国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<中国新国防相の魏鳳和が訪ロ

2018/04/05

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)4月5日(木曜日)弐
        通巻第5661号 
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中国新国防相の魏鳳和が訪ロ 中露国防相会談をこなしていた
  バルト海共同軍事演習につづき、近く南シナ海でも中露合同演習か
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 「これは新冷戦なのか」と『フォーリン・アフェアーズ』(電子版、3月27日)が問題の深刻さを指摘している。

 4月3日、中国の新国防大臣に就任した魏鳳和は、初の外国訪問にモスクワを選んだ。アメリカへの当てつけである。
中国は、英国でのロシア二重スパイへの毒殺事件を端に、ロシア人外交官がスパイ容疑だとして欧米諸国で150名も国外追放になったことに対し「ロシア側の抗議はもっともであり、理解できる」と反欧米の立場を取る。

 中国のリップサービスを受けて、ロシアは米中貿易摩擦で、米国の農作物が中国へ輸出できなくなるという見通しのもと、「いつでもロシアの農作物を中国に輸出する」と言い出した。
ロシアの言い分では、NATOの東欧への「進出」が嘗てのワルシャワ条約機構加盟国への「侵略」であるとし、ロシアは、「NATOはレッドラインを超えた」とする。

 穏やかな言い分ではないが、この程度ならまだ言葉の戦争、ところが、スパイ容疑で、欧州勢と米国が束になってロシア外交官を大量に国外追放するに及んで、言葉の戦争から、熱い戦争の一歩手前まで状況は悪化した。

 西側はロシアの軍拡やクリミア併呑、ウクライナ内戦への介入に不快感を露わにしてきた。とくにオバマ政権末期には「ロシアは軍事大国に復活している」という認識に改め、反ロシア色と強めてきたため、ロシアとの宥和を図るトランプに対して「ロシアゲート」というフェイク工作を仕掛けた。

 この動きに対して、圧倒的得票で大統領三選を果たしたプーチンはロシアの軍拡の合法性を訴えた。まさにNATO vs ロシアの対決は、予期せぬ迅速さで険悪化した。
 プーチンは「証拠も確定しないのにNATO諸国がロシア人外交官を大量に追放したこと」を激しく非難した。

4月3日、アンカラへ飛んで式典に参加したプーチンはトルコへの原子力発電所建設(総工費2兆1000億円)に協力するとし、NATO加盟国であるトルコとの親密さを見せつけた。
そればかりか、NATOがもっとも警戒してきたミサイルに関しても、西側の懸念に挑発するかのように、ロシアはトルコへのS400ミサイル供与を前倒しにするとした。
 
 ソ連の崩壊以後、東側に所属してきた旧ワルシャワ条約加盟国のなかで、まっさきにバルト三国が、そしてポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーがNATOに加わり、ブルガリア、ルーマニアにはNATOの前線部隊が配備されるという「逆ドミノ現象」を引き起こす。孤立無援だったアルバニアは親中派のスタンスをかなぐり捨ててNATOに馳せ参じ、旧ユーゴスラビアでもセルビア、ボスニア&ヘルツェゴビナ、マケドニアを除き、NATOへと急傾斜した。

 コソボ独立はロシアと中国が認めていない。しかしNATOはコソボの治安回復の任についており、相当数が駐留している。事実上のNATO傘下である(筆者がコソボを取材した折もイタリア兵士がNATO軍として世界遺産の境界などに駐屯していた)。


 ▲流れは変わっている

 このタイミングで米国のトランプ大統領はシリアからの撤退を宣言、つまり今後のシリア統治はロシアにおまかせ、という立場へ後退した(もっともペンタゴンはすぐには撤退しないと言明している)。

 同じ日(4月3日)にバルト三国首脳とトランプ大統領はホワイトハウスで会合をもち、バルト三国との共同軍事演習を2018年度内におこなうこと、また一億ドル相当の弾薬をバルト三国に供与することなどを決めた。
年初にも米国はバルト三国へ4000名の増派をきめたばかりだった。ロシアにとって、これほど不愉快な事態はなく、大国の矜持、ロシアの名誉を高らかに回復するとナショナリズムに訴えてきたプーチンとしては、なにかしら失地回復の機会を窺ってきた。
 
 歴史のアイロニーとは一つの衝動的事件(たとえばソ連崩壊)が起きると動きが逆へ方向転換し、こんどは、その反動が次のアクションを予期せぬ方向へ導く。つまり旧東欧諸国が、ロシアの軍事力を恐れるためにNATOへ加わり、そのことを不愉快としたロシアが軍備を拡充し、またその不安が旧東欧諸国に増大するので、NATOが軍備を強化する。欧米は、NATOの性格変更が旧東欧諸国にひきづられて起きている経過を軽視し、徒に反ロシアのスタンスへ舞い戻った。


▲冷戦崩壊から米国の一極支配、そしてまた新冷戦へ

こうした状況をさらに複雑にしたのが米中貿易戦争の開始だった。
 中国はロシアに再度の急接近を試みて、国防大臣に就任したばかりの魏鳳和をモスクワへ送り、中露蜜月のジェスチャーを演じさせた。

