国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<モルディブに戒厳令。最高裁判事を拘束という異常事態

2018/02/06

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018) 2月7日(水曜日)
         通巻第5609号 <前日発行>
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 モルディブに戒厳令。最高裁判事を拘束という異常事態
  ヤミーン大統領は中国に手繰られているのだろうか?
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 モルディブは1192の島嶼から成立する国家で、人口は40万人。GDPは36億ドルに過ぎない。900余の島々は無人島である。

 2018年2月6日早朝、島嶼国家モルディブの首都マレに異様な緊張がただよった。突如、戒厳令が施行され、警官隊が最高裁判所の周囲を囲んで、最高裁判事を拘束した。
 モルディブ最高裁は先週、拘束中の前大統領を含む「政治犯」の保釈を認め、これに反対するヤミーン大統領と対立していた。

 このモルディブ政治の異様な状況を警戒を強めつつ注視しているのがインドである。インドの南端からアラビア海へ回り込むシーレーンの洋上に浮かぶ岩礁、ラグーンだけのモルディブはイスラム国家だが、貧弱な政治が多くの失業を産み、これという産業はなく、ひたすら外国援助と観光に依存してきた。

 インドはモルディブに対し老朽化した空港の改修工事を援助するとしたが、ヤミーン大統領はこのインドの申し出を蹴って、中国のインフラ建設計画に全面的に依存し始める。このマレ国際空港の南40キロにあるのがマラオとい島を狙って、中国はすでに2011年から、この港の開発に目を付け、潜水艦寄港基地を打診してきた。
 これまではインドの庇護をうけてきたが、政治的にはカメレオン、反インドに転じると、インド洋の安全保障が脅かされるだろう。
 
観光客のトップはいまでは日本ではなく中国人ツアーである。
他方、失業の若者のなかから800名がISに加わりシリアへ向かったことが確認されており、治安悪化が懸念されていた。
 
 ところがこの国の政治は土木事業、新空港、道路建設にからむ汚職が常識であり、その背後にあって、地政学上の拠点構築を企図する中国の政治的思惑とプロジェクトが一致すると、歴代大統領はキッキュウジョとして北京に挨拶に通う。そのくせ「インドとの歴史的友好関係に豪の変化もない」と常套句が付帯させた。

 モルディブのGDPの28%が観光、5%を漁業に依存し、貿易額は微々たるもので、対中貿易はようやく1億ドルを超えて程度だった。

ところがヤミーン政権は秘密裏に中国と交渉をすすめ、FTAを成立させ、95%の物資の関税を撤廃するとした。このFTAの草案を野党に提出したのは議会の議決一時間前というあざとさだった。

これによって中国からの輸入品に関税がかからなくなり、市場を席巻し、インド製品を叩き出すシナリオが描かれる。だが、貿易赤字の累積に悩むモルディブが中国からの輸入を増やすということは、例によって「借金の罠」に陥ることを意味する。

友好国で中国の軍事同盟であるパキスタンでも、プロジェクト用の建材、建機、セメントばかりか労働者も中国から夥しく入り込み、けっきょくはパキスタンの赤字累積となる。だから中国と軍事同盟を組むパキススタンにあってさえ、反中国暴動が起こる。

スリランカは、この手法にころりと騙されてハンバントタ港を99年間中国の租借を認めざるを得なかった。ハンバントタでも反中国暴動が起きたが、親中政権によって鎮圧された。

中国は長期的に着実にモルディブを切り崩してきた。2001年には朱容基首相が訪問しているが、それ以前に軍人の専門家が足繁くモルディブに通い詰め、各地を視察していた。2011年に呉邦国(全人代委員長=当時)、2012年に李長春(政治局常務委員)、そして2014年に習近平がモルディヴを訪問した。 

中国がモルディブに目論むのは将来、軍港として利用できる港湾の建設であり、モルディブの現政権は巨額の投資を前にしてプロジェクトに積極的なのである。
「中国の罠」と訴える野党を弾圧し、前大統領ら反対派の政治家をごっそりと拘束して独裁的行動の多かったヤミーン大統領は、とくに昨年師走に北京を訪問し、習近平と握手を交わしている。
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(休刊のお知らせ)小誌、海外取材のため2月8日〜12日が休刊となります 
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1699回】           
――「支那人に代わって支那のために考えた・・・」――内藤(6)
  内藤湖南『支那論』(文藝春秋 2013年)

