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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<中国にも戦争請負企業。「戦争の犬たち」のビジネスが急膨張

2018/08/21

★小誌通巻5800号突破 記念特大号
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)8月22日(水曜日)
        通巻第5801号   <前日発行>
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 中国にも戦争請負企業。「戦争の犬たち」のビジネスが急膨張
  シルクロード沿線にセキュリティ不安拡がり、軍警察OBの大量雇用
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 米国の「ブラックウォーター」は、あまりにも悪名高い。ノースカロライナ州に7000エーカーの社有地を持ち、射撃訓練から戦闘・武闘・対ゲリラ訓練などを行って、世界各地の戦場に派遣される。

 幹部は殆どが米海軍特殊訓練部隊(シールズ)出身者で、退役軍人や武器の専門家が業務に携わっている。ロケット・ランチャーから独自の武装ヘリも保有する。言ってみれば、プライベート・アーミー。傭兵ともいう。要するに兵員不足をかれら軍事のプロが補っているわけだ。
 イラク戦争でも夥しいブラックウォーターの「社員」が派遣され、戦場で大活躍したほか、日本でもミサイル防衛網の警備に百名が配置されているという。

 さて舞台は中国である。人民解放軍は235万人。習近平の粛軍削減計画の実施によって、およそ30万人が解雇された。
現在退役軍人は5700万人。軍人恩給が微々たる額しか支給されず、不満が昂じて各地で抗議集会やデモが起きている。
 退役警察官も同じ境遇にある。

 その中国人民解放軍ならびに警察のOBらが、中国版「ブラックウォーター」を設立し、米国の指導も仰ぎながら、めきめきと頭角を現してきた(アジアタイムズ、8月20日)。
 なんと軍事請負企業は5000社、雇用は五百万人! 海外への派遣先はシルクロード沿線の、衝突、紛争が絶えないパキスタン、イラク、スーダンなどである。

 最大手はCOSG(中国海外セキュリティ集団)で、2016年の実績でもスーダン、パキスタン、トルコ、モザンビーク、カンボジア、マレーシア、タイに派遣された。COSG幹部は「過去八年間で、派遣実績は60ヶ国に及ぶ」と豪語している。

 とくに中国人の誘拐、殺人事件が頻発するパキスタンには、およそ三万人の中国人労働者がおり、3000キロにもおよぶ原油、ガスパイプラインと高速道路、鉄道敷設工事の現場をパトロールしている。

 もともとの需要は警備会社で、ガードマン業務から出発した。
銀行や夜間のビル管理、工場の警備など、日本の警備会社と変わらない業務で急拡大し、習近平のシルクロード路線での海外進出に伴い、現在海外進出中国企業およそ16000社のうち、危険地帯に投入されている現場などを中国軍事請負企業から派遣された3200名が担っているという。

 中国のBRI(一帯一路)、もう一つのダークサイドである。

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(休刊予告)地方講演旅行のため小誌は8月25日―27日が休刊です 
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 ■読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌前号の投書欄ですが、セミの幼虫捕獲に関しては、昨日のTwitterで話題になっていました。
 以下がそのリンクです。
https://twitter.com/miyahancom/status/1030700846298742784
 羽化前の幼虫を採取するために、樹木の根元をほじくり返されて市としても困惑しているようです。写真には写っていませんが、英語と中国語の看板も設置されています。
信州人は昆虫食民だと言われますが、日常的に食べるのはイナゴ・蜂の子・カイコのさなぎ・ザザムシ(一部地域)くらいで、セミやコオロギを食べる習慣はありませんでした。
(二枚目の写真は実際に売られているイナゴソフトです)
 昆虫が食べた植物のエネルギーを体質量(ボディマス)に変換する二次生産の効率は平均40%で、魚類の10%や恒温動物の1 - 3%に比べ非常に優れているため、昆虫類は生態学的および経済的に効率の良い動物性蛋白質の供給源となる可能性を秘めているようです。
  (浅野正美



