国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<秦郁彦著『慰安婦と戦場の性』の翻訳本

2018/09/26

★宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)9月26日(水曜日)弐
        通巻第5835号   
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秦郁彦著『慰安婦と戦場の性』の翻訳本
『Comfort Women and Sex in the Battle Zone』by Ikuhiko Hata

産経新聞の英文サイト「JAPAN Forward」にJune Teufel Dreyer教授の書評が掲載されました。
http://japan-forward.com/book-review-comfort-women-and-sex-in-the-battle-zone-by-ikuhiko-hata/
『 Comfort Women and Sex in the Battle Zone 』
著者:Ikuhiko Hata
 翻訳:Jason Morgan
 出版社:Hamilton Books 
 定 価:11,571円(Amazon参考価格) 

●詳細は下記JFSSホームページをご覧くださいませ。
http://www.jfss.gr.jp/home/index/article/id/754
http://www.jfss.gr.jp/Uploads/professor/2018-09-06/5b90b3011a090.jpg

当フォーラムでは、2016年8月に「対外発信助成会」を設立し、信頼のおける註のついた書物を、外国の出版社から外国語訳で出版できるよう活動を開始致しました。
 これは海外において悪質な反日プロパガンダがかなり広く組織的に行なわれていることに鑑み、相手の言葉を用いて上手に説得できるよう学術的にバランスのとれた書物を選択し出版することで、わが国から正確な情報を外国向けに発信する運動を進めるものであります。
 第一作目は、秦郁彦著『慰安婦と戦場の性』(新潮選書)に致しました。
 英訳はジェイソン・モーガン氏(歴史学博士)、
 出版社は米ハミルトンブックスより『Comfort Women and Sex in the Battle Zone』としてこの9月、出版の運びとなりました。
 この度、無事に出版に至りましたのも「対外発信助成会」の趣旨にご賛同いただきました皆様からのご支援、ご協力のおかげと心より厚く御礼申し上げます。
 本書は日本初の「慰安婦」についての専門書となります。国際社会の中で多くの方々にお読み頂ければ幸甚に存じます。
(一般社団法人 日本戦略研究フォーラム)

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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 テロ時代の総合対策はサイコ型テロへの徹底対応にあり
  ホームグローン・テロリストとインターネットの個人情報管理

吉川圭一『サイコ型テロへの処方箋』(近代消防社)
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 この分野でおそらく初めての試みではないか。
「サイコ型テロ」とは、そもそも何なのか?
 イスラム過激派によるテロ事件はあとを絶たず、西側先進国は対策に余念がない。ところがイスラム教のくにぐにあっても、過激派のテロ、それも毎日のように自爆テロがアフガニスタンで、イラクで、あちこちで繰り返されている。
 ISの場合は、インターネットで若者に呼びかけ、まるで催眠術にかかったように数万の若者が、それもキリスト教圏からも、あの中国からもIS戦士に参加した。穏健なインドネシア、マレーシアからも、海の孤島モルディブからも、トルコ経由でシリアの最前線基地は駆けつけた。インターネットは魔法のランプ?
 くわえてネットの発言に共鳴したホームグローン・テロリストの発生。いまやインターネットの個人情報管理の矛盾が露呈しているが、グーグルやフェイスブックは情報データの提供を渋る。そうこうしている間に日本の年金情報から大学の研究情報まで、根こそぎ中国のハッカーに盗まれた。
 他方、秋葉原でトラックの暴走で多数が死傷するという新型のテロがおこり、2016年7月には相模原にある知的障害福祉施設で、元職員が入所患者19人を殺害するという大量殺人事件が発生した。
著者の吉川氏は、一般的なテロと、後者の無差別殺人を区別する必要はなく、「同じように悩める現代社会の若者等の、心の問題として対処して行かなければな」成らないのではない」「現代における心の闇から起きる犯罪として一括して考えるべき」と提言する。カウンセリングの徹底にも言及している。
したがって吉川氏は、「この両者を包摂する概念として『サイコ型テロ』という呼び名を考え」たのだと言う。
テロリストに従来の警報では対応できないことは明らかであり、すでにシンガポール、マレーシアなどでは令状内で呼ぼう検束出来る強力な法律がある。日本は、この類の法律制定は難しいのである。
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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 渡辺京二『バテレンンの世紀』(新潮社)
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                            評 奥山篤信