 魏鳳和は軍人の多い山東省出身で、戦略ミサイル軍司令(旧「第二砲兵」。軍事委員会直属の組織に改革された)だった。このため現代のハイテク兵器に明るく、ミサイル開発でも貢献し、第十八回党大会から中央軍事委員会のメンバーとなった。
全人代で国務委員を兼務する。肩書きは上将(大将)。常万全前国防相も国務委員を兼ねた。言うまでもなく中国における国務委員は閣僚級であり、外交畑では、楊潔チと王毅が国務委員。王は外相も兼ねる。

 冷戦崩壊から米国の一極支配は短期に終わり、いままた新冷戦へ。この迅速なる変化の流れにあって、基本的な構造が「欧米+中国 vs 旧ソ連」から「欧米+旧東欧 vs ロシア+中国」と図式になったことである。
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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 大東亜戦線は日本の自衛戦争だったことは明らか。だが
  占領ボケと平和のぬるま湯のなかで、日本は大事なことを喪失した

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落合道夫『黒幕はスターリン』(ハート出版)
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大東亜戦争がなぜ敗北に到ったのかを、本書ではスターリンの国際戦略から分析し、日本の自衛戦争であったことを明らかにしている。
支那事変は独ソ戦を控えたスターリンが蒋介石を騙してやらせた対日代理戦争であり、日米戦争はスターリンがルーズベルトの満洲進出欲を利用して、ハルノート原案を提供するなどして対日戦争をそそのかしたものだ。
 こう主張する落合氏は、本書の中で戦後史を、「起承転結」風に論を展開して4期に分けた。
すなわち、「占領破壊期」、「被害抵抗期」、「冷戦講和期」、そして「盗まれた独立と今」の四期だ。
日本は主権を破壊された。
「盗まれた独立」とは憲法をはじめ占領体制が居座っていることである。今後の日本人の対応は民族の生態を支える国家基本政策を回復することである。すなわち、天皇崇敬、先祖崇拝、国民国防、家制度、教育勅語であると主張する。
本書には歴史文献からの豊富な引用がなされており、たとえば、戦後ラバウルで処刑された岸良作軍曹の辞世と遺言が挿入されている。
「白壁(死刑房)の窓に眺むる大空に千切れ白雲北(日本)に流るる」私としては最善を尽くしてきた心算でおります。何時の日か、裁判の真相が世の人々に知られることを確信しております。どうか皆さまの減刑を祈ります。お世話になりました」
自動車修理工場の責任者は雇用していた印度人のマラリヤ病死を殺人とされて死刑など、貴重な歴史資料の紹介が続いている。
 謀略に弱い日本人、これほど痛めつけられてもまだ自衛力を保持せず、暴力に対抗できる自前の力がない。スターリンの亡霊による日本解体という策略はいまも残存しているのである。
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌通巻第5660号に「フライングタイガー(飛虎飛行隊)は表向きアメリカの「志願兵」が国民党の劣勢をカバーするために、日米開戦前から中国に派遣されていた。したがって真珠湾がだまし討ちではないのである。改選前からすでに米軍は「志願」とカムフラージュして対日参戦していたのだ」
とお書きになられました。
国内向けには「志願」。カモフラージュした米国将兵が国民党軍と擬装して日本軍を攻撃したのです。つまり二重の騙しです。
かれらと較べれば、頭隠して尻尾丸見えのトランプ政権などかわいいものです。
   (當田晋也)


(宮崎正弘のコメント)トランプは大戦略を持ち合わせないが、小戦略はあると、いうことですか。ツィッターに思いついたことをすぐに書き込む癖が、かなり弊害を伴っていますが、そのことをトランプは計算にいれてませんね。



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(読者の声2)カリフォルニアのユーチューブ本社に乱入し、銃を乱射して自殺した女性活動家は、ユーチューブに恨みを抱いていたと犯行動機を兄妹が語っていますが、ことの真相はほかの要素ではないのでしょうか。ましてや犯人の女性はイランからの移民ですね?
    (YT生、山梨)


(宮崎正弘のコメント)「読売新聞」(4月4日)に拠れば、小学一年生4000名を対象にクラレという会社がアンケート調査で、「将来、なりたい職業」を尋ねたところ、男子は「スポーツ選手」。女子は「ケーキや」が一位だったものの、15位に「ユーチューバー」を職業として選ぶという回答があった由でした。
 さて、カリフォルニアの事件ですが、ユーチューブもリベラル偏向で、彼女の投稿が偏向しているとして片っ端から削除した。そのことへの恨みだったようですね。
つまりNYタイムズ本社とか、朝日新聞本社を急襲し、偏向だと抗議を籠めて銃撃したような、アメリカにおける「赤報隊」的な、深層に横たわるのは思想的な『事件』ではないかと思います。
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(休刊のお知らせ)7日(土曜)、8日(日曜)は小誌休刊の予定です。●
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