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(読者の声2)貴誌5800号で挙げられている「深刻極まりない新興諸国の財務状況」「新興諸国の対外債務」、「そのGDP比」のデータは興味深いです、というよりも恐ろしいと言うべきかもしれませんが・・・・
 ところで、対外債務額、またラオス、マレーシアの高速鉄道事業費など、ドル建てで述べられていますが、この「対外債務額」は、その相当比率が中国関連金融機関などに対するものなのでしょうね。
 対中国関連とその他の欧米系国際機関関連の額の内訳はわかるのでしょうか?
  また、対中国関連の債務もドル建てなのでしょうか? 
    (CAM)


(宮崎正弘のコメント)当該一覧表ですが、ドル建てに換算した他の通貨も含まれていると思います。IMFのデータ、日経新聞などから作成しました。
 いったい何パーセントが中国なのか、データが出鱈目なので正確な数字はわかりません。



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(読者の声3)いつぞや宮崎先生の出版記念会で某新聞社社長が「記者は宮崎さんのメルマガを読んでから記事を書く」などとジョークを飛ばしていましたが、通巻5800号ですか。おめでたい限りです。
 これも汗水流しつつ情勢分析に精を出されるうえ、なんとこのメルマガは無料ですから、有り難いです。ますます部数も拡大増加されんことを!
   (一老人)



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(読者の声4)貴誌5800号の「対外債務 ワースト15」に関しまして、小生は全く財務金融オンチではありますが、日本の個人金融資産(1850兆円)、法人金融資産(1150兆円)を考えると、このワースト15国の対外債務合計は、3兆6381億ドル=(@110)≒400兆円で、長期間で金利+元本返済してゆくのであれば、、さほど深刻ではないなぁ、と感じたのですが、、、まちがいでしょうか? 
また、この「対外債務の対GDP比率」ですが、「何%を超えると危険水域」と一般に解されているのですか、ご教示お願いします。
(磯野和彦)


(宮崎正弘のコメント)対外債務のGDP比は直接的には為替レートに繋がり、当該通貨の暴落要因です。
 日本が1ドル=360円、闇で500円だった頃、1ドルで有楽町ガード下の女性が調達されたように、当該国の貧困度は悲劇を産むことになります。
 「何%を超えると危険水域」という基準はいまのところ、厳密な定義はないようですね。




(読者の声5)「対米従属体制を打破し、真の独立日本の建設を目指せ」
 5月の米朝首脳会談でトランプ大統領が金正恩に対して日朝関係の大きな問題として拉致問題があることを提起した、ということを日本の政府与党、保守派の人々は手放しで喜んでいた様子であった。
 それ自体今後の日朝交渉に対する援護射撃になることは否定しないが、日本が米国の属国ではなく真の独立国家であるならば、日本国民が外国によって拉致(正確な表現は「人さらい」「誘拐」である)された犯罪行為、言い換えれば日本に対する主権侵害であり、侵略行為を先ず自らの問題として解決することが筋ではないか。
 すなわち、日本政府は自国民の奪還を外国政府に頼ること自体本末転倒である。国防上の自衛権発動も警察権行使も独立国家なら基本的権利としてもっているはずだ。それがなにもかもアメリカ頼みとは余りに情けない話ではないか。結局戦後占領期を経ていまだアメリカの従属国から脱却できていないのである。
  昨年11月トランプ大統領一行が来日した際、彼らは羽田でなく横田基地にやってきた。彼らは入国審査もなくパスポート提示もなくそのまま都心へ向かったのである。
逆に出迎えの日本政府高官や自衛隊高級幹部は横田基地に入る際、身分証明書の提示とボディチェックを求められたという。
 こんな馬鹿げたことがあろうか。横田基地といえども日本領土である。この問題を指摘したマスコミも野党も全くいなかった。
この問題の根本原因は日米地位協定にある。日本と同じくかつての敗戦国であるドイツにも、イタリアにもNATO条約に基づく米軍が駐留しているが、独伊が米国と結んでいる地位協定では、米軍基地内にはそれぞれ独伊の国内法が適用され、独伊は必要に応じて基地内への立ち入りの権利も認められている。

