国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み << 「北朝鮮の核と共存する覚悟はあるか」とウィリアム・ペリー元国防長官は警告していた

2018/03/13

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)3月14日(水曜日)
       通巻第5635号  <前日発行>
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「北朝鮮の核と共存する覚悟はあるか」とウィリアム・ペリー元国防長官は警告していた
  ペリーは、「金正恩との交渉術」をトランプ大統領に提言
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 ウィリアム・ペリー元国防長官(1994−1999)ほど、日本と縁が深い政治家もめずらしい。そもそも黒船来航のペリー提督は五代前の叔父にあたる家系である。

クリントン政権下で国防長官(カーター政権でも国防次官)のときペリー国防長官は頻度激しく来日し、引退後は、『日本経済新聞』に「私の履歴書」を連載。勲一等旭日大章も授与されているほどだ。

 そのペリーは北朝鮮との交渉の責任者だった。もともと彼は数学、工学専門で、ミサイルの軌道の数式などお手の物、現在はスタンフォード大学で教鞭をとり、重要な政局の節目には独自の見解を披歴する。

 ペリーは現職時代、来日した時の記者会見で、「北朝鮮の核と共存する時代がくる」と予言し、「その覚悟はあるのか」と日本の対応を促した。ところが平和ボケの日本の政治家はペリーの言葉を理解しかねた。

 ペリーは『ワシントンポスト』(2018年3月12日)に寄稿して、次に提言をなした。
 「北朝鮮との交渉において留意すべき第一は、かれらは体制の維持と延命をあらゆる課題より優先させていること。第二に指導者は残虐で無慈悲であるが、クレージーではない。合理的思考ができる人たちである。第三にかれらはイデオロギーなどまったく信じていない。倫理や道徳に顧慮する気配はないが、思考方法はきわめてフレキシブルである。そして第四に、かれらは経済発展に重大な関心を抱いているとはいえ、経済的利益と体制の維持という優先課題とを取引することはない。」

 したがって米国は、北朝鮮が実現不可能な、非現実的な条件を示して交渉に臨むと失敗するだろう。
  北朝鮮の「非核化」は、検証が困難であり、事実上、不可能である。つまりペリーは「北朝鮮の核」と共存を考えるべきだろうと示唆しているのである。なぜなら米国は核開発凍結、軽水炉援助などを条件に北を援助したが、1985年、1992年、1994年、2005年、そして2010年の交渉でみごとに騙された。


 ▼米国の対中国政策の変革が背景にある

 トランプが金正恩との会談に前向きという劇的な姿勢の変化の背景には米国の対中国認識の大きな変革がある。
 米国はいまや朝野を上げて反中国に傾斜しているのである。

 過去四十年間、米国は中国を国際社会に加え、WTOという貿易システムに巻き込むことによって経済発展が実現すれば、中国は民主化するという、誰が言い出したかわからない新興宗教のような「神話」(エンゲージメント)に取りつかれてきた。

しかしGDP世界第二位となった中国が自由民主社会の実現どころか正反対に軍事力がとめどなく増強させていた。その反面で、十四億の人民を情報管理して統制下におき、ましたや民主社会をせせら嗤うかのように、習近平は独裁体制を構築して、時代を逆戻りさせた。

 米国は自分たちの過去の政策の間違いを深刻に認識するにいたる。
 昔の米国がとった「中国封じ込め」(コンテインメント)からニクソン、カーターを経て「関与政策」に転換し、レーガン以後は、その中間的な「コンゲージメント」(封じ込めつつ関与する)政策に終始してきた。その結果、中国は付け上がり、米国と太平洋を二分しようなどと豪語するようになった。

オバマ政権後期になって、ようやく米国は「アジアピボット」を言い出し、中国とは敵対的になったが、トランプ政権も中盤にさしかかって、ようやく「封じ込め政策」を表に出した。

 対中政策の巻き戻しは、必然的に周辺国への関与の姿勢が変革される。
 トランプは日本、韓国、台湾に防衛負担増強を要請し、またアジア各国の米国離れに、手を打ち出した。

軍事予算を劇的なまでに増やし、アメリカンファーストの軍隊は、世界一のポジションを確保するとした。

 現在のアジア諸国において米国と密接な絆を持つ国は日本、韓国、台湾とベトナムであり、完全に中国側に転換したのはラオス、カンボジア、マレーシア、タイ、ミャンマー、そしてブルネイである。
両天秤にかけての様子見がフィリピン、インドネシア、シンガポールという色分けになる。

はたと気が付けば、インドが保護してきた周辺国のネパール、バングラ、スリランカ、パキスタン、モルディブが中国寄りへの傾斜という実態に驚愕の声を上げたように、米国はいま、アジアにおいて米国の同盟国が減って、中国サイドに急傾斜している国々のおびただしさという現実(リアル)を目撃し、外交の転換を熟慮してきた。
したがって反中国という米国の姿勢は、共和党タカ派のみならず民主党の多くも、そしてリベラルなニューヨークタイムズの論調のそうなのである。

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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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  • 名無しさん2018/03/13

    そもそも黒船来航のペリー提督は五代前の叔父にあたる家系が、ウイリアム・ペリー元国防長官であり、かつ、日本で勲一等旭日大章も授与されているとは、知りませんでした。宮崎先生、情報ありがとうございます。