国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<タイ王国340年の夢がふたたび呼び戻された

2018/01/26

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018)1月27日(土曜日)
        通巻第5596号  <前日発行>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
 タイ王国340年の夢がふたたび呼び戻された
  クラ運河、熱気は消えていたはず。現国王がまえむきに
***************************************

 クラ運河の構想はナライ王が1677年に発案されて以来、タイ国王の夢であった。
マラッカ海峡を迂回せずとも、タイの南側に運河を開墾し、インド洋から太平洋に直行できれば、パナマ運河に匹敵する世紀の壮挙。運送時間も劇的な短縮となる。

レセップスがタイ王室に対してプロジェクトを持ちかけたとき、フランスの影響力拡大を恐れた英国が反対し、やはり計画は潰された。

現在の構想では全長102キロ、運河幅400メートル、深さ25メートル。工期はおよそ十年と予測される。

 1970年前後、クラ運河開発にもっとも積極的だったのは、じつは日本の財界だった。ハーマン・カーン博士は、「核兵器の平和利用」をぶち挙げ、すぐさま下田駐米大使が賛同し、メディアは連日騒いだことがあった。

 核兵器を地下で爆発させると掘削作業を簡素化できるから、工期も短く、費用も圧縮できるという薔薇色のシナリオだったが、環境破壊、生態系の激変、地下地盤ならびに海域の汚染が予測され、住民の反対とメディアの一斉キャンペーンによって、この構想は潰えた。
 以後、シミュレーションと現地照査をおこなう研究所だけが残され、タイ王国そのものも興味を失った。特にプミポン前国王はクラ運河に関心を示さなかった。

 日本にとっては、およそ90%の輸入石油はマラッカ、スンダ、ロンボクの三つの海峡を経てタンカーは南シナ海を通過し、日本に運ばれる。
クラ運河が完成すれば、マラッカ海峡迂回距離1200キロが短縮され、航海日数は2−3日セーブできる。同じくスンダ海峡なら2800キロ(4−5日の短縮)、ロンボク海峡なら3500キロ(5−6日間の航海短縮となる。

タクシン元首相、インラック前首相の時代、クラ運河の話は一度も議題とはならず、また軍事政権となってからもクラ運河の「く」の字も出なかった。
軍事政権は「汚職をコントロールできないのに、総額500億ドルもかかるような世紀のプロジェクトを推進できるはずがない」と最初から、プロジェクトにありがちな、途中で必ず行方不明となる資金を案じて、「前進しないことが、善政」というわけだった。


▼南シナ海を制御できる立場をえた中国が突如積極的になった

現国王の時代になると、事態は変化する。
国王陛下は、世紀のプロジェクトに前向きの興味を示されたからで、背景にあるのは事態の変化、タイ経済の未来への青写真である。

というのも現在のマラッカ海峡は年間84000隻が通過するが、キャパシティは122000隻。まもなく満杯に近くなる。
パナマ運河が航行能力のキャパ満杯となって拡張工事を行った際には多国籍企業の応援があった。

もう一つの魅力は現在のシンガポールが享受している通過点としてのメリットだ。
中継費用、燃料の摘み入れなど、サイドビジネスが潤うことである。逆に言えば、これらのビジネスを失うシンガポールが猛烈な反対に回るわけだ。

そして国際環境の最大の変化要因は言うまでのなく中国なのである
1970年代の中国は文革の最中、しかも自動車もほとんどない。自転車が贅沢とされていた時代。石油は自足できた。その中国が日量900万バーレルの石油輸入国となり、しかも軍事力を飛躍させて南シナ海の七つの岩礁を埋立てた。
クラ運河と聞いて、中国の目の色が変わり軍事政権を通してタイ王室に接近する。

まっさきに手を挙げているのが南シナ海の人工島工事を請け負った実績をほこるロンガオ(龍浩工程)社だ。同社ノグルプは貨物飛行機、地下鉄コンコース、地下アーケード街工事などを手がけて来ており、デベロッパーとしても広く知られる。