▲沖縄の基地問題で真っ先にやるべきは日米地位協定の根本的見直しである。

 これに対して日米地位協定では、米軍基地には日本の国内法は適用されず、日本政府には基地内への立ち入りも認められていない。
とくに米軍基地が多く点在する沖縄では、頻発する不良米兵による犯罪に沖縄県警もその対応に苦慮しているのである。
 沖縄の基地問題においてまずなすべきことはこの日米地位協定の根本的見直しである。沖縄戦において沖縄県民は軍に協力してアメリカ軍相手の壮絶な国土防衛戦を戦い、多くの県民が犠牲となった。
昭和47年ようやく沖縄は本土に復帰したものの、依然日米地位協定は改訂されず、多くのアメリカ軍基地が治外法権の下に存在しているのである。与野党も普天間だ辺野古だと言う前に日米地位協定の根本的改訂に議論をなすべきである。
  独立国であるはずの日本、そしてその首都東京の周辺には横田、横須賀、厚木などの巨大な米軍基地が存在する。
しかも横田なら米第五空軍司令部があって、そこに空自の航空総隊司令部が居候のような形で存在している。
 横須賀ならかつての我が帝国海軍の根拠地であった主要な施設群は米第七艦隊が占有・使用している。かつて多くの戦艦、空母を建造した栄光の横須賀海軍工廠は現在米軍の修理施設になっている。
 自衛艦隊司令部をはじめ海上自衛隊は横須賀の船越、西逸見、長浦などの地域にある。いわば母屋を取られた状態である。厚木またしかり。日本が戦後の貧困弱小の国の時代であるならともかく、今や世界有数の経済大国となり、自衛隊の装備も飛躍的に増強されているのに未だ「米軍の弾除け」いいかえれば植民地軍的状態に甘んじているのは何故か。
 日本国憲法はいまだ改正されず、自衛隊は建軍の本義も与えられないまま、軍隊か警察か分からない組織のままである。
政府・自民党が進めんとしている加憲改正案は憲法九条の第1項と第2項をそのままとしたまま、第3項に自衛隊の保持を明記するというものである。第2項で軍隊の保有と交戦権を否定したままでの自衛隊とは一体何であろうか。
 国家主権の発動としての交戦権を具体的に行使するのが独立国の軍隊であるとすれば、軍隊でもなく交戦権を認められない自衛隊とは何なのか。手足を縛られたままの自衛隊に政府・国民はいざというときには国のために死んでくれと言っているのだ。
尖閣諸島だって自衛隊が守ってくれると思っている。話の順序が逆ではないか。まず自衛隊に軍隊、武士としての名誉を与えることが先決である。

 政府与党も野党もシビリアンコントロールを強調する。
しかし長年自衛隊の健全な発展を阻害してきたのは政治家どもであった。昭和40年代後半海自の次期対潜哨戒機は国産で生産されることに決まっていたのに、これを覆したのはロッキードから賄賂をもらった時の首相田中角栄ら政治家であった。
 昭和60年代やはり国産の方針が決まっていた次期支援戦闘機を米国に阿って日米共同開発という方向に捻じ曲げたのはやはり自民党の政治家達であった。現在の政府与党もまた米国製品の輸入増大を主張するトランプ大統領に「忖度」して、多くの兵器を米国製の丸ごと輸入しようとしている。