 大航海時代、日本もまたグローバルプレーヤーだった。世界が海で繋がった世紀を、ポルトガル海上帝国の構築、イエズス会の積極的布教、信長・秀吉・家康や諸大名ら権力者の反応、個性的な宣教師、禁教、弾圧、島原の乱、鎖国というキリスト教伝来をめぐる出来事を軸に、壮大な文明史的視点で振り返る「渡辺史学」の到達点!〜

 渡辺京二氏は、あの故西部邁先生が『逝きし世の面影』について「渡辺京二さんが『逝きし世の面影』にて幕末から明治にかけて日本を訪れたヨーロッパ人たちの手紙、論文、エッセイその他を膨大に渉猟して、当時の西洋人が見た日本の姿――いまや失われてしまった、逝きし世の面影――を浮かび上がらせているのです。多くのヨーロッパ人たちが、この美しき真珠のような国が壊されようとしていると書き残してる。」と評した。僕は渡辺氏は今どき日本で数少ない一次資料から緻密な分析をする歴史家と見ているが、同氏は1948年日本共産党に入党し、1956年のハンガリー動乱で共産主義に幻滅し脱党した青年時代がある。
 僕の尊敬する宮崎正弘氏がこの本の書評を多くのスペースを使い、評価していることがわかるが、その中で
 「イエズス会が二十世紀の共産主義政党と性格、手法において一致していることはおどろくほどである。実現すべき目的の超越的絶対性、組織の大目的への献身、そのための自己改造、目的のためには強弁も嘘も辞さぬ点において、イエズス会は共産主義前衛党のまぎれもない先蹤(せんしょう)といわねばならぬ」が本書の著者の言いたいことだろうと締めくくっている。
さらに書評のタイトルの上に<イエズス会は軍事組織であり、マルクス主義前衛党に、いやISに似ている>とまで言っているのが痛快だ。

 別に僕に限らないが、共産主義とキリスト教はお互い犬猿だが、根っこは同じと僕のどっかの書に書いたことがある。その美しい幻想の理想郷と現実の惨たらしい殺戮と拷問と思い上がりは、まさに共産主義社会と神の国の綺麗事のユートピアの幻想である。共産主義は高々100年の人類に対する被害だがキリスト教はそれが2000年である。そんな意味でもこの渡辺氏の緻密な調査と分析は実に興味深い。

