国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<孤立するミャンマーにインドが支援強化、中国を牽制

2018/11/01

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)11月2日(金曜日)
        通巻第5875号 
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 孤立するミャンマーにインドが支援強化、中国を牽制
  国境を接する三つの地帯は治安環境が悪くインフラも未整備
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 ミャンマーへ異常接近をなしたのは中国である。国際的に孤立を深めるミャンマーに、いまこそ千載一遇のチャンスと乗り出した。両国関係はそれまで冷え切っていた。
 ロビンギャ問題で、欧米から非難され、ノーベル平和賞を返還せよとまで酷評されているスーチーは、嘗てほめあげてくれた欧米メディアが突如立場を変えて、連日批判するため、国際的に孤立している。

もとよりロヒンギャ問題の元凶は英国の植民地支配の残滓であり、スーチーに罪はなく、彼女はただ無能なだけだ。英国の旧ビルマ分割統治のため、イスラム教徒を大量に移住させて対立させたのだ。ビルマ人は仏教を信仰する。
「ミャンマーの言い分が正しい」という中国の応援歌は十分に理解できる。中国が狙うのは既得権益の石油とガス・パイプライン保護とチャウッピュー港の開発であり、習近平がスーチー政権に持ちかけている巨大プロジェクトはCMEC(中国ミャンマー経済回廊)である。

 げんに中国はロヒンギャが棲んでいたラカイン州の開発に当面の目標を置いており、北部シットウェイから南、インド洋に着き出したチャウッピューを大々的に開発し、工業特区、病院、学校、ホテルを建てた。

現在も造成中。ただし、期待ほど迅速に工事が進まないのはアクセスの悪さと電力供給がままならないことで、停電ばかりでは工事も中断を余儀なくされる。
立派なホテルも二軒ほどあるが、停電がしょっちゅう発生するので冷蔵庫が使えず、ビールは冷えていない。

 インドが安全保障の観点から、ミャンマーの梃子入れを始めた。副次的目的は中国とのバランスを取り、安全保障面でのリスクを低減させることにある。

 インドにとって見れば北西パキスタンは中国との軍事同盟であり核武装している。真北のネパールはマオイスト政権、真東のバングラデシュもチッタゴンの港湾拡充、開発プロジェクトは中国が応札し、南東スリランカも親中派から政権は替わっても、また親中派ラジャパクサ前大統領が復活し、南西のモルディブにしても中国からの「借金の罠」に落ちて、ようやく親中派政権は倒れたが、政情不安定と来ている。近隣諸国でインドの同盟国はブータンしかない。


 ▼インド、ミャンマー国境に盤踞する武装ゲリラ

 地図を拡げていただきたい。インドの東部山岳地帯はミャンマーと国境を接している。インドの最北西部アルナチャル・ブラデシュ洲はミャンマーのパンソー峠、日本が戦ったインパールが位置するマニプール州は、ミャンマーのタムとの間に国境がひらけている。
東部深奥のミゾラム州はミャンマーのチン族自治区に繋がる。これまでにも武装ゲリラとの小競り合い、密輸などが報告されている。インドが警戒するのは、麻薬の密輸も含まれる。

第一にインドは近年の急速な経済発展にともない石油とガス需要が高まったためミャンマーからも輸入する必要性に迫られている。ラカイン州沖合の海底油田で生産されるガスと石油は1400キロのパイプラインでミャンマーを斜めに縦貫し、雲南省へと至っている。

第二に国境地点でも道路拡張や設備拡充による貿易の拡大である。インドがとくに力点を置くのはマニプール州とダム(ミャンマー側)、ミソラムとチン族が統治する州とのアクセスで貿易を格段に拡大したい考え。両国の貿易は2016年から17年度に60億ドルだったが、2018年は年初から九月までの速報で74億ドル強と、急速に拡大した。