 「しかし壮大なプロジェクトゆえに直ぐに動き出すことはありえない」と情報筋は分析している(アジアタイムズ、1月25日)。

       ◎▽□み◇◎◎や◎▽◇ざ◎□◇き□◇◎   
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)元防衛事務次官 守屋武昌先生講演「憲法改正と自衛隊」
元防衛事務次官としてテレビ等マスコミで意見表明を積極的に続ける守屋武昌先生が上梓した『日本防衛秘録』『「普天間」交渉秘録』は国防を研究する者・考える者にとって必読の書である。
憲法学者が違憲としてきた自衛隊と憲法改正について、守屋先生が語る今回の講演会は貴重な機会であり、日本を愛する者は是非この機会を活かして欲しいです。
 記
とき     2月04日(日) 14時30分〜16時30分(開場:14時)
ところ    文京区民センター2F 2-A会議室(文京シビックセンター向かい側)
講師     守屋 武昌(もりや たけまさ)元 防衛事務次官
演題    「憲法改正と自衛隊」
参加費    事前申込:1500円、当日申込:2000円
懇親会    17時〜19時頃 参加費:事前申込3500円、当日申込4000円
申込先    2月3日21時迄にメール又はFAXにて(懇親会は2月2日 23時迄)
        ★事前申込の無い方の入場は講演10分前とさせて頂きます★
主催     日本高志会 https://www.facebook.com/nipponkoshikai
 千田会 https://www.facebook.com/masahiro.senda.50
https://twitter.com/Masahiro_Senda
FAX 0866-92-3551 E-mail:morale_meeting@yahoo.co.jp
   □▽○□▽◇○○○○□
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宮崎正弘の新刊予告   宮崎正弘の新刊予告  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
2月9日発売 
宮崎正弘 vs 福島香織(予約募集中です)
 ♪♪
『世界の中国化をくい止めろ』(ビジネス社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
  ――チャイナウォチャーのなかで、もっとも注目を集める福島女史との対談第二弾! 
多くの本や情報がでているにもかかわらず世界は中国を知らない。
世界の企業は14億の市場を当てにして中国に進出しているが、実質は「2億の市場」にすぎず、絶対に増えることはないことを知っているだろうか。
  ――欧米は中国が豊かになれば民主化すると幻想をいだいていたが、中国の国家体制は強奪型の「共産党資本主義」であるため民主化は不可能。
「中国化」。激動の世界情勢が動き出す、2018年を読み解く最新刊!
(定価 1404円)
https://www.amazon.co.jp/dp/4828420096/

   
  ♪♪♪
宮崎正弘『米国衰退、中国膨張。かくも長き日本の不在』(海竜社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
 書き下ろし! 2月25日発売予定 (268ページ)
==日本は世界史のプレイヤーとしての位置を復活させるのか? それとも半恒久的に米国の附録なのか?
(予価1296円。2月10日頃から予約を受け付けます)
           □▽□▽ ◇□▽○ ○○○□
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宮崎正弘の最新刊 http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪♪♪
『AIが文明を衰滅させる  〜ガラパゴスで考えた人工知能の未来』(文藝社、1404円) 
『習近平の独裁強化で、世界から徹底的に排除され始めた中国』(徳間書店、1080円) 
『連鎖地獄―日本を買い占め、世界と衝突し、自滅する中国!』(ビジネス社、1188円)
『西郷隆盛 ――日本人はなぜこの英雄が好きなのか』(海竜社、1620円) 
『金正恩の核ミサイル 暴発する北朝鮮に日本は必ず巻き込まれる』(育鵬社、1512円)
『米国混迷の隙に覇権を狙う中国は必ず滅ぼされる』(徳間書店。1080円)
『日本が全体主義に陥る日  旧ソ連圏30ヵ国の真実』(ビジネス社、1728円)
『吉田松陰が復活する』(並木書房、1620円)