さてこの本での僕の疑問は:
1582年に九州のキリシタン大名、大友宗麟・ 大村純忠・有馬晴信の名代としてローマへ派遣された四名の少年を中心とした使節団で、イ エズス会員アレッサンドロ・ヴァリニャーノが発案したもの。 ヴァリニャーノは自身の手紙の中で、使節の目的をこう説明している。
第一はローマ教皇とスペイン・ポルトガル両王に日本宣教の経 済的・精神的援助を依頼すること。
第二は日本人にヨーロッパのキリスト教世界を見聞・体験させ、帰国後にその栄光、偉
大さを少年達自ら語らせることにより、布教に役立てたいということであった。使節の少年たちは有馬晴信が日野江城下に建てたセミナリヨで学ぶ生徒の中から選ばれ た。派遣当時の年齢は十三~十四歳であった。 その四人は ・伊東マンショ(主席正使)大友宗麟の名代。宗麟の血縁。日向国主伊東義祐の孫。後年、 司祭に叙階される。一六一二年長崎で死去。 
・千々石ミゲル(正使)大村純忠の名代。純忠の甥で有馬晴信の従兄弟。後に棄教。 
・中浦ジュリアン(副使)後年、司祭に叙階。
・原マルティノ(副使)後年、司祭に叙階。
なぜ渡辺氏が『天正遣欧使節記』にあるローマへの少年派遣団の一員であった千々石ミゲルの棄教について語っているものの、
実際彼らの「見聞録」の中で書かれている下記を敢えて書いていない点だ。
<我々の旅行の先々で、売られて奴隷の境遇に落ちた日本人を 身近で見たときには、こ んな安い値で小家畜か駄獣(牛や馬)の様に(同胞の日本人を)手放す我が民族への激しい 怒りに燃え立たざるを得なかった。......全くだ。実際、我が民族中のあれほど多数の男 女やら童男・童女が、世界中のあれほど様々な地域へ、あんなに安い値で掠って行かれ 売りさばかれ、みじめな賤業に就くのを見て、憐 憫の情を催さない者があろうか。>
まさに性奴隷の生娘を含む日本人奴隷たちの記述がないのだ。
宣教師のうわべの綺麗事の目的とは裏腹にまさにあくどい主な目的である 奴隷貿易への記載が見当たらないのだ。ちなみに1607年に南米 ペルーのリマでおこなわれた人口調査によれば、当時の人口 25454人のうち、日本人の奴隷として男9名と女11名がいたことが記載され ている。
そんな重要な事実こそが1587年豊臣秀吉をして宣教師追放令を発布させたのだが、その理由はポルトガル人が キリスト教の布教を熱心におこない神の恵み、慈悲を説きながら、その一方で南蛮貿易において多数の日本人を奴隷として叩き買い、船に連行し、海外に売り飛ば す事実を知ったからだ。まさに口先の偽善と欺瞞に怒りを爆発させた秀吉の賞賛すべき施策 であった(拙著 <キリスト教を世に問う>)。
次にそれと関係するのだが、キリスト教弾圧の功績者は秀吉と僕は考えているが、渡辺氏が描く秀吉は何か思いつきとか助言でコロコロ変わるいわばピエロ的存在で矮小化されていることが気になった。渡辺氏によると:
むしろ弾圧の実質的な確信犯は徳川家康からつながる徳川政権の施策を強調している節がある。
家康は秀吉のバテレン追放令を踏襲して、治世の当初から日本を神仏国家として、キリスト教を拒否する姿勢であったが、彼の海外情勢に対する的確な認識があり、海外に向かう知識の窓口であったからこれを利用せねば損だと思っていた(これは織田信長と同様)ので、西洋諸国が交易と布教を切り離して、宣教を抑制してくれているなら、ある程度のキリスト教の存在を黙認する用意はあった。しかしそんな黙認につけあがったキリスト教は日本において最盛期を迎え信者が37万人まで増えたのだった。その交易と布教を分離しないスペイン・ポルトガルへの苛立ちが募り、家康をしてついに全面禁教とさせたのだった。まさに<みだりに邪法を弘めて正宗を惑わし、もって城中の政号(政体、国柄)を改めて己が有となさんと欲す>である。実際、家康は日本の軍事力に自信をもっていたので彼らの現実の武力侵略は恐れていなかった、彼が恐れていたのはキリスト教の文化的侵略だったのだ。
つまり秀吉の奴隷貿易に対する<人道的怒り>よりも家康の<冷静沈着な危機感>こそが、まさに知的な慧眼だった。
芥川龍之介の僕は未読だが<神神の微笑>がまさに遠藤周作の愚作<沈黙>との類似性、例えば芥川がキリスト教は日本の霊の力には絶対に勝てない、つまり日本の風土になじまないことを書いているのだが、まさに遠藤の<沼地>論は、そのまま芥川を踏襲しているとしか思えない点が新発見だ。
さらに僕がこの時代にと感動した最終的無神論者となった棄教者フェレイラのキリスト教を攻撃する『顕疑録』は参考文献にないが、この名著の解説も欲しかった点はあるが、極めて僕のキリスト教批判論に大いに役立ったことは確かだ。
オススメの書である。キリスト教信者も含め言っているのだ。むしろ渡辺氏はキリスト教への尊敬の念もあるようで、だからこそ奴隷貿易やローマ見聞録などをあえて書かなかった、いわば同じ穴の狢として共産主義者からの転向隠れキリシタンではないかと思ったほどだ。 
 