両国の問題はミャンマー北東部に盤踞する武装ゲリラである。インド兵はアルナチャル・ブレデシュ州に駐屯しているが、越境が出来ず、かといってミャンマー政府軍は現在北東側のカチン族、シャン族の武装集団との戦闘に追われて、兵力に余裕がない。
しかも、これらの武装集団に武器を提供しているのが中国軍と見られる。それゆえにインドはミャンマーへの武器供与も視野に入れている。
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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 米中貿易戦争は序の口に過ぎない、次は金融戦争を仕掛けるだろう
  ドル取引停止、チャイナ・プレミアムがつくと中国の経済は消滅する

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渡邊哲也『GAFA vs 中国』(ビジネス社)
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 「GAFA」って何? 
これはグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンという米国のIT、インターネット、検索エンジン、ビッグデータの企業四社の頭文字を並べた新造語だが、象徴的に意味するのは現代世界経済の方向だろう。
同時に世界の株式市場における時価総額を点検してみると歴然となってくる、或る重大な事実がある。すなわち世界支配は「石油」から「ビッグデータに大転換」という副題が表現しているような産業の転換期に突入しており、基本的には米国vs中国の対決時代が基軸にある。
これこそ目に見える変化である。
もっと具体的な変化はと言えば、過去三十年の世界の産業構造の地殻変動ではないか。
優位にあった日本企業は完全に「負け組」になった。
時価総額トップの新興企業が旧体制の大手を相手にせず急激にのし上がった。日本ならさしずめ孫正義、三木谷某らが代表する。
つまり物づくり経済という実態経済は影が薄くなって、AIを駆使した通信、IT、データ企業が、製造業メーカーを劣位へと追いやってしまったことである。
 平成元年という、30年前の世界の時価総額を見ると日本企業が圧倒的だった。この時代、世界の時価総額50傑のうち、なんと7割近くの32社が日本企業だったのだ。
NTT、日本興業銀行、住友、富士銀行、DKB、三菱銀行、東電、そしてトヨタだった。GAFAなんて影も形もなかった。
ところが三十年後、時価総額のランキングの様変わりたるや、平成30年の産業地図を株価に置き換えて俯瞰すると「世界五十傑」に、日本企業はトヨタのみがランク入りしているという寂しい風景に衝撃を受けるに違いない。
 時価総額ランキングはアップル、アマゾン、アルファベット、マイクロソフト、フェイスブック、そしてバークシャー・ハザウェイとなり、中国勢は7位にアリババ、8位にテンセント、15位に中郷工商銀行が入っている。トヨタは因みに35位。
 ならば石油企業はどうか。エクソンが10位、ロイヤルダッチシェルが14位、シェブロンが24位、ペトロチャイナが32位、そしてトタルが49位。黄金の石油業界も時価発行総額では衰退していることが分かる。
 日本人は、これを見て一抹の寂しさを覚えるかも知れないが、アメリカ人はそういう甘ちょろい幻想、打ちひしがれた感傷にいつまでのひたってはいない。
 さらに具体的に次世代技術産業を区分けしておくと、スマホは米国アップルが優勢だが、中国のファーウェイ、オッポ、小米が躍進している。基地局では圧倒的に中国勢が強く、ファーウェイとZTEの天下である。パソコンはデル、アップル、HPと米国勢も健闘しているものの中国のレノボが急伸している。ルーターも中国勢が凄まじい勢いでシスコシステムを猛追しており、監視カメラ、ドローンは中国が圧勝。いま、これらのハイテク分野で、日本メーカーが後塵を追っているという劣勢にあり、もはや問題視されてもいない。