 ▲防衛装備調達を日米貿易摩擦問題解決の政治的犠牲として供した

本来、純軍事的見地から検討されるべき防衛装備調達を、日米貿易摩擦問題解決の政治的犠牲として供しようとしているのだ。お陰で日本の防衛産業は、先細りか壊滅の危機を迎えている。
シビリアンコントロールとは政治家が防衛にかかる利権をわがものとし、国家の利益よりも私益を第一に考えることなのであろうか。
  昭和45年三島由紀夫が市ヶ谷台上で壮烈な憂国の諫死を遂げたとき、ときの佐藤栄作首相は「狂気の沙汰」といい、中曽根康弘防衛庁長官は「迷惑千万」と言い放った。
あまつさえ、中曽根は今においても老醜をさらしつつ「三島由紀夫の呼びかけに応えた国民、自衛官は一人もいない」と強弁しているが、何故死後50年近くたっても多くの人々が「憂国忌」に結集するのか、何故多くの自衛官OBが三島研究会において熱心に国家と国防を論じているのか、中曽根はどう説明するのだろうか。
 昭和53年いわゆる超法規発言で栗栖弘臣統合幕僚会議議長を免職に追い込んだのは金丸信防衛庁長官であったが、その金丸は金権政治の亡者として哀れな末路を辿った。今では何れが真の愛国者であったか明白ではないか。
 平成20年至極全うな論文を発表した田母神俊雄航空幕僚長を追放したのは麻生太郎首相と浜田靖一防衛相であった。結局、これらの政治家どもは日本の真の独立を考えず、憲法改正にも取り組まず、ただ戦後の対米従属に安住して己の権力を保持したいがための政治屋に過ぎなかった。 
  戦後の日本では、保守勢力はGHQの庇護の下に政権を保持し、GHQの権威によって敵対勢力を排除するという構図が出来上がり、講和独立後も日米安保体制の下に対米従属体制が堅固に維持されてきた。

▲「自主性を回復せねば自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終る」

またこれに対する左翼勢力も米国製憲法を錦の御旗として戦後の平和と民主主義体制を自らの存在基盤としてきた。すなわち一見「保守と革新」の対立という図式が描かれつつも、その実態は保守も左翼もひたすら米国への従属国家体制を日米安保と平和憲法の両輪でもって支えるという立場に甘んじてきたのである。
その意味で日本の歴史と伝統への回帰、独立国家体制樹立への民族的意思を踏みにじってきたのは保守も左翼も同罪であったのだ。これを最も鋭く指摘し、戦後の対米従属体制の打破を訴えたのが三島由紀夫であった。
 三島由紀夫は最後の「檄文」において「自主性を回復せねば、左派のいふ如く、自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終るであらう」と述べている。
 日本を守るのは日本自身の責務であり、日本国民は国防の義務を負い、その具体的あらわれとして自衛隊を名誉と栄光ある日本国軍となすべきことを我々日本国民が自覚し世界に宣言することである。憲法改正はこの大前提のもとに進められるべきである。 
いよいよ長年の対米従属体制を打破し、真の独立自尊の栄誉ある日本国家を目指すべき時が来た。その主体はあくまで日本国民であることを銘記せよ。
    (矢野一輝)

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西村眞悟の時事通信 西村眞悟の時事通信 西村眞悟の時事通信
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我が国独自で尖閣を守る覚悟を!
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                         平成30年8月21日(火)

 アメリカのトランプ大統領が、アメリカ・ファースト、つまり、二十一世紀のモンロー主義を掲げ、 戦後の「世界の警察官」の役割から退却しようとしており、中共の習近平主席が、大中華帝国の再興を目指して膨張しつつある。
この太平洋の東と西の両サイドの国家が変動を始めている真っ只中にある我が日本は、未だ戦後体制のなかにある。
しかし膨張する中華帝国主義に対峙できる国は、東アジアで我が国以外にない。
まさに今、尖閣が危ない。
 我が国が尖閣を中共から守り抜くことは我が国の存立を確保し、同時に東アジアの平和を確保することだ。まさに東シナ海の、この小さな島が、 二十一世紀の我が国とアジア諸国民の平和を確保する為の重大ポイントなのだ。
 中華帝国の再興を目指す誇大妄想の中共は、西太平洋に覇権を拡大するために本気で尖閣を奪おうとしている。
 何故なら、尖閣を奪えば、東の沖縄本島と南西の台湾は、共に中共の掌中に入るからだ。
そして、シーレーンを中共に握られた日本は、中共に屈服するしかない。つまり尖閣は、中共にとって台湾と日本を呑み込み海洋の覇権を確立するための橋頭堡である。それ故、尖閣を奪った中共は、 直ちにそこにミサイル基地と潜水艦基地を造る。
その中共の尖閣を奪う手法は、敵=日本を欺くこと、孫子に言う「詭道(きどう)」である。
 次の孫子の一節を見れば、中共はこの教科書通りにしている馬鹿であることが分かる。
そして、もっと馬鹿はそれにまんまと引っかかっている東京の政府だ。
  孫子に曰く、兵とは詭道なり。
  故に、能なるもこれに不能を示し、用なるもこれに不用を示し、
  近くともこれに遠きを示し、遠くともこれに近きを示し、
  利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取り、実にしてこれに備え、
  強にしてこれを避け、怒にしてこれを撓(みだ)し、
  卑にしてこれを驕らせ、佚(いつ)にしてこれを労し、
  親にしてこれを離す。
その無備を攻め、その不意に出ず。