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1793回】        
――「支那人は不可解の謎題也」・・・徳富(18)
  徳富蘇峰『支那漫遊記』(民友社 大正七年)

 
 ■「(九)言語の共通」 

 反日論者が往々にして「支那留學生上がりの者に多き」点を考えれば問題はあるが、「日本にして、若し將來支那に於て、又は支那に向て事を爲すなからんと欲」するなら、「日本人自らが進んで、支那語の學習に從ふと同時に、支那人に向て、日本語の普及を計らざる可からず」。にもかかわらず「今や支那留學生は、從前の三分一乃至四分一に減少したり」。「支那に於ける日本語の前途は、實に現状の儘ならば、悲觀」するしかない。

 そこで徳富は「我が朝野の識者に警告」し、どうすれば「より多くの支那留學生を、日本に招致する可き乎」「如何にして支那に於て、日本語を?授するの學校を新設し」、あるいは既設の教育機関をテコ入れすべきか」と訴える。

  だが、「我が朝野の識者」が外国人に対する日本語教育が対外戦略(ソフト・パワー)の核になるという認識を持ち合わせているとは思えない以上、徳富の「警告」に余り意味があるとは思えない。

 であればこそ、現在、我が政府が進める「クール・ジャパン」の悲喜劇が繰り返されているのではないか。

■「(十)難有迷惑」

 日支親善を思う者も思わない者も、それを口にする。「特に辭令に巧なる支那人としては、云ふ丈にて損なき文句なれば、固より言葉に於て、日支親善の大安賣を爲すも決して偶然にはあらず」。だが「親善の文句の裏には、不親善の事實ありと知る可し」である。

 かつて「子々孫々までの日中友好」の空念仏が聞かれたが、今にして思えば確かに「親善の文句の裏には、不親善の事實ありと知る可し」であった。そんな「子々孫々までの日中友好」の大合唱のうちに日中平和条約が結ばれて、今年は40周年である。10月になると安倍首相も参加して北京で大々的に40周年記念式典が華々しく挙行されることだろうが、であったとしても、いやであればこそ徳富の「親善の文句の裏には、不親善の事實ありと知る可し」との警句を、日本人は拳々服膺すべきだと痛感するのだが。

  さて徳富に戻る。
 「支那の獨立も」「支那の平和も」「支那の進歩も」、すべて日本の支えがあってのことであり、これこそ日本の立場からする「親善の實」というものだ。これは「支那たりとて、若し?心平氣に考へたらば」認めるところだろう。だが現実的に彼らは日本の支えを「難有しとも、忝かなしとも思はざる也」。「露骨に云へば、日本人が自ら恩に著する程、支那人は恩に著ざる」だけではなく、甚だしきは「(日本からの)恩を仇として考へ居る者も、少なからざる可し」である。

  では、なぜ彼らは恩を仇と見做すのか。それは「己が流儀を他に彊ふるは、必ずしも欲する所を施す」ことにはならないからだ。かくして「兎角日本人が、支那を解せず、支那人を解せず、又た解」しようともせずに、「唯だ短慮一徹に、我が思ふ所を、遠慮會釋もなく、之を支那及び支那人に施し、而して是れ則ち親善なりと云ふに到りては」、彼らからすれば「難有迷惑」でしかない。