♪♪
<宮崎正弘の対談シリーズ> 
++++++++++++++++
宮崎正弘 v 河添恵子『中国、中国人の品性』(ワック、994円) 
宮崎正弘 v 渡邊惣樹『激動の日本近現代史 1852−1941』(ビジネス社)
宮崎正弘 v 藤井厳喜『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』(海竜社) 
宮崎正弘 v 福島香織『暴走する中国が世界を終わらせる』(ビジネス社、1188円)
宮崎正弘 v 高山正之『日本に外交はなかった』(自由社、1080円)
宮崎正弘 v 馬渕睦夫『世界戦争をしかける市場の正体』(ビジネス社、1188円)
宮崎正弘 v 宮脇淳子『中国壊死』(ビジネス社、1188円)
宮崎正弘 v 小川榮太郎『保守の原点』(海竜社。1620円) 
宮崎正弘 v 室谷克実『赤化統一で消滅する韓国、連鎖制裁で瓦解する中国』(徳間書店) 
宮崎正弘 v 室谷克実『悪あがきを繰り返し突然死の危機に陥る中国と韓国』(徳間書店)
宮崎正弘 v 室谷克実『日本に惨敗しついに終わる中国と韓国』(徳間書店) 
宮崎正弘 v 室谷克実『仲良く自滅する中国と韓国』(徳間書店、以上4つは1080円) 
宮崎正弘 v 石平 『いよいよ、トランプが習近平を退治する!』(ワック、994円)
宮崎正弘 v 石平『私たちの予測した通りいよいよ自壊する中国』(ワック、994円) 
宮崎正弘 v 渡邉哲也『世界大地殻変動でどうなる日本経済』(ビジネス社、1404円)
宮崎正弘 v 渡邊哲也『激動する世界経済!』(ワック、994円) 
宮崎正弘 v 西部遭『日米安保五十年』(海竜社) 

  ♪
<宮崎正弘の鼎談シリーズ> 
宮崎正弘 v 石平、福島香織『日本は再びアジアの盟主となる』(宝島社、1296円)
宮崎正弘 v 石平、福島香織『中国バブル崩壊の全内幕』(宝島社、1296円)
宮崎正弘 v 田村秀男、渡邊哲也『中国経済はどこまで死んだか』(産経新聞出版) 
       ◎◎▽□◇◎◎ ◎◎▽□◇◎◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2018 ◎転送自由。転載の場合、出典明示
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • 名無しさん2018/01/26

    この季節、製薬会社の書き入れ時なんでしょうね。インフルエンザが猛威をふるっているとのことです。大手メディアが、インフルエンザワクチンの危険性を話題にすることは、決してありません。原発利権よりも、医療関連の利権の方が大きい。

      インフルエンザワクチンに止まらず、あらゆるワクチンに危険性が潜むため、ワクチン接種のリスクをよく知るべきです。

      野口晴哉氏の名著『風邪の効用』に書かれている世界観というか思想を身に付けることが重要だと思います。

      西洋医学の薬やワクチンは、人体にとっては毒であるということを認識する必要があります。副作用が無い薬を探す方が難しい。

      妻は、結婚する前は、頭痛があるとすぐに市販の頭痛薬を飲んでいました。妻に、肩や首、背中の凝りが原因であることが多く、薬を飲んで安易に直そうとするのは止めるべきだ、根本的な治療にならないと言って、薬を飲まないようにアドバイスしました。子供が生まれる頃には、薬を飲まなくなっていたのは幸いでした。

      妊娠中の頭痛薬の服用は、将来子供がADHD(多動性症候群)になる可能性を高めるということでした。加えて、大量の農薬が使用された野菜や果物、遺伝子組み換え食品、食品添加物、電子レンジに代表される電磁調理器など、食品関係だけでもまともに生きることが出来ない環境になっています。これらの危険性を十分に認識して、健康に配慮した生活を身に付ける必要があります。

  • 名無しさん2018/01/26

    タイ王国340年の夢がふたたび呼び戻された クラ運河、熱気は消えていたはず。現国王がまえむきに←クラ運河、しりませんでした!目から鱗の情報、感謝です。