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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<パキスタン選挙で、まさかの番狂わせ。「タリバン・カーン」が勝利

2018/07/27

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)7月27日(金曜日)弐
        通巻第5769号  
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 パキスタン選挙で、まさかの番狂わせ。「タリバン・カーン」が勝利
  シャリフ派が予想外の大惨敗。周章狼狽は巨額投資実行中の中国だった
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 2018年7月25日に行われたパキスタン下院選挙は大番狂わせ。シャリフ前首相が率いる「イスラム連盟」が大惨敗(三分の一に)。アバシ前首相の落選の模様だ。第二党のブット率いるPPP(パキスタン人民党)も票が伸びず、誰も予測しなかった第三党「PTI」(パキスタン正義運動)が大躍進、議席を四倍とする勢いである。

 パキスタン下院は定数342議席だが、任命制議席を除く定数は272。現時点(27日4時、日本時間)でPTIの獲得議席予測は120.過半には到らないので無所属議員や少数野党との連立になるだろう。

 このPTIを率いるのはイムラン・カーンで、1992年のワールドカップ(クリケット)で優勝したスポーツ選手出身。カリスマ的存在である。
 イムラン・カーンはクリケット選手を引退後、1996年に新党を組織して、じつに22年間、野党活動を展開してきた。単なるタレント、有名人政治家ではなく、筋金入りである。それでも万年野党、政治力は限られていた。

 であれば、与野党逆転、まさかの勝利の原因は何か?
 イムラン・カーンが訴えたのは「汚職追放」「イスラム回帰」。そして、「外国からの借金をなくそう」が三大柱。若者に向かっては、「1000万人の雇用を約束する」だった。

 このため新たに有権者となった2000万人の若者、なかでもパシュトン族が中心となって、イムラン・カーンを支えた。それは表面的な理由で、背後にあるのはパキスタン陸軍である。陸軍はシャリフ前首相との関係が悪かったのだ。

だから英国メディアは「イムラン・カーンではなく、タリバン・カーン」だと譬喩した。(英紙インデペンダント、7月27日)。シャリフ前首相派は「信じられない。やつらは不正投票をしたに違いない。陸軍がバックだから」と不満を述べた。

 さて、このPTI勝利に腰を抜かすほど驚いたのは、中国だ。
 なぜなら中国はパキスタンに570億ドルの巨額を注ぎ込んで「CPEC(中国パキスタン経済回廊)」を建設中だからだ。
イムラン・カーンの訴えた「外国からの借金をなくそう」というのは、CPEC中断が選択肢に入るからである。

 中国はすぐさま「パキスタンとの友好関係は毫も揺るぎない。政策は不変で新政権と中国は協力できる」との声明をだした。慌てている様子がくみ取れるだろう。

 他方、パキスタンの宿敵インドは、基本的にイムラン・カーン新政権を歓迎気味。ただし「かれは『パキスタンのトランプ』、何をしでかすか分からない予測不能要素がある」との不安があるとも分析している。

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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1766回】       
――「支那人は巨人の巨腕に抱き込まるゝを厭はずして・・・」――中野(22)
中野正剛『我が觀たる滿鮮』(政?社 大正四年)
 
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 日清戦争前後から敗戦までの中東鉄道を巡っての動きの大筋を考慮したうえで、中野の主張に戻りたい。

  満洲をめぐる列国の対応に対し、現地で目にする我が政府の動きは甚だ心許ない。であればこそ、「滿鐵なるものは我無能なる外交の缺漏を補ふべく?々巧妙なる活動をすべき」である。これまでの経験からして、「滿洲に於て支那人との合辨事業は殆ど不可能」だ。「歐米先進國の特許會社は、世界到る所の植民地に於」て成功している。これら成功例に鑑みるなら、やはり「我國の植民政策は、周到なる研究と、敏捷にして巧妙なる手段とを缺き、一に名目のみに拘らんとする所、實に官僚式を其儘なりと云ふを得べし」。朝鮮統治と同じように満洲でも、「陸軍第一の威勢家を總督として、總てを劃一政策の鑄型に叩き込まんとする」。であればこそ満州経営が成功するわけはない。朝鮮経営の二の舞だ。