  徳富の記すところから判断して、当時の日本からする「日支親善」は独りよがりでしかなく、反発を招きこそすれ、彼らの賛同は得られなかったということのようだ。

 ■「(一一)文明中毒國」

「支那人の缺點を指摘」するなら、「蒙昧野蠻なるが爲め」ではなく「餘りに文明なるにあり」。彼らの文明が古今東西に優れた点は「世に處する智巧」にこそある。
《QED》 

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もう一本
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【知道中国 1794回】            
――「支那人は不可解の謎題也」・・・徳富(19)
  徳富蘇峰『支那漫遊記』(民友社 大正七年)

    ▽
  「人に對し、世に處する智巧に於ては」、「世界の田舎漢たりし日本人」は「現時の支那人」にさえ「及ぶ所にあらず」。「支那人の策略を弄するは、殆ど先天的の性格」のようなものであり、そんな「支那人に向て、兎角の智術を逞うせんとするは、恐らく彼を知り、己を知るものと云ふ可らざらむ」。

  「要するに支那人は、寧ろ文明に食傷したる人種也。支那は文明中毒國也」。そんな「國柄、人柄」に対し「嗜好、趣味、感情、思惑を無視して、一氣呵成に、我意を貫徹せんと」して「淺薄なる小策を逞」しくしたところで、まったくの無意味である。

  以上を言い換えるなら、紀元前の春秋戦国の時代から現在に延々と続く“人たらし”の天才である彼らを前にしては、我がオモテナシは余り意味をなさないということだ。

  ■(一二)一片の空證文」

 「若し眞に日支親善を實行せんと欲」するならば、「(第一)は力也、(第二)は利?也、(第三)は思想及び感情也」という「三個の要素を具備」する必要がある。

  「(第一)力とは」、「支那を極東の國際政局に於て、支持する」だけの「決心と實力」であり、それを「支那人に向て會得、貫徹せしむる」ものでなければならない。「日支親善の前提として、我が軍備の充實は、片時も油斷あらざる可らざる也」。

  「(第二)利?とは」、「日本が、支那より利?を取る」だけではなく、「支那に向つて利?を與ふる」ものでなければならない。要するに官民ともに利益を共通することであり、「彼我利?の分配を意味するもの」である。

  「(第三)思想及び感情とは」、「今日の同文同種抔と、互ひに紋切形の世辭を、交換するに止らず、眞に兩國民の思想、感情の上に於て、互ひに相依り、相倚るの紐帶を出來せしむる」ことを指す。

  かくして徳富は、「現時間の日支親善を語る者」に対し、「力に於て」「利?に就て」「思想及び感情」において、「遺憾ながら、甚だ其の不徹底を認めざるを得」ないではないかと問い掛けた後、「如上の三要素を控除しての親善ならば、是れ唯だ一片の空證文のみ」と断言した。

 だが、この徳富の考えは明らかに間違っている。徳富の言葉を借りて説明するなら、我らは「世界の田舎漢たりし日本人」である。だから彼らに対しても「文明中毒國」の「嗜好、趣味、感情、思惑を無視して、一氣呵成に、我意を貫徹せんと」する。つまりバカ正直に軍事的に彼らを守り、「双?」「互利互恵」に邁進し、甚だしきは「兩國民の間に、共響、同鳴の點を見出」そうと努める。
だが「文明中毒國」の彼らである。「人に對し、世に處する智巧に於ては」、「世界の田舎漢たりし日本人」なんぞを相手にするのは赤子の手をヒネるようなものだろう。であればこそ我らが「三個の要素を具備」するなんぞ、まったく骨折り損の草臥れ儲けというものでしかない。
  触らぬ神に祟りなしの格言に倣うなら、やはり触らぬ疫病神に祟りなし、である。