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 内藤は先ず革命軍の側に立って革命の成否は、?革命軍が革命軍鎮圧に向うであろう清朝軍(内藤は「官軍」とする)の中に同志を見い出せるか否か。?革命軍が武装蜂起した武昌が長江に面しているゆえに最重要課題である長江の交通権を掌握するための海軍を持てるか否か。?外国から武器を購入するための軍資金の有無――に懸かっている、とする。

 一方、清朝政府側(内藤は「北京政府」とする)を「現在の北京政府では大分敵視しておった人間である」袁世凱を革命軍鎮圧に向わせた点からして、「随分あわてておる様子」であり「無定見」だと捉える。

  かくして目下の情勢から判断して武昌に発した革命が「支那の大動乱になるかどうかということは、革命軍が何か月その運動を支え得るかというようなことが問題になる」。だが目下のところは「事件の最初であって、ほとんど形勢も全く分からない」。時間の経過と共に状況が分って来るだろうから、そうなった時には「もう少し正確な判断を下すことが出来るであろうと思う」とした。

当時もまた希望的観測やら揣摩憶測の類が飛び交っていたはずであり、それゆえに中国全体がどの方向に進むのか判断することは容易ではなかったはず。

  次の「支那時局の発展」は、明治44(1911)年11月11日から14日の間に「大阪朝日新聞」に掲載されている。武昌での武装蜂起から1ヶ月が過ぎているだけに、現地の状況もかなり詳細に伝わって来ていたことだろう。

「当初予想したことの大部分は着々事実の上に現れてしかも予想よりも迅速に、しかも発現の仕方は結局皆革命軍の方に有利に発展して来ておる」と、革命軍有利の読みを下しているが、「革命軍が軍事上あまり成功をしないにも拘らず、つまり叛旗を翻したということだけが、既に非常なる影響を全国に及ぼしたこと」を「最も驚くべきこと」と捉える。
それというのも、「支那のような感じの鈍い国(時としては馬鹿に感じの早すぎる旧来の例もあるけれども)としては、何人も想い及ばざるところである」からだ。ということは、どうやら内藤の“常識”では「支那のような感じの鈍い国」において、「革命軍が軍事上あまり成功をしないにも拘らず」、各地に駐屯している清朝政府軍が清朝に対し次々に「叛旗を翻し」たことが判らなかったということだろう。

 「支那のような感じの鈍い国」とは言い得て妙ではあるが、どうやら内藤は「叛旗を翻し」た背景に郷紳と呼ばれる地主層の「馬鹿に感じの早すぎる」動きがあったことに気づいていないようだ。

1911年10月10日の辛亥革命から1949年10月1日の中華人民共和国建国までの40年程の動きを振り返ると、「馬鹿に感じの早すぎる」動きが「支那のような感じの鈍い国」を揺り動かしたことに思いたるはず。
その点については、必要に応じて考察することとして、内藤の「支那時局の発展」の先を急ぎたい。

  情勢は混沌としているが、清朝側の最高責任者である袁世凱が掲げる「講和説が革命軍の方に入れられて、そうして一時休戦状態になってしまうか、それともこのままで戦争が継続するか」の2つに1つと、内藤は「到着すべき点は大抵きまっておる」とする。

  じつは「叛旗を翻した」、つまり清朝側から革命側に寝返った「各地の新軍は大部分は純正の革命主義といってよいかも知れぬが、その間には必ずしもそうではないものもある」わけで、清朝側にせよ革命側にせよ統一して動いているわけではない。だから和戦いずれも模様眺めということにあろう。だが、革命が起った以上は「穏健なる議論が決して勝ちを制せずに、必ず極端なる主張が成功するということであ」り、「微温的なる考えは必ず失敗するに決まっておって」、「温和な改革派というものは勢力を得にくい」ものだ。
《QED》 
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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