 以上は、孫子に書かれた敵を欺すことの例示であるが、では尖閣を奪うために中共は
具体的に何をしてきているか、これから何をするか。それは、第一に。中共は日米安保条約第五条を不発にする行動を続けている。第二に中共は便衣兵(民間人を装った兵)を使って奪いにくる。
次に、順次説明する。

 (要点第一)日米安全保障条約第五条
  中共は、徐々に、徐々に、尖閣を呑み込み始めている。その中共の手法は日本国政府が、尖閣の安全が確保されている根拠として、一番頼りにしているものに対する日々の絶え間のない攻撃である。
 一時間に水一滴が落ちるとしよう、 確かにその一滴の量は微小である。しかし一年経てば、落ちた水滴は、どれほどの総水量になっているか、さらにそれが十年続いていたら想像を絶する水量になる。海に流れ落ちる大河の水源も、山中の一滴の水である。
 戦後体制に籠もる日本政府が、一番頼りにしているのが日米安保条約第五条である。
その第五条は、日米両国は「日本国の施政の下にある領域」に対する「いずれか一方に対する武力攻撃が発生した際」「共通の危機に対処するように行動する」と定めている。
 従って、日本政府は、安心して、尖閣に日米安保条約第五条が適用されるから尖閣はアメリカ軍によって守られる、と信じており、その旨、国民に説明している。かしかに日米安保第五条はそう書いてある。
 しかし中共が、ここ数十年し続けてきたことは、まさに、日本政府が一番頼りにしているこの第五条の中枢を抜き去り、尖閣に適用不能にすることなのだ。
しかも、この中共の狙いが的中するのを、 不作為によって幇助しているのが、他ならぬ日本国政府自身なのだ。日本国政府自らが、中共の膨張を助長して、我が固有の領土の喪失と、我が国と台湾の危機を増幅させ、さらに東アジアの動乱を招き寄せている。

 問題は、 尖閣周辺の情況が、日米安保条約第五条の「日本国の施政の下] 「Under The Administration Of Japan」にある状態だといえるのかということだ。
 まさに中共は、この「日本国の施政の下」を突き崩し「中共の施政の下」に転換する行動を積み重ねてきた。
 思い起こせば、 昭和五十三年の日中平和友好条約締結前後、尖閣周辺海域に二百隻から三百隻の中国漁船が押し寄せ、福田内閣は腰を抜かした。すると{ケ小平が初来日して、尖閣の領有権問題は棚に上げよう、と提案すると、福田内閣は、安堵してそれに飛びつき、中国漁船は潮がひくようにいなくなった。これ、「自国の固有の領土」を、 {ケ小平によって「棚に上げられた」のだ。
 安堵する話か。
 自国の領土が棚に上げられて安心する馬鹿がどこにいる。これ、孫子に言う、欺しではないか。近くとも遠きを示し、利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取るだ。この時は、まだ中共は貧しく、{ケ小平は、日中友好で日本からカネを引き出すことを優先した。しかし、中共は、日本からカネを引きながら、絶え間なく尖閣の領有を主張し、中国人の尖閣不法上陸も続いた。