 ■「(一三)信頼と安堵」

 「力は支那人の最も缺乏する」もの。「故に最も必要とする所也」。「力の福音は、支那感化の第一義」ではあるが、一朝有事の際には「日本單獨の力」で「支那の安危存亡の衝に膺」る覚悟が必要だ。
「最近の事實に就て」考えれば、大隈内閣における21カ条要求が好例だが、日本の対応は間違っている。彼らは「事大主義者」であり、「有力なる威勢に對しては、無抵抗者」だが、「此の威勢を利用するに於て、抜目なき實利者也」。その点を弁えたうえで十分な「力」と「決心」を以て徹底して対する――これしかないようだ。

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●読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声 
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 (読者の声1) 〔萬物の中で普遍性と個別性・多様性が切り離されてしまうのは人類のみ、だから、それを本来のあり方に戻す学問が必須〕私は、前々から弁証法・学問は、人類の新たなバージョンアップされた本能となるべき・すべきものだと主張してきました。
ですから、私の主催する弁証法ゼミのテキストの題名も「人類が真の人間になるための弁証法入門」なのです。そして、ヘーゲルからの学びが進むにつれて、ヘーゲルも本当にそう思っていたに違いない、と確信するようになってきました。
 そう思ってヘーゲルの学問体系を見ると、非常に得心がいきます。
なぜ、概念論が有論と本質論との統一なのか?
なぜ。普遍性はすなわち個別性・現実性なのか?
これは、あれかこれかの形而上学的論理学では、全く理解不能の次元の論理学です。普通の論理学では、論理は高次になればなるほど、事実性・具象性が捨象され・現実性から離れて行って、論理として純化していくものだと思われているからです。

 だから、マルクスはそのヘーゲルの言葉に、猛然と噛みついたのです。
そんなの「根本的二元論」で、「普遍性と個別性・現実性とをつなぐ橋など永遠に存在しない」とまで言い切りました。普遍性が即個別性・現実性という言葉が、彼の論理学にはありえない悪魔の囁きに感じたのでしょう。
しかし、普通に考えてみて本能に統括されている動物においては、動物の個別的な行動は、つねにその動物としての普遍性に貫かれていて一体です。
 じつは、このことは萬物を貫く普遍性なのです。
つまり、この普遍性と個別性とが一体のものとして現れるというのは、すべての事象に云えることだ、ということです。ただし、その中に唯一の例外が存在します。それは、人間です。人間は、本能を捨てて、認識という発展性はあるがでたらめもできる即自的自由を持つに至ったのです。
つまり、「そんなの関係ねぇ〜」とばかりに普遍性を無視して即自的感情に突っ走る個別性、あるいは普遍性に反して多様性の方が大事だと思うことができる即自的な自由を得た結果として、人類は、それを取り締まる対自的な法が、必須になったのです。

 学問も、その即自的な自由を、対自的な自由に変えるものとして生まれました。
法は外側から変えるものであり、学問は内側から変えるものです。その結果として「自由とは必然性の洞察である」という有名なヘーゲルの言葉に示された、即自対自の自由の完成形となるのです。
その学問は、全体からその必然性を切り出して論理として体系化したものですが、死んだ論理学すなわち形而上学は、そこで行き止まりとなります。
しかし切り出したものは、元に戻す必要があります。それを行ったのがヘーゲルの運動体の弁証法の論理学です。
すると学問(普遍性)と個々の事象(個別性)とは、目的意識的に一体となっていきます。これが、発展的に自分に回帰して、本来の姿を取り戻した世界なのだ、とヘーゲルは主張するわけです。
 ところで学問は学問、特別なものだと信じている者には、学問は現実から離れた、図書館などの本棚に飾ってある本の中にあると思っている人が多いようですが、ヘーゲルの説く学問は、自分のアタマの中に「精神の王国」として創って使うものであり、使うことが直接に精神の王国をより豊かに発展させていくという形で、どんどんバージョンアップしていくものだとしています。
つまり、「精神の王国」は新たな人間の本能として人間の行動を規定するようになった時、その人間の目的意識的な個別の行動が、即普遍性となるのです。これが、人間が本来の鳴り方を取り戻した姿なのです。