  やはり「唯周到なる研究と、巧妙なる手段とにより、細を盡し、微を盡し、實に土人に對する深切の力」こそが、植民地経営のカギだ。現実の満鉄経営陣をみれば、「植民會社の必要條件とせらるゝ周密なる實際的研究、巧妙なる手腕、冒險的勇氣、敏捷なる活動に至りては、毫も認め」られない。「他の外務省系の領事館などゝと同樣に、萬事文書上の調査を基礎として、少しも實際的經驗をなさ」ず。加えて「領事輩は支那人に對しても、日本人に對しても、毫も踏み込みたる實際的研究をなさず、單に領事警察の巡査等の探偵せし結果を報告書に綴り、之を外務省に提出して、その職責を免るゝが如き、爲體なり」。

 満鉄も領事館(外務省)も役立たずなら、陸軍主体の「都督府の態度も、大概大同小異なり」というのだから、最早ナニヲカイワンヤ、である。
だが考えてみれば中野の慨歎から1世紀ほどが過ぎた現在、外交の要となる官邸や外務省、さらには出先の大使館や領事館、はては通商貿易政策の舵取り役(?)であるJETROや援助外交の司令塔(?)たるJICAなどの活動を見るに、これら機関(ということは、そこで禄を食んでいるヒト)の日々の活動は大いに改善されたのだろうか。中野の当時と「大概大同小異なり」ではないことを願うのみだ。

  中野の慨歎は続く。
 「要するに我植民地に於ける凡百の施設は、内地に於けると同樣、形式主義、劃一主義なる官僚風の弊に落ちたり」。であればこそ「同じく官僚主義を以て固められたる滿鐵」では、到底理想的な植民地経営は望めない。「宜しく劃一的官僚風の弊を一掃して、實際的に親切なる働きをなすは、實に帝國植民政策の爲に忘るす可からず」。であればこそ「滿鐵會社に重役たるものは、宜しく政商と結託し、會社を胡魔化して、私腹を肥やさゞるの愛國心を起こすべし」。これまでも「伏魔殿」と指弾されてきた満鉄に「政黨的勢力の注入されし際」、余ほど注意しないと「政黨の餓鬼により喰ひ盡さるゝに至るやも知る可からず」である。それにしても「政黨の餓鬼」とは、現在にも通じる実に的確な表現だ。

  このままでは満鉄は「從來の官僚的劃一主義の弊に陷」ったままで改革は覚束ない。だが、だからと言って「政黨の餓鬼」の容喙を許せば、「黨人の無能に搗てゝ加へて、不廉潔俗惡なる行爲の續出せんこと」を「最も憂ふ」しかない。

  かくして中野は、満鉄改革に「大鉈は宜しく振ふべし」。だが振り間違えれば「國家の災難」となる。
また政党が手を突っ込むことを許したら、「政黨側より生え出でんとする毒菌に培ふが如んば、我國の大陸經營は大蹉跌に際會」することになる――と結論づける。

  満鉄の創立から敗戦による消滅までの経緯を振り返えると、一面では国内的要因によって経営が左右され、とどのつまり「我國の大陸經營は大蹉跌に際會」したわけだ。
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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)なんと愚かな選択か、と思いました。日航が中国の「東方航空」と包括的な提携をするというニュースです。
上海を中心とする東方航空が、日本の50の都市を結んでいるJALと、「共同運行」の名の下に、自由な乗り入れが実現すれば、もっとも裨益するのは中国でしょう。
いくらシェア競争が大事といっても、「約束を守らない」ことで悪名高い国の飛行機会社が、特恵をむしゃぶりつくすことは目に見えています。だから愚かと思ってのですが、如何ですか?
   (YK生、江戸川区)


(宮崎正弘のコメント)ANAはスターアライアンス、JALはワンワールドとの連携ですが、東方航空はスカイチームの筈。連合の垣根を越えた連携が、はたして実現するのか。共同運行は経営合理化の流れにあるとしても、独禁法との壁は? クアルコムが蘭社買収に失敗したように、この話、本当に実現するでしょうか。
 米中関係険悪のおり、米国からも圧力がかかるでしょうし。
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