 そして遂に、 中国漁船と共に中国海警局の「公船」が尖閣海域に現れ、度々接続海域を越えて領海に侵入するようになった。この我が国の領海に侵入して航行する中国海警局の「公船」に対し、 我が海上保安庁の巡視船は「領海から退去せよ」と警告すると、「公船」は、「我らは中国の領海を航行している」と応答して平然と航行を続ける。
 我が国が、平成二十四年九月に、尖閣諸島を地主から買収して国有化してから昨年九月までの間に、中国海警局の「公船」が我が領海を侵犯した日数は二百日で侵犯した公船は延べ六百四十七隻におよぶ。平成二十八年八月には、尖閣周辺海域に、中国漁船二百隻から三百隻が押し寄せ、 四日間で漁船延べ七十二隻、公船延べ二十八隻が我が領海に侵入した。
そして、本年、中共は、この「公船」を軍隊に編入して「軍艦」とした。
この事態は、 中共による尖閣諸島周辺領海への侵入による主権侵犯は、 既に常態化していることを示している。
 
さらに、慨嘆すべき負の要因がある。
それは、昭和四十七年(一九七二年)、沖縄の施政権がアメリカから我が国に返還され、 中共が突如尖閣諸島は中国の領土と言い始めてから今日までのほぼ全期間において我が国政府は尖閣諸島に灯台を設置し、周辺漁場で操業する漁船の避難などの便宜を図る為の施設を建設する、
さらに、領海に侵入した外国船の実力排除などの領土に対する国家の施政権・管轄権の行使を一切せず、 日本人が尖閣に上陸することを阻止してきたことだ。
 何故、我が国政府は、このような不作為を続けているのか。その理由は、言わずと知れたこと。中共に配慮し、中共の逆鱗に触れないようにするためである。
これは、即ち、日本国政府が、尖閣に中共の「力」が及んでいることを認めていることに他ならない。
よって以上の、 中共の行動と日本政府の態度を総合すれば、尖閣諸島は日米安保条約第五条に言う「日本国の施政の下」にあるとは、もはや言い難くなりつつある。

 平成九年五月、私が尖閣諸島魚釣島に上陸した時、その上陸を阻止しようとする最大の障害は、日本の政府だった。その妨害をかいくぐって魚釣島に上陸してから沖合にきた巡視船からボートが下ろされ、乗り込んだ海上保安官が磯近くまできてマイクで退去せよと叫んでいる。
 私は、彼に、「ここは日本の国土だから上陸してこい」と叫んだが上陸してこなかった。
 魚釣島には小さいがヘリポートがあった。 巡視船からヘリが飛び上がり、国旗を掲げている私の真上五メートルほどでホバリングしている。私の顔を写して写真を東京に送りたいのだろうと思って、帽子を脱いでヘリを見上げ、ヘリポートの方向を示して着陸せよと合図した。しかしヘリは着陸しなかった。
 私が彼らにこの地上に来いと言ったのは、 国会議員の上陸と共に、彼らの魚釣島への上陸・着陸は、明確に我が国の主権を刻印するからである。
 彼らがあきらめて去ってから、あいつらアホやなあ、燃料と時間を使って何の為にここまで来たのかと思った。彼らは日本人が、日本が国土である魚釣島に刻印されるのを阻止する為に税金を使っているのか。中共の歓迎することをする為に尖閣海域にいるのが我が巡視船か。

(要点第二)便衣兵
 中共は、近いうちに、「その無備を攻め、その不意に出ず」、を仕掛けてくる。便衣兵つまり漁民などを尖閣に上陸させる。つまり中共は、日米安保条約第五条に言う「武力攻撃」に該当しない方法で我が無備を攻めてくる。即ち現在の情況は、 尖閣諸島に関し、中共は、日米安保条約第五条が発動できないように侵攻できる、ということである。
 そして、この情況を招いたのは、日本政府の不作為である。
これ、 戦後体制=平和主義が、反って紛争を招き寄せる痛恨の例である。「断ずるに当たって、断ぜざるは、反ってその乱を受く」
その「断ずる時」とは、1. {ケ小平が尖閣を「棚に上げて」日中友好に進まんとしたときだ。
 その時、「いや、違う、我が領土を棚に上げる必要はない」と断固通告することができた。
2. 中共の「公船」が領海に侵入したときである。
 その時、断固として、撃沈してでも侵入を阻止できた。
3. このような中共の行動に対する対応ではなく、 一九七二年に沖縄が我が国に返還されたときに、直ちに尖閣に灯台を建設し、大規模なヘリポートを建設し、以後、定期的に我が官憲が尖閣を点検するという施政権に基づく当然の行動を続けなければならなかった。

