないとする判断を下したが、北京は「あれは紙くず」と言ってのけたことは記憶に新しい。中国は「古代より、あの領海は中国領だ」と夢幻的な台詞を吐き続けている。

 年初来、中国艦船のフィリピン領海侵犯、異常接近は657回におよぶが、就中、シツ島近海には257隻もの中国船が集中して、同島の施設拡充工事を妨害した(サウスチャイナ・モーニングポスト、2019年4月28日)。

フィリピンが領有するシツ島には1000メートルの滑走路があり、米軍とともに施設の拡充工事を急いでいる。このシツ島の南に中国が占拠したスビ岩礁がある。中国はこの岩礁を埋立て、3150メートルの滑走路と軍事設備、倉庫などを建設した。
盗人猛々しいとは、まさに中国だが、フィリピンはなぜこうも弱腰なのか。

中国艦船はフィリピンが領有するロイタ島近海にも現れており、あきらかに南シナ海のゲーム・チェンジを狙っている。「キャベツ戦略」という西側の命名は、中国の作戦が一枚、一枚とキャベツの皮をはがしてゆく様に喩え、その究極の狙いが南シナ海支配にあると戦略分析家たちは見ている。

ドゥテルテ大統領は、中間選挙でも与党敗北は自分への不信任投票でもあると認識し、中国に強い口調の抗議を繰り出しているが、しょせんは口先だけ。
フィリピン世論調査では「中国に好意をもつ」と回答した国民は20%しかいない。ドゥテルテ大統領の替わりに強行作戦を繰り出すのはテディ・ロクシン外務大臣で「たとえ第三次世界大戦になろうとも、われわれは戦争を恐れない」とアジ演説をしている。
が、現在の軍備でまともに戦えないことは小学生でも分かることだ。

クラーク空軍基地とスビック湾から米軍が撤退して以来、その力の真空をねらってキャベツ作戦(別名「グレー・オペラーション」)を中国は展開してきた。
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1886回】                
 ――「『私有』と言ふ點に絶大の奸智を働かす國である」――竹内(12)
竹内逸『支那印象記』(中央美術社 昭和2年)

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 「旅行者の濟南一人歩きは見合わはすがいゝと言」われたというから、おそらくは排日気分が漲っていたのだろう。そこで「私は支那服を着た」。夏の済南の「九十四五度の午後四時」である。
扇で涼を取る姿を見ながら考えた。「果して支那人が如何に扇を悠々と使ふかに注目されたことがあるだらうか。また日本人は擧つてあんなに小忙はしく扇を動かすのであらうか」と。「大きく弧線を描いて胸を離れ、再び胸に落ちて來るまでには恐らく六十秒を要するだらう。日本人なら六十秒間に百二十回煽ぎ動かすだらう」。

  居眠りしながら「大きく口を空いて、その中に蠅がゐる」。「天來無神經に惠まれてゐる支那人」なればこそ、ということになるようだ。

  「私にとつて、見るべく感ずべき都であるばかりではなく、休養の地である」北京を目指し、天津を旅立つ。「一望千里の平野を埋める土饅頭、夕陽は?金に輝いて斜めに照らす」。

 「由來、事變が起れば北京が目標だ」。そこで「この土饅頭の平野は戰場と化す」。かくて「墓場の上に更に血を流し屍をさらす。世界何處、斯くの如く澎湃たる墓地を有する國があるだらうか。墓場の詩情墓場の靜寂ではなく、墓場の偉觀は支那に求むべきであらう」。

  さて、いよいよ「支那と言ふPublic Park.その本據なる北京」である。アヘン戦争以後、次々に列強に侵食された地方は「支那土生の文明と外侵文明とが混亂してゐて、兎も角もその勢力は異國人の支配下にある」。だが「支那なる寺院境内」における「御堂」である「北京は今なほ支那特有の文明と生活とを濃厚に寶蔵して、東洋での讃美すべき大都として旅行者を樂しましめてゐる」。

とはいうものの、やはり北京でも「錢の前には人命なんか問題ではない」し、見るべきは「猶太人を駆逐しつゝある支那人の潜勢力である」。かくして「毛唐の女がテニスをやつてゐるのを見た支那人は、『あんなに走り廻つて幾ら錢が貰えるのだ』と訊ねたさうだ」。

 ある欧米学者は「支那と言ふ國がコロンブス亞米利加發見當時と大した變化がないだらうと説く」が、「其處に支那の特質がある。支那人は新設に對して融通心が無い」とも説かれているが、「それあるが爲に私は今この北京に於て愛すべき支那を觀ることが能きるのである」。