 ところが、現在の日本の現実は、普遍性そっちのけで、即自的な多様性ばかりが大事にされ、それが対自的な法や条例にまでも規定するようになってしまっている、というおかしな事態となっております。
これが、杉田議員のLGBT発言が提起した問題の本質なのです。
ところが、その本質を分かっている者が非常に少ないというのが、偽らざる今の現実です。だからこそ、一日も早く、ヘーゲルの学問を、人類を救う本物の学問として、復権・復活する必要があるのです。
(稲村生)



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(読者の声2) 第41回 家村中佐の兵法講座 兵法書として読む『古事記』『日本書紀』 
 日本最古の史書とされる『古事記』『日本書紀』には、遠い昔から今に伝わる日本人の戦争観や武力行使のあり方、優れた戦略・戦術や軍隊の指揮・統率など、現代社会においても十分に役立つ最高の兵法書としての教えが数多あります。
今回の兵法講座では、『古事記』『日本書紀』の冒頭に記された「天地の初め」「国生み」や「天孫降臨」といった物語に隠されている宇宙の創造、地球の誕生、生命・人類の始まり、そして日本人の死生観や武士道精神の基をなす「神ながらのまこと正道」などにつきまして、図や絵を用いながらビジュアルに、分かりやすく解説いたします。

とき   10月20日(土)13:00開場、13:30開演(16:30終了予定)
ところ  文京シビックセンター5階 会議室A
講 師  村和幸(日本兵法研究会会長、元陸上自衛隊戦術教官・予備2等陸佐)
演 題  第14話 神代の真実
参加費  1,000円(会員は500円、高校生以下無料)
お申込:MAIL info@heiho-ken.sakura.ne.jp
(不通の場合、ya84573@qj8.so-net.ne.jp
 FAX 03-3389-6278(件名「兵法講座」にてご連絡ください。



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(読者の声3) 『中国ガン―台湾人医師の処方箋』(並木書房、林建良著)
その4―第3章 中国人も中国ガンに苦しんでいる
 中国の国土は今やガン細胞に食い散らされて破壊されつつあります。その始まりというべきものが、万里の長城であることを筆者は指摘します。
秦と漢の時代から建造と修繕を繰り返してきた万里の長城のため、大量の鉄器が必要になりました。
鉄器生産に必要な木炭をつくるために大量の木が伐採され、北中国の砂漠化が進んだのです。万里の長城は中国の砂漠化の記念碑なのです。こういう環境破壊記念碑を国の代表的な観光施設として世界に誇っているとは、驚くべき考えです。
 ウイグルで核実験が繰り返されてきましたが、これによる核汚染で死のシルクロードが生まれましたが、ウイグル国内の汚染はもっと深刻で、多くの死者・被害者を生んでいます。
チベット人居住区の核兵器製造工場がもたらした核汚染もかなり深刻なようです。さらに2030年までに102基の原発を新設計画をもっていますが、「粗製乱造」による欠陥・事故の恐れが大いにあります。特に問題なのは、事故の情報を隠して公表しないことです。2008年8月に江蘇省の田湾原発で爆発による火災が発生しましたが、香港紙が報じただけで中国内では一切報じられなかったと言います。
 中国ガンに冒された国内では安心して生活できないのでしょう、成功者、高位高官が外国へ移住したがっているのが現実です。高官たちの手口は、不正蓄財→子女を海外留学させる→資産を海外に移転→家族を海外に移住→本人が海外逃亡→渡航先の国の方を盾に帰国拒否、というものです。
 2012年までの統計によれば、中国共産党の「中央委員会」第17期委員204人のうち92%にあたる187人の直系親族が欧米の国籍を取得しているといいます。
中央規律審査委員会ではメンバー127人のうち123人(89%)の親族が海外に移住しているそうです。一部例外ではなく、ほとんどの高官が海外移住を望み、実行しつつあるという惨状です。