 (結論)最悪の事態を覚悟する
 アメリカ・ファーストのアメリカは「日本国の施政の下」にあるのかどうかあやふやな小さな島の為に戦うのはいやという。従って、当然ながら、 我が国は、独力で尖閣から中共を排除して尖閣を守らねばならない。
 便衣兵(漁民)を排除する我が国の行動に対して、中共は、あらゆる反日プロパガンダを国際社会で展開する。その上で、 「かつてのように日本軍に虐げられる貧しい中国の漁民」を守る為に海と空から軍事行動を仕掛けてくる。その中共の攻撃を陸海空自衛隊によって撃退することになる。こういうことだ。このシミレーションを書いておればきりがないので止め、 次に要点を記す。
その要点とは、 戦後体制=日本国憲法体制では、それができない、という固定した思考を如何に克服するかである。
この思考は、要するに、憲法を改正したらできるが改正していない状態ではできないということだ。しかしあの狡知に長けた敵さんが、我が国の憲法改正を待ってくれるはずがないではないか。そもそも、法の改正などは、 改正したから改正にマッチした事態が起こるのではなく、 改正しなければならない事態が起こってしまったから改正するものなんだ。
 従って、現在の法制においても、我が国は、陸海空自衛隊を運用して尖閣を防衛できる、
つまり、日本を防衛できるし防衛しなければならないと得心して頂きたい。 即ち、軍隊としての自衛隊運用の原則は、既に我が国にあることを知って頂きたい。
その法制とは、単純明快、二つの原則、
1. 憲法六十五条「行政権は、内閣に属する」
2. 自衛隊法七条「内閣総理大臣は内閣を代表して自衛隊の最高指揮監督権を有する」
この二つだ。
アメリカ大統領も、同じ次の二つの原則によって全アメリカ軍を動かしている。
  合衆国憲法第二条
1. 第一節「行政権は、アメリカ合衆国大統領に属する」
2. 第二節「大統領は、合衆国の陸海軍および現に招集されて合衆国の軍務に服する各州の民兵の最高司令官(Commander in Chief)である」
この通り、 我が国にもアメリカ合衆国同様の軍隊を運用する法的原則がある。そして、近い将来予想される中共の尖閣侵攻に対して、この原則を発動するか否か、それは、ひとえに、総理大臣の決断だ。
 今まで、国会は、この決断ができるか否かの基準に基づいて総理大臣を選出したことはない。しかし、世界の大勢は、既に我が国の戦後体制を容認しない。 従って、今こそ、安倍総理に、いざとなったら「やる!」と覚悟を促したい。
 九月の自民党総裁選挙では、この決断ができる総裁を選ばねばならない。候補予定の二人をこの基準で選別して欲しい。
 安倍晋三氏だ。 

               (にしむらしんご氏は前衆議委員議員)
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『習近平の死角』(育鵬社、1620円) 
『アメリカの「反中」は本気だ』(ビジネス社、1404円)
『西郷隆盛 ―日本人はなぜこの英雄が好きなのか』(海竜社、1620円)  
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宮崎正弘 v 藤井厳喜『米日露協調で、韓国消滅!中国没落!』(海竜社、1296円)
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宮崎正弘 v 石平『アジアの覇者は誰か 習近平か、いやトランプと安倍だ! 』(ワック)
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宮崎正弘 v 室谷克実『赤化統一で消滅する韓国、連鎖制裁で瓦解する中国』(徳間書店) 
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宮崎正弘 v 渡邊惣樹『激動の日本近現代史 1852−1941』(ビジネス社)
宮崎正弘 v 高山正之『日本に外交はなかった』(自由社、1080円)
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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創刊日:2001-08-18  
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  • 名無しさん2018/08/22

    西村眞悟の時事通信 西村眞悟の時事通信 西村眞悟の時事通信 我が国独自で尖閣を守る覚悟を!←宮崎先生、情報ありがとうございます。