 かくして「支那の悠暢たる進化に對して日本の急速なる進化はどうだ。從つてその蕪雑さはどうだ」と説く。
だが、21世紀初頭の現時点における両国の姿を見ると、「急速なる進化はどうだ。從つてその蕪雑さはどうだ」と問うべきは日本だとも思える。どうやら「急速なる進化」は必然的に「蕪雑さ」を伴うらしい。もっとも日本と違い人口は12、3倍であり、ガサツで超新しモノ好きでブレーキが効かない。ならばこそ「蕪雑さ」もケタ違い。

 北京は大巨大都市であり各国の「公使館は居並んでゐ」るが、「この地に現支那民國の政府が在るとは思えない」。清朝は崩壊しすでに廃帝であるにもかかわらず、「今なお宣統帝が中心人物のように思へる」。

 「偶然出會つた血氣の若者」が竹内に向かって、「黎元洪は臺所まはりの世話ばかりうまくて民國の統御者としては微温い。彼は一個の圓満なる紳士」「張作霖は馬賊の棟梁で人間の心なんか解る男ではない」「呉佩孚はこの日進月歩の世の中に外國語一字も解しない單なる戰爭屋」「孫逸仙は革命の志士を氣取つて青樓好きの遊治郎」と、「支那の政権を運轉させてゐた」4人を評した。
この若者が「必ずしも現代支那の與論を代表するものではないだらうが」と断りながらも、中華民国とは名ばかりで実態は無政府状態であることに納得の態だ。
それにしても「孫逸仙は革命の志士を氣取つて青樓好きの遊治郎」とは、至言だ。
《QED》
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 拙著重版のお知らせ
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 ――ソロスが言った。「習近平は西側のもっとも危険な敵」
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 ★読者の声 ★READERS‘ OPINIONS ★どくしゃのこえ 
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(読者の声1)六四天安門事件30周年記念集会のご案内
 1989年6月4日、天安門広場の虐殺から30年という月日が流れました。しかしながら今なお中国では、民主化運動への徹底的な弾圧と、各民族への民族浄化に等しい弾圧が行われています。
 今回の集会では、天安門現場にいた李一平氏、中国政府機関で多くの役を歴任した夏業良氏、中国民主党全国委員長の汪岷氏をお招きし、日本からは国際政治学者の藤井厳喜氏をお呼びし、今後の中国民主化の方向性とアジア・世界の自由、民主主義、平和について考えていこうと思います。是非多くの皆様のご参集をお願いします。
                   記
 ●日時 2019年5月31日(金)午後6時開場 午後6時30分開会 
●会場 文京区民センター3階ホール
東京都文京区本郷4-15-14 TEL03-3814-6731
      メトロ丸の内・南北線「後楽園駅」4bまたは5番出口 徒歩6分
      都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」A2出口 徒歩2分
      JR総武線「水道橋駅」 徒歩10分
●主催 日本天安門事件30周年記念集会実行委員会
      民主中国陣戦(日本) 中国社会民主党(日本) 中国共和党(日本)
●講師 李一平 夏業良 汪岷  藤井厳喜 
●参加費 1,000円
  事前の参加申込は不要です。
 「六・四天安門事件30周年記念集会」チラシです。
PDFファイル(5MB)
http://www.tiananmen1989.net/2019/20190531_20190604_30.pdf
   (六四天安門事件30周年記念集会実行委員会)



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(読者の声2) 先日、貴誌でも紹介された感動の映画「二宮金次郎」ですが、下記のように全国で巡回上映されます。
https://ninomiyakinjirou.com/page-466/
また東京でも恵比寿で、6月1日から28日まで(月曜を除き)毎日上映されます。
https://ninomiyakinjirou.com/theaters/post-342/
 是非、この機会に足をお運びいただければ幸いです。
   (上映支援者のひとり)
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■宮崎正弘の新刊  ■宮崎正弘の新刊  ■宮崎正弘の新刊 
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 ――「五百年の孤独」に耐えて、歴史の真実が明らかになった
 明智光秀評価の間違いを糺し、従来の「本能寺の変」解釈を根底的にひっくり返す!
 これほど誤解された武将はいないが、原因は『光秀ごときが』という黒幕説だった
 ――信長への過大評価と光秀への過小評価が真実を隠蔽してきた
 「主殺し」、「謀反人」という逆宣伝で光秀を貶めたのは秀吉と誠仁親王だった
 当時の空気。人々は予兆していた。光秀がことを起こそうとしていることを
 ――謎は愛宕神社、あの「愛宕百韻」の発句が「ときはいま天の下しる五月哉」にある
 光秀の『文化防衛論』は日本侵略を狙った切支丹伴天連との戦いだった
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