日本語原文: http://hassin.org/01/wp-content/uploads/cancer4.pdf
英訳文: http://www.sdh-fact.com/CL/Series-No.2-Lin-chapter-3.pdf
中文訳: http://www.sdh-fact.com/CL/Lin-China-Cancer-No.4C.pdf
   (「史実を世界に発信する会」 茂木弘道)
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『米中貿易戦争で始まった中国の破滅』(徳間書店、定価1296円)
https://www.amazon.co.jp/dp/4198646716
『習近平の死角』(育鵬社、1620円) 
『アメリカの「反中」は本気だ』(ビジネス社、1404円)
『西郷隆盛 (日本人はなぜこの英雄が好きなのか)』(海竜社、1620円)  
『米国衰退、中国膨張。かくも長き日本の不在』(海竜社、1296円) 
『AIが文明を衰滅させる (ガラパゴスで考えた人工知能の未来)』(文藝社、1404円) 
『習近平の独裁強化で、世界から徹底的に排除され始めた中国』(徳間書店、1080円) 
『連鎖地獄―日本を買い占め、世界と衝突し、自滅する中国!』(ビジネス社、1188円)
『金正恩の核ミサイル 暴発する北朝鮮に日本は必ず巻き込まれる』(育鵬社、1512円)
『日本が全体主義に陥る日  旧ソ連圏30ヵ国の真実』(ビジネス社、1728円)
『吉田松陰が復活する』(並木書房、1620円)

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<宮崎正弘の対談・鼎談シリーズ> 
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宮崎正弘 v 藤井厳喜『米日露協調で、韓国消滅!中国没落!』(海竜社、1296円)
宮崎正弘 v 藤井厳喜『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』(海竜社) 
宮崎正弘 v 西部邁『アクティブ・ニヒリズムを超えて』(文藝社文庫、778円)  
宮崎正弘 v 石平『アジアの覇者は誰か 習近平か、いやトランプと安倍だ! 』(ワック)
宮崎正弘 v 石平『いよいよ、トランプが習近平を退治する!』(ワック、994円)
宮崎正弘 v 石平『私たちの予測した通りいよいよ自壊する中国』(ワック、994円)  
宮崎正弘 v 室谷克実『米朝急転で始まる中国・韓国の悪夢』(徳間書店、1296円)
宮崎正弘 v 室谷克実『赤化統一で消滅する韓国、連鎖制裁で瓦解する中国』(徳間書店) 
宮崎正弘 v 室谷克実『悪あがきを繰り返し突然死の危機に陥る中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 福島香織『世界の中国化をくい止めろ』(ビジネス社、1404円)
宮崎正弘 v 福島香織『暴走する中国が世界を終わらせる』(ビジネス社、1188円) 
宮崎正弘 v 河添恵子『中国、中国人の品性』(ワック、994円) 
宮崎正弘 v 渡邊惣樹『激動の日本近現代史 1852−1941』(ビジネス社)
宮崎正弘 v 高山正之『日本に外交はなかった』(自由社、1080円)
宮崎正弘 v 馬渕睦夫『世界戦争をしかける市場の正体』(ビジネス社、1188円)
宮崎正弘 v 宮脇淳子『中国壊死』(ビジネス社、1188円)
宮崎正弘 v 小川榮太郎『保守の原点』(海竜社。1620円) 
宮崎正弘 v 渡邉哲也『世界大地殻変動でどうなる日本経済』(ビジネス社、1404円)
宮崎正弘 v 石平、福島香織『日本は再びアジアの盟主となる』(宝島社、1296円)
宮崎正弘 v 石平、福島香織『中国バブル崩壊の全内幕』(宝島社、1296円)
宮崎正弘 v 田村秀男、渡邊哲也『中国経済はどこまで死んだか』(産経新聞出版) 
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(休刊の予告) 小誌は地方講演旅行のため10月7日―8日が休刊予定です
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2018 ◎転送自由。転載の場合、出典明示
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創刊日:2001-08-18  
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