米国は中国の追い上げを脅威として、「MADE IN CHIA 2025」をあれほど敵視するのだ。
米国が世界の「技術覇権」を奪回するために、第一の敵は中国であり、第二は、こうした転換を許したのがグローバリズムを徹底的に利用したのだから、この国際化とかの新自由主義を駆逐することにある。それがトランプのいう[MAKE AMERICA GREAT AGAIN]の標語に収斂されているのだ。
10月29日、米国商務省は輸出規制744条に違反したとして、福建晋華積対電路(フゥジアンジンルー)の集積回路などを禁制リストに付け加えた。これはファーウェイ、ZTE製品ならびに設備の米国における取引禁止につぐ厳しい措置である。同社は主にDRAM製造で有名な中国の国有企業だが、米国が発明した軍仕様の製品を米国内で販売し、米企業に損害を与えたことを理由に挙げた。つまり、ハイテク優位の奪回がトランプ政権の政策の根幹にあることがわかる。

渡邊哲也氏は、本書の中で、米中戦争の次の本番が金融制裁にあると本筋を鋭く見通している。
 嘗てジャパンバッシングのおり、日本に対してBIS基準を満たしていない等とイチャモンをつけて、ジャパンプレミアムを上乗せしたドル金融を行って、殆どの日本の銀行、証券、保険の競争力を奪ってしまったように、次にトランプ政権が準備中は、チャイナプレミアムである。最強の手段にはドル取引停止という強硬手段も持つ。
これにて世界時価総額中、50傑にランク入りしていた中国工商銀行(15位)、中国建設銀行(19位)、中国農業銀行(44位)と中国兵湾保険(48位)は間違いなく姿を消すことになるだろうと大胆に予測するあたりが本書の肯綮とみてよいだろう。
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 日本の縄文式遺跡は世界一古いのだが
  それを記述した歴史教科書が少ないのは何故なのか

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伊勢雅臣『比較 中学歴史教科書 国際派日本人を育てる』(勉誠出版)
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縄文土器や土偶がブームである。かく言う評者(宮崎)も青森県の三内丸山遺跡や亀岡遺跡、秋田の山奥にあるストーンサークルなどを見に行ったし、亀岡遺跡の象徴である遮光土器のレプリカなども土産とした。
教育現場では、こうした重要な日本史の発見、とくに縄文時代の歴史が急速に書き変えられているが、左翼教科書と、保守のそれとに深刻な相違点がある。本書はその齟齬を衝く。 
 本書の筆者、伊勢氏はまず次のようにいう。
 「一般の読者は歴史教科書はすべて文部科学省の検定を通っているので、考古学的な研究成果については、ほぼ同じような内容だろうと、想像するかも知れない。しかし、各教科書の記述を比べてみれば、大きな違いがある」
そのうえで伊勢氏は最古の土器の年代に絞って、中学歴史教科書を比較し、次の差違を指摘される。

(1)狩りや漁・採集で得た食糧の保存や煮炊きのために土器を使うようになり、食べられる物の種類が増えて、食生活は豊かになりました。このころの土器は、表面に縄目の文様がつけられていることが多いので縄文土器といいます。(帝国書院『社会科中学生の歴史』)
 帝国書院版は土器と食生活の関係に関しては詳しいが、年代は書いていない。

(2)日本列島の人々は,1万2000年ほど前から土器を作り始めました。これはどんぐりなどの木の実を煮て食べるために考え出されたもので,世界的に見ても古い年代とされています。(東京書籍『新版 新しい社会歴史』)
 東京書籍版では、「1万2000年ほど前」から土器を作り始めた、とし、「世界的に見ても古い年代」とする。

(3)今から約1万5000年前,人々は,食物を煮炊きしたり保存したりするための土器をつくり始めました。これらの土器は, その表面に縄目の模様(文様)がつけられることが多かったため,のちに縄文土器とよばれることになります。縄文土器は,北海道から沖縄まで日本列島全体から出土しています。これは世界で最古の土器の一つで、・・・(育鵬社「新編 新しい日本の歴史』)
 育鵬社版では「土器をつくり始め」た時期を「約1万5000年前」とし、「世界で最古の土器の一つ」と表現している。

(4)今から1万数千年も前から、日本列島の人々はすでに土器をつくり始めていた。これは、世界で最古の土器の一つである。
側注1 青森県大台山元?遺跡から発見された土器は炭素年代測定法で約1万7000年前とされている。
側注2 2013年、日・英の研究チームが、北海道や福井県で出土した約1万5000年前の土器から、世界最古の過熱調理の痕跡を発見した。(自由社『新版 中学社会 新しい歴史教科書』)
(いずれも平成二十七年検定済み)
 
自由社版は最古の土器として約1万7000年前、「世界で最古の土器の一つ」としている。「世界最古の過熱調理の痕跡」が発見されたこともちゃんと書いている。

  次の指摘がなされる。
「土器の年代だけでも、「記述なし」(帝国書院)、「1万2000年」(東京書籍)、「1万5000年前」(育鵬社)、「約1万7000年」(自由社)とばらついている。発見された最古の土器の年代を言うか、ある程度、普及した時期を言うかによって、2〜3千年のバラツキがあるのは理解できるが、東京書籍版で「1万2000年前」というのは、群を抜いて新しい。また、帝国書院に至っては、年代すら記載していない。さらに世界の他の地域との比較に関しては、記述なし(帝国書院)、「世界的に見ても古い年代」(東京書籍)、「世界で最古の土器の一つ」(育鵬社、自由社)と、これもバラバラである」(引用止め)。
 
つまり日本の歴史が中国より古いという事実が知れ渡ってはいけないらしい。左翼の歴史家は、日本が遅れているという錯誤をもって正しいという強迫観念に取り憑かれているのではないのか。
 伊勢氏の次の指摘は重要である。
「岡村道雄・元文化庁主任文化財調査官が指摘しているように、日本列島の土器は「質量ともに世界の他の時代や地域のものとくらべても際立っている」(『日本の歴史01 縄文の生活誌』、講談社学術文庫)という点は、わが国の歴史を学ぶ以上は、知っておくべき重要ポイントであろう(中略)。いずれにせよ、中学校教育は義務教育の最終段階であり、日本国民としての最低限の情操、知識を育む事を目的としている。その歴史教育がこれほどの大きなバラツキがあっても良いのか」。
 近世の戦争の評価ばかりに焦点があてられてきたが、古代をめぐる解釈でも、ただしい教科書が求められている。
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)本日(11月2日)夜の「フロントジャパン」のゲストは宮崎正弘さんです。ホストはジャーナリストの浅野久美さん。テーマは「パクリ中国」「欧州におけるチャイナリスク」他です。
 ご期待下さい。
   (日本文化チャンネル桜)
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近刊予告
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『西郷隆盛 (日本人はなぜこの英雄が好きなのか)』(海竜社、1620円)  
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<宮崎正弘の対談・鼎談シリーズ> 
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宮崎正弘 v 藤井厳喜『米日露協調で、韓国消滅!中国没落!』(海竜社、1296円)
宮崎正弘 v 藤井厳喜『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』(海竜社。同) 
宮崎正弘 v 西部邁『アクティブ・ニヒリズムを超えて』(文藝社文庫、778円)  
宮崎正弘 v 石平『アジアの覇者は誰か 習近平か、いやトランプと安倍だ! 』(ワック)
宮崎正弘 v 石平『いよいよ、トランプが習近平を退治する!』(ワック、994円)
宮崎正弘 v 石平『私たちの予測した通りいよいよ自壊する中国』(ワック、994円)  
宮崎正弘 v 渡邊惣樹『激動の日本近現代史 1852−1941』(ビジネス社)  
宮崎正弘 v 室谷克実『米朝急転で始まる中国・韓国の悪夢』(徳間書店、1296円)
宮崎正弘 v 室谷克実『赤化統一で消滅する韓国、連鎖制裁で瓦解する中国』(徳間書店) 
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宮崎正弘 v 福島香織『暴走する中国が世界を終わらせる』(ビジネス社、1188円) 
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宮崎正弘 v 田村秀男、渡邊哲也『中国経済はどこまで死んだか』(産経新聞